W VS S and B
「てめぇ…人のモノ勝手に弄りがったなぁ!」
怒り心頭といわんばかりにスカッドが怒鳴りつける。
「おまえが出来ないことをやっただけだ。礼を言われるならまだしも、なぜ責められなきゃならん」
だがウィスラーはそんなスカッドを、腕を組んで冷ややかに見つめていた。
「ふざけんな! 人のオリジナルに勝手に手ぇ出しやがって!」
「自分の腕の未熟さを棚に上げて、何言っている」
「やってイーことと悪いことが、その歳になってもわからねぇのかよ!」
「黙れクソガキ!」
「うるせー、クソ親爺!」
今にも殴りかからんばかりのスカッドに、呆れはてたといわんばかりのウィスラー。
正に一触即発の危機に割ってはいったのは、ブレイドだった。
「何を騒いでるんだ、二人とも」
ウィスラーが口を開くよりも早く、スカッドはブレイドに駆けよりその逞しい体に縋りついた。
「旦那~、聞いてくれよ!この親爺ったら、ヒデェんだぜ」
スカッドの甘えを含んだ声と、媚びるような上目遣いの瞳。それに一瞬クラっときたブレイドだったが、すぐ傍でウィスラーが睨んでいるのに気がつき慌てて顔を引き締めた。
「どうした?」
「爺さんったら…俺が作ってたオリジナルを、勝手に改造しちまったんだぜ!」
作り手というものには、それぞれのこだわりがある。特にオリジナルの武器をつくるレベルなら、尚更だ。
それを勝手に弄られたら…それは作り手にとって侮辱でしかない。
ウィスラーも同じ作り手ならば、そのスカッドのこだわりがわかっているはずだ。
「ウィスラー?」
「わしはこいつが途中で投げ出したのを、最後まで作り上げただけだ。何故、文句を言われなきゃならん」
「投げ出してなんかねぇよ!」
「ずっと手をつけていなかったのにか?」
「新しいアイデアが浮かんだから、そっちを先にやってただけじゃねぇか!それが終ったらやろうと思ってたんだよ!」
「ふん…口だけなら、いくらでも言えるな」
「何だと!」
今にもウィスラーに飛びかからんばかりのスカッドを、ブレイドは逞しい腕で押さえつけた。
「落ちつけ」
「だけど…!」
スカッドは気を取り直したように、再びブレイドに抱きついた。
「俺が爺さんのアドバイスを聞かなかったから…嫌がらせに決まってる!なあ…旦那もそう思うだろ?」
縋りつくような瞳に、再びブレイドの顔が緩みそうになる。
だが突き刺すようなウィスラーの視線の前に、ブレイドは無理やり顔を引き締め続けた。
「おまえが未熟なだけだ」
「なんだよ!」
再びヒートUPしそうな気配に、ブレイドは思わずため息をついた。
ウィスラーが戻ってきてからと言うもの…二人は何かというと衝突を繰り返していた。
はじめは武器作りのこだわりからかと思っていたが、どうやらただ短に互いに互いが気に入らないだけらしい。
このところ二人のケンカは更に激しさを増し、いつもそれに挟まれて苦労するのは他ならぬブレイドだった。
それがこのところブレイドの頭痛の種になっていることに、二人は気がついていない。
「二人とも…いい加減にしたらどうだ?」
思わずかけたブレイドの声に、二人は同じに振りかえった。
「なんだよ…爺さんが悪いんじゃないか!」
「このクソガキが自分のレベルをわきまえていないからだろうが!」
余りの二人の剣幕に、ブレイドは思わず後ずさった。
ブレイドを見る二人の目は…いったいどっちの味方をするのかと問い詰めている。
「むぅ…」
スカッドの目は、爺さんの味方をするなら…当分はなにもさせてやらないと言っていた。
ウィスラーの目は、長い付き合いのわしを裏切るつもりなのかと言っていた。
ブレイド…まさに絶体絶命の危機。
「そろそろ…狩りの時間だ。行かなくては…」
ブレイドはくるりと背を向けると、素早い足取りで歩き出した。
そう…ブレイドは逃げたのだ。
「旦那!」
「ブレイド!!」
この時ばかりは…声を揃って自分を呼ぶ声に、ブレイドは聞こえないフリをして慌てて倉庫を後にした。
あの二人のいざこざにまきこまれるくらいならば…吸血鬼をハントしているほうが何倍もマシである。
それはブレイドの正直な気持ちだった。
「ああ…まったく」
二人の決着が一日も早くつくことを、ブレイドは祈らずにはいられない。
だがもし決着がついたとしても…片方が納得せずにモメることはあまりにも明白である。
どうやらブレイドの苦労は、当分続きそうだ。
プレイドはその唇から再びため息を漏らすと…夜の闇へと歩きだした。
終
修羅場現実逃避作品、第1号(って続くのか?)
でも、もしスカッドが生きていたら…絶対こうなると思いません?
いうなれば…嫁舅大戦争(笑)
なんか、この設定、癖になりそうです(笑)
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