夢幻伝説タカマガハラもの
『高天原(ユメ)のつづき』

ある日の音楽の時間
歌のテスト
音楽の先生 :次、和泉那智君
那智  :はい
那智、歌のテスト中
颯太はじっと見ている
那智の姿に高天原の那智の姿を重ねながら
那智のテスト終了
那智  :颯太、何ぼーっとしてるんだ?
颯太は顔を真っ赤にして
颯太  :な、なんでもないよ、それよりよくあんな高い声出るな
那智  :最近、高い声が出やすくなったんだ
   声変わりかなぁ
颯太  :男が声変わりで声が高くなる分けないだろ
那智  :そうだっけ?
颯太はあきれ顔

その日の昼休み
隆臣のところに颯太がたつ
颯太  :隆臣、相談があるんだけど ちょっとつき合ってくれないか
隆臣  :ああ

人気のない廊下
隆臣  :相談したいことって何だ?
颯太  :もし、中ツ国(こっち)の結姫が男だったらどうする
隆臣  :何言ってんだ颯太……颯太、まさか那智のこと………
颯太  :そう、俺は那智が好きだ でも、どうすればいいのかわからないんだ
しばしの沈黙
隆臣  :すまない…俺には何もいえない
颯太  :いいんだ、わかってる 答えを求めていたって言うよりは
   聞いてくれる相手が欲しかったんだ ありがとう
隆臣  :……

ある日の体育の授業中
颯太が那智を見ながら何か考えている様子
それに那智が気づく
那智  :なに見てんだよ
颯太  :いや、おまえさぁ…胸にパッドでも入れてるのか?
那智  :はぁ? そんなことするわけねーだろ
颯太  :じゃあ、なんで胸あるんだ?
那智  :そういえば1ヶ月前から出てきたような
颯太  :もしかしておまえ、太ったのか?
那智  :2キロやせた
颯太  :うーん…声といい体といい女みたいだな
那智  :ほんとに女だったらいいのになぁ
颯太  :隆臣のことまだ諦めてないのか?
那智  :隆臣じゃねーよ

那智帰宅
那智の家にて
夕食時(那智の両親と3人)
那智 :オレ、最近胸が出てきたみたいなんだけど…病気かなぁ
両親、顔を見合わせ気まずい表情
ママ  :…あなた
パパ  :…うん
那智  :?
パパ  :那智、パパの話を落ち着いて聞いて欲しい
那智  :どうしたの、そんな暗い顔して
パパ  :実は、那智は女の子なんだ
那智  :!?
那智こける
那智  :な、なに言い出すんだよ!
ママ  :和泉家の言い伝えで『女の子が産まれたら
   養子に出さなければ災いが起こる』というのがあるの
   亡くなったお祖父様は言い伝えを信じてたから
   那智が女の子だって知ったらきっと養子に出すだろうと思って
   それで、男の子として育てることにしたの
パパ  :いつかこの日がくるとは思っていたが…こんなに早く
ママ  :那智、本当にごめんなさいね。
   でも、あなたをどうしても手放したくなかったの
   あなたにもし好きな女の子がいたならとてもつらいかもしれないけれど…
颯太の事を想像した那智
那智  :パパ、ママ、本当にオレ女の子なんでしょ!
那智の表情は明るい
パパ  :那智、辛かったら転校しても…
那智  :だいじょうぶ! それより早く制服買って、それと、戸籍も女に
ママ  :本当に大丈夫なの?
那智  :平気、平気、っていうより嬉しい
   小学校でも隆臣が好きだったし、今は…
ママ  :え?
那智  :前から思ってたんだ、女の子だったらいいのになって
ママ  :そう、じゃあ早速明日制服を買いに行きましょう

数日後
セーラー服で登校する那智
隆臣  :那智、そのかっこ
那智  :これ? やっと出来たから着てきたんだけど…似合う?
結姫  :すごく似合ってるよ
隆臣  :そうじゃなくてだな
颯太  :おまえ、まさか
那智  :オレ、女の子だったんだって
泰造  :冗談だろ
那智  :じつは…
那智が事情を説明する
圭麻  :なんか凄い事情があったんですね
那智  :でも、もう少し早くわかってたらなぁ
   絶対隆臣をものにしてたのに…
結姫  :!!
圭麻  :今からでも遅くないと思いますけど
結姫  :圭麻!
那智  :それもそうかな、今からでも…
結姫&颯太 :那智まで!
颯太  :なにをかんがえてるだ!
結姫  :ぜーったいダメだからね!!
ちょっと泣きそうな結姫
隆臣  :心配するな結姫、俺は結姫を手放したりはしないから
結姫  :ほんとに?
隆臣  :ああ…
泰造  :完全に二人の世界だな 圭麻、その趣味やめろよ いい加減
圭麻  :でも、颯太までムキになることはないんじゃないですか?
泰造  :そういえばそうだな
颯太  :と、当然だろ 結姫と隆臣のこと思ったら…
颯太は真っ赤になる(少し焦り気味)
キーンコーンカーンコーン
圭麻  :授業も始まりますし、そういうことにしておきますか
圭麻笑顔
颯太の脇を通ったときに隆臣が一言
隆臣  :颯太、言いたいことは言った方がいいぞ
颯太  :……ああ

昼休み
(颯太と那智の席は隣同士とする)
颯太&那智 :あのさぁ
タイミングが合ってしまった
那智  :なんだよ、颯太
颯太  :那智こそ
颯太&那智 :………
そこに圭麻が登場
圭麻  :ジャンケンで決めたらどうです
那智  :そうするか
颯太  :…って、いつからいたんだ圭麻
圭麻  :内緒です それよりいきますよ じゃ〜んけ〜ん ぽん!
颯太も那智もいきなり言われたわりにはちゃんとジャンケンしている
颯太はグーを那智はチョキを出す
圭麻  :それでは、颯太から
颯太  :じゃあ、…那智、話があるんだ屋上まで来て欲しい
那智は驚きの表情で
那智  :颯太もなのか…
颯太  :えっ
那智  :オレが言いたかったのも颯太と一緒だよ
颯太  :そうか、じゃあ
那智  :いこうぜ、屋上に
教室を出ていく二人、嫌な予感がし振り向く
圭麻  :行ってらっしゃいお二人さん、ごゆっくり
颯太&那智 :そんなんじゃねーよ

屋上
那智  :話って?
颯太  :さっきは俺が先だったんだから、那智から言えよ
那智  :そうだな
那智は深呼吸をする
那智  :……颯太が好きだ 隆臣のことが好きなのとは違う好き
   よくわかんないけど 颯太と一緒にいたいと思う
   ………だから、恋人としてつきあってほしいんだ…
颯太  :…………那智
颯太は驚いた顔で沈黙
那智  :…オレじゃ、嫌なのか 言葉遣いが嫌なら直すよ
   髪型だって颯太が好きな髪型にする…だから
那智は泣き出す
颯太  :那智、落ち着け…別に嫌だなんて言ってないじゃないか
   ちょっと驚いたんだ、用件まで一緒だったから
那智  :え?
颯太  :那智が好きだ 俺とつきあって欲しい
   って言おうと思っていた
那智  :それじゃ…
颯太  :気持ちは一緒だよ
キスシーン
那智  :そろそろ教室に戻ろう
颯太  :顔洗ってかないと泣いたのバレるぞ
二人、手をつないで屋上の入り口の方へ歩いていく

そのころ屋上の入り口の中
隆臣  :うまくいったみたいだな
泰造  :やばい、こっちくるぞ
圭麻  :一部始終を見てたなんて知ったら起こるでしょうね
結姫  :早く教室に戻らないと きゃあ!
結姫は置いてあった清掃用具につまずく
ガラガラガラ…ガッシャーン
泰造  :うわー、いてー
倒れた清掃用具が他の3人を襲う

屋上
那智  :何だ今の音?
颯太  :…まさか!
颯太が入り口の戸を開ける
そこには散乱した清掃用具と結姫たち4人の姿があった
颯太  :なにやってんだおまえら(ひくつきマーク)
泰造  :あ、いや〜、ちょっと掃除でもしようかと思って
   清掃用具を取りに来たら結姫がつまずいて…
結姫  :そうそう、あたしがつまづいちゃったの
   決して、圭麻に誘われてみんなで一部始終を見ていた訳じゃないから
隆臣  :…バ〜カ、そのまま言うか普通
颯太&那智 :け〜い〜ま〜!!
圭麻  :まあまあ、結局両思いだったんでしょ
   手までつないで、よかったじゃないですか
颯太&那智 :それとこれとは話が別だろうが!
圭麻は逃げ出した
颯太&那智 :まてー!
颯太&那智は圭麻を追う
泰造  :あいつら適当なとこで止めないと大変なことになりそうだな
   隆臣いくぞ!
泰造は3人を追う
隆臣  :わかった
隆臣が行こうとすると結姫が隆臣の服をつかんだ
隆臣  :どうした結姫
結姫は顔を赤らめて
結姫  :なんか、颯太たち見てたらキスしたくなっちゃった
隆臣  :じゃ、あいつらはほっといてキスするか
結姫  :うん
キスシーン

END


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