頭に乗った掌が熱い。大きくて硬い手が、髪の毛を指に絡めながらあたしを労う。よくやった、て。

頭がぼうっとするのは、その手つきに覚えがあるからか。それともそれをしてくれるのが堂上だからか、あたしにはまだわからない。これが本当はどんな感情なのか、わからないの。


今までは王子様が誰かわからないから、安心して恋をしていられた。ただ関東図書隊員であるというだけの情報で本当にその人を探せるわけないって、そんなに甘くないって頭の隅っこの方でわかってたから。

探し出せない憧れが逆に、絶対振られることのない片想いを許してくれていたのに。

あたしは知ってしまった。とうとう知って、そして安心して浸かっていた子どもっぽい憧れから引き上げられて、急に目の前に突き出された気分。

もう戻れない。だってあの人の匂いも感触も、あたしは知っているから。


もう隠しておけない。心が揺れた。滲んで漏れていく気持ちはもう無視出来ない。あたしを駆り立て、振り回すこの感情の名は――――。

「笠原」

慣れ親しんだはずの声が、あたしの名前を特別なものにする。

「笠原」

じわりと震えるのはあたしの心。

「笠原」

ずっとずっと呼んでいて。その為にあたしは、あなたが誇れる自慢の部下に慣れるように頑張ってみせるから。

「…………堂上教官」

大好きです。いつかあなたに追いつけるように、いつもあなたの役に立つ部下でありたいと願って。

ともすれば感情に追い立てられて自分を見失いそうな己を律する。そうならないように、しっかりとこの脚で踏ん張って、少しずつでも近づいて。




いつか心を伝えられたら。そんな日を夢見ている。





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