『祐一さん、就職決定!おめでとうございま〜す♪』
ぱんぱ〜ん!
クラッカーが鳴り響く。
『ありがとう、佐祐理さん!』
『あはは〜♪どういたしまして〜♪』
『それにしても凄い料理だね…和、洋、中、印、仏、伊…うわっ、露まである!!』
『はい♪祐一さんのために頑張っちゃいました♪』
『なんか2人で食べるのがもったいない位だよ…』
リビングのテーブルの上には、所狭しと料理が鎮座していた。
それら全てが相沢祐一の恋人、倉田佐祐理の手料理。
『ふぇ…祐一さんは佐祐理と二人っきりなのがイヤなんですか?』
『いやいやっ!そういうんじゃなくてっ!!』
泣き出しそうな佐祐理を慌ててなだめる祐一…。
『ごめんな、佐祐理さん…そう言う意味じゃなくて…』
弁解しながら佐祐理の頭に手をやる祐一…
『こんなに上手そうな料理を佐祐理さんと二人っきりでなんて罰が当たらないかなって事だよ』
そして佐祐理の頭を優しく撫でる祐一…
『あっ♪』
撫でられて佐祐理、ご満悦。
『さ、折角佐祐理さんが作ってくれた料理だ、冷めない内に戴くとしますか♪』
『はい、そうですね♪』
『『いただきま〜す』』
主賓、相沢祐一と彼の恋人、倉田佐祐理の…
2人っきりの、2人だけのお祝いパーティーが始まった…。
いつか、きっと…
Written by:B&B
『お、これ美味いな…何の肉なの?』
『はい、それは羊の肉なんですよ〜♪』
『へぇ〜、そうなんだ…俺、羊の肉なんて初めて食べたよ…』
『なかなか手に入りませんからねぇ〜』
『ふむふむ、美味い美味い♪』
次々と平らげていく祐一。その様子をニコニコしながら佐祐理が眺める。
『ん?佐祐理さん、食べて無いじゃないか…ほら、佐祐理さんも食べて!』
『いえ〜、これは祐一さんのために作ったお料理ですから〜』
テーブルの上に並ぶ料理。しかし自分1人で食べたのではうまさも半減だ…
『そう?それじゃ遠慮無く…』
そうは言いながらも祐一は、佐祐理に食べて貰う為の算段を練っていた。
『こ、これは…キャビア!?』
『はい♪取り寄せてみました♪』
『これも初めてだよ…ホントにありがとう、佐祐理さん…』
『いえいえ〜♪祐一さんの為なら、おやすい御用です♪』
『ん?佐祐理さん…このパスタに入ってる黒くて薄いのって何?』
『あ、それはですね〜、トリュフなんですよ〜♪』
『トリュフ!?トリュフってあの三大珍味の?』
『はい♪そして“キャビア”“トリュフ”と来れば?』
『ってことはこのソテーは、もしかして……』
『フォアグラです♪』
『ぐあっ!ただの合格祝いの席に世界三大珍味が…』
『違いますよ、祐一さんの、佐祐理の………大切な人のお祝い……ですから…』
言い終わって顔を朱に染める佐祐理。
『…………ありがとう、佐祐理さん……』
同じく祐一。
『あ、あはは…ちょっと照れちゃいますね〜』
『う、うん…』
しばし沈黙が流れる……
『ゆ、祐一さん、お料理が冷めちゃいますから、温かい内に食べてくださいね……』
『あ、あぁ…』
『はい、祐一さん…これをどうぞ…』
料理を取り皿にとって渡す佐祐理。
『ありがとう…うん、美味いよ佐祐理さん…』
『ありがとうございます…』
今だ顔の朱が取れない2人。しかし祐一は何かをひらめいた。
『はい、佐祐理さんの分!』
『ふぇ?』
佐祐理が驚いている隙に、祐一は取り皿に料理を載せて渡す。
『あ、佐祐理は……』
『はい、あ〜ん♪』
そして、たたみかける様に佐祐理の口の側に料理を持ってくる祐一。
『ゆ、祐一さん…』
『あ〜ん♪』
『いえ、ですからこの料理は…』
『あ〜ん♪』
『どうしても……ですか?』
『うん、お祝いしてくれるんなら一緒に食べて、騒いで…の方が俺は嬉しいな♪』
『………そうですね、それではお言葉に甘えて♪』
『はい、あ〜ん♪』
『あ〜ん♪』
佐祐理の口に祐一の箸が滑り込む。
『うん♪今日の料理は100点の出来映えです♪』
『俺的には120点をあげたいね』
『そうですか?じゃあ、祐一さん♪120点の料理をどうぞ…あ〜ん♪』
『え?俺もやるの?』
『はい♪佐祐理ばかり食べさせて貰ったのでは不公平ですから〜♪』
『い、いや…俺はそんなの気にしないから……』
『駄目ですよ〜、佐祐理、本当に恥ずかしかったんですから〜♪』
『え〜っと……』
『あはは〜♪祐一さん、観念してくださいね〜♪はい、あ〜ん♪』
祐一の口の前に佐祐理の箸に載せられた料理が寄せられる。
『祐一さ〜ん、お口を開けてくださいね〜♪』
ニコニコと微笑む佐祐理。こうなってしまっては祐一にあらがう術はなく…
『………あ〜ん……』
こうなるわけである。
『あはは〜♪どうですか、祐一さん?120点のお料理のお味は?』
『んぐんぐ…佐祐理さんに食べさせて貰ったから200点を付けよう!』
『あはは〜♪ありがとうございます〜♪』
『んじゃ、次は俺の番だね?…はい、佐祐理さん…あ〜ん♪』
『あはは〜♪望む所ですよ〜♪』
しばらくお待ち下さい…
ここから“あ〜ん”合戦が繰り広げられています…
『ふぅ〜…食った食った〜……ごちそうさまでしたっ!!』
『はい、お粗末様でした〜♪』
『ちょっと食べ過ぎたかな〜…』
『あはは〜♪いっぱい作りましたから〜♪はい、麦茶です』
『サンキュ♪』
『あ♪祐一さん、ちょっとだけじっとしてて下さいね〜♪』
『ん?あぁ…』
『んふふ〜…ほっぺたに御飯粒が着いてます♪』
『えっ?どこどこ?』
『あっ!動いちゃ駄目です…』
そういうと、佐祐理は祐一の頬に付いていた米粒を…
ひょい、ぱくっ♪
『あ、佐祐理さんっ!?』
『ふぇ?どうしました?』
『いや、今…さっきの米粒……口の中に……』
『あはは〜♪そんなことですか〜、舞にもやってましたから、佐祐理は平気ですよ〜♪』
『いや、佐祐理さんは平気でも俺は……』
『あ〜♪ゆ〜いちさん!口の端にソースが付いてますよ〜♪佐祐理が取ってあげます〜♪』
そう言うや否や、佐祐理の手が祐一の両の頬に添えられる。
『あ、あの〜……佐祐理さん?』
『はい〜………なんですか〜?』
『何をしようと……してるんですか?』
『それはですね〜……』
そう言いながら、佐祐理の顔が祐一の眼前に迫る。
『こうするんですよ〜♪』
ぺろん♪
『んなぁっ!?』
佐祐理の舌が祐一の口の端に付いたソースを舐め取った…
『さささささ佐祐理さんっ!?』
『にゅふふふふふ〜…ゆ〜いちさ〜ん♪』
『ん?…スンスン……あっ!佐祐理さんっ!酒、飲みましたね!?』
佐祐理の口内からかすかに匂ってきたのは…アルコール。
『はぇ?佐祐理はこれを飲んだだけですよ〜?』
佐祐理の手に握られていたのは……
『佐祐理さん…それはお酒です……』
『ふぇ〜、そうだったんですか〜…てっきりジュースかと思いました〜……』
ウ○ッシュだった…。
『いや、確かにジュースみたいなものだけど…250の缶、一本で……』
『なんだか〜…ふわふわ〜…ですよ〜……』
『佐祐理さん……弱すぎ……』
20歳以上であれ一本で酔える人はアルコールの摂取は控えた方がよろしいでしょう。
つうか、飲むな…金輪際…。
『ゆ〜〜〜いちさ〜ん♪』
『何?ってうおっ!?』
今だ、祐一の眼前にある佐祐理の顔。
『どどどどどどうした、佐祐理さん!?』
『佐祐理は〜……ゆ〜いちさんがですね〜…くふ、くふふふふ♪』
『佐祐理さん…酔ってる?』
『酔ってませんよ〜……えいっ♪』
『ひゃいひゅるんひゃ、ひゃゆいひゃん!?』
『あははははははは〜♪ゆ〜いちさんの顔、面白いですね〜♪』
佐祐理は祐一の頬を伸ばし始めた。
『ひゃにゃひてひょ、ひゃゆいひゃん』
『……………………………』
『……ひゃゆいひゃん、にゃいお?』
祐一の頬を伸ばしたまま、祐一を見つめる佐祐理。
そして、ゆっくりと顔を近づけていく…
『ゆ〜いちさん…佐祐理はゆ〜いちさんの事が…一番だいすきなんですよ…』
こくこく…と頷く祐一。
『だから〜…佐祐理、今から〜…』
頬を伸ばしたり縮めたりしながら…佐祐理は…
『ん……』
祐一にキスをした…
『にゅふふふ〜♪ゆ〜いちさんにキスしちゃいました〜♪』
祐一の頬から手を離し、そのまま祐一の首に腕を回す。
『さ、佐祐理さん……ってあれ?佐祐理さん?』
『す〜……す〜……』
『寝てるのか…』
佐祐理は祐一にしがみついたまま、幸せそうな表情を浮かべて眠っていた。
『ゆ〜いちさ〜ん…』
『ん?何、佐祐理さん……あ、寝言か…』
『駄目ですよ〜…スイカを丸ごと食べちゃ〜……』
『何をしてる、夢の中の俺!?』
『は、はぇ〜!?佐祐理を食べちゃ駄目ですよ〜!!』
『止まれ!俺!』
『祐一さん……優しく…して……くださいね』
『うそぉ!?そっち!?……い、いかん!』
祐一は佐祐理を引き離しにかかった。
が……
『ん〜!!』
『ギブギブギブ!』
引き離そうとすると、嫌がって首にしがみつく腕に力が入る。
『げほげほ……起きてるんじゃないか?』
『………く〜……す〜………』
『こうなったら……』
ちゅっ♪
祐一の唇が佐祐理の額に触れる。
『……ほぇ?』
『あ、起きた…』
『あ〜…ゆ〜いちさんだ〜♪』
『おぅ、祐一さんだぞ…佐祐理さん、そろそろ寝ようか?』
『わかりました〜…』
『んじゃ、ベッドまで連れて行こうか?』
『はい〜、お願いします〜……』
佐祐理をベッドまで連れて行くまでに……
『佐祐理さん!そこはベッドのある部屋じゃないよ!』
『佐祐理、今夜はここでいいです〜…』
『そこはトイレだよ…』
とか…
『熱いから脱いでも良いですか〜?』
『廊下で脱いじゃ駄目だよっ!!』
とかいったお約束があったのは言うまでもない……
『ほら、佐祐理さん…ベッドだよ…』
『ふにゅ〜…わかりました〜…』
ぽふん
佐祐理は糸の切れたマリオネットの様にベッドに倒れ込む。
『す〜………す〜………』
直後、寝息を立て始めた。
『佐祐理さん、寝ちゃった?』
『す〜………す〜………』
『このままだと服にしわが寄っちゃうな…ごめん、佐祐理さん…』
祐一は佐祐理にそう、謝るとてきぱきと寝間着に着替えさせた…
(ぬおぉう、このふくらみはぁッ!!…い、いかん!集中集中っ!)
てきぱきと…
(ぬっはぁ!!染み一つ無いこの白い、ふともも!……………はっ!!今、俺は!?)
てきぱき?
『ふぅ〜…終わった…よっこいせっ、と…』
誘惑にうち勝った祐一は、ベッドの横に座り込んで佐祐理の寝顔を見つめた…
『渡し損なっちゃったな…これ…』
ポケットから小さな小箱を取り出す…
『今日こそは!…と思ってたのにな〜……ま、いっか…また今度で…』
箱の中身は…
『いつか、きっと…この指輪を………な?』
佐祐理の左の薬指のサイズにピッタリの指輪。
『んじゃ、おやすみ…佐祐理さん…』
それを箱に仕舞い、部屋からゆっくりと祐一が退出してゆく…
ぱたん…
『………ふぇ〜、まだ…駄目ですね〜…』
佐祐理が祐一の退出を確認すると、静かに呟いた…
『お酒の力を借りないと、あんな事が出来ないなんて……』
どうやら狸寝入り&確信犯らしかった。
『でも……今度はお酒なしでやれる様になりますよ〜♪』
布団の中で小さくガッツポーズ。
『いつか、きっと…あの小箱の中身に相応しい女性になって見せますね…祐一さん♪』
いつか、きっと…
2人に…
それはそれは幸せな未来がやってくるだろう…
『しまった!佐祐理さんのふともも、もうちょっと見ときゃよかったっ!!』
『祐一さんってひょっとして………奥手、なんでしょうか?』
多分……ね。
FIN
ボクのこと…忘れて下さい…
B:いや、マジで…
あ:その前に謝るべきじゃないかな?
B:たしかに…
B&あ:Shadow Moon様、申し訳ありませんでしたっ!
あ:管理人のミスで原稿がロスト。
B:再興するも不出来なため、Del。
あ:あるゲームに、はまってしまい執筆が停滞。
B:『ゴールエリアの荒鷲!エルナン・クレスポ!』
あ:『決めたのはこの人!怪物、ロナウド!』
B&あ:『『バティ、ゴール!!』』
B:シェフチェンコ辺りが欲しいね…
あ:うぐぅ、そんな事言ってるばあいじゃないよ…
B:え〜、“いつか、きっと”如何でしたか?
あ:リクエスト通りには出来てないんじゃないかな?
B:限界です。これ以上は無理っす…
あ:“いうはやすし、おこなうはかたし”だよっ!安請け合いするから…
B:ぬぅ!あゆあゆの癖にっ!
あ:ボクは事実をありのままに述べただけだもん!それに、あゆあゆじゃないもん!
B:こんな駄作でご不満でしょうが、受け取って下さい。
あ:うぐぅ、無視しないで…
B&あ:それでは、“いつか、きっと”これにて閉幕!
あ:ミランのDFの“マルディーニ”もいいよね!
B:それより“中田”をくれ…
Shadow Moonより
B&B様、リクエストSS、たいへんありがとうございます。
とても激しく萌えさせて頂きました(爆)。
食事中にいちゃつく二人も良いですが、酔った佐祐理さんにもまた萌えました。
祐一君がとっても羨ましい限りです(笑)。
早く小箱の中身を渡せる日が来ると良いですね。
これからのSSも、とても期待しています。
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