しあわせの形

真琴....






久しぶりに会った従兄弟は、ひどく嬉しそうな顔をしとった。

「どーしたん?」

聞くと、笑いながら話し出す。

「いや、駅でね?お前今朝駅の方に居たろ?」

「う‥ん」

何か変なことをしとったかと思い出してみても、特に記憶はあらへん。

駅前の本屋で探しとった漫画を買って、その後はコンビニ寄って帰ってきただけ。

「お前の親友?前に家に一緒に遊び来たじゃん。あいつ駅で見かけたんだよ」

確かに、去年の夏に海の家を経営してる叔父さんトコに一緒に遊びには行った。

親友、と従兄弟には言ったんやけど、実は俺らは恋人同士でカウントダウンも一緒やった。

けど、何でやろ?

「そしたらさー、あいつ何か突然前のほう見てニヤって笑い出して何だ?って思ったの。

んで、そいつの視線の先見たんだよ。そしたらお前が居るじゃん?別に普段見慣れてるだろー格好でただ歩いてるだけなのに。いやー、お前愛されてるね〜」

「ぶっ!」

突然の言葉に飲んでいたお茶を吹き出した。

「‥汚ねーなぁ」

「な、何言うてんのっ!」

「何?俺が気付いてないとでも思ってる訳?ま、別に俺はそういうコトに寛大だからさ、お前が幸せなら邪魔はしねーよ。おばさんにもナイショにしとくから」

そう言ってウィンク一つ残して部屋を出ていってもうた。




従兄弟の言葉を思い出し、一人顔が赤くなる。


付き合い出してから6ヶ月ちょっと。

不安も疑いもあって、でも好きでしょうがなくて……

自分ばかりが幸せをもらってる気がしとった。

けど、こんな俺でも少しはあいつのことを幸せにできてるんやと思うと、嬉しくなる。



「……そんな顔してたよ、あいつも」

また部屋に戻ってきた従兄弟に指摘されて慌ててマジメな顔をする。

クスクス笑われて、正月休み最後の日が過ぎて行く。

ちょっと恥ずかしいけど、こんな幸せな気分ならまぁ悪くはないかな。



〜終〜










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