当面の金融政策運営について(2010.6.15 日本銀行)

「日本銀行は時々寝言を言う」(by 亀井静香。ソースは「日銀 寝言」あたりでぐぐれば出ます)ようですが、改善されないようです。まず、全文は以下から。

2.・・・物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、経済全体の需給が緩和状態にあるもとで下落しているが、基調的にみると下落幅は縮小を続けている。

要するにデフレという認識は持っている、と。客観的といえば聞こえがいいですが、物価の安定が使命の割には他人事のような言い方に見えるのは気のせいでしょうか。経済全体の需給が緩和(ここでは供給超過の意味でしょう)しているということは、ワルラスの法則を使うと貨幣市場が需要超過ってことで日銀はもっと仕事しろよ(マネーサプライが増えるように)ってことになるわけですが*1

3.・・・物価面では、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移するとの想定のもと、マクロ的な需給バランスが徐々に改善することなどから、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、下落幅が縮小していくと考えられる。

「景気は良くなると思う」からデフレも止まるんじゃないかと思っていますよ、と。この予想が妥当かどうかはよくわかりません(「いつかは」よくなるってことなら誰でも言えますが、まさかそんなことを言いたいわけではないでしょう)。しかし、「中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移するとの想定」って、これは結論を仮定してものを言ってるようにしか見えないですね。予想と現実は一応異なりますが、おかしい予想は早晩修正されると考えれば、一致していくわけなので。

4.・・・物価面では、新興国・資源国の高成長を背景とした資源価格の上昇によって、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。

どう変動するかはわかりません、と言ってるようですが。まぁ、短期的な変動なら別にわからなくても仕方ありませんが、「中長期的な予想」の変化って言ってるので中長期的にもわからんと読むんでしょうね、きっと。全く無責任としか言いようがないですね。

5.日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することがきわめて重要な課題であると認識している。そのために、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針である。

認識すること自体は結構です。ただ、重要なのは「どのくらい」貢献したかでしょう。頑張ったんだって言うことは誰でもできます。どうなるかわからんけどって言いながら同時に頑張るって言われても評価の仕様がないと思います。

「成長基盤強化を支援するための資金供給について」これが頑張る内容。何をやるのか見てみると、

新たな資金供給の枠組みを時限措置として導入することとした

とあるので、「新たな」ってことはいわゆる「非伝統的政策」の一環ってことでしょうか。しかし、貸す条件は

本資金供給の枠組みを決めるにあたっては、日本銀行自身が個別の企業や業種への資金配分に直接関与しない

と言っておきながら、事業分野は「成長基盤強化に資する」18分野に指定するそうです。例外規定もあるようですが、きっと例外はなかなか認めるつもりがないから例外なのでしょう。もし何でも認めるつもりならば、そもそもこんなこと言わずに「どこでもひたすら資金供給しちゃうぞ」とでも言っておけばいい話です。ま、そうしてしまうと普通に資金供給するってだけになって、頑張ってるとアピールできないからなんでしょうね。しかし、最近よく言われる「成長分野」、そんなのわかるなら放っておいてもみんな勝手に投資するんじゃないかなぁ。

で、ここまで書いて似たようなことを言ってるリンクを見つけてしまったり。ま、いいか。


*1 もちろん、この話は財1種類と貨幣しかない状況を想定した場合ですので、それは極端だという批判はありです。

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Last-modified: 2011-11-11 (金) 16:24:20 (4544d)

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