誕生日プレゼント
3月31日、10:00AM。
「りょ〜お!起きなさいっ!!まぁた朝まで飲んでたなぁ!!」
勢い良く撩の部屋に入ると、予想通り撩はまだ起きる気配がない。
まったく何考えてんのよ!今日は私の誕生日だっていうのに!!
べ、べつに約束とかしてるわけじゃないけど、なんとなくいつもと違う撩でいて欲しいって思うのはわがままなのかな?そう自問自答していると、ようやく撩が起きだした。
「ふぁ〜っと。なんだよ香ぃ。どうせ依頼もないし、もう少し寝かせてくれよなぁ」
撩は頭をぼりぼり掻きながら言った。
え〜、え〜どーせアンタはそんな奴よね。
ちょっとでも期待した私がバカだったわ。。。
「もう。わかったわよ!好きなだけ寝れば!?」
踵を返して部屋を出ようとすると、突然腕を引っ張られてのけ反ってしまった。
「な、なにすんのよっ!!」
思わずハンマーを片手に持とうとすると、指に何か感触が。
「??」
見ると、左手の薬指に光るモノが。
「。。。これ」
「あー、なんだ。その。今日、お前の誕生日だろ?もうそろそろお前も歳だしぃ〜。こんなんもいいかな、と思って、さ」
「撩。。。」
なんだか視界がぼやけてきた。泣きたくないけど涙が止まらない。
「ありがとう。。。」
見上げると撩は困ったようにきょろきょろしてる。
くすり、と笑って思わず撩にもたれかかると優しく抱きとめてくれた。
「香。。。」
そっとあごをつままれて見上げるといつになく真剣な撩の顔。
ずっと愛してきた人の目。
そっと目を閉じるとやさしく唇が降りてきた。
初めての撩とのキス。
ずっとずっと好きだった。
「いいか?」
そう耳元でささやかれる。
私はこれが現実なのか夢なのか分からなくなってきた。
本当に?撩が私を求めてる。
ゆっくりうなずくと、撩は私をやさしくベッドまで導いた。
今、一番愛しい者を腕に抱いている。
今まで彼女の幸せだけを思い、危険な世界に巻き込みたくない気持ちが自分の感情を抑えてきた。だが、
彼女はそんな自分を愛してくれた。
これまで闇に覆われてきた自分の心を、明るさで照らしてくれた。そして癒してくれた。
もう手放せない、本気でそう思った。
「香。。。」
もう一度つぶやくと腕の中の彼女はまっすぐに俺の目を見上げてきた。
キレイな瞳だ。
こんな俺と一緒にいてどうしてこんな澄んだ瞳でいられるのだろう?
こんな瞳を持つ彼女がどうしてこんな俺を愛してくれるのだろう?
愛しさが溢れそうになる。
大切に、壊さないようにそっと彼女の唇をふさぐ。
「んっ。。。」
甘く響く声が頭の芯を揺さぶる。
やさしく上唇を噛みながらそっと衣服を脱がされる。
「りょ。。お。。。」
服の上からでも撩の手の熱が伝わってくる。
こわいくらいに。
いつのまにか上半身が露になる。
恥ずかしい。。。
思わず見られないように体を捻ろうとする。
それを撩がやんわりと押し戻し、撩の手が優しく胸を包む。
「あっ。」
思わず声を荒げてしまい、それにまた恥ずかしくなる。
それでも撩の手は止まらない。
ゆっくりとやさしく乳房を動かす。まるでそこに存在することを確かめるかのように。
「あぁ。。。」
熱い撩の手に揉まれ、気持ちのよさに溺れてしまう。
乳房をそっと食むと、彼女は軽く震えさらに甘い声を発した。
「香。。。」
名前を呼ぶと、蕩けるような眼差しで自分を見つめる彼女。
思わずまた口付ける。
「ンン。。。」
舌を入れ、彼女の舌と絡ませる。
初めはとまどっていた彼女の舌もいつのまにか滑らかに絡む。
「は、あっ。。。」
口付けたまま、手を胸から腹部、そして秘部へとはわせていく。
彼女の肌は吸い付くように滑らかでずっと触っていたい衝動にかられてしまう。
触るとそこはしとやかに湿っていた。
自分のものにしたい。自分で埋めてしまいたい。
「いくぞ」
囁くと、香は潤んだ瞳で見つめ、ゆっくりとうなずいた。
片足を持ち上げ、そのまま入れると香は思わず叫びそうになった。
それを撩の唇がふさぐ。
「。。。。んっ!!あぁ。。」
自分の中に撩が入っている。
彼の愛撫があっても初めてのそれはとても大きく苦痛を伴った。
でも、
幸せ。。。
撩の手がヒップを持ち上げ、さらに奥へと進ませる。
「りょ。。お。。。!!!!!!!」
喘ぎながら撩の目を見る。
撩もまた、喘ぎながら香の名を呼んだ。
愛してる。。。
互いに見つめ合いながら、互いの思いを感じた。
ますます律動を激しくしながら、撩の手は香の体の愛撫を続けた。
「あ。。。もう。。。わ、私っ。。。」
頂点を感じて香は喘いだ。
撩はますます深く突くと、ぶるぶると体を震わせ、香の頂点が訪れた。
「あぁ!!!!!!!!」
同時に撩も短く喘ぐと香の中に放出した。
あれからどれくらい愛し合っただろう?
何度も口付け、何度も頂点に達した。
お互いの愛で満たされるまで。
ふと目覚めると、隣で規則正しい寝息をたてる香がいた。
自分にこんなにも愛しい存在ができるとは誰が予想できただろう?
「香。。。」
思わず名前を呼んでみる。
「香。。。?」
彼女はよほど疲れたのか目覚める気配はない。
思わず笑みがこぼれた。
そっと彼女を後ろから抱きしめ、目を閉じる。
。。。どうしよう。。。
夢中で愛し合ったけど、それを望んでいたけれど、
これからどうやって撩と接すればいいのか分からない。
恥ずかしくて死んでしまいそう。
彼はまだ眠っている。
よし、今のうちだわ!!
そぉっとベッドから抜け出して、何事もなかったかのように朝食を作ろう。
それから。。。
う〜。それからどうすればいいんだろ?
と、とりあえずここから出ることが先だわ、うん。
そう決心して、ベッドを出ようとしたそのとき、
腕をつかまれ引っ張り戻された。ひっ!!
振り返ると撩が寝ぼけた目で抱きつこうとする寸前だった。
「ぐふふふ。冴子ちゃぁ〜ん!!!」
!!!こんのやろぉ〜!!!
超特大ハンマーをお見舞いした後、
ドスドスと撩の部屋を後にする。
「バカっ!!!!んっとにバカっ!!!!」
ぶつぶつ言いながらも朝食を作りにキッチンに向かう。
でも、ほんとはなんとなく分かってる。
気まずくならないようにっていう撩の照れ隠し。
次はもっとうまくやってよね!
そう思った香の薬指には指輪が光っていた。
終わり