Night of Halloween




 街全体が浮かれていた。
 今日はハロウィンだから、無理も無いことなのかもしれない。
 こんな盛り場にも、モンスターの格好をした子供達がうろついている。
 手に手に戦利品であるお菓子の袋を握り締めながら。
 だが、はしゃいでいるのは子供達だけじゃない。
 大人達も同じ位浮かれている。
 何かにつけて騒ぎたがるお祭り好きが多いのだろう。
 まっ……俺もそんなひとりなのだから、余り偉そうなことは言えない。
 つい先ほどまで、ハロウィンにかこつけたパーティーに出ていたところだ。
 飲んで、騒いで、躍って……文字通り遊び倒してきた。
 なのに何で今はこんなところにいるかと言うと、酔い冷ましとハッパの為だ。
 トバしすぎて、ハッパを吸い尽くしてしまったのだ。
 だからパーティーを抜け出して、仕入れに外にでたというわけだ。
 いつもの場所で馴染みの売人に声をかけ、ちょっと多めにハッパを買い込んだ。
 そのまま景気付けに路地裏へと入りこみ、さっそく一服を決める。
 馴染みのある、高揚感。
 やっぱ、いい。
 ふと、人の気配を感じて思わず振りかえった。
 アタリを見まわすが、人の姿はどこにも見えない。
 気のせいか……そう思った次の瞬間、後ろから羽交い締めにされて口を封じられていた。
「―――!」
 反射的にもがいたが、物凄い力で身動きがとれない。
「Trick or Treat?」
 微かな笑い声と共に、耳元で囁かれた言葉。
 その声にはどこか聞き覚えがあった。
 まさか……あいつのわけがない。
 きっと、良くある他人の空似。
 けれど。
「さぁ、どっちを選ぶんだ? ジョシュ」
 緩められた拘束。
 ようやく振りかえったそこに見たのは、いるはずのない存在。
「……フロスト?」
 夜目にもかる、青ざめた肌。
 艶のある黒い髪。
 いたずらっぽく輝く、ブルーアイ。
 そして……歪んだ笑み。
 思わず手を伸ばして、その体に触れていた。
 幻とは思えない、しっかりとした感触。
 次の瞬間には、その手を取られて指先にキスをされていた。
 どこか慣れた……キザな仕草。
「あんた……死んだはずだろ?」
「……ああ」
 指先に触れる冷たい唇。
 吸血鬼特有の、懐かしい感触。
「なら、なんでココにいるんだよ?」
「今日が、ハロウィーンだからさ」
 掴まれていた手を引かれ、その腕のなかへと引きこまれる。
 重なってくる、唇。
「ん……」
 ついばむように触れたかと思うと、冷たい舌が唇をなぞり上げてくる。
 反射的に開いた唇から、それはすぐさま侵入を果たした。
 歯、歯茎、上あご、そして舌にねっとりと絡みついてくる、冷たい舌。
「ふ…ぅ……」
 しつこいほど、濃厚なキス。
 砕けそうになる腰を、見かけによりも逞しい手に支えられる。
 頭がだんだんボーとしてくる。
 体が勝手に反応して、熱を帯びていく。
 ようやく解き放たれた時には、失神寸前まで追い詰められていた。
「マジ……フロストだ」
 これでわかるあたり何だけど……俺はこいつにキスの手ほどきをされたようなものだ。
 そしてコイツ以上にキスが上手い奴とは、いまだにお目にかかったことがない。
「ハロウィーンだから、特別なんだよ」
「……クロウ?」
「そう……ブランドン・リーさ」
 ふざけた言葉に、思わず笑っていた。
 やっぱこいつはマジにフロストだ。
 再び触れてきた唇を、素直に受け入れた。
 さっきよりも、もっと濃いキス。
 体を這いまわる、冷たい手。
 それなのに、触れた場所から体中へと広がっていく熱。
「時間あるか?」
「……あるよ」
「なら、ゆっくり楽しもうぜ?」
 モチロン、俺は断らなかった。
 断る理由など、どこにもなかった。




「どうした、コレ」
 場末のモーテルのベッドの上、フロストは怪訝そうに俺の腹を見つめている。
 そこに走るのは、無数の傷跡。
「吸血鬼にヤラれたんだよ」
「……俺のモノに」
「アンタが死んだんだろ? 死んだら掟なんざ、関係なくなる」
 マスターを失うことは、その庇護を失うこと。
 そうなってしまえば、誰が手を出してもとがめられはしない。
「今は、あいつの所にいるんだろ?」
 それが誰を指しているかは、聞かなくてもわかった。
「死んでたわりには情報通だな……そうだよ、そんときに会ったんだ」
「で……どうだ?」
「悪くないよ……アッチもタフだし」
 傷跡の滑らかな皮膚を舌でなぞられ、その感触に思わず震えてしまう。
「おまえは変わらないな」
「そう簡単には変われないさ」
 柔らかな黒髪を掴んで、さらにその先をねだる。
 もったいぶることなく、下へ下へと降りていく唇。
 燻っていた熱が、体中に一気に広がる。
 冷たい舌がコックにたどりついたときには、すでに俺のコックは先走りの液を淫らに流していた。
「感度いいな、相変わらず」
「たっぷり……可愛がられ、てるからな」
 息があがって言葉が途切れがちになってしまう。
 それを楽しむかのように、フロストは俺のコックをその口に咥えこんだ。
「は…ぁっ!」
 熱を持ったコックに絡みつく、冷たい舌。
 先端を……張り出したカリ首をなぞられるたびに、体が勝手に震え出す。
 俺の熱を奪っても、けっして温まることの無いその舌。
 その冷たさが、さらに俺の熱を煽りたてる。
 それなのに、舌は軽くなぞるだけで決定的な刺激を与えようとはしてくれない。
 もどかしさにその髪を抗議するようにかき乱すと、俺のコックを含んだままフロストは笑い声を漏らした。
 その僅かな振動すら刺激になり、たまらなくなる。
「焦ら、すな……よ。久しぶ…りなのに」
 すぼめられた唇が、今までとは打って変わってキツク俺のコックを扱き上げる。
 背筋を貫く快楽に俺は体をのけぞらせて歓喜を示す。
「い……イイ、もっと……」
 ちゅぷちゅぷという濡れた淫らな音。
 そのたびに体を突き抜ける悦楽。
 時折コックに立てられる牙が、痛みとその何倍もの快楽を生み出していく。
「あ…んん……マ、スター」
 懐かしい名前。
 まるでそれに誘われたかのように、尿道をえぐるように打ちこまれた牙。
「ひ……ああ!」
 痛みにも近い凄まじい快楽に、たまらず達していた。
 牙を押し上げるように溢れ出すザーメン。
 それを一滴残らず舐め取る舌の感触に、体が勝手に痙攣する。
 達したのにも関わらずとめどなく続く快楽に、俺はただ素直に溺れた。
 その快楽を甘受した。
 いきなり体をひっくり返されて、フロストをまたぐように四つんばいにさせられた。
 その目の前に快楽を引きずってヒクつくアナルを晒し、俺の目の前にはフロストのコックがそそりたつという所謂69の体勢だったが、そんなことまで気にしちゃいられない。
 いまの俺は余韻というには激しすぎる快楽のなごりに、手が崩れないようにと体を支えるので必死だったからだ。
「……ジョシュ」
 静かな声。
 俺はその声に逆らいもせず、フロストのコックを咥えこんだ。
 先端に舌を絡め、張り出したところを唇で愛撫する。
 決して歯を立てぬよう唇をすぼめて、一気に根元まで飲みこんでやる。
 俺の口の中でコックが張り詰めていくのは、何度やっても気分がイイ。
 それだけ俺のテクに感じてるってことだ。
 時たま喉の奥を突かれて苦しいが、かまわずディープスロートを繰り返してやる。
 お返しとばかりに尿道に舌を突きたてると、口の中でコックがビクンと震えた。
 コイツのコックを懐かしいと思うのは、俺がイカれているからなのだろうか。
 だが俺にとってはもっとも馴染んだモノのひとつであることには変わりない。
 俺自身、自ら望んだ……。
 アナルにあてがわれた冷たい感触と、それを助けに容赦無く押し入ってくる指。
「ふ、んんぅ」
「止めるなよ」
 笑みを含んだ声。
 慣らすように、ゆっくりと出し入れされる指。
 意地になってブロウジョブを続けてはみたものの、指が1本さらにもう1本と増えるたびにどうしてもそちらに気を取られてしまう。
 ローションの滑りを借りてはいるものの、俺のアナルが貪欲にその指をすべて飲みこんでいるのがわかる。
 内壁を刺激されて反射的に締め上げてしまい、さらにその指の感触を生々しく感じとってしまった。
 たとえ言葉にならなくても、声が漏れてしまうのを止められない。
 侵入を果たした指は縦横無尽に俺の中を暴れまわる。
 更に冷たい舌に入口のあたりをくすぐられるように愛撫されたら……もう我慢できなかった。
 俺はコックを吐き出して体をおこし、フロストに荒々しくキスをした。
 僅かに漏れてたテメェの味を感じてフロストが表情をしかめたが、そんなのにはかまってなどいられない。
 思うがまま、貪るように口づける。
「早く、くれよ」
 手でフロストのコックを握ってやると、フロストはニヤリと笑った。
「こらえ性が無い上に、やらしい奴だ」
「あんたが、そうした」
「……そういや、そうだな」
 そのまま仰向けに押し倒され、両足を胸につくぐらいに抱え上げられる。
 何のためらいも無くコックをぶちこまれ、俺はその衝撃に体をのたうたせた。
 思わず上げた声はすぐ後から追いかけてきた快楽に飲みこまれ、甘い嬌声へと変化する。
 しょっぱなから飛ばしまくった激しい抜き差しに、快楽が倍増する。
 俺はためらうことなく、声を上げ続けた。
 そう……隠す必要なんて無い。
 こいつには何もかも知られているのだ。
 いまさら隠したところで何になるというのだろう。
 体と体がぶつかっては小気味良い音をたてる。
 なのに繋がった場所から漏れるのは濡れた淫らな音。
 抱え上げた足を撫でられるたびに、ゾクゾクとした悦びが走る。
 首筋にあてられた、牙の感触。
 その冷たさに、快楽でぼやけた思考が引き戻される。
「い、いぜ?」
 その頭を引き寄せ、首筋に押しつけた。
「……ジョシュ」
「あんた…昔か、ら新鮮なヤツ…しか、飲まなか…ったよな?」
 血液銀行のパックじゃ味気ないと、散々文句を言ってたよな。
「飲め…んぅ、死人なら……ひ、さしぶりだろ?」
 離れていく気配に、ほんの少し落胆する。
 血が見たかった。
 たとえそれが自分の血でも構わなかった。
「あ――っ」
 首に走る、微かな痛み。
 そこから広がっていく生暖かい感触。
 フロストの鋭い爪が、俺の首の皮一枚を切り裂いたのだ。
「ふ……ぁ」
 痛みが快楽をさらにま呼び起こす。
 血を舐めとる舌の柔らかな感触が、さらにそれに拍車をかける。
「―――っ!!」
 情けないことに、俺はイッちまっていた。
 放出の飛びぬけた悦楽に、俺はフロストの頭を抱えながら体を震わせた。
 その唇を俺の血で鮮やかに染めながら、フロストが笑う。
 そして俺にキスをした。
「……んんっ」
 口に広がる、自らの血の味。
 鉄錆のような味なのに……なぜか俺を興奮させた。
 達したばかりなのにもかかわらず、コックに再び熱が集まってくる。
「もっと……もっと、だ」
「望むだけ、いくらでも」
 フロストの言葉に答えるように、俺のコックがビクンと跳ねる。
 萎えることなどしらないように、先端から淫らな蜜を垂らしつづける。
 そう……俺にとっちゃ、フロストが麻薬。
 こいつの存在自体が、麻薬。
 望めば望むだけ与えられる悦楽に、俺はただ溺れた。



 目が覚めたら、俺ひとりだった。
 ベッドは乱れてはいるものの、空っぽ。
 部屋には俺以外の気配はまったくナシ。
 夢かと思った。
 クスリかなんかでトんじまって、幻覚でもみたのかと。
 だが……体はアレの後特有のけだるさで一杯だ。
 誰かとファックしたのは間違いない。
 けれど、相手は本当にフロストだったのだろうか。
 フロストは死んだ。
 旦那に滅ぼされた。
 あの旦那がフロストを見逃すとは思えない。
 なら……やっぱ、夢か?
 考えるのも面倒になって、シャワーでも浴びようかとバスルームに向かった。
 何気なく写した鏡に、目が吸い寄せられる。
 首筋に残る、痕。
 昨夜の証。
 それじゃあ、夢じゃなかった?
 あれは現実?
 フロストが映画みたいに生きかえった?
 それとも……死んでいなかったのか?
 ますます頭が混乱してきた。
 スッキリさせようとシャワーを浴びたが、なかなかそうもいかない。
 だから……考えるのを止めた。
 本当に死んだかどうかなんて、どうでもいい。
 死んでたとしても、死んでなかったとしても……アイツはアイツ、俺は俺。
 それは昔から変わらない。
 そう、今も。
「ま……旦那にゃ、黙っとくのが一番かもしんないけどね」
旦那の性格だと……アイツの名前を出しただけで、あの世まで追いつめかねないからなぁ。
「さて、帰るか」
 俺は放り出されていた服に手を伸ばした。

なんでクリスマスも近いのに、今ごろハロウィンネタなんだろう?
すいません……忘れてたんです(死)
それに時期ズレとはわかってたけど、書きたかったんだよフロストネタ
でも……あんまりフロストっぽくなくなっちゃった
次こそは、クリスマスネタを!!

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル