昨日はわたしの誕生日でした。何歳になったかはわからないけど 大人の女性に一歩近づけたような気がしました。 人生最大のプレゼントも貰えましたから…… 2月4日。わたしはやっぱりごく普通に過ごしてしまうみたいで…… でも自分の誕生日だと思うと何故かドキドキワクワクしてきますよね? それがたとえ年をとろうとやっぱり自分がお母さんから産まれた大切な日なんですから。 朝一番に見る海はちょっと寒いけど、青いじゅうたんにダイヤがちりばめられたような とっても綺麗で眺めていると心まですんで 「今日も1日がんばろう!」 って独り言も恥ずかしながら言ってしまいます。 日課の海のお散歩も終わり、家に帰ると扉をノックする音が聞こえました。 「レイニーくん、お誕生日おめでとーう!」 と村で仲良しのビスさんが遊びに来てくれました。 「う〜ん…レイニーくんなんとなく大人になったねぇ〜」 なんて冗談か本当かわからないけど嬉しかったです。 後は『あの人』が来てくれてれば最高だったんですが…… 「そういえば、くんってきたぁ?」 ビスさんがわたしの心を読んでいるかのようにわたしに質問しました。 わたしが『あの人』を思っている事に気がついていたんでしょうか? 「実は……まだなんです………」 「えぇー!おかしいなぁ……僕より早起きなのに………」 そうなんです。いつもは朝挨拶を交わすぐらい早起きなんです。 でも、この日に限って彼はどこにもいませんでした。 「でもいずれ来てくれるはずです………」 「そうだよねぇ〜!くん、あんなに君のこと好きなのにねぇ〜……」 「す……好きだなんてそんな……」 「やだなぁ友達としてだよ」 わたしは友達以上な関係になりたかったんです。 あった時から……ずっと… そんな話がお昼まで続いても彼はなかなか来てくれません 午後1時になっても 午後2時になっても…… とうとう午後の10時に時計の短針が触れてしまいました。 「ふあぁ〜……こないねぇ………」 ビスさんもよくここまで耐えたものです。あまりにも眠たそうだったので 「もういいですよ。今日はありがとうございました。」 って言ってビスさんはわたしのお家を後にしました。 本当はちょっと無理してしまいました。来て欲しいのに来てくれない…… 彼への……『あの人』への思いが一気に加速していきました。 気がついたら午後11時。この時は半ば諦めてしまい外に出てしまいます。 夜の海は暗く、昨日のわたしの気持ちと同じ感情がにじみ出てました。 お家にふらふらっと帰ってベッドに横たわって『あの人』の事を思いました。 胸が熱く、苦しくなって思わず涙がポロポロと 雨が車の窓を這うように流れて枕が濡れていきました。 午後11時55分。彼がこないと確信してしまいました。 わたしは 「また明日会えるからいいじゃない」 と必死に自分を励まします。 後少しでわたしの誕生日が終わる。 わたしの唯一の記念日が終わる。そう思っていました。 トントンとノックの音が聞こえてきました。 この時まさかと思いベッドから転げ落ちてしまいました。 「ごめんごめん!レイニー待った?」 彼が……さんが荒い息使いで家に上がり込みました。 わたしは涙が止まらないほど溢れているのに気がつかず、 ただ、感動と、嬉しさが胸を締め付けました。 「レ、レイニー!?ごめんね遅かったね……」 「……いえ!わたし!さんが来てくれてとても嬉しくて……」 「そ……そんなに嬉し……うわ!」 わたしは感情がむき出しのまま、さんに抱きついてしまいました。 今思えばものすごく大胆な事してしまいました……反省。 「………あ!」 彼が思い出したかのように語り出しました。 「プ…プレゼント忘れた!あわわ……間に合わない……」 時計を見るとすでに午後11時59分を指していました。 「いえ!いいんですよ!来てくれただけでも…」 「それじゃあ僕がだめなんだよ!」 本当にこの人はわたしを大事にしてくださるんだなって…… と思っていたらいきなり彼の手がわたしの肩に乗りました。 わたしは驚く間がありませんでした。 「しょうがない!ごめんねレイニー!」 0時の鐘がなると共にわたしと彼の唇がふれ合っていました。 鐘の音が鳴り響いた後、お互いの唇が離れました。 「ご、ごめん!気持ちだけ伝えたかったんだ!それじゃ!」 彼は恥ずかしそうに目をそらし、そそくさと去っていきました。 あまりの出来事に、その時はボ〜っとしてしまいました。 今日もまだ彼には会っていません。 でも今日も会えます。絶対に。 その時は……わたしの気持ちを伝えたいと思います。 今日も 海は 青くて 綺麗です。 終 戻る |