* この作品は、ノンフィクションです。  全て事実に基づいていますが、あくまで超イイカゲン小娘の独り言に過ぎません。          何かしらの点で、気分を害された場合、本当に申し訳ありませんが、さらりと流して  頂きたいと、切に願います。 * 登場人物は全て仮名とさせて頂きます。  物語は、Minuki一家の視点を中心として、進めさせていただきたいと思います。 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜                               Itary First story                     第1巻          ――――― PRESENTED BY EMA MINUKI ―――――           〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜                                      【CONTENTS】                   登場人物紹介                序章 《どうでもイイ話》            T ミラノの書《ミラノなんてぇ・・・!!》           〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜                 登場人物紹介(全仮名) 今回のツアー旅行には、私達家族を含めて、総勢13人の参加者がおりました。 最初は「どうなる事やら・・・」と思っていましたが、10日間も寝食を共にすれば、 愛着だって自然に湧くものでございます。 【岡崎さん】 今回の添乗員さん。男性の方です。 10日間お世話になりました。あなたがしっかりやってくれたからこそ、 皆がこの旅を楽しく過ごせたモノだと思っております! ・・・が、アナタは少々高飛車気味でございますなあ。あれだけモノを言われる前に、 ご自分の服装などに気を遣って欲しいものです。 【梅田さん御夫妻】 通称「パパ・ママ」 本当に色々と笑わせてくれた、御年配(じゃなかったら、どうしよ・・・)のご夫婦です。 「やだあ、もう、パ〜パ〜!」といつも言ってるかわいいママ。 声は小さいけど、いつもニコニコとママの言う事を聞いてあげてる優しいパパ。 見ていてとっても微笑ましい二人です。特にお世話になりました! 【中川さん御夫妻】 通称「ラブラブ夫婦」 ご結婚されてから、1年半。20代後半位のご夫婦です。 海外旅行は3回目だとか・・・奥さん、やりますなあ!結婚前のお約束ですか!? ・・・・・・私もやろっと♪ おっとりとした奥さんと、頭が良さそうでいながらも、どこかボーっとしてるメガネの 旦那さん。手をつないだりと、わりと見せつけてくれたラブラブなお二人です。 【中島さん御夫妻】 通称「新婚さん」 今回が新婚旅行だったらしい、Happyなお二人。・・・の、ハズなんですけどおっ!! 「アナタ方、本当に楽しいんですか・・・?」という疑問がフッと湧いてしまった若夫婦。 背が高くて、おとなしい旦那さんと、見た目的には可愛いらしいけれど、どこか反応の 遅い奥さん。とても淡々としていて、ちょっと“新婚さん”には見えなかったお二人。 でも、“おとなしい旦那さん”と思いつつ、ワケのわからない所で、よくウケる人なので、 ますます私達にはナゾな人でした・・・ 【時田さん親子】 とっても賑やかで天然なお母さんと、それをしらっと見てる娘さんのレイコちゃん。 メガネをかけた、よく似た親子です。 私が母との二人旅だったとしたら、きっと一緒にくっついてただろうなあってカンジです。 レイコちゃんは大学1年生で、とってもしっかりした、話し上手の優しいコ。もっと色々話 せれば、仲良くなれたんだろうなあ・・・。ちょっと残念です。 【石井さん&網川さん】 通称「主婦二人組」 お友達同士主婦の二人組。 ブランド大好き!石井さん。 息子さんと娘さんのお土産探しに追われる、優しそうな網川さん。 この二人の“買い物パワー”はスゴイ!とにかくスゴイ! 「イタリアに来たら、そうこなくっちゃ!」って事をしっかり見せてくれました! 【Minuki家3人組】 通称「高尚親子」。ウソです。コレは“自称”。 通称基!「クールな親子」(これもあくまで予想) 家族単位で参加していた所為か、どうもグループ内で浮いておりました。 はいはい、物語のヒロイ〜ンのEmaと、その下僕・・・じゃなかった、母の典子と、兄の 竜太です。どうでもいい事ですが、父は当然ながら仕事でございました。 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜                 序章 《どうでもイイ話》       〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜  当然ながら、私達一家は2時間前には空港入りをしていた。 私は、ヒマに明かして携帯から友達にメールを打ったり、電話をかけていた。 私は友人にシラッと言われた。 「言っとくけど、向こうじゃ携帯使えないからね」 ・・・・・・いくら私でも、それくらい知っとるわあっっ!! しかし、どうしてこんなにヒマなんだろう?早く着いたのかな?  ――――――しかし、決してそうではなかったのだ・・・!! 私達は“集合”の意味を解っていなかった。この“集合”とはつまり、チェックインを全て済 ませてからという意味だった。何もせずにボーッと座っていただけで、ヒマも何もあったもん じゃなかったのだ。 私達は大慌てでチェックインを済ませ、一番最後の到着で、ツアー参加者と最初の御対面をし た。自己紹介も何も無い簡単な顔合わせだけで、再び解散、飛行機内での集合となった。 ◆◇◆◇◆◇◆              出入国カードに、署名をしてなかった事に気付いた。 書・・・こうと思ったら間違えた。(ボールペンで)自分の名前を間違えようとは難しい話だ が、私はパスポートのサイン自体、筆記体などという、非常にややこしいモノで書いていたの だ。当然、署名はパスポートと同じ書体でなければいけない。 妙なカッコはつけないほうが良いなあと痛感した。 ◆◇◆◇◆◇◆              そしてセキュリティチェック。 ゲートをくぐった時点で、私はある出来事を思い出してしまった。 高2の九州修学旅行でのセキュリティチェックだ。 私は1班だったので、並び順は担任・委員長・私と、後ろへ続く一列だった。 「じゃあ、皆、大丈夫かい?金属類は持っていないね?一人が引っ掛かると、後が詰まって迷  惑になるんだから、十分気をつけて!」 スーツにアディ○スのリュックは辞めて欲しいゾの担任が、真剣な顔付きで、生徒に振り返っ た。彼は普段ヌケている割には、こういう場ではイイカッコウをしたがると有名な担任であっ た。皆、「へ〜きで〜す」と気の無い返事をテキトーに返した。 「よし、皆大丈夫だね、行くよっ!!」 担任が、意を決して、ゲートに踏み入った途端・・・!! ピィ―――――――――――――――――――・・・・・・ 空しく電子音が鳴り響いた。言うまでも無く担任である――――。 「先生、ではちょっと、こちらへ・・・」 横に立っていた、警備員さん2人に、捕まった宇宙人の如く、彼は隅でボディチェックを受け ていた・・・。 それを横目に、スイスイと問題無く通り過ぎるクラスメイト達。 「な〜に、アイツ捕まったの?ダッサ〜」 「やっだー、あんだけエラソーに言ってたクセに、自分が最初に引っ掛かってやんの」 ポソポソとした女子高生のキビシイ囁きが、遠慮無くこだましていた・・・。 この光景を、前から三番目という、超VIP席で目の当たりにしていた私が、冷静でいられた ワケがない。ブザーが鳴った瞬間の担任の「ウッソォ」という表情は、今でも忘れられない。 もう、笑って笑って笑い転げてしまった・・・。 と、こんな話を思い出してしまい、家族に話したら、また皆で笑い転げてしまった。 きっと私は、セキュリティチェックを通る度に、あの時の担任の表情を思い出しては、笑う んだろうなあと、思った。 ◆◇◆◇◆◇◆           出国審査は凄い行列だった。皆どこ行くんだ〜?と、羨ましくなった。 ちなみに私達の搭乗した飛行機は、アリタリア航空だった。 航空会社にまるっきり疎い私は、この名前を聞いた途端、「有田リア航空かあ〜」と思った。 この会社のトップである日本人の「有田」という名前と、イタリアの“リア”という部分を くっつけた、シャレの利いた名前だなあと思っていたのだが、まるで違ったらしい。 兄に笑い飛ばされてしまった。 「日本と提携を組んでる航空会社」って聞いてたから、そうなのかなと思っただけなのに。 ◆◇◆◇◆◇◆ 出国審査の行列により、大幅に時間を食ってしまった。 兄が免税店で買い物をしている間、私はジャケットのポケットに手を突っ込んで歩いていた。 何と、そのポケットに十円が入っていた。・・・別に喜んだワケではない。 足元を救ってくれる十円玉も、今から行く異国の土地では、救いの手を差し伸べてくれない んだなあと思いながら、私は免税店の商品を、手にとって観察していた。 瞬間、チャリーン!と音がした。 十円を落としてしまったのだ。・・・例え役に立たなくとも、たった十円でも、お金をムダ にはできない。たかが十円。されど十円。救ってくれる十円・・・。 私は慌てて拾い上げて、ポケットに再びしまった。 兄が戻ってきたので、私達は搭乗ゲートに向かう事にした。 私はまたポケットに手を突っ込んだ。コンと指先に当たる十円玉の感覚が・・・2枚分!? な、何と、さっきまで1枚だった十円が2枚に、二十円になっている! こ、これはもしや、「不思議なポケット♪」だったのかあ〜!?どうせなら五百円玉でも 入れときゃヨカッタ〜!! ・・・などと思う程にまで、私は単純ではなかった。 どうやら私はスました顔をして、他の人の落とした十円を拾ってしまったらしい。 ・・・ま、いっか、十円だし。 私は再び歩き出した。そう、たかが十円。されど十円。救ってくれる十円・・・。 落とした張本人は、何食わぬカオで十円を拾った私をどう思っただろう? ひょっとして、私の態度があまりにも堂々としていたので、自分自身を疑っているかもしれ ない。何でも堂々としていればウマくいくらしい。思わぬところで一つ賢くなった。 しかし――――やはり私は、盗人だろうか? ◆◇◆◇◆◇◆ 搭乗ゲートに向かう私達の耳に、アナウンスが響いた。 「あ〜、早く早くぅ!!遅れちゃうよ!」 「待ってよお〜!」 バタバタと女の人達が、私達の横を走り過ぎた。 2時間前には空港入りしているのに、飛行機に乗り遅れる人がいるのだろうか? 私達はそんな話をしながら、歩き進めた。 しかし、周りはやたらと走っている。 ――?と、訝しんでいると、男の人の叫び声が聞こえてきた。 「アリタリア航空!まもなく出発致します!御搭乗される方はお急ぎください!」 ――――ハイ? 私達は顔を見合わせた。・・・のを合図に一気にダッシュをした。 何故?何故?時間はまだあるじゃ〜んと思いつつも、とにかく走った。 ・・・間に合った。あんな話をしつつ、私達が乗り遅れたなんて事になったらシャレにも ならない。ヨカッタヨカッタ。              いざ、(やっと)イタリアへ!!! 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜              T ミラノの書《ミラノなんてぇ・・・!!》 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 [マルペンサ空港] 12時間を越えて、私達はミラノのマルペンサ空港に降り立った。 すでに夕方の5時を過ぎていた。日本との時差は、マイナス8時間。 今頃日本は、朝の10時頃〜♪・・・ハッキリ言って信じられない。 私達は浮腫んだ足を引きずって、荷物が出てくるのを待った。 私達はボーっと周りを見渡した。・・・静かだ。・・・ここはホントにイタリアなのか? 空港ばかりはどこも変わり映えしないようだ。 あえて違いを見つけたのは、ずんぐりむっくりとしたカワイイ非常口のマークと、モデルの ようなおねえさんやおにいさんが、颯爽と歩いている事だろうか。しかも、このような人達 が持っているトランクは、やたらと小さい。それがまたカッコイイのだが、一体何が入って いるんだろう・・・?セーター2枚入れただけでいっぱいになりそうな大きさだ。 オシャレな人はやたらと荷物は持たないモノなのか? それとも、荷物を詰め込むコツでもあるのだろうか? ・・・ぜひ、中身を見せて頂きたかった。 おまけに、ポーターさんの『スーツケース積み上げのワザ』は並ではなかった! あの高さはピラミッド並だ。一番上のスーツケースをどうやって積み上げたのか、はたまた どうやって取るのか?謎は増える一方だ。 奥が深そうだ、イタリア! 私の胸は、これからの期待と興奮で、高鳴り出した。 ♪イタリアのワンちゃん♪ 今から思えば、イタリアには変わった犬が多かった。 空港のロビーには、「101匹わんちゃん」で有名な、ダルメシアンの仔犬を連れている人 がいた。実は本物を見たのは初めてだった。 何より驚いた事は、何と、この犬、「ワンワン」と吠えるのだ。 ・・・イヤ、犬がワンワン吠えるのは当たり前だが、何というか、犬らしいこもった響きが 全然ないのだ。まるで人間がマネているかの如く、ハッキリ「ワンワン」吠えていた。 これって、やはり犬のイタリア語なのだろうか・・・? ◆◇◆◇◆◇◆ [沈みゆく心] 何と言うか、夕方はとてももの悲しい気分になる。 ホテルに入ると、日はすでに落ちていた。私達は少し疲れながらも、近所へ夕食に出た。 いわゆる『ピッツェリア』と呼ばれるピザ専門店に入った。『海』という感じの作りだった。 ・・・メニューが読めない。 私達はまたどっと疲れた。店員のおじさんが適当に英語に訳してくれたものを頼んだ。 ピッツァとパスタとリゾットがきた。メチャおいしかった。 ピッツァは凄い大きさだったけど、味が濃くてとにかくおいしかった。 喜びは感じたものの、どうも気持ちは沈む一方だった。 と、いうのは『言葉の壁』とでも言おうか?私は、イタリア語をナマで聞いたのは初めてだっ た。英語だってわかったものでは無いが、それでも日頃からよく聞く機会があるので、英語圏 の方がずっと安心できるような気がした。 おまけにリラの計算にも慣れていないし、見かけるイタリア人は全く愛想が無い。 私の心にあったハズの期待と興奮がしょぼしょぼと沈んでいくようだった。 「眠い・・・お風呂で寝てしまった。でもPCがやりたいよ〜!!何だか寂しいよ〜!!  しかもイタリアのラジオは聞き心地が良くない。『#$%&*@○×◆∵〜?』としか聞こ  えないし、やったら早口なんだもん!でもでも、全ては明日から、明日から!  そう思って今日は寝るッ!」                           (Emaの日記より) ◆◇◆◇◆◇◆ [朝市] 緊張しているらしくって、5時過ぎには目が覚めた。 ・・・そういえば、ここはイタリアだった。 しかし、このホテルは日本人利用客が多かった為か、ちっともイタリアって感じがしない。 ホテルの外では、朝市が開かれていた。朝食後に、散歩がてら覗いてみる事にした。 果物やバッグ・靴などのお店がだーっと並んでいた。果物屋さんは、オシャレでとてもカワ イイ。色とりどりのフルーツだけでもカワイイが、その色合いをよく考えて、芸術的に並べ てあった。果物の入っていた木箱にしろ、使い方がとてもウマイ。 なるほど!さすがイタリア!お洒落とはこのコトか! しっかし、お店の人達の愛想の無さは何だッ!?皆、黙々と働いている。朝が早いせいもあ るのだろうが、お客がいても声もかけない、目が合ってもニコリともしない。 これだけ店が並んでいるのに、静か過ぎて、妙な感じがした。 それでも、『主婦二人組』はメゲずにしっかり買いこんでいた。スゴイ!この時点からすで に彼女達の買い物パワーは生まれていたようだ。 ホテルに戻った。が、フロントマン達すら、私達など眼中にないかの如く無視だ。 一体ダレだろう?『イタリア人は陽気』なんて言ったのは?イメージと違う・・・ 〜岡崎さんの話〜 「ああ、イタリア人は『お客様は神様』って感覚じゃないんだよ。どっちかって言うと、 『売ってやってる』って感覚かな?とにかく、自分達のサイクルを犠牲にしてまで、お客に  尽くそうとは、まず思わないね。それに、ミラノはやっぱり都会だから。南の方に行く程  人々の気質も変わって来るよ」 ・・・そーなんですか。う〜む、日本の感覚でいるとダメなんだなあと思い直した。 そして、『イタリア人は陽気』というイメージが、私達に大きな先入観を与えていたんだな とも思った。そのイメージが壊されたからって、私達はショックを受けたけど、もし、私達 から愛想良く微笑んだり、話しかけていたなら、もっと違う何かも見えたのかもしれない。 私達は精神的な疲れなどから、心に余裕が無かったのかもと、今だから思える事もある。 ちょっと反省! ◆◇◆◇◆◇◆ [ミラノ市内観光] 【ヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガレリア】  ドゥオモ広場とスカラ広場を結ぶ、全長200mのガラス張り円天井のアーケード街   「おお〜ッ!パンフで見たトコロだっ!」 私はひたすら上を見て歩いた。すごい、すごい天井だった。中央十字路にあった四大陸を描 いたフレスコ画も、とても綺麗だった。 アジアを表すフレスコ画には楊貴妃が描かれていた。ガイドさんは、 「残念ながら、我等がアジアのフレスコ画が、一番地味だと言われています」と言っていた。 私にはとても綺麗に見えたケド・・・きっと観察眼がなってないのねン。 【ドゥオモ】  ミラノのシンボルとなっている世界最大のゴシック建築物 アーケード街を抜けて、すぐ目に入ったのはこのドゥオモと呼ばれる大聖堂だった。 私は息を呑んだ。凄まじい迫力を感じた。500年の歳月をかけて完成した建築。 天上に向かって伸びる135本の尖塔と、2245体の彫像で飾られた白大理石の外 観の壮麗さは、素晴らしいとしか言いようが無かった。 巨大な内部は、本当に厳粛で、鮮やかなステンドグラスには必ず目を奪われる。 人の手でこんなモノが作れるのか・・・! ★Emaちゃんからの役に立ちそうも無いアドバイス★   ドゥオモ広場は、各国から人が集まる為、盗難やぼったくりが多いらしいです。   ここでは、突然ハトのエサを渡して、ハトと記念写真を撮らせて、エサ代をぼったくる   不届きモノがいます。近寄ってくる人には御注意を! 【スフォルツェスコ城美術館】  ミラノ最大のゴシック建築であり、優れた北イタリア美術の収集で知られる 建築にはレオナルド・ダヴィンチやブラマンテも携わった、茶褐色のいかめしい城塞だった。 しかし、何といっても最大の見所は、美術館。ミケランジェロが死の3日前まで製作してい たという、『ロンダニーニのピエタ』像は必見だった! 『ピエタ像』というのは、どうやら『マリアが十字に架けられたイエスを介抱している図』 を表す彫像の事らしい。この『ロンダニーニのピエタ』は未完であり、イエスの右足だけが 完成している。しかしながら、天才ミケランジェロの人間らしい葛藤が、よく表れていた。         「違う!私が求めるモノはこんなんじゃない!」 そう思ったらしく、イエスの右腕が折られていた。 その3日後に世を去っているとは、なかなかのロマンじゃないの〜!と、思った。 回廊の角の天井画は、草が覆い茂ったような図であった。「なんて事のない絵じゃない」と 思っていたが、“ダ・ヴィンチが描いたとされている”と言われた途端、イキナリ凄い絵だ と思えてしまい、写真まで撮ってしまう自分が何か情けない・・・。 【サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会】  ダ・ヴィンチの名画『最後の晩餐』で知られるドメニコ派の修道院 な、な、何て事だあああああぁぁっ!!!!! 『最後の晩餐』を見るが為に、自由時間にわざわざ遠出してここまで来たのに! 何と、『最後の晩餐』は予約制見学なのだ。予約制である事は知ってはいたが、ガイドブック には“直接並んでも可”と、書いてあった。が、この日は運悪くも、予約している人しか入れ てもらえなかった。こんな事ってあんまりだ・・・。 すぐそこに、壁一枚隔てた場所にあの名画があるのに!世界史や倫理の教科書に出ていたあの 名画が見れるのに! 私達は、やりきれない上に、疲れが出てきて、その場にしばらく留まっていた。 「竜太!“私達、日本から来たんです!どうしても見たいんです!”て、お願いしてきてよ」 母が言い出した。兄はしばらく思案していたが、おもむろに立ち上がった。 「おお!お兄ちゃん、カッコイイ!」と、思ったが、30秒後には、肩を落として帰ってきた。 果たして、兄にそんな事を頼めるような根性があったのだろうか・・・? ★Emaちゃんからの役に立ちそうも無いアドバイス★  と、いう訳ですので、私達のような悔しい思いをされない為にも、必ず予約をしていって  くださいね!歴史上に残る大切な壁画なので、小人数ずつしか入れてもらえないようです。  どうやら、人間の吐息が原因で絵が傷んできているとか・・・ ◆街で見かけたオシャレさん◆  私と母は、座り込んでいる間、しばしのマンウォッチンングを楽しんだ。  ファッションの街、ミラノ。人々の服装にちょっと視線を向けてみた。  どうやら、年輩の男性の間では、カーキ色が流行しているらしい。ダンディで素敵な方々は  大半がグリーン系統のコートを羽織っていた。 ◆◇◆◇◆◇◆ [体力の悲鳴] 「ここはイタリアなんだぞっ!?わかってるんだろうなあっ!?」 兄が振り向きざまに、解り切っていて、なおかつ聞き飽きたセリフを投げかける。 そうだ。ここはイタリアなのだ。あの長靴のような形の国の中に、私達はいるのだ。 私は、大地をだんっと踏み締めた。私達はどうも実感が湧かなかった。 『最後の晩餐』は見れなかったが、私達は近所にあった教会を、片っ端から回っていた。 イタリアに教会は、星の数ほどある。しかし、どんなに小さい教会でも、作りが本当に凝って いて、古い。どこの教会も必ず宗教画や彫像で彩られている。無名の画家や彫刻家の作品であ っても、本当に素晴らしいので、見ていて飽きることはない。 私は宗教については何も知らないが、教会の厳粛でいながら穏やかな雰囲気はとても好きだ。 そして、何より、教会自体がとても素敵なので、雰囲気に酔えてしまうのだ。 ・・・が、この時、私の体調はもうサイアクだった。 と、いうのは、お昼に食べた、サフランのリゾットと、ミラノ風カツレツが胃にきていた。 両方ともおいしいのだ。但し、体調が万全ならの話だ。 イタリア料理はとてもおいしい。どこで食べても結構イケル。 だが、とても重いのだ。長時間飛行機に乗り、日付変更線を越えて、私達は超不規則な食事を とっていた。その上にイタリア料理はとても重い為か、私の胃はひしひしと軋み始めていた。 おまけに、疲れも取れないままにひたすら歩いていた事から、足は重いし、頭はガンガンして きた。しかし見たい場所は、まだまだある。 とりあえず、私達は【ドゥオモ】に戻ってきた。「やっと座れる」と思って安心した私は、お もむろに欠伸をしてしまった。・・・警備員のおじさんに睨まれてしまった。 スミマセン、不謹慎でしたあ・・・、ココは神に祈りを捧げる場でしたね。 兄と母が、ガイドブックを見ながら相談している間、私はずっと天井を見ていた。 壮大で奥深い天井や、鮮明なステンドグラスを眺めていると、ウトウトしてくる。 天に召されそうだった・・・ところで、兄と母に引き戻された。(起こされた) 私達は、足を引き摺りながら、【ヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガレリア】に戻って、ショ ッピング街を覗いた。プラダの本店から、超高級ブティックまで揃っていたが、本場とはいえ、 お高い事には変わりなかった上に、リラの計算に慣れていない。それに、私達に買い物をする 気力は残っていなかった。観光地として、覗いただけで、さっさと退散してきてしまった。 残った体力で購入できたのは、好きなアーティストのビデオクリップ集だけだった。 後に、友人に「ミラノでは何も買い物しなかった」と告げたら、こう言われた。 『ばっかじゃ〜ん!?信じらんなーい!ミラノっていったらファッションの街でしょーが!  私なんて、お母さんがミラノに行った時、マネキンが着てる洋服を上から下まで買ってきて  って頼んだんだよ〜!買い物しないで何してきたの?』 ・・・観光だよ。 ってゆーか、時間が無かったのッ!時間さえあれば、私だってえ・・・!! ★Emaちゃんからの役に立ちそうも無いアドバイス★ 何と!イタリアと日本は、電子機器の規格が違うのか、例のビデオクリップ集は見れませんで したあああっ!悲し過ぎます〜!!これじゃあ、お金をドブに捨てたようなモノですう〜! だってえ、兄が前にアメリカで買ってきたビデオは見れたのにいいい〜〜〜! 皆さん、気をつけてくださいねっ!(・・・え?ジョーシキ?) 私と兄は話し合いました。 私「ねえー、どうしたら見れるようになると思う?」 兄「さあ〜?イタリアのビデオデッキを買えばいいんじゃないの?」 私「へっ!?」 兄「ビデオデッキだけ買っても、うちのテレビにゃ合わないだろな」 私「・・・じゃあ、テレビもイタリア製にするの?テレビも合わないよきっと」 兄「そりゃそーだなあ。じゃあ、こーなったら・・・」 二人「イタリアに住めばイイんだっ!!」 これで解決です!何て賢い兄妹でしょう♪ ◆◇◆◇◆◇◆ [侵入者!?] 部屋に帰るなり、私はそのままベッドに倒れ込んだ。 気分は悪いし、胃は痛いしで、私の体はわずかな動きすらも拒むほどだった。 そんな私を知ってか知らずか、兄が「夕飯食いにいこーぜ」と、ごきげんにガイドブックを開い ていた。「何をゆうかああっ!」と、言ってやりたかったが、そんな気力も無かった。 この旅行中、兄は一人でやたらと元気だった。ムカつくほど元気だった。 だが、母もかなり疲れていたので、外に夕飯を食べにいくのは渋っていた。 「なーに言ってんだよ!ここはイタリアなんだぞ!」 また聞き飽きたセリフを繰り返して、母を説得していた。私の意識はこの辺りで遠のいていた。 「――――・・・・・――・・――」 私は途切れ途切れ聞こえる声に、薄っすらと目を開けた。だんだん声がはっきりしてくる。 「あれ?何で窓が開いてるんだ?」――兄の声だ。 「開けていったっけ?うそお!閉めてったような気がするけど」――母。 これらの言葉が耳に入った時、私の意識はハッキリした。 ちょっと、ちょっとお、コワイ事言わないでよお・・・私が寝てる間に、誰かお客が来たと でもいうんかい!?と、思った途端に、兄が私の元に駆け寄ってきて―――― 私の枕の下に手を突っ込んだ。 「あ〜、よかったあっ!俺のサイフは無事だ!」 ・・・妹よりカネですかいっ!?私の枕の下はセーフティボックスか!? 「ここのステーキ、めっちゃうまかったぜ!」 「ほ〜んと、おいしかったねっ!」 ・・・許せん。 病床の娘・妹を残していって、この無神経な会話は何でしょう? な〜んちゃって、慣れてるので平気で〜す!! しかし、この二人に負けない為には、元気になるしかないぃっ! と、思ったのも空しく、私は明け方まで胃痛に悩まされた。 「胃は痛いし、サイアク・・・何でこうなるの?あと8日も残ってるのになァ。  ちょっと帰りたいとか思っちゃうよ」   (Emaの日記より) 最後のミラノの夜はこうして更けていった。あまりいい思い出がない。 しょげる事はないぞ、Ema! 未来は明るい! 希望を持つんだ、さあ! 水の都、ヴェネチアに向かってゴーゴーだ!  旅はまだ始まったばかりである―――――――― 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 つづく 〜・〜・〜・〜・〜・〜・ ここまで読んでくださった方がいらっしゃったのなら、感謝の気持ちでいっぱいです! 思い出した事を全て書いていたら、ものすごい長さになってしまいましたあ・・・ 本当にすみません。ひとまずこの辺で区切らせて頂きます。 長い物語になりそうですが、私達親子に、もう少しおつきあいして頂けると嬉しいです。              ありがとうございました!!!                                   Ema