公共財 †
ここではもう一つの政府の役割について見ていく。
公共財とは †
以下の2つの性質を持つ財を「公共財」という。
- 非競合性:消費者あるいは利用者が増えても追加的な費用が伴わない(便益が減少しない)。
- 排除不可能性:財の利用者を限定して供給できない。
これらの概念を用いると、財は以下の表のように分類される(G.マンキュー『マンキュー入門経済学』参照)。
| 競合性あり | なし |
排除可能 | 私的財 | 自然独占 |
不可能 | 共有資源 | 公共財 |
- 私的財:これまで分析してきた財(ある人が食べたリンゴを他の人が同時に食べることは出来ないので競合するし、買ってしまえば自分のものなので他人を排除できる)。
- 共有資源:村で共同所有している牧草地(村民なら誰でも利用可能)や近海の魚介類(漁業権があれば捕っていい)。
- 自然独占:放っておくと独占になる状態のこと。例えば、初期投資が莫大な電気・ガス・水道など。
政府によって供給される財でも、厳密には公共財と呼べないものが多い*1。
- 道路は公共財か?
- 競合性について(混雑しているかどうか)
- 排除可能性(インターチェンジの設置)
公共財の供給とただ乗り(フリー・ライダー)問題 †
公共財供給のコストは誰がどのように負担するか、考えてみる。
例 まちの花火大会
Aさんが花火大会を企画して、費用を回収するために観客にチケットを販売するとする。
観客はチケットを購入するか?
⇒少し離れた場所から見ることが可能なので購入しない
購入しない⇒費用を回収できない⇒Aさんは花火大会をやめる⇒みんながっかりする
「住民全員の「がっかり」分>花火大会の費用」なら花火大会を行わないことは非効率的。
一般に、最適な供給量決定の条件(図による説明)
公共財の限界便益の和=公共財供給の限界費用
効率的供給のために「公共財の需要に応じた負担」を行うとする。
このとき、どうやって需要を測るか?
自己申告だと自己の需要を低めて報告することで負担回避することが可能。
- ただ乗り:費用を負担することなく便益を享受すること。
- ただ乗り問題の発生する原因
公共財は通常、正の外部性*2を持つため。
注意:上では個人は需要を過少申告していたが、メカニズムによっては過大申告する(例えば費用負担が均等の場合)。