生産者余剰と社会的余剰需要曲線から効用を表す消費者余剰が出てくるのを見たが、供給曲線からもこれと対をなす概念である生産者余剰というものを考えることができる。今考えている世界(完全競争市場)には登場人物(経済主体)は消費者と生産者だけなのでこれらの人々の幸せを考える基準として消費者余剰と生産者余剰を合わせたものを考えることができ、それを「社会的余剰(または総余剰)」と呼ぶ。以下ではこの概念について考えていく。 生産者余剰前に述べたように、供給曲線は限界費用を表したものである。このことから、供給曲線の下側の面積は可変費用を表すことがわかる。一方、収入は「価格×生産量(=供給量)」であるから、供給曲線の上部の三角形状の面積(講義での図を参照)は「利潤+固定費用(存在すれば)」を表す。これを「生産者余剰」と呼ぶ。 社会的余剰一般に、社会的余剰は以下の式で表される。 社会的余剰=消費者余剰+生産者余剰(+税収) 言い換えると、市場均衡で取引が行われるとき、社会的余剰は需要曲線と供給曲線(と縦軸)で囲まれる三角形の面積となる。社会的余剰が最大の時、「市場は効率的である」という。 実は、市場均衡で取引がなされるとき、社会的余剰は最大(つまり市場は効率的)となっている。 税収については後述。 税と社会的余剰前に税が需要曲線と供給曲線に及ぼす影響を見たが、ここでは税が社会的余剰に及ぼす影響について見ていく。
税がかけられた場合には、市場均衡よりも取引量は減少する。これによって均衡の近くの三角形分だけ社会的余剰が減少する(講義で図による説明)。これを「死重損失(死荷重)」という。
(図による説明)
(図による説明) 価格差別社会的余剰は経済全体がどのような状態にあるかを見るための一つの尺度であるが、社会的余剰の最大化は経済の各主体に取引による利益がまんべんなく行き渡ることを必ずしも意味しない。例えば、完全競争でない場合、価格を複数用意することで消費者余剰を生産者に付け替えられる可能性が存在する。これを「価格差別」という。 |