- 631 名前:風と木の名無しさん:2006/11/24(金) 23:44:14 ID:OGWcLYoEO
- 知りません
- 632 名前:風と木の名無しさん:2006/11/25(土) 10:03:45 ID:1pPbN7H+0
- 正直でよろしい
- 633 名前:風と木の名無しさん:2006/11/25(土) 11:19:39 ID:evkrYb46O
- 投下まだかな〜。
- 634 名前:隣家の兄弟 1/8:2006/11/25(土) 12:17:40 ID:UR8AAeEP0
- 暁は、遠回りして学校に寄ろうと言い出した。
土曜日の午前中。冬彦を連れて買出しに行き、その帰り道の事だった。
どうせ、逆らうすべはない。
冬彦の内には、昨日とは違う種類の、バイブレーターが咥え込まれていた。
スーパーでさんざんいたぶられ、店員の前で、居並ぶレジの列で、喘ぎ声をあげさせただけでは気が済まず、さらに笑いものにしたいのだろうか。
冬彦は屈辱とともに眉をひそめ………そして、したがう他なかった。
第二土曜日で休校にあたる。
どうせ誰も居ないと思っていた冬彦は、校門が近づくにつれて聞こえる、大音響のカラオケに、ハッと気付いた。
柔道部の追い出し会は、構内で行なわれているのだ。そこに進夜も居る。
こんな状態でっ………冬彦が青褪めた時だった。
「ッ………ァ、アッ」
淫靡な微動に耐えて歩いていた冬彦は、唐突にブルンと訪れた縦揺れに、我慢できず声をあげ、その場に座り込んだ。
まるで冬彦の心内を見透かしたかのように、チラと一瞥くれた暁は、先立って歩いていく。
涙目になりながらも、背を抜ける波が過ぎ去るのを待ち、冬彦は後を追った。
予想通り、向かう先は柔道場であった。一年生らしい部員が顔をのぞかせる。
「兄さん、いる?」
暁がみなまで言わず、酒臭い息を吐く先輩が現れ、この突然の来客二人を中へ引きずり込んだ。
通常なら退学処分ものであるが、炭酸メイン、アルコール一パーセント未満のこの飲み物は、顧問により差し入れされたものらしい。
- 635 名前:隣家の兄弟 2/8:2006/11/25(土) 12:18:41 ID:UR8AAeEP0
- 部員一同はとっくに出来上がっていた。暁はと言えば、特に兄と話すでもなく、座の端に座り、ちびちびと缶飲料をあおっている。
冬彦は壁に背をつけ、暁の背後で居心地の悪さを隠しもせず、道場を見渡していた。
早く、帰りたいのに………その気持ちだけが、冬彦を支配した。
いつリモコンが強に変えられるかも分からず、自然、冬彦の視線は強まり、暁を監視した。
それを辛気くさいと見たのだろう。部員に囲まれ中心位置にいた進夜が声をかける。
彼も例外なく赤ら顔であり、酔っ払っているのは間違いなかった。
「おお冬彦。みなの衆これが俺の頼みを断りつづけて三年。柔道部入部を拒否した山崎冬彦君だ」
腕を掴まれ引っ張り出された冬彦に、好奇の視線が集る。
赤面する冬彦は―――もちろん、視線によってではない―――声もでず、ただもじもじと俯いた。
周囲は勝手に盛り上がっている。内容はほとんど聞いていなかったが、恐ろしい言葉が飛び出た。
「主将、演舞、演舞」
おぉーと賛同の声が上がり、気付けばギャラリー一同後ずさり、技のための場所を空けていた。
冬彦と、そして進夜の二人を残して。
「えっ………」
絶句する冬彦の対面で、進夜はポリポリとごつい頬をかき、呟いた。
「まぁ初心者だしおとすトコまではしないから………床に座ってもらえると助かる」
えっ、ともう一度。瞳孔が最大に見開くまで見張った後、冬彦は助けを求めて見渡した。
「ん、ぁ………っ」
救いの手はなく、代わりに暁の無慈悲な指がリモコンを操作した。
振動が二、三度変化すると、冬彦は立っていられず、床に腰を落とした。
当然それを演舞了承の合図と見て、進夜は床に冬彦を組み敷いた体勢になった。
- 636 名前:隣家の兄弟 3/8:2006/11/25(土) 12:19:38 ID:UR8AAeEP0
- 「いーかよく見てろよ。この状態で首の後ろに腕を絡めてから襟元を掴む」
解説通りに太い腕が冬彦の首に回され、セーターの襟をつかんだ。
「っん………む、っ………」
骨太な腕は、それだけで冬彦の喉を圧迫し、衣服ごと締められ意識に白いもやがかかる。
「この時相手の背はやや浮かせた状態にする。そうすると締めの効果が現れやすい」
首に回った腕に力がこもると、冬彦の上半身は少し浮いた。気管が潰され、ますます呼吸が困難となる。
冬彦は血の気を失った唇から、苦しいと訴えたつもりだった。
が、それは声にならなかった。
次の瞬間、大きな異変が冬彦を襲った所為もある。
ブィーンと小さな音が響いた。聞こえたのは冬彦だけだろう。
だが頬を紅潮させ、一瞬息が苦しいのを忘れさせるだけの衝撃はあった。
すっぽり飲み込んでいるバイブレーター。今日使っているものは防音効果がないものだ。
スーパーでは、客の喧騒や店内で掛かっている音楽があった。
けれど、道場のカラオケは終わり、部員は静まり固唾をのんで見守っている。
………き、聞こえたらどうするんだっ! 朦朧とする意識の中に、憤然とつかみかかりたい気持ちは十分すぎるほどあった。
だが身じろぎも出来ずに固められており、進夜はさらに、絡めた腕とは逆の方を、クロス型になるように床に勢いよく突いた。
「ぁ、ぐ、ぅぅうっ」
床を強く叩く振動に、冬彦の身体は震え、最奥まで突き刺さっている性具の震えと絡み合って、得も知れぬ感覚を導き出した。
ふさがれている呼吸の苦しさと妙に交じりあい、全身にゾクゾクとする気配が走った。
- 637 名前:隣家の兄弟 3/8:2006/11/25(土) 12:20:21 ID:UR8AAeEP0
- 「こっちの腕は支えにしてもいい。他の部分で体勢を保てるならばもう一方の襟を締め上げるのもいい」
反対側の襟も強くつかまれ、くぅ、と小さく呻き声をあげ、苦痛と刺激を受け止める以外の冬彦の意識は、全て消えた。
震えている。みだらに、やかましく体内に飲み込まれたバイブレーターは振動しつづけている。そして自分の身体もさらなる刺激を求めて揺れている。
………冬彦の頭にはぼんやりと、そんな考えが浮かんでいた。
苦しみに喘いで、顔を歪めていた冬彦の表情は、次第に恍惚とし、目の色が蕩けていった。
酸素を求めて吐く泡か、それとも押し寄せる波のような快楽を耐えられないよだれであるのか、口の端は白く光っている。
振動の音が聞こえたら………そんな不安もとっくに失念し、腰を振る動作が、逃れようとするもがきに見えなくても構わない、とまでに至った。
熱っぽい吐息に交じって、喘ぎ声も漏れている。それも、もう気にならなかった。
幸いながら、解説を締める進夜の土間声が響いてそれを掻き消したが。
「相手の力が弱ったらしめたもの。こう状態を浮かせてその下に腕を入れて押さえつけると抵抗できない」
抱えられた頭部に引きずられ、少し浮きあげさせられると、進夜は空いた腕を伸ばし、冬彦の両手を背の後ろに回した。
「ヒ、ゥ………ァ、アァッ!」
冬彦は悶えた。関節をねじられる痛みにではない。意図せぬところに走った刺激のためだ。
固定されている上半身は跳ねた。胸をかすめて抜けていった太い腕に、感度が最高になっていた冬彦の乳首は押しつぶされ、力強く倒されたのだ。
絶え間ない刺激に染まり立っていたそれは、セーター越しに遠慮なくもてあそばれ、冬彦が味わった事のない快楽を突いていた。
- 638 名前:隣家の兄弟 5/8:2006/11/25(土) 12:21:17 ID:UR8AAeEP0
- 口の端からゴポゴポとこぼし、顎までたれてしとどに濡らしてしまっている。
吐く息は荒く、熱気がこもり、顔全体に湿り気を落としていた。
そして既に勃ち上がりかけているペニスも、衣服に染みを作る寸前まで、先ばしりの汁があふれていた。
誰も気付かない。白い意識一色に浸食されている冬彦自身も。
「んでここで相手の体躯を四十五度。床に向かって倒すようにすれば完………」
「さっすが、志水スペシャ………」
演舞の完了を、冬彦は最後まで聞けなかった。
快楽と窒息の限界まで味わった脳は、もう刺激は結構とばかりにあっさり意識を手放したからだ。
冬彦が気付いたのは、進夜の背中だった。
ゆっさゆっさと揺れる広い背中に、おんぶされているのだ。
周囲の景色から、自宅の近くだと分かる。
慌てて下りようとする冬彦に、進夜は首だけ振り返って言った。
「悪かったなぁ………冬彦。俺が悪い。全面的に悪い。
酔っていたなんて責任のなすりつけだ。俺が全部悪かった。すまんなぁ………」
ただひたすらにしょぼくれた様子で、謝罪の言葉だけを口にする進夜。
酔いは冷めているようだった。
- 639 名前:隣家の兄弟 6/8:2006/11/25(土) 12:23:19 ID:UR8AAeEP0
- 下腹部の異物感は消えていた。進夜の見えない位置で、暁が、首を横に振る。
多分、介抱時に「秘密」はばれていない、と言いたいのだろう。今さらな感があった。
とっくに進夜を許していた冬彦は、間もなくそれを打ち明け、相談するつもりでいるのだから。
男三人の食事が終ったのは、七時を回った頃だった。
暁は土曜のこの時間、民放の某講座の視聴のため和室に閉じこもる。
CMの時にふらりと台所に立ち寄るが、それも好物のココアを先に差し入れすれば、十分防げた。
流しでもたもたと洗い仕事をする進夜に………相談を持ちかけるのはその時しかない。
冬彦は手早くお湯を沸かし、ポットとココアの缶を盆に乗せ、和室に入った。
説明図が映し出される画面から、めずらしく暁は視線を外す。
唇を固く結び、冬彦は乱暴に盆を置き、顔を見ないようにすぐ立つ。
もっぱら「お前の悪事もここまでだ」と小気味よく沸く嬉しさを、隠すためであったが。
「ずいぶん、長い、お付き合い、ですね。冬彦君、とは」
襖にかかった冬彦の手が、その言葉にピクリと止まった。怒りのためだ。
何を言っているのか、この期に及んで。幼少時の記憶を思い出させて、人情に訴える?
馬鹿馬鹿しい。回想しても抱くのは、憎しみだけだ―――冬彦は薄く笑って目を閉じる。
「本当に長かった。新興住宅地で同じ頃引っ越してきて、はや十六年。長かった」
独り言のように呟き、答えを待たずに廊下に出た冬彦は、ピシャリと襖を閉じた。
「十六年。それだけ、傍にいて。気付かなかった、ですか。冬彦君………」
コタツに入って襖の向うに呼びかける暁は、肩を竦め、やがて画面に顔を戻した。
- 640 名前:隣家の兄弟 7/8:2006/11/25(土) 12:24:28 ID:UR8AAeEP0
- 真実を打ち明けると、進夜は強張った顔のまま、食器を落とした。
不器用な彼は、すでに数枚の皿を割ってはいたが。
エプロンを投げ捨て、真剣な表情で、顎に手をあて考え込む。
返してもらった写真を、証拠として出すまでもなく、冬彦の弁を信じているようだった。
深い兄弟の溝を、それは長い間考え、悲痛な面持ちで、進夜はしぼり出す。
「もっと詳しい話を聞きたい。俺の家に行こう」
血縁よりも自分の言葉を重く見てもらえた嬉しさに、躍り上がらん勢いで、思わずよろける冬彦を、進夜は頑丈な腕で受け止め、そのまま肩を抱くようにして、そっと山咲家を辞す。
寒寒とした志水家に、進夜は明かりを灯しながら上がっていく。
冬彦は逞しい腕の中でその行動を見守りつづけたが………ふと眉をひそめる。
「進夜の部屋って、二階じゃなかった?」
「重要な話をする。なのに鍵のかからない自室という訳にもいかないだろ」
奥まった廊下の先に、書斎だろうか。分厚い樫の木の扉があった。
隣人とは言え、冬彦が一度も立ち入った事のない場所だった。少しだけ怯む。
「どうした」
「うん、重々しい、入りにくい職員室の扉みたいだなぁ、って」
「そうか。そういうお前の顔を見るために連れてきたようなものだからな」
背の高い進夜の顔ははるか頭上にあり、え、と問い、冬彦が覗き込むその前に、進夜は背中を突き飛ばしていた。
ものすごい力につんのめりながら、冬彦は部屋に足を踏み入れる。
サァ、と顔から血の気が引く音と同時に、氷が背中に詰められたかのようだった。
戻
前
次