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受話器のむこうから、派手な爆発音が聞こえる。
そして爆発音が収まってしばし、ルパンに対していつもの悪態をつく、銭形の怒鳴り声が漏れ聞こえる。
アジトの豪奢なリビングでそれを聞き、ルパンはソファの上、激しく笑い転げた。
どうやら銭形の奴は、ルパンが仕掛けたトラップに見事引っかかってくれたらしい。
先ほどまで銭形と会話をしていた、警察署の前の電話ボックス。
わざと警察の逆探知が可能な時間までいた、その公衆電話、その釣銭口。
そこに残した将棋の駒、それも「歩」。
その「歩」の裏側に、本来とは別の文字を掘り込んでおいたのだ────「銭形」と。
それを手にした銭形、あの直情型の男が、バカにされたとそれを地面に叩きつけるのは当然、計算の上。
そしてそいつはもちろん小型爆弾、叩きつけられた衝撃により大爆発、というわけだ。
相手の心理を読みきった満足感と興奮にルパンは包まれる。
こうした瞬間を、ルパンは何より愛した。
ようやく笑い止んだルパンは、テーブルに置いてあったブランデーグラスを手に取った。





途端、銃声。
手にしたグラスが弾け飛ぶ。





ルパンは慌てず、相向かいに座る男に視線を投げた。
「どうしたんだ、次元」
「その酒は、飲まねえ方が良さそうだぜ」
0.3秒の早撃ちを誇るガンマンは、まだ熱さを纏う銃身でボルサリーノの鍔をくいと持ち上げ、低くつぶやた。
毒か────
用心棒の経験も、殺し屋の経験も両方重ねる相棒は、そうした危難に目端が利いた。
コルト・エグゼクティブを胸元に収めながら、次元が笑う。
「お前さんを狙ってる奴は多いぜ」
「またお前に助けられたってわけか」
次元はソファから立ち上がると、肩をすくめる男の前に歩み寄る。
「報酬をくれるかい?」
次元の人差し指が、ルパンの唇にそっと当てられる。
笑いながら、ルパンは次元の腕を引いた。
自分はソファに座したまま、次元に腰をかがめさせ、望みどおり口づけを与える。
「これだけの腕を持っているのに、他愛もない男だな、お前は」
唇を触れ合わせたまま、吐息で笑う。
引き寄せる腕に促されるまま、ルパンの膝の上に座り、次元はニヤリと不敵に笑った。
「そうかな? いや、俺は最高に高くつく男だぜ。何せ俺が本当に欲しいのは・・・」
そういいながら、目の前のルパンの首筋に唇を押し当てる。
拳銃を器用に操る指がルパンのネクタイをほどき、微かな衣擦れの音と共に、それを床に落とした。
「なるほど、さしずめお前さんも俺を狙っている奴の一人ってことか」
ルパンは低く笑った。
シャツに掛かる不躾な指を好きにさせたそのままに、ルパンの指も次元の衣服をほどいていく。タイをほどき、シャツを乱し、露にした肌に口づける。
「あ・・・・・・」
不意に触れられ、強気だった次元の瞳が潤む。
腕の中の痩躯は、ルパンの愛撫に息を荒がせ、手もなく崩れる。
幾度触れてもまるで初めてのように次元の肌は慄き、だが抱くごとに肌の溶ける速度は速くなってゆく。
ルパンに抱かれるための、身体になってゆく。
次元をすっかり裸にしてしまうと、あらためて抱き寄せ、口づけを与えた。
性急にむさぼろうとする男の舌を、なだめるように、からかうように翻弄しながら、口づけの合間にルパンは笑った。
「酒と硝煙の匂いの中で・・・ってのも乙なもんだな」
ルパンの手が、傍らに置いてあった酒瓶に伸びる。
「自分で慣らしてごらん」
赤く染まった瞼を震わせながら、次元が小さく頷く。
素直な答えに満足し、男の髪を撫でてやると、ルパンは自らの衣服が濡れるのもかまわず、次元の指に酒をふんだんに降り注いだ。
支えるように腰を強く抱いてやると、次元の指がおそるおそる自分の其処に伸びた。
「ん・・・・・・」
唇を噛んで喘ぎを堪える、その表情を見つめながらルパンは先を促す。
「ほら・・・まだ入るだろう? 指の、付け根まで」
「んん────っ・・・」
言われるがままに、次元の指はすっかり埋め込まれる。
だがルパンは容赦しない。
「ほら、もう一本。今度は中指だ」
胸を喘がせ、次元はきつく目を閉じた。
それでも言われるがままに、もう一本、其処に指を分け入らせる。
次元はもう声も出ない。
眉根をひそめ、歯を食いしばりながら、羞恥と圧迫感に耐えている。
「いい眺めだ」
満足げに、ルパンは笑った。
そして、すっかり立ち上がった次元の性器に指を絡めた。
「ああ・・・・・・っ」
ルパンの指がゆっくりと動き出す。
「そっちも、動かしてみな」
促せば、泣き出す直前の顔で、次元はそれに従った。
ゆっくりと抜き差しされる指。淡やかな快感だけを生み出しているであろうその動きに焦れ、ルパンは性器から指を離すと、手を単調な動きを繰り返す次元の指に添えた。
「違う。こうだ」
言いざま、次元の指を深く押し入れる。
「あう────!」
次元の身体が仰け反る。それを腰に回した手で支えながら、ルパンは指をまた次元の性器へと戻す。
「続けな」
ルパンの指が、次元のそれをゆるく撫で回すのとは対照的に、次元の指は激しく其処を出入りする。
「ああ・・・ルパン、ああ────んっ・・・」
汗と涎と、そして涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、次元は必死で指を動かす。
泣きながら、快楽に溺れてゆく。
「気持ちいいか?」
ルパンの問いかけに、次元はがくがくと首を振って答える。そして呻く。
「ほし・・・い、早く・・・・・・ルパン」
切なげな色を宿し、次元がルパンを見つめる。
ふだんの彼からは想像もつかない色香にぞくりとした興奮を覚える。
だがルパンは、ソファの背もたれに寄りかかり、片頬を引き上げ笑った。
「欲しいなら────どうすればいいのか、わかるだろ」
次元はこくりと頷いた。
震える指が、ルパンのベルトに掛かる。猛々しく屹立するルパンの性器が露になる。次元はひとつ息を呑むと、それを自らあてがった。
「──────!」
深く、沈み込む。
きつく締め付けられ、ルパンの眉間にも皺が寄る。
息が整う間もなく、次元の腰が揺らめき始めた。
震える身体でもがくように、必死に動き続ける。
「ル、パン・・・」
息を弾ませ、腰を振り、舌をひらめかせながら、次元は必死に言葉を紡ぐ。
「見ててくれよ────今だけは、俺を・・・」
「見てるさ、お前だけを」
揺れる体を引き寄せて睦言を、赤く染まった耳元に囁きかけると、次元は堪らず身をよじった。熱に浮かされたような目で、次元が呻く。
「お前が見ててくれるなら、俺は何だって出来る。どんなことでも────お前のためなら、どんな淫らなことでも、どんな汚いことでも、俺は・・・」
請うように。
次元はルパンの手を取り、その掌に口づけた。
まるで敬虔な殉教者が、その信じる神に縋るかのように。
ルパンは喉の奥で笑った。
この男は、稀代の怪盗、ルパン三世の心を盗み出し、いっそただの男にしてしまいたいらしい。
それもどうやら成功しかかっているようだ。
少なくとも、こうして二人きりでいるときは確実に。





久々に再会したと思ったらルパンの命を狙い、次には相棒にしてくれと火の玉みたいな勢いで押しかけてきた。いつしかちゃっかり相棒の座に納まり、いつしか────こうして失えない存在になっている。





次元が自身の価値を、ルパンと共に在ることに見出すように、何物にも囚われないはずのルパンがここに在る意味も、いつしかこの男に拠っている。
快楽と狂気の狭間を遊ぶルパンを、唯一現実のものとして欲する存在。
ルパンの腕に縋り、その心の真実が欲しいと、ただ請うだけの存在。





ルパンは自分の上で踊る身体を抱き寄せると、そのままソファに押し倒した。
そしてさらに深く自らを押し込む。
銛に穿たれた魚のように、びくびくと痩せた体が跳ねた。
それをさらに苛むために、ルパンは深く腰をグラインドさせる。
離されまいというように、次元の脚がルパンの腰に絡んだ。
「傍にいたい────ずっと・・・ずっとお前のそばに・・・・・・」
荒い息の狭間、次元が狂おしげに喘ぐ。
「ああ・・・ついて来いよ────ずっと」
ルパンは囁くと、腕の中の身体をきつく抱きしめた。










この世界でただ一人。
互いが互いを、とどめる錨。










end










「ルパン三世」PILOT FILM(シネスコ版)ネタ。




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