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 久しぶりに飲みに来たのに、なんだか妙に退屈だった。
 かといって回りを見まわしても……俺好みのイイ女はいないし、相手にしたいほどの男もいない。
 酒は美味いが、どうもイマイチ盛りあがりに欠ける。
 このままいても仕方がないので、俺は早々に退散することにした。
「なんだよ……もう行くのか?」
 顔見知りの男が、出口に向かいかけた俺に声をかけてくる。
「ああ、今日は家に帰るわ」
 言ってから、何かが俺の中に引っかかった。
「そうか……またな」
「んじゃ」
 それがなんだかわからないまま、愛想よく手を振って俺は店を出た。
 道すがら……何が引っかかったのか考えていた。
 テメェの言葉に感じた、奇妙な違和感。
「……あっ」
 ようやく、ソレが何かわかった。
 何気なく口にだした……「家に帰る」という言葉。
 そんな言葉を、今まで言ったことがあっただろうか?
 帰る家など……あっただろうか?
 ブレイドの元にいくまでは、確かに住処を持っていた。
 けれどそこはあまくでネグラでしかなく……家と呼べるものじゃなかった。
 言葉も「戻る」や「寝にいく」がせいぜいだった気がする。
 そして今俺が住んでいるのは、ブレイドのもとのだだっ広い倉庫。
 今の俺には……あそこが帰る家だとでも言うのか?
「……バカらしい」
 俺に与えられているのは、前のネグラとそう変わらない汚い倉庫の一室。
 広さはまあまあだが、日当たりは悪いし、古くせェしでそれほどイイもんじゃない。
 なのに何故……「家に帰る」なんて言葉を言っていたのだろう。
 無意識なだけに厄介だ。
 なによりも……俺は「家」と呼べるものなど持ったことがないのに。
 今まで、ずっと。
「……バカらしい」
 こんなことが気になるのは、きっと酔っているせいだ。
 今日はもう寝ちまおう。
 倉庫のドアをあけ、まっすぐに俺の部屋を目指した。
 俺の気配を感じたのか、作業台でなにごとかしていたブレイドとウィスラーが振りかえる。
「今日は早いんだな、スカッド」
「おかえり、坊主」
 一瞬、言葉に詰まった。
 それを気取られぬよう……俺は曖昧な笑みを浮かべた。
「玉にはね……俺、もう寝るわ」
 それだけ言うと、俺は逃げるように自分の部屋へと戻った。
 爺さんは……何気なく言ったのかもしれない。
 ただ、口をついて出ただけかもしれない。
 けれど「おかえり」と言う言葉が妙にくすぐったくて……泣きたくなった。
 

ほのぼの目指してたら、すっげぇ短い
スカッド祭り第1弾、かなぁ?

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