***************************************  DISCLAIMER// The characters and situations of the television program  "The X-Files" are the creations and property of Chris Carter,  Fox Broadcasting, and Ten-Thirteen Productions.  No copyright infringement is intended.  この作品は、作者の妄想作品「寝不足」の続きです。  その後の二人として書いておりますので、既に二人の関係はデキ上がったものに  なっています。  もう、読み終わった後に胃が荒れるほどに甘いですのでご注意下さい。  また、MulderもScullyも本編とは全然違います。  それをご理解された上で、お読み頂ければと思います。 *************************************** = SWEET TIME , BITTER THINK = Written By AKUA Data:10/10/99 Spiler:None Rating:PG *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* 今日も彼は穏やかな顔で眠っている。 彼女はその表情を暫く眺めた後、彼を起こさないようにベットから抜けだそうとした。 すると今まで静かに寝息を立てていた彼が、彼女のウエストを捉える。 「ねえ、放して・・・明日は朝一で会議なのよ。帰らなきゃ・・・」 「なんでさ?なら、泊まっていけばいいだろ?」 彼女の願いも虚しく、彼は信じられないと言う風に言ってのけた。 彼女は少し苦笑いして彼を見つめる。 「モルダー、知ってる?あなたの寝相は天下一品よ!」 「だから帰るの?」 「そう、帰ってゆっくり眠るの。」 「それで、僕に独り寝しろって言うのかい?」 「そう、一人でゆっくり眠って・・・寝坊しないように。」 「それは、無理な注文だな。」 彼は、彼女に覆い被さるようにして、更にきつく抱きしめてきた。 「モルダー?!お願いだから放して!」 彼女が少々キツメにそう言うと、漸く彼は腕の力を緩めて開放してくれた。 しかし、相変わらず右手は彼女に触れている。 「じゃあ、僕が送るよ。」 今度は肘をついた姿勢で、意味ありげに瞳をキラキラと輝かせて言う。 彼女はその様子に(あなたの考えはお見通しよ!)とでも言うように、彼の額をピシャリと 叩いて言った。 「ダメよ。結局それじゃあ、同じだわ。」 「チェッ!なら、早く帰れば・・・」 彼がふてくされた様に呟いた。 彼女は彼の拗ねた様子に笑いを堪えながら、脱いだモノを身につける。 暫くすると、彼女を見ようともしなかった彼が、耐えかねたように着替えの邪魔をし始めた。 「チョッ!モル!」 「なぁ、スカリー。ホントに帰るの?もう、遅いよ?」 「帰るわ。会議中に"海を渡る"わけにはいかないもの。」 「いいじゃないか。僕は"何度も"渡ってるよ!この前なんて日本まで行った。」 彼は両眉をピクピクと動かして、彼女の様子をうかがう。 彼女は何も言わずに、彼に一瞥を投げつけた。 「・・・・・・」 「僕の恋人は冷たいんだな・・・」 「あら、知らなかったの?あなたの恋人は"氷の女王"なのよ。」 彼女はブラウスのボタンを留めながら、拗ねた彼に顔を近づける。 しかし、あまりにも真面目な彼の表情に彼女の方が一瞬躊躇した。 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* - Mulder's Think - 暖かかったベットは、君が抜け出した後少しだけひんやりとした空気が流れた。 僕は、直ぐ近くで着替える君の衣擦れの音を聞きながら考えていた。   どうしてこんなに切なくなる?   君は僕の恋人で全てを僕に預けてくれたのに・・・ 不意に訪れる切ない気持ち。 あと2,3時間も経てば、また一緒にいられる。 それでも僕の心の中には、ポッカリと穴が空いた様になる。   君は、僕がどんな気持ちでいるか知らないんだ。   絶対そうだ!そうに決まっている!   だから、こんなに簡単に僕を一人に出来るんだ! 僕はそこまで考えて、フッと我に返った。 今まで愛した人に、こんな感情を持ったことが有るだろうか?   初めて付き合った彼女には?     ない。殆ど何も分からないまま付き合っていたし。まあ、若かったから・・・   あの、フィービーは?     それもない。まあ、彼女は直ぐに別の男と・・・うわぁ、嫌な過去。最悪だ・・・   じゃあ・・・・・・ダイアナには?(怖いからスカリーに気付かれない様にしよう。)     ないと言えば嘘になるけど・・・・     でも、彼女が自分の家に帰る事に、いちいち切ないと感じた事はない。     あれ?3人だけ・・・・いや、そんな事はどうでもいい!   もっとたくさんいたけど、代表して3人と言うことで。 「・・・ルダー?怒ってるの?」 君の声が不意に僕を現実に引き戻した。 僕の耳に心地よく響く、少しハスキーなその声。 僕は近づいて来たその首に腕を回し、抵抗する君をいとも簡単に僕の下へと沈めた。 「もう!洋服が皺になるでしょ!」   怒った君の声も愛おしい。   もう、僕は完全に君に参ってる。降参だ!   出逢った時は、正直言って"なんていけ好かない女だ!"そう思ってた。   なのに、まさか僕がこんな風になるなんて。   気が付くと君が僕の全てになっていた。   君を自宅に帰すことさえ、嫌になってる・・・なんて事だ! そんな事を考えながら、僕をこんなに切なくさせる君に意地悪く囁いた。 「だったら、脱げば?皺になるの嫌なんだろ?」 「お願い・・・今夜だけはダメよ!それに洋服も着替えなきゃ・・・」   こんなに言っても、君は"YES"と言わない。   分かってる。これも、君が僕等の仲を大切に思っているからこそ。   ダナ・スカリーだからこそ、必死で公私の区別を付けようとしている。   でも・・・それでも嫌なんだ。君が直ぐ近くにいないと"不安"で堪らない。   情けないって言われてもいい。僕をこんな気持ちにさせられるのは、君以外いないの   だから。 僕は、君の存在を自問自答してみた。   『大切な人』   在り来たりだな・・・でも、やっぱり『大切』なんだ。   君の存在は、既に家族や自分の事以上になっている。   君のためなら、自分の命はもちろん、サマンサだって・・・そう思っている。   まあ、きっと、君はそんな事を喜びはしないだろうけど。 「モルダー?お互い寝不足にならないようにしないと、ね!」 僕の下で囁いた。   人の気も知らないで!全く! 何食わぬ顔で僕は言い放った。 「君が帰ったら僕は確実に寝不足になる。」 暫く黙った後、彼女が囁く。 「・・・分かったわ。あなたが眠るまで一緒にいる・・・  だから、お願い・・・私の"上"にならないで。」 降参したように、君がにっこりと微笑んだ。 こんな時間を過ごさなければ、垣間見ることが出来ない"氷の女王"の微笑み。   スカリー、朝を迎えるまではこの甘い恋人の時間を過ごそう・・・   数時間後には、また、別世界にいる僕達なんだから。 気が付くと僕は、これ以上ないと言う程の甘い笑みを君に返していた。 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* - Scully's Think - 自分勝手に私を押さえ込むあなたの重みを感じる。 完璧なガードに身動きすら出来ず、私は考えていた。   イジワルかしら、今の私?   私を占拠するこの想いをどうすればいいのか・・・ 私の中に現れる"我が儘な私"。 心も身体も・・・あなたの全てを受け入れた瞬間に私の中で起こった甘い変化。 無条件に愛してくれるあなたに、少しだけイジワルしてみたくなる。   今私が何を考えているか分からないでしょ?   あなたを独り占めしている気分を味わっているの。   全身全霊で愛してくれるあなたを、私も同じように感じているの。 私はあなたに気付かれないように、少し怒った振りをした。 「もう!洋服が皺になるでしょ!」   さて、次はどんな攻撃に出てくるの?   あなたとの時間をこんなに楽しんでいる私がいるなんて、自分でも驚くわ。   あなたといると、今まで知らなかった私が見えてくる。   最近は仕事でも、科学しか見えてなかった私が、時々あなたの思考とリンクしている。   はぁ・・・なんて事かしら? そんな事を考えている私にあなたの瞳が意地悪く輝いた。 「だったら、脱げば?皺になるの嫌なんだろ?」 「お願い・・・今夜だけはダメよ!それに洋服も着替えなきゃ・・・」 取り敢えず、在り来たりな理由を付けて焦らす。 そんな私に、あなたは心の中で"困った"と考えながらもそれを隠そうとする。   仕事中には見せないCuteなその表情。   こんなあなたを・・・ホントに私しか知らないの?   私以外に知っている人はいない?   あんなに優越感に浸っていたのに私って・・・ クルクルと入れ替わる自分の心を持て余している。 もう一度、なんとかしてあの"甘い優越感"を取り戻したくてイジワルする。 「モルダー?お互い寝不足にならないようにしないと、ね!」   どうするの、モルダー?私を不安にさせた罪は重いわよ?   ここに留まるのも帰るのも、あなたの"でかた"次第よ?   私ってかなり我が儘ね。   でも、あなたにだからこんな私でいたいの。   あなたは、私にとって『唯一我が儘になれる人』なのだから。 私の上であなたが呟く。 「君が帰ったら僕は確実に寝不足になる。」   あら?何故そんな余裕の表情なの?   そう言えば私が帰らないと思っているのね・・・イジワルしたくなるじゃない。 暫く黙った後、あなたに囁いた。 「・・・分かったわ。あなたが眠るまで一緒にいる・・・  だから、お願い・・・私の"上"にならないで。」   降参よ。余裕ぶってもその瞳が揺れてるの。   あなたの瞳が"不安"そうなの。   そんな目をされたら、やっぱり帰れないわ。 私は素直に微笑んだ。 私の微笑みに鮮やかに変わるあなたの瞳。   今確信したわ。あなたのそんな表情は私だけに見せるのね。   だって、そんな甘い笑顔を見たらあなた以外に愛せなくなるもの。   でもね、モルダー?朝になったら甘い時間は終わりですからね。 向けられたこの上ない甘い微笑みは、私を優しい気分に浸らせていた。 THE END *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* 私の一言:  うげげ。甘い(笑)  まあ、最初から甘くしようとして書いたからOKなんですけどね。  だから、題名にも「Sweet」がつくし(笑)  ここで言い訳を・・・モルの思考ですが、私の思考と言うべきかも知れません。  私は、大切な人を急に失った事で、周りにいる全ての人に不安になりました。  知らない間にその人を失うのではないかと考えた時期があったのです。  離れる事が不安になる、一種の「不安症」だと思います。  でも、だからと言ってホントに四六時中一緒にいられる訳では無いことも理  解しているし、私は敢えてその気持ちを出すことはしませんでした。  (今はもう「不安症」じゃないですよ(爆))  そこで、今回はこの「不安症」をモルに押しつけてしまいました。  モルは見事なまでに表に出してますよね〜。  まあ、彼なりに二人の甘い時間にだけと考えている様ですが(笑)  それを虐めるスカちゃんも・・・実は私だったりする訳で(苦笑)  すいません。こんな拙い作品を最後まで読んで下さってありがとうございます。