「旅の恥は『書き』捨て」 〜ホノルルマラソン2000〜 By Amanda 年も明け、気がつけば1月も終わりに差し掛かった今日この頃。例によって今回もホノルル マラソンに参加し、遅まきながら再びこうしてレポートを書いている私。懲りんヤツだなあ、 まったく。ホノルルツアー1999、ワシントンDCに引き続き、今回もなんとか強引に(?) 完成させました。これを機会に、Ficとは別にトラベル・レポートをシリーズ化してしまおうか とまで思ってしまった....アホか私は? とりあえずタイトルなんてつけちゃいましたが、 『書き捨て』ちゃっていいんでしょうかねえ?(笑) ところで、20世紀最後の大会となった『第28回JALホノルルマラソン』は、現地時間の 12月10日(日)、午前5時にスタートしました。 今回は22,903人のランナー達がそれぞれの 思いを胸に抱いてこのレースに挑み、実に22,636人のランナーが完走を果たしました。 今回、私は初めてボランティアスタッフとしてホノルルマラソンに参加しました。 「走らへんし、楽勝楽勝♪」などとタカをくくって現地入りしたのですが、意外とも言える 重労働にすっかりド肝を抜くハメになりました(^^;) 雨の中をスタートした前回のレースと違って、今回はランナーにとってはかなりの猛暑。 脱水症状を起こしたランナーがゴール間近で血を吐いてぶっ倒れる、というハプニングにも 出くわしましたが、幸いにも私達のチームは全員無事に完走する事ができました。 マラソンコースの紹介は前回のホノルルレポートをご覧いただくとして(すみません、 ズボラな性格なもので....)早速、今回の「ホノルルツアー2000」のメンバー紹介です。 まずは前回に引き続いて参加された方々から。 ・セイナお姉さん(♀):ご存知「お買い物大好き」の姉さんです。今年もメンバー全員を 感動の渦に巻き込むような(!?)買い物をやらかしてくださいました。この粋な買いっぷりを 見なきゃ、ハワイに来た実感も湧かないってもんだ。 ・まさやん(♂):セイナ姉さんの弟。今回はホノルルのフリープラン・パックツアーを探す のに一苦労。「もう満員なんです」という旅行会社の冷たい返答にもめげず、今回も見事に アレンジして下さいました。みんな、まさやんなしじゃ生きていけない....感謝感謝!! ・パパ(♂):常に自分が「ウケるギャグ生産工場」でありたいと願うパパ。しかし、突然 「パパ?」と振ると「ごめん、ネタ思いつかんかった」と自爆する傾向アリ(笑)今回も 随分と爆弾を吹っ飛ばしてましたよねえ(ニヤリ)いざという時にはバッチリ頼りになる 存在です。 ・S君(♂):真面目な意味で、今回一番の成長株です。しんどそーな顔しながら(!?)故障寸前 まで走ったもんね、きっとタイムも伸びるに違いないと密かに思ってました。でもやっぱり 『オチ的キャラ』という肩書きだけは捨てられなかったようだね、Sクン(笑) そして、レポートには今回が初登場のお二人です。 ・ホーリー(♀):1児の母でありながら、某企業のマーケティングを語らせたら誰にも 負けない、バリバリのキャリアウーマンであるホーリー。今回が3年ぶりのホノルル参加 です。秋口に膝を故障し、一時は参加も危ぶまれましたが見事に復帰。カラオケに行くと、 他メンバーの誰よりも、若い歌手のナンバーを大量に披露し、みんなを唸らせてくれます(笑) ・よしりん(♀):ハワイでバスの運ちゃんに「あなた、八千草薫に似てるね〜」と言われた よしりん(←ホンマに似てる)は、今回がホノルル初挑戦。走るペースがパパと似ている ため、国内のレースでは二人で仲むつまじく走っている、と書いたら見栄えはいいんですが、 実はパパと言い争いをしながら走っているという噂が....ま、いいか(笑) このレポートは、日記形式ではありません。道中に起こったハプニングや、メンバーの面白ネタ に焦点を当てて書いておりますので、ご了承ください。 それでは、これより本編です。 --------------------- File No.001 −序章− 12月8日(金)の夜、JAL078便でハワイへ向けて出発するべく、私達は関西国際空港で集合した。 毎日のすさんだ(!?)生活から抜け出せる事に胸を躍らす者あり(←私の事・笑)、ちゃんと走り きれるやろか?と心配する者あり。そんな中、海外へ思いを馳せすぎたのか、空港で大ボケ 行動を連発でカマした人がいた。 姉さんである。 関空行きのリムジンバスから下り、バス下部の荷物入れからスーツケースを取り出した 姉さんは、チェックイン・カウンターへ行く通路で自分のスーツケースにつまづき、 スーツケースごと思いっきりコケた。他メンバーから「姉、出発前から何やってんねん」と 今ツアー初のツッコミを入れられながら「はずかしーっ」と可愛らしくはにかむ姉さん。 しかし、その大ボケっぷりには更に拍車がかかる。 全員のスーツケーツをひとまとめにしてチェックインを済ませ、カウンターで搭乗券を 受け取った一行は、機内預け入れ荷物のX線チェックのために場所移動を始める。それぞれが 荷物を運ぶためにスーツケースを手にしようとしたその時、何を思ったのか姉さんは、 すました顔で私のスーツケーツを持ち去ってしまったのだ。 「???」 私だけでなく、他のメンバーも不思議そうに首をかしげる。 ま、どーせ同じとこに持っていくんだし、私が姉さんのスーツケースを運べばいいだけの事さ。 私は、姉さんのすまし顔を真似して彼女のスーツケースを転がしながら、10mほど後を ヨタヨタとついて行った。 最初っからこんな調子なんだもの 今年のホノルルツアーもいろんなお笑いネタがあるに違いない 幸先の良いスタートだわ、くっくっくっ.... 姉さんのスーツケースを運ぶハメになった私の胸は、既にそんな期待でパンパンに膨らんでいた。 しばらく後で私のスーツケースを運んでいる事に気づいた姉さんに向かって、他メンバーが 「何ボケとんねん!!」と、容赦なく総攻撃にかかったのは想像にたやすい。 しかしこの時、ホノルルで姉さんが更にどギツいネタを提供してくれる事になるとは、 誰が予想したであろうか....。 --------------------- File No.002 −戦艦ミズーリ・ほんのさわり− 今回は、珍しくオプショナル・ツアーに参加した。 ハワイに到着した次の日の事。キュートなイルカちゃんが拝めるという『ドルフィン・ツアー』 参加のため、時差ボケをものともしない姉さんとホーリーは、朝もはよから元気に出かけて いった。そしてその一時間後、残る五人が『戦艦ミズーリ・ツアー』に出発する。 戦艦ミズーリとは、第二次世界大戦や朝鮮戦争などで活躍したアメリカ戦艦の事。世界でも 最大級のスケールで、日本の無条件降伏文書はこの戦艦上で調印されたという、歴史的にも 大きな役割を果たした戦艦である。1991年に勃発した湾岸戦争を最後に退役。現在は、 非営利団体の『戦艦ミズーリ保存協会』によって真珠湾で保存・一般公開されているのだが、 要請があれば再び現役に復帰する事も可能だそうだ。 ミズーリ保存協会のスタッフがガイドを務めるこの見学ツアーは、非常に興味深いものだった。 戦闘中のこぼれ話や、無条件降伏文書調印式での裏話など、学校の教科書に載っていない ような話がいろいろ聞けるため、結構オススメのツアーである。 と、ここまでは真面目なコメントだが、もちろんこの戦艦上でもいろいろなドラマ(!?)が 繰り広げられたのは言うまでもない。 --------------------- File No.003 −戦艦ミズーリ・二人の趣味− 『スカリーとAmanda』 私がスカ派であるという事以外には何のつながりもないと思われる組み合わせではあるが、 この2つの名前を並べると、一部の方々にはピンと来るかもしれない。 知る人ぞ知る、この二人の共通項。それは.... 私達のガイドとしてミズーリにまつわる様々な話を披露してくださったのは、マサジさん という日本人だった。年齢は40代だろうか。彼の声は非常に聞き取りやすく、そして わかりやすく解説してくださったので、こんな事を言うと失礼かもしれないが、私にとっては とても好感の持てる人だった。見た目や声音、身のこなし等も私好み。簡単に言えば 「私の好きなタイプ」なのである。 もうおわかりだろう、スカリーと私の共通点はズバリこれだ。 『オジさま趣味』 ちなみに以下は、よしりんと私の会話である。 「あの人、私の好みのタイプかも」 「えっ..........うそ..........(絶句)」 --------------------- File No.004 −戦艦ミズーリ・マサジさんの呆れ笑い− 『○○は絶対にしないように』『△△には注意しよう』 世の中には、こんな忠告を受けたにもかかわらず、必ずドジを踏む人がいる。 全長270.4m、高さ63.9mという超大型サイズの戦艦ミズーリ。一般公開にあたり、艦内には ボランティアの人々によって各所に階段が作られている。この階段のおかげで私達は艦内を 容易に移動できるのだ。 しかし、この階段の一段一段は非常に高い。膝下三分の二ほどの高さがあるので、 気をつけないと簡単に向こうずねを打ってしまうのだ。そのためマサジさんは、 移動の際には毎回うるさいぐらい「階段に気をつけて」と私達に警告をする。 戦艦のどの部分だったかは覚えていないが、その時もマサジさんは大声で私達に注意を促した。 「何度も言いますが、段差が大きいですから階段には充分注意して下さいね」 『ガツン!!』 あろう事か、私はその警告を受けた直後、膝と向こうずねを思いっきりぶつけた。 この手の痛みというのは、ぶつけてから一瞬遅れてやってくる。痛覚が、感覚神経から 延髄を通って大脳に送られて初めて「痛い」と感じる、という体のメカニズムを改めて 実感する瞬間だ。痛覚は決して瞬時に送られているのではない。これだけのプロセスを 経て大脳へ送られているのである。 言うまでもなく、他のメンバーは痛がる私に散々ツッコミを入れた。 「くうぅぅ〜〜〜、いってーっ....」 「ほらー、言うたやろ。膝打たんようにって」 「Amandaちゃん、膝打ちよったー、へへん」 これだけでも充分『笑いのネタ』として槍玉に挙げられた私だったが、『自分をネタに 笑いを取る』を基本とする関西人の血を脈々と受け継ぐ私は、そんな必要がないにも かかわらず、速攻マサジさんに自己申告をしてしまったのだ。 「膝打っちゃいました、あはは....」 それ以来、マサジさんは階段を上る時、私をチラリと見ながら笑って言うように なったのである。 「先ほども言いましたが、『くれぐれも』膝をぶつけないようにお願いしますね」 私って一体...... --------------------- File No.005 −戦艦ミズーリ・私達の関係って一体なに?− 実に意味深なタイトルである。 戦艦ミズーリ・ツアーには、簡単な昼食がついている。和食のビュッフェ形式で、実際に 水兵が使用していた食堂で食事を取るのだ。大学の学生食堂や会社の社員食堂を小さくした ような感じで、空いた席に順次座り、食事を取っていくスタイルである。 一つのテーブルは4人がけだったため、5人で参加した私達は2人と3人に別れた。私はS君、 まさやんと共に、S君が持ってきたビデオカメラで遊びながらランチを取っていた。 食事が終わった後、5人が合流。2人でランチを取ったパパとよしりんは、同じく2人で 参加していた別のグループと相席だったようだ。食堂を後にしながら、パパはその時の 会話を教えてくれた。 「あんな、相席やった2人に『皆さん、どういうご関係ですか?』って聞かれたで」 どうやら『ホノルルマラソンに参加する同じスポーツクラブの仲間』だとは想像がつかなかった らしい。しかし、もしかするとそれは当然の事なのかもしれない。私達の他にこのツアーに 参加しているグループは、夫婦・友達同士・家族など、一見してすぐに関係がわかりそうな 人々ばかりなのである。性別も年齢も見事にバラバラなのは、うちのグループだけだ。 パパは話を続けた。 「その人らな、Amandaちゃんと、Sか俺のどっちかが夫婦やと思ったみたいやわ」 「うおー、マジっすか!?」 その瞬間、私の脳裏にある出来事が浮かんだ。 3年前のホノルルマラソンツアーの時、レストランで給仕をしてくれたオバちゃんが 私とまさやんを見て、メガトン級の勘違いをかました事があるのだ。 「あなた達、新婚さん?」 そんなにアヤしいのか、私達の関係って?? --------------------- File No.006 −マイク− ホノルルマラソン前夜、滞在ホテルの隣りにあるコンビニ『ABCストア』へ、翌日の 朝ご飯の調達に行った時の事。 日本人観光客の購買意欲を高めるための戦略なのかどうかは不明だが、ABCストアは 品数が豊富である。簡単なお土産ならこのコンビニだけで用が済むほどだ。もちろん、 日本ではお目にかかれないようなアイテムも並べられている。私はスターバックス・コーヒー (以下『スタバ』)の瓶入りカプチーノに惹かれ、手に取って眺めていた。見た目はまさに 『駅の売店で売っている瓶入りのコーヒー牛乳』だが、ちゃんとスタバのロゴがついている ところを見ると、正真正銘のスタバ商品なのだろう。 余談だが、この瓶入りカプチーノはバカみたいに甘い。前回のホノルルツアーで初めて この商品を見た私は『珍しいから』という、ただそれだけの理由で購入した事がある。 もっとも、その甘さに耐えられず半分以上を捨ててしまったのだけど(笑) 「それ、甘いよ」(←注:英語です) どこからともなくそんな声が聞こえてきた。顔を上げると、私の右側に見知らぬ外国人.... いや、この場合は私が『外国人』か....そんなややこしい事はいいや。とにかく日本人 ではない、どこかの国の人が立っていた。どうやら私の手にしているカプチーノを見て 言ったらしい。 (オリジナルは英語でしたが、筆者の都合上、以下は日本語翻訳版でお楽しみ下さい・笑) 「ああ、知ってるよ。一回飲んだ事あるから」 「甘さ控えめの缶コーヒーがあるから、そっちの方がいいんじゃない?」 そう言って彼は『甘さ控えめの缶コーヒー』を探し始めたが、あいにくその商品は なかったようだ。 「うーん、ないなあ。でも、とにかくそれは甘いよ」 「うん、やめとく。珍しいから手に取ってみただけやし」 という感じで始まったその会話。 『長くなりそうやな』 なぜかはわからないが、ふとそんな気がした。 「この辺に住んでるのかい?」 「昨日日本から来たばっかりやで。ホノルルマラソンに参加すんねん。今年はボランティア やけどな」 「え、そうなの? てっきりこの辺の人かと思った」 「まさか(どー見たって日本人やろ、私は....)」 私達は自己紹介をした。彼の名はマイク。聞くところによると、彼こそが 『この辺に住んでる人間』らしい。 「この界隈は日本人ばっかりだなあ」 「ワイキキのホテル街やで、トーゼンやろ。ホノルルマラソンなんて参加者の6割が日本人やもん」 「そうなのか!? 僕は走るのは苦手だから出た事がないんだ....」 などと、冷蔵コーナーの前で寒い思いをしながらダラダラと会話が続く。すると.... 「こんなとこで話すのもなんだし、飲みにでも行かないか?」 唐突なこのセリフに、さすがの私も一瞬ひるんだ。 これ、ナンパ? 「う、うーん......そうしたいのはヤマヤマなんやけど、明日マラソン当日やし、 (午前2時半に起床のため)早く寝んとアカンから」 「ちょっとぐらい、ダメかい?」 「きっと今から行ったらずっと話し込んでしまいそうやし、今日はやめとくわ。 ゴメンな、もう行かな。また今度」 しぶしぶながら彼が私を解放してくれたのは、会話が始まって約15分後の事だった。 手早くレジを済ませて部屋へ戻ると、同室のホーリーとよしりんは既に着々と寝る用意を 進めている。 「Amandaちゃん、男の人に話し掛けられてへんかった?」 「うん、飲みに行こうって言われた」 「ナンパやん、それ」 日本人のオトコには、ほとんど飲みに誘われないのに....(笑) え?マイクってどんな人だったかって? ....私の好みを知ってか知らずか、見事に30代後半ぐらいのオジ様でした(爆) --------------------- File No.007 −スカリーの愛用品− 現地時間12月10日(日)午前2時半、マラソンの当日。前年は雨が降っていたが、今回は 少し暑いぐらいの晴れた夜空が私達を見下ろしていた。準備を済ませてスタート地点の アラモアナ通りを目指す一行。まさやんと私はボランティア・スタッフとしての参加だった ため、走る立場の時と比べると幾分か気が楽だ。 スタート地点に着くと、既に目が回るほどの数の参加ランナー達が集まっていた。前回の ホノルルレポートにも書いたが、その様はS5のエピソード『ペイシェントX』で、 アブダクティー達が首の後ろに埋められたチップによって呼び出しをくらう様子と 寸分たりとも違わない。 今回のスターターは『大魔人』のニックネームで親しまれるシアトル・マリナーズの 佐々木選手。スタートラインのすぐ近くに陣取っていた私達は、ナマで大リーガーを 拝めるという思いがけない幸運を手にする事ができた。デカイわ、佐々木!! 午前5時、彼が放つピストルの音と同時に、ランナー達は一斉に走り始める。20世紀最後の レースだったためか、打ち上がる花火がいつもより規模が大きいように感じた。まだ真っ暗な 空を鮮やかに彩った花火達は、まるでランナーを勇気づけようとしているかのように勢いよく、 そして絶え間なく舞い上がる。 私はまさやん、よしりんと共に、42.195kmの第一歩を踏み出した。空いっぱいに大輪の花を 咲かせる花火に歓声を上げながら、少しずつ、いつものスピードへとペースを上げていく。 ここで『あんた、ボランティアなのに、なんで走ってんの?』と疑問に思われた方、 あなたは鋭い(笑) ランナーのサポート役であるボランティアスタッフは、基本的にランナーとしての参加は できない。しかし、スタッフの集合時間は午前6時半なのだ。みんなを見送った後、 1時間半もの時間をつぶそうにも、まだ朝が早すぎて店は開いていないし、海も真っ暗。 そんなわけで、集合時間に間に合うように12kmほど軽くジョギングをしたのである。 23,000人という数のランナーの中に2人ぐらいスタッフが混じっても全然わからないもーん。 (ちなみに『12kmほど軽くジョギング』と言うと、友人から「何それ、『軽く』って どーゆー意味?」と、すっかり変人扱いされた・笑) ようやく朝日が昇り始めた午前7時頃、私達スタッフの作業開始である。エイドステーション (給水地点)は、ほぼ2マイル(3.6km)毎に設置されており、私達のステーションはゴール手前 約1kmのところに設けられた最終給水地点だ。 スタッフにはTシャツ(←事前に支給済み)・帽子・手袋が支給され、それらを身につける事が 義務づけられている。スタッフ用のテントで簡単なガイダンスを受けた後に順番に帽子と手袋が 手渡され、それらを着用した者から作業に取り掛かるのだ。 ここでひとつ。 出国前にJALの事務局から届けられた手紙には、以下のように書かれていた。 『当日は、支給されるゴム手袋を必ず着用して下さい。また、安全のために爪を短く切って おいて下さい』 当然だが、ランナーは走りながらコップに入った水を私達の掌から取っていく。手袋の着用は、 受け渡しの際に接触して、ランナー・スタッフ共、手に怪我を負わないようにするための 予防策なのだ。 「ふーん、何回か走ったけど、スタッフの人ってホンマに手袋なんかしてたっけ?」 この謎は、当日に手袋を支給された瞬間に解けた。この手袋というのが、あのスカリー捜査官も ご愛用の『ラテックスグローブ』だったのだ。あんな透明度では、必死で走っている時に 気づくわけがない。 その後、まさやんに頼んでラテックスを「ぴちぃっ」と鳴らして手にはめる私の姿を写真に 撮ってもらったのは言うまでもない。 --------------------- File No.008 −アブダクティAmanda− ホノルルマラソンは、メインスポンサーのJALを始め、D○カードや味の○(公式スポーツ ドリンクとして『アミノ○イタル』を提供している)など、いろんな企業からの協賛を 受けている。 その中に名を連ねているのかどうかは知らないが、毎年このレースの特別番組を TB○テレビが放送している。彼らは材料集めのためにレースの現場へ赴き、さまざまな シーンを撮り続けるのだ。ランナー達が面白がってポーズを取るのがフィルムに収められていく その様子は、現場で見ていると非常に面白い。 話をレースに戻そう。 日が昇ると、気温もぐんぐんと高くなる。刺すような強い太陽光線は、容赦なくランナーの 体力を奪い取っていく。私達スタッフも必死になってそんな彼らのために水を渡し、 声をかけて励まし続ける。ニッコリと笑い返してくるランナーもいれば、そんな余裕もなく、 空ろな表情でフラフラと走り去っていく者、『おもろいパフォーマンス』をしながら 通り過ぎる者もいる。フィニッシュラインは、そんな彼らを約1km先でじっと待ち続けて いるのだ。 過去にランナーとしてホノルルマラソンを経験している私には、彼らの苦しさはよく理解 できる。そんな思いからだろうか、彼らを見ていると、なんとも言えない気分になってくる のだ。少しでも元気を出してもらおうと、半ばいつもの調子で踊りながら(笑)声援を送って いると、例のテレビカメラを持ったスタッフがスッと近づいてきた。 「お仕事中すみません、ちょっと来ていただけますか?」 一瞬「あーん、何の用?」と思ったが、相手はTBSのステッカーをビデオカメラに 貼りつけたTV局のスタッフである。内心「もしやこれは!?」と密かに期待を抱きながら、 スタッフ用のテントにのこのことついて行った。道々、マイクを持った女性が私に 話しかけてくる。 「今回スタッフとして参加しようと思った動機は何ですか?」 「え、ランナーとして参加した事があって、その度にボランティアの人達に助けられたから、 今回はランナーを助けてみたいなあ、と思って....」 「へぇ、そうなんですかぁ。あのー、そういった事を何点かお聞きしますので、答えて いただきたいんです」 はぁ、これがインタビューってヤツなんかなぁ と、呑気に考えているうちにインタビューは始まった。 「スタッフとして参加しようと思った動機は何ですか?」 「これまでに私は4回ホノルルを走った事があるんですが、毎回ボランティアの方々の 声援がすごく励みになったんです。今回は私がランナー達に元気を分けてあげたいと 思って、スタッフとして参加しました」(←エラそーな事言ってるけど、これはホント) 「ボランティアスタッフとして難しいと思った事は何ですか?」 「給水ですね。ランナーが手からコップを取る時、たまにタイミングがずれて、コップが 道路に落ちてしまう事があるんです。渡すのは初めての経験なので、とても難しいです」 「スタッフとして心がけている事はありますか?」 「ランナーの方々もだいぶんと疲労がたまっていると思うので、なるべく笑顔で声援を送る ように心がけています」 「スタッフとランナー、両方の経験をされたわけですが、来年はどうされますか?」 「まだハッキリとは決めていませんが、これからも何らかの形で関わっていきたいと 思っています」 ....言っておきますが、これ、全部アドリブです(笑) 長時間に渡る立ちっぱなしの作業に加えて、異様なほどの暑さ。そんな環境でかなり デキあがっていた私は「撮影も大変ですよねー、頑張って下さいね」などと、そうする 必要のないテレビクルーの人達にもボランティア精神を発揮し、晴れやかな気分で現場へと 戻ったのである。 そして年が明けた1月8日、インタビューこそ放送されなかったものの、5秒ほどAmandaの 働いている姿がアップでテレビに映ったのだった。 --------------------- File No.009 −スタミナ大放出− 昼の1時頃に作業を終えてホテルに戻ると、部屋では無事に完走したホーリーとよしりんが グッタリとベッドに横たわっていた。 「お疲れさーん!! 完走できましたねー、良かった良かった!!」 「Amandaちゃんもお疲れさーん!!」 何やかんや言いながら1時間ほどくつろいでいると、隣りの部屋から電話がかかってきた。 ホーリーが電話を取ったので、相手が誰だったのかはわからない。 「うん....うん....行けるよ....で?......うん、わかった......はーい」 電話を切るや否や、ホーリーは私達に顔を向けた。 「『準備できたら行こう』って」 どこへ? そりゃ当然、日本人をトリコにするハワイ旅行の醍醐味、と言われる『ショッピング』である。 走り終わって間もない彼女達を見て、私は聞かずにはいられなかった。 「ね、ねえ....そんな体調で買い物なんか行けるんですか?」 心配する私の気持ちを知ってか知らずか、ホーリーとよしりんは素で答えた。 「うん」 ま、マジっすか......!? 準備を整えた一行はホテルを出て、それぞれ行きたい場所へと向かっていった。ある者は 歩いて買い物へ、またある者はバスに乗ってショッピングモールへ、そしてある者はビデオ カメラを片手にビーチへ。 なんで......なんでそんなに元気なんや!! 立って水配ってただけの私もグッタリしてんのに、なんで買い物へ行けんねん!? 私はグループの中で最年少なのだが、体力に関しては一番歳をくっているのかもしれない.... その後の事。 買い物を早めに切り上げて、ベランダで夕焼け空を眺めながら、Kenny Gのテープをかけて うたた寝をしていると、ホーリーが免税店の袋を下げて帰ってきた。 「お帰りぃ〜。いいもん買えました?」 ホーリーは、私の問いかけにニッコリして答えた。 「うん。免税店の店員さんに『日本の人達って、マラソン走って足もヨロヨロなのに買い物に 来るのよね。すごいわねえ』って言われたわぁ」 ビックリされんの、当たり前やっちゅーねん........ --------------------- File No.010 −姉さんの買い物日記− これはホノルルメンバーにとっての、もう一つの楽しみである。 前回のレポートにも書いたが、姉さんは買い物が大好き。持ち切れないぐらいの紙袋で 姿が見えなくなる(←若干の誇張表現を含む・笑)ほどのアイテム・ハンターである。 その買いっぷりは、真実を求めて奔走するモルダーに通ずるものがある....と言っては 過言だろうか。 さて、今回の姉さんは密かな『野望』を抱いていた。機内販売でゲットしたパシュミナの スカーフや、ショッピングモールで仕留めた(!?)バナナ・リパブリックの服は、姉さんに とっては『グリコのおまけ』のような存在に近かったのである。そんな姉さんがホントに 喉から手を出して買ってしまった物とは.... カラカウア・アベニュー、という賑やかな通りがある。ワイキキのホテル街に沿って走る この通りには、様々な土産物やちょっとしたショッピングモール、ブランド・アイテムを 売る店等が立ち並んでおり、常に観光客で賑わう場所である。 「完走できたら、あれを買おう」 その誓いを立てて今回のマラソンレースに挑んだ(らしい)姉さんは、走り終えた数時間後、 パパと共にローレックスの店へ足を運んだ。目的は、狙っていた超リッチな時計を探す事だ。 ああなんまんだぶ、神様は完走を目指して頑張る姉さんを天から見守って下さっていたの だろうか。ついに姉さんは、めでたく念願の時計をゲットしたのである。 パパ曰く.... 「買おうと思ってカード出したら、使用限度額超えとってん。姉、店からカード会社に 電話して限度額上げてもーてんで。やっぱりあんな高額のもん買う人には、店員も めっちゃ丁寧やわ。『どうぞこちらをつこーて下さい』言うて、パーンと店の電話出して きよったもん」 カードの限度額を上げてまで手にした時計の金額はズバリ、ン十万。こんな金額を 支払ったのでは、いくらよしりんがティファニーで高価な買い物をしても、 全く目立たないのは当たり前(笑) 姉さん、忘年会で光ってましたよ、その時計(^^) --------------------- File No.011 −意志疎通− 時計を買って幸せ気分の姉さんの話。 マラソン翌日、一行はバンを借りてオアフ島ドライブへと繰り出した。 天気も良く、まさに南国といった雰囲気の中、ドライバーを務めるパパは、カイルアビーチを 目指してハイウェイをぐんぐんと北上する。 この辺りには、「超」が100個ほどつく激辛エビの店と、アウトドア用品の店『パタゴニア』 がある。日本人観光客には滅多にお目にかからないこの地域は、メンバー達のお気に入りで、 毎年訪れる穴場スポットなのである。 しばしの間、この『パタゴニア』付近で自由時間を設けた一行。今回、水着を持って来て いなかった姉さんは、水着を買うためにある店に入ったらしい。以下は姉さんの口述である。 「ビキニ探してんけど、大きいサイズしかなかってん。で、店員さんに 『スモール、スモール!!』って言うたら、Sサイズ探してくれてん。(←姉さんは英語が ちょいと苦手)気に入ったのがあってんけど、やっぱりトップがでかかってんやんか。 ほんで、こうやって....」 と、両手でカップの形を作って胸の下に当て、 「『あい・にーど・ぱぁぁぁっっっど!!』って言うてん」 ........!? 「姉さん、『I Need Pad』って言うたん?」 「うん、分かってくれたで。『Oh, You need pad?』って聞いてきたもん。『イエース!!』 って言うたら、ちゃんとパッド出てきた」 『根性さえあれば、買い物に言葉はいらない』 どこかのCMのキャッチコピーみたいな言葉が、私の頭の中を駆け巡っていった。 --------------------- File No.012 −モルのいないS8− *ネタばれ度:45分間のEpiをわずか二行に凝縮した乱暴なあらすじ程度(笑)* 出国前から「日曜日の晩は、9時には部屋に戻るから」と宣言していた私。理由はもちろん、 S8のEpiを見るため(笑) 私が見たのは、ある罪を犯した男が逮捕され、拘置所に ブチ込まれる。一夜明けると、なぜか彼の周りだけ時間がさかのぼっていく、という話。 しかしあいにく、スカリーと、彼女の暫定的相棒(?)の出番は極端に少なかった。 「なんでぇ、なんで出番少ないねん? わざわざ日本から見に来たんや。オンエアーの時間に 間に合わへんからデザート食べんと帰ってきてんで!!(←私だけレストランから早めに 切り上げてきたのだ・爆)もっと出番増やさんかいっ!!」 マカダミアナッツチョコを片手に、「アンタ、一体ハワイへ何しに来たの?」とツッコミが 入りそうな罵声めいた言葉をテレビに投げかける私。まぁEpi自体はそれなりに面白かった けど(苦笑) ちなみに今回のEpiで印象に残ったシーンは、スカリーが身につけていたオメガの腕時計の アップだった(笑) --------------------- File No.013 −嗚呼、麗しき兄弟愛− 姉さんとまさやんは姉弟である。普段は互いに喧嘩腰のような口の利き方をしている事が 多いが、実は互いの事を気遣う、非常に仲の良い姉弟なのだ。 ホノルル滞在最終日の晩、この姉弟にある出来事が振りかかった。 アロハ・タワーという所にある『Hooters』(←昨年のレポートをご参照下さい)で食事を 終え、終バスを逃した私達はタクシーで帰る事にした。さすがに7人もの人間が一緒に乗れる ハズもなく、先発隊としてまさやん・よしりん・私の3人がタクシーに乗り込む。まさやんは 「デューティーフリー(=免税店の事で、ここまで無料で乗せてくれるタクシー・チケットを 使ったのだ)で待ってる」と言い残してアロハ・タワーを後にした。 一足早く私達が免税店に着くと、まだ店は開いていたのでここで自由解散となった。 胃の調子を崩していたまさやんだったが、早く帰ってベッドに横になりたいのを我慢し、 後発部隊の到着を待つべく店の入り口で待機する。よしりんと私も入り口付近をブラブラ していた。 しばらくすると、まさやんが血相を変えて私のところへ近づいてきた。 「アイツら、人が待ってんのにどういうつもりや!? もう帰るわ」 そんなような言葉を早口にこぼすと、彼は姿を消した。 どーしたんだろ、いきなり怒り出して? 不思議に思いながら上りのエスカレーターに乗ると、後発隊のメンバーが私の後を追うような 形でエスカレーターを上ってきた。 「いやー、なんか(タクシーが)変な場所に着いてな、店の出口から入ってきてん。まさやんは?」 「もう帰るって言ってたで」 そんな会話をしながら、私達は買い残した義理土産の数々(!?)をゲットするべく、 店内を一巡し始めた。 数十分後.... 「この荷物、全部スーツケースに入るんか?」などと言いながら、義理土産を山のように 抱えた私達はホテルに戻った。「じゃあ、おやすみ」と、一同はカードキーを使って それぞれの部屋へと入っていく。翌日の昼の便で帰国するため、ゴソゴソと荷物を スーツケースに詰め始めたその時.... ....ドンドンドンドン........開けてーな........ドンドン.......なあ、まさやん!! 「?」 「何の音ですかね?」 部屋を出ると、そこにはまだ荷物を持ったままの姉さんの姿があった。何度もドアを叩き、 中にいるまさやんの名を呼んでいる。横にはS君の姿もあった。 「まさやん、ドア開けて!!」 「どーしたん?」 「まさやん、中からチェーンかけて、入れてくれへんねん」 「お前がはよー帰ってこーへんからや。こっちは心配してんのに!!」という言葉が返ってくる ところを見ると、どうやらまさやんは何かに対して怒っているらしい。私達は手持ちの 安全ピンやカードを使ってチェーンを外そうと試みたが、全くうまくいかない。 (そんなのうまくいったら、セキュリティ面に問題ありだよなー・笑) そうこうしているうちに、向かいの部屋の宿泊客にまで「うるさい!!」と怒鳴られてしまい、 ひとまず姉さんはS君の部屋へ行く事になった。 パパからの招集命令(!?)を受けた私達は『朝まで生テレビ・緊急会議!!〜なぜまさやんが 姉さんを部屋に入れないのか?』なる議論を始めた。(←なんだこのショボいタイトルは!?) ♪まさやんはなぜ 突然怒ったの? ♪姉さんはなぜ 締め出しをくらったの? ♪おしえて〜おじい〜さん〜 ♪おしえて〜おじい〜さん〜 ♪おしえて〜 アルムのもみの木よ〜♪ みんなはまるで『アルプスの少女ハイジ』の霊が乗り移ったかのように「なんでやねん?」 を繰り返す。そして私達はついに、おじいさんにも、アルムのもみの木にも頼る事なく、 モルダー並みのプロファイリング能力で(ホンマか!?)ある理由を導き出した。 「....私ら、運ちゃんがタクシーつけるとこ間違えて、店の出口から入ったやん? それを見て、『既に戻ってきて買い物をしてた』と思ったんとちゃうかなあ? まさやん、店の前で待ってるって言うてたし、そやから腹立ててるんやわ」 だいたいの理由は分かった。次は姉さんを部屋に戻さなくてはならない。 「誰が話つける?」 気の立ったまさやんをどうやって説得するのか? 一同はシーンと静まり返った。 「そりゃーこのピンチを丸く収めてくれる力があるのは....」 生唾を飲んでパパの言葉の続きを待ったのは、私だけではないはずだ。 「ホーリー、頼む!!」 というわけで、母親のような優しさを持つ(実際母親なんだけど)彼女に交渉人役を頼み、 なんとか姉さんを部屋に戻す事に成功させたのである。 次の日.... ホノルル国際空港でビデオカメラを使って遊んでいたS君と私は、みんなに今回のツアーの 感想をインタビューしていた。 「姉さん、今回のホノルルはどうでしたか?」 姉さんにカメラを向けると、ヘレッとした笑い顔を作って力なく答えた。 「身も心もボロボロです....(苦笑)」 「今回の旅行で印象に残った事は?」 「ラスト・ナイト・イン・ホノルル....(更に苦笑)」 姉を気遣うがあまり突飛な行動に出たまさやんの過激さに、私達はすっかり今回の旅行の 話題をかっさらわれてしまったような気がした。 --------------------- File No.014 −心の安らぎ− 姉を部屋から締め出すという突然の行動で一同を驚かせたまさやん。おそらく一夜が明けた その日も、まだ彼の心中では複雑な感情が渦巻いていただろう。しかし、そんな彼の心を 見抜いたのか、帰りの飛行機の中にあったある物がそれを取り除いてくれたのである。 密かに「まだご機嫌斜めとちゃうかな」と余計な心配をしながら、私はまさやんの 隣りの席に座った。シートベルトを着用し、離陸を待つ。空へ舞い上がった飛行機と共に、 私達はホノルルに別れを告げた。 数時間後、機内食を食べ終えて眠くなりかけた時、まさやんは、昼食についていた ナプキンの残りで何やらゴソゴソと遊び始めた。 「何してんのん?」 私の問いかけにまさやんが答えたかどうかはハッキリ覚えていないが、数分後、 彼の手の中には青い鶴がチョコンと載っていた。まさやんはナプキンで折鶴を作っていた のである。しかも.... 「ひゅーん」 と、小さくつぶやきながら折鶴を飛ばし始めた。 少年のようにニンマリとした表情を作って鶴を飛ばすこの時の彼を拝めたのは、 隣りに座っていた私しかいないはずだ。そう思うと、妙に嬉しい気分になった。 しかし、それだけでは終わらなかった。すっかりご機嫌になったまさやんは残りの ナプキンにも手を伸ばし、新たな『お友達ヅル』を産み落としていく。極めつけには ウェストポーチから色ペンセットを取り出し、目まで書き出す有り様(←なんで色ペン セットなんて持ってんだ!?) 数分後 私のテーブルには、3匹の折鶴が体を寄せ合うようにして羽を休めていた。 「あげるわ、それ」 いらんわ....。 --------------------- File No.015 −終章− 『波瀾万丈』 こんな四字熟語がピッタリ当てはまる今回のホノルルマラソンツアー(端から見れば 「毎回が波瀾万丈」かもしれないけど・笑)も、メンバーにとっては『しっかり・こってり・ たっぷり』の3拍子で満喫できるものだったに違いない、と私は確信している。 私は今回ボランティアスタッフとして参加したが、この仕事がレースにおいて いかに重要であり、不可欠な存在であるかを、より一層強く認識できたように思う。 マラソンレースの主役であるランナー達。ある者は苦しそうに、またある者は晴れやかな 表情でエイドステーションに走り込んでくる。『フィニッシュラインへの執念』とでも 呼べそうな彼らのひたむきさは、ランナーの端くれである私の心を大きく揺さ振った。 マラソンレースを通じてしか得る事のできない特別な感覚を、彼らは私に思い起こさせて くれたのだ。 『私、今年はボランティアで参加する』 この言葉を聞いた友人達の、ほぼ全員が同じ事を聞いた。 「ボランティアって何するの?」 「それって、後で何かもらえるの?」 「往復の飛行機代が安くなるとか、そんな特典はないの?」 もしそんな見返りを期待するならば、決してマラソンのボランティアは務まらない。 『辛い思いをしにホノルルへ行く』 冷静に考えれば、これはまさにクレイジーな事である。しかし私達はランナーとして、 そしてスタッフとして、敢えてレースに挑む事を選ぶ。それは、42.195kmという道のりの 長さを知るクレイジーな者だからこそ取る事のできるクレイジーな行動であり、42.195km という道のりの苦しさを知るクレイジーな者達だけが引き寄せられる、第一級の娯楽 なのである。 毎年叩きつけられる、ホノルルからの挑戦状。 クレイジーな私達は、これからも受け取り続けていくのだろう。 最後に 姉さん、まさやん、パパ、S君、よしりん、ホーリーへ 楽しい6日間をありがとう。 今度は全身のクイックマッサージができるように、ちゃんと勉強しておくぜっ!! 1/30/2001 Amanda