誰にも渡さない。
お前は、俺だけのもの。





危険な感情





「ん・・・っ」
くぐもった声が、夜の闇の中に落ちる。
手で口を塞がれているため声を出せない栄純の、涙に濡れた目が懇願するように見上げてくるのに、御幸は楽しそうに笑った。
それを見た栄純が苦しげに顔を歪ませる。
「・・・何?」
問いかけながら、身体の中に埋め込んだ指を軽く曲げる。
一番感じる部分をわざと避けるように動かせば、ぎゅっと目を閉じゆるゆると首を横に振った。
手を引き剥がそうと掴んでいた指が肌に食い込み、爪を立てられる。
「・・・って」
微かな痛みに小さく声をあげれば、それが聞こえたのだろう栄純がはっと目を開けた。
血が滲む腕を見て怯えたように身を竦ませた栄純の口から、ことさらゆっくりと手を離す。
その腕に走った赤い線を舌で舐め、すっと栄純に視線を向けた御幸がにやりと笑った。
自分でもわかるくらいの冷ややかな眼差しに、栄純がびくりと身体を震わせる。
「・・・やってくれんじゃん?」
「ち、ちが・・・っ!」
わざとじゃないと言いかけた栄純を遮るように、身体の中から指を引き抜く。
宙に浮いたままの栄純の手首を掴んでシーツに押し付け、歪んだ笑みを浮かべたまま一気に自分の欲望を押し込んだ。
「い・・・っ、あ、ああぁ・・・・・・っ!」
苦しげに上げられた声に、満足感を覚えながら。





教室の窓から外にいる栄純を見つけたのは、ほんの偶然だった。
クラスメイトたちと楽しそうに笑い合う姿に、心の中に昏い感情が生まれた。

お前は、俺のことだけ見てればいい。
俺以外のヤツにそんな風に笑ったり話したり触れたりするのは、許せない。


他のヤツに目を向けたらどうなるか。
それを教えるために、無理矢理部屋に連れ込んだ。

「あ・・・も、やめ・・・っ」
シーツに額を押し当てて、栄純が切れ切れに言葉を紡ぐ。
それを無視して、後ろから突き上げながら栄純自身に指を絡めた。
「んっ、や・・・っ」
ほんの少し擦り上げるだけで、何度もイカされて敏感になったそこはすぐに硬さを取り戻していく。
「やだって言ってるわりに反応してるケド?」
「・・・・・・っ」
背中から覆いかぶさって耳元でそう囁けば、栄純が睨んできた。
「ンな涙目で睨まれても、全然こわくねぇし」
くすくす笑いながら、御幸が動きを早めていく。
中に幾度となく吐き出された精液が、御幸が動くたびに淫らな音をたてる。
「あっ、も・・・っ」
シーツを掴む手にぎゅっと力を込めて限界を訴えたその瞬間。

「まーだダメ」
意地悪く囁いて、栄純の根元を強く握った。



「・・・っ!?」
突然のことに驚いて振り返ろうとした栄純の足を掴んで、仰向けに転がす。
強引に体位を変えられて息を詰めた彼の背中に手を回し、ぐいっと力を込めて自分ごと身体を起こした。
御幸の足の上に跨るように向かい合わせに座らせれば、より奥へと入り込み繋がりが深まっていく。
眉を寄せて快感をやり過ごそうとする表情を見上げて、口元を緩めた。
「み、ゆき・・・?」
「お前が動いて?」
「え・・・」
「お前が動いて、って言ったの」
そう言って、胸に唇を寄せるとぺろりと舐める。
そのまま突起に歯を立てられて、せき止められた熱が行き場を求めて身体中を駆け巡っていく。
縋るように御幸を見ても、全く動こうとはしない。
「・・・んで・・・っ」
「ん?」
「みゆき、なんで・・・」


いつも意地悪だけれど、今日は何かが違う。
言葉や行為に含まれる甘さや優しさが感じられない。

御幸の気持ちが、まったく見えない。


「・・・っ」
不安と悲しさにあふれだした涙が、頬を伝って落ちていく。
それを無表情に眺めていた御幸が、栄純に触れている手に力を込めた。
「い・・・っ!」
「・・・お前が悪いんだよ」
痛みと苦しさから上がった悲鳴を無視して、緩やかに身体を揺らす。
「お前が、俺以外のヤツを見るから悪いんだ」
「な・・・に言って・・・んっ」
「おしゃべりはいいから、早く動いて。・・・俺のことが好きなら、できるだろ?」
動きを止めて、促すように栄純の腰を手のひらで撫でた。
「・・・ほら、早く」

お前も、このままじゃ苦しいだろ?

「・・・・・・っ」
冷たく自分を見つめる御幸から逃げるようにぎゅっと目を閉じ、意を決したように両手を御幸の肩に乗せる。
小さく息を吸い込んで、ゆっくりと腰を上げた。



「ん、あ、はぁ・・・っ」
縋りつくように首に両腕を巻きつけて、御幸の上でぎこちなく腰を動かしていく。
いつも御幸が抱いてくれる時のことを思い出しながら、より感じる部分に当たるように。
「あ・・・あぁ・・・っ」
「へぇ、・・・ソコがイイんだ?」
ひっきりなしに上がる声に、御幸がからかうように耳元で囁く。

いつもと変わらない、でも愛情のかけらも伝わってこない声。
今日は名前すら呼んでもらってないことに今さらながら気付いて、悲しさが込み上げてくる。

「・・・み・・・ゆき・・・」
ぴったりと胸を合わせ、名前を呼んで。

「・・・す、き・・・から・・・」
途切れる言葉で、必死に想いを紡ぐ。

「・・・みゆきのことだけだから・・・だから、しんじて・・・っ」
「――・・・!」
そう告げた瞬間、強い力で押し倒された。


「あ、あぁ・・・んっ!」
ぐっと激しく何度も突き上げられ、強い快感が身体中を駆け抜けていく。
「ん、はぁ・・・っ、み、ゆき・・・」
震える手を伸ばして頬に触れると、強く接吻けられた。
初めて重ねられたぬくもりに自ら積極的に舌を絡め合わせると、栄純自身を掴んでいた戒めが解かれる。
「んん・・・っ、あ・・・みゆき・・・っ」
奥深くまで強く突き上げられて、限界をとうに超えていた熱があふれだす。
「あ、あ・・・っ!」
「・・・っ」

自分が達すると同時に、身体の奥に熱を感じた。

「・・・・・・」
疲れきって眠る栄純を、じっと見つめる。
泣いて赤くなった目元を、指先でそっと撫でた。



『・・・す、き・・・から・・・』
『・・・みゆきのことだけだから・・・だから、しんじて・・・っ』

栄純の言葉が、頭の中で繰り返される。



こんな酷い抱き方をしたのに。
何度も好きと言ってくれた。

「・・・ごめんな」
つぶやく声に、涙が混じる。


「俺も好きだよ。・・・お前だけを、愛してる」
言えなかった言葉を囁いて、愛しい恋人に接吻けた。






2008.8.17







<後書き>
トリプルショックの影響でやっちゃいました御沢です〜。
嫉妬から栄純を冷たく抱く御幸と、そんな御幸でも受け入れる栄純を目指してみましたが見事に玉砕しました!
最後まで御幸を非道にできなかったところが、甘ラブ好きな自分の限界でした。(笑)


                                  【咲夜さまより】


ンフーーー!!
またも頂いちゃいましたvvv【INFINITY】咲夜さまより素敵な御沢SSvvv
御沢!御沢!嫉妬にまみれた、余裕のない御幸先輩が大好きです・・・!何てエロスvvv
先月の裏チャ(再試合)に咲夜さんをお誘いしたのですが、諸事情でご参加頂けず(涙)
それを素敵な御沢SSにぶつけて下さいましたーーー!!
棚ボター!私、棚ボター!(笑顔で)
いつも萌えをありがとうございます!大好きです!!本当に、本当にありがとうございました!!






























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