「沢村、アレしようぜ」
御幸が言った
「え・・・?」
考える暇も与えられずに腕を引かれその胸に抱きとめられる
「するよな?」
耳朶を甘く噛まれながら名前を呼ばれるとカクンと膝の力が抜ける
ああ、今夜もこの誘惑に抗えやしないのだと観念したように目を閉じた
秘 密
「・・・はっ、も・・出る・・・」
「もう?はえーじゃん」
溜めてたろ?と笑いを含んだ声で言われて、栄純は全身真っ赤に染めて下唇を噛み締めた
ああ、もう何してんだよ俺?
ふとした瞬間、冷静にそう思う
明るい部屋で下半身だけ露わになっている情けない姿とか、
一方的に追い詰められているこの状況とか
いたたまれなくて、涙が浮かんでくる
イヤだと、拒む事はいつでも出来た
そういう逃げ場所を御幸は作ってくれている筈だった
こんなことは何でもない、「オナニーみてーなもんだよ」と御幸は言う
本当にたいした事ないように、何でもないことのように言うから
男同士で何やってんだ、とか
こんなにバカみたいに喘いで自分はおかしいんじゃないか、とか
プライドも、心の中の葛藤も無視して
『これは生理現象なんだから、何でもないことなんだから』
そう思う事で自分を守っていた
俺は、俺の意思でここにいるんだと
自分は女の子じゃないし傷ついたりはしない
でも女の子じゃないから傷つくんだという事、本当は気づいていたんだ・・・
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