汽車に揺られ、あたしはこの村にやってきた。
汽車の中で話した猫さんと別れ、ホームで駅長さんに挨拶し、ホームから降りたそこは、楽しい村の生活が待っている―――はずだった。
「あー、もう来てるだも」
と、駆けつけてくるアイツさえいなければ・・・。
「さぁ、ここに4つの家があるけど、どこに住みたいだも?」
と、なれなれしく話してくるのはここから少しはなれた所で商売をしているたぬきちさん。汽車の中で猫さんが話していた相手が彼のようね。
あたしは一通り見て周り、気に入った家をたぬきちさんに教えると、彼は微笑み、
「じゃあ19800ベルだも」
・・・と請求してきやがった。
猫さんが言ってた『お金がないと大変だね。でも頑張って』と言っていたのはこの事だったのかぁ。
とりあえずあたしは懐に入っていた全財産―――1000ベルを差し出した。
「じゃあこれで、って全然足りないだも!!!」
「あっははー・・・」
と、あたしは空笑いをするしかなかった。
「ふぅ、仕方ないだも。こうなったら体で働いてもらうしかないだも」
といいながらたぬきちさんは妙にあたしの体を見回す。
「・・・何じろじろ見てるんですか?」
「じゃあ後でボクのお店に来るんだも」
たぬきちさんは笑顔で森の中へ消えていく。
「人の話を聞けぇ!」
あたしはたぬきちさんが消えた森へ向かって叫んでいた。
「やっときただも。一体今まで何をやってたんだも?」
言えない。歩いている内に迷ってたどり着いた交番の地図を見てきたなんて絶対に言えない。
「じゃあまずはコレを着るだも」
と、何かの服を入れた紙袋を渡してきた。
「作業着ですか?」
とあたしは紙袋から取り出したのは―――。
「『セーラー服』だも」
条件反射でセーラー服を爽やかに言ったたぬきちさんに投げつけていた。
「んなもんきせるな!!」
「・・・いいんだもか?」
たぬきちさんは突然含み笑いをする。
「な、なによ」
「着てくれないと借金返済できないだもよ」
「くっ。この卑怯者!!」
「何度でもいうだも。結局この世はお金が全てだも。さぁ、どうするだもか?」
またニヤリ、と悪巧みするような顔(実際もうしてるけど)にあたしは降参するしかなかった。
「うんうん、思ったとおりカワイイだも」
と、たぬきちさんが指を顎に添えてうんうん頷く。
「・・・これで満足?」
あたしはストレスで人が殺せたら、と思った。
「まだだも、その姿でこういうポーズをとるだも」
たぬきちさんは体を斜め45にして、左手をマイクを持って歌うような形にして、人差し指と親指を伸ばした右手を左肘に乗せた。
あたしも恥ずかしいけどそのポーズをとったら、
「じゃあそのポーズで『隕石に変わってお仕置きよ』って言うだも」
「ええええぇぇぇぇぇーーーー!?」
「いやだもか? あーあ、借金どうするだもかね〜」
「むうぅ〜・・・」
今のあたしにコレを逆転できる方法が無かった。ベルさえあれば・・・。
「い、インセキニカワッテオシオキヨ」
「もっと明るく、ハッキリ言うだも」
「隕石に変わってお仕置きよおおおぉぉぉぉぉ!!!!」
半分泣きが入っていた。
「い、イイだも。グッジョブだも」
と、たぬきちさんが親指を伸ばした右手を顔まで上げた。
「じゃあ次はこの『はくい』を着るだも」
「まだやるのぉ!?」
本当に・・・泣きたくなった。てかもう涙を流しているのかもしれない。
このあとあたしは『はくい』や『けいかんのふく』、『チアリーダーなふく』などをどんどん着させられた。これじゃあただの着せ替え人形じゃないの。
しかも服ごとにポーズやセリフまでも強制され、とにかくすっごい恥ずかしかった。
「じゃあ最後はこれだも」
「やっと最後・・・ハァ」
といって着替えたのは・・・。
「え、なに? ウェディングドレス!?」
「『じゅんぱくのドレス』だも。やっぱり最後はこれに限るだもね」
「・・・どういう決まりよ」
「こういう決まりだも」
と、たぬきちさんの顔が急に近くなって来て・・・。
「!!!」
思わずあたしはのけぞり、そのまま尻餅をついてしまった。
なに、いまこいつ、あたしの唇を奪ってきた!?
そしてそれを確信させるようにたぬきちさんは上から被さるようにあたしの方の真横に手を付き、またしてもあたしの唇に重ねてきた。
しかもこいつ、ずっと唇を合わせるだけでなく舌まで入れてきやがった。
あたしは思わず顔を背け、その行為から逃れた。
「なんで避けるだも?」
「あんた、一体どういうつもりよ」
「結婚したカップルはその日に初夜を迎えるのは当然のことだも」
全然当然じゃないわよ。
「もうこれも邪魔だも」
といってたぬきちさんはあたしのドレス(借りてるだけだけどね)をなぐら部分から思いっきり左右に破いた。
当然あたしがつけていたブラも噛み切られ、隠れていた胸も露になった。ついでに下半身も破られて秘所も丸見えだ。
どっちから攻めてくるかと思いきや、左手と口であたしの胸を愛撫でし、右手であたしの秘所をかき回す。
「ひあっ」
思わず敏感に感じてしまったあたし。たぬきちさんの愛撫では続く。
「んんっ、あん・・・くぅ」
「ふふ、新しく来た住人さんは淫乱だもね」
「ち、ちがっ・・・あァッ」
本当はイヤなのに、すごくイヤのに、なぜか体が反応してしまうあたしがいた。
「さて、そろそろボクも気持ちよくさせてもらうだも。君だけ勝手にイってもらわれたらボクがかわいそうだもね」
巻いていたふんどしをはずすと、そこにはいまかいまかとそそり立っているモノがあたしの前に姿を見せた。
たぬきちさんは自分のモノをあたしの秘所に宛てがうと―――。
「それじゃあいくだも」
と、容赦なく突き刺してきた。
ズブブッ!!
「いぎっ!!!」
あたしは思わず悲鳴を上げた。無理矢理ねじ込まれるような痛みが急激に襲ってきたから。
たぬきちさんはそのまま腰を前後させて自分の欲を満たしていた。
ぐちゅ、ぐちゅ、と何かをかき回す音。その音が妙にいやらしく、恥ずかしく、痛かった。
けど、声が、どうしても声がでてしまう。悲鳴から―――快楽へと。
「あぁ、あぁン。イイ、すごくイイィ!!」
イヤだった股間の痛みが、今はもうこの行為を止めて欲しくないほど気持ちよくなっていた。
あたしとたぬきちさんのペースがあがる。
「そろそろフィニッシュだも」
しばらくしてたぬきちさんがそういって一気に奥まで付きたてた。
「あン、あン・・・ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!」
ビュク、ビュク。
そう音をたてたような感じでたぬきちさんのモノからあたしの中へ一気に放出された。
「あ、あつい・・・」
そう、その液体は熱いと体が告げた。
たぬきちさんはしばらくしてあたしの秘所からモノを抜くと、そこから入りきらなかった液体が、赤みを帯びた白濁物だと確認した。
「さすがに何日もヌいてなかったら絶頂も格別だっただも。でもまぁ、それは住人さんのおかげでもあるだもね」
たぬきちさんは近くにあったティッシュで自分のを拭き、ふんどしをつけるとまだ体が痺れて倒れたままだったあたしに向かって、
「これで借金18800ベルはチャラにしてあげるだも。それと今まで来てもらった服も全部サービスしてあげるだも。あぁ、なんてボクは優しい商人だも☆」
といって奥の部屋へ帰った。
痺れが治まったあたしはそのままスクッと体を起こし、ただボーっと前を見ていた。
「・・・どうしよう」
体が震えてきた。何かの禁断症状のように。
両手で自分の体を抱いて必死に震えを止めようとするあたし。でも出来なかった。当然だよ、あの後だったから。
きっとあたしの顔は驚愕に打ち震えていたのだろう。脂汗も流れる勢いで滲み出てきた。
「あたし―――」
何も考える事が出来なくなってきた。
体が欲しがってる。あの行為を欲しがっているのだ。
そしてあたしは最悪の言葉を漏らしてしまった。
「もう、『アレ』無しでは生きていけない」

―――あのカイカンを―――


End



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