01/31/99 DISCLAIMER// The characters and situations of the television program "The X-Files" are the creations and property of Chris Carter, Fox Broadcasting, and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringement is intended. WARNING//この作品は一応Mulder/Scullyのロマンスです。 しかし、前半にはソフトですが別々の相手とのやり取りを匂わせる部分もございます。 絶対モルスカじゃないと駄目だと言う方、また、Scullyが複数の男性とするはずがな いとお考えの方は読まずにおいてください。 読んで頂ける方にも、内容の悪さはお許しください。 最後に、あくまでもこの作品は、MulderとScullyの名を借りた私の一人走りです。 そして、短いにも関わらず続き物です。 ------------------------------------------------------------------------------ Central Hotel The 15th Floor 0:08 a.m.FRI 静かな廊下には、毛足の長い赤い絨毯が敷かれている。 廊下を照らすライトの灯りは僅かに薄暗く、離れた位置ならそこに立つ人物の表情を 読み取る事は難しい。 だが、そんな薄暗さがかえってその場所の緊張を高めている事も事実だった。 ------------------------------------------------------------------------------    Bring...to light                       Author:Kate                        Rating:R ------------------------------------------------------------------------------ 0:12 a.m. 角部屋の1つ手前の扉から、深紅のドレスを身に纏った女が外に出てきた。 女は中にいる男を無理矢理外に連れ出すと、僅かにつま先立って男の唇を貪るように 味わう。目を閉じ悦に入る女のねっとりと絡みつくようなKISSが、逆に男の意識を逸 らしていると言うのに...。 馬鹿馬鹿しさに支配されながら男は女の肩越しに見える別の男女に気をとられていた。 そこでは、もう一つのラブシーンが繰り広げられている。 そちら側の女の姿は相手の男に隠れて見えないが、その動きと微かに聞こえる音は彼 等のそれに負けず劣らず激しい。  どいつもこいつも... 男はなおも貪り続ける女の肩を優しく押しながら、漸く離れた唇から小さく溜息をも らす。 「また...」 「ええ、待ってる。」 女は自分の親指で男の唇についた口紅を拭いながら笑顔を見せ、きびすを返すとエレ ベータへと向かった。 男は女の姿を見届けることなく、もう一度部屋へと戻りドアを苛立たしげに閉ざした。 数秒後、隣の部屋からは更に激しく扉を閉じる音が響いていた。 ------------------------------------------------------------------------------ 1:24 a.m. ゆっくりと開いた扉。 私はその明るすぎる光に目を眩ませながら、エレベータの中へと足を進めた。 誰も乗り込んでいないエレベータに安堵し、フロントと書かれたボタンを押すと、 後ろの壁に疲れた身体をあずけた。 不意にその唇から漏れる溜息に、一気に気分が滅入る。  誰か... 締まり掛けた扉に手が差し込まれ、ガシャン!と大きな音を立て再び開いた。 私はその音に驚いて崩れ掛けた身体を強張らせる。 「Sorry」 開く扉の外から聞こえてきた声に気を取り直し、身なりを整えるため俯いた。 視線の先にはスーツの足元。 私は何故かそこから上へと視線を上げたい気分になっていた。 その時、私の頭上で「あっ」とくぐもった声が聞こえる。 視線を上げると、彼の『パニックの表情』が目に入ってきた。 ----------------------------- 1:24 a.m. ブーンという僅かなモーター音と一緒に、気まずい筺は動き出した。 さっきから僕の頭の中では、何か声を掛けなきゃ...と、何か声を掛けてくれ... この二つの思いが現れては消え、消えては現れを繰り返している。 互いに何も言えずに...いや多分、探り合いながらフロアーナンバーを示す光の流れ を見上げ続けた。 「ふっ」と言う溜息と共に視界の端で彼女が俯くのを感じ、僕は漸く視線をそちら に向けることができた。 いつものように完璧なスーツ姿の彼女は、俯いたまま白い手の中でルームキーを弄 んでいる。 筺の中の空気が変わって、彼女の名を口にしようとした瞬間、揺れるルームキーが 僕の目に留まった。  『1501』 金色に輝くプレートのナンバーは、あの角部屋に彼女がいた事を物語っていた。 そして僕は、彼女の名前を喉の奥深くへと呑み込んでいた。 ------------------------------------------------------------------------------ The 1st Floor 1:25 a.m. 無言のエレベータが開いて、私は彼より先にフロントへと向かった。 この時間のロビーには人の姿はなく、少し寒々しい感じがする。 フロント内に誰もいないことを確認して、私は呼び鈴に手を触れた。 数秒して従業員がにこやかな笑顔と共にやって来る。 こんな時間でも営業スマイルを崩さない彼に、何事も無いかのようにチェックアウ トを申し出る私。 背中には彼の視線を苦しい程感じているのに。 私がキーを渡そうとしたその時... 「そっちはいい。こっちを...」 彼は素早く自分のルームキーを渡すと、私の手の中に1501のキーを納めた。 「えっ、あの、でも、それはそちらの...」 「いいんだ...」 驚く従業員を後目に彼は低い声で言う。 「畏まりました。」 従業員は何かを感じ取ったのか、それ以上言葉にせずプロの仕事に徹していた。 私は、信じられないと背を向けて一人フロントを離れた。 ----------------------------- 1:30 a.m. ソファーで苛立たしげに足を組む彼女に近づいた。 僕に気付きながらも視線を逸らしたまま、1501のルームキーを掌に打ち付けている。 そんな彼女に僕は苦笑いしながら声を掛けた。 「気に入らない?」 視線を上げた彼女の瞳は、その姿から想像できない程落ち着いている。  怖いぞ...Scully そんな事を考えながら、次の言葉を続けてみた。 「折角会ったんだ...飲まないか?」 「折角?!」 鸚鵡返しのように呟いた彼女の声は、やっぱり何処か落ち着いていて、僕の方が少し 面食らった。 彼女は、深く腰掛けていたソファーから立ち上がると、一呼吸置いて口を開いた。 「あなたの奢りよ。」 そして、僕達は並んでエレベータへと乗り込んだ。 ------------------------------------------------------------------------------ Bar 1:42 a.m. 「さっきの男、何処で見つけた?」 突然口を開いた僕に、遠くのざわめきを見つめていた彼女が視線を合わせた。 「忘れたわ、そんな事。適当に誰でも...」 「奴が聞いたら卒倒しそうな話だな。」 僕は笑みを漏らしながら彼女の言葉を待ってみた。 「奴?」 「寝たんだろ?Skinnerと...」 彼女の瞳が一瞬だけ揺れて、僕から視線を僅かに外した。 「何で知ってるって顔するなよ。これでも...」 彼女は言葉の続きを待たずに、グラスの中の氷を指でつつくと静かな口調で呟いた。 「ええ、寝たわ...」 「ふーん」 「そう言うあなたこそ、Louisaと寝たんでしょ?  何で知ってるって顔...わざわざ彼女が聞かせてくれたのよ。気をつけなさい。」 僕はLouisaの子供の様な行動を鼻で笑いながら、必死に話を切り替えようとする彼女 の気持ちを感じていた。 「ご忠告どうも...そう言えば、彼女はしきりに君の事を気にしていたな。  彼女と寝て、君がどれだけ局内でやっかみの対象になっているか分かった。」 「それはどういう?」 「さぁ...」 「まさか、あなたといつも一緒だからとか?」 そう言うと、彼女は上目遣いで微笑んで見せた。 「少なくともLouisaは僕等の事を勘違いしていたみたいだな。」 「はっ...馬鹿馬鹿しい。私達の間にはそんな甘いものなんてないのに...  これからも...これからも、きっと何も起こらないわよね?私達...。」 この時僕は、彼女が尋ねる振りをして、まるで自分に問い質しているように感じてい た。 長年パートナーの域を越えられずにいながら、何よりも相手を欲している。 もっと簡単に、もっと普通に相手を求めればいいのに...それでも、それが出来ずに、 別の相手との堂々巡りを繰り返す。  もっと簡単に、もっと普通にか... 僕はグラスの中身を一口飲んで、苦い顔で尋ねた。 「...君はどう思っている?」 「私?」 「そう君だ。」 「そうね...何も起こしたくないって言うのが本音かしら?」 「何故?」 「...心の部分では誰にも私達の間は邪魔できないって思ってる...  でも、きっと、女と男って部分では誰でも簡単に入り込めるのよ...  そうなったら簡単に壊れるわ。」 僕は何故か彼女の言葉に苛立ちを覚えた。 「そうなってもいないのに、何でそんな事が言える?」 僕の問いに、彼女は言葉を探しながらゆっくりと語った。 「だって...本当の私は...あなたを誰にも渡したくないって思っている...  それは、あなたも同じでしょ?」 「ふーん、その理論で行くと僕は君をってことか...?」 「違う?」 そう言って、僕の方を真っ直ぐに見据えた瞳は、いつもより何か晴れ晴れとしていた。 僕はその瞳に答えるように、彼女を見つめ返しながら答えた。 「いや...」 そして、グラスの中身を一気にあおると声を掛けながら席を立った。 「こいよ。」 「待って、まだ...」 動かない彼女に業を煮やし、強引に腕を掴むと席から立たせた。 「そんな水っぽいもの飲んでも眠れない。どうせなら疲れて眠る方がマシだ。  それに...その理論が正しいのか試してみたくなった。」 「私が嫌だって言っても?」 「怖いのか?」 「ふっ...怖い?」 「ああ、違うか?」 彼女の瞳を少しだけ嘲る様に覗き込んでみた。 そんな僕をジッと見つめて彼女は唇を動かした。 「言っておくけど、あなたに煽られた訳じゃないわ。  今夜は、疲れて眠りたいって思っただけ...」 この時、囁く唇の光る赤が僕の心をざわめかせていた。                              to be continued ------------------------------------------------------------------------------ *ご挨拶*  以前から色々な方の作品を読ませて頂いていたのですが、  今回は初めて自分も書いてみました。  何だ?この作品...と思われた方もいらっしゃるかと思い  ますが、独り善がりな楽しみだと思ってご理解ください。  ところでこれ...ホントに続けられるのでしょうか?                              by Kate *お願い*  よろしければ、今後の参考にさせて頂きたいので、お読み  になって感じた事など、聞かせて頂ければ幸いです。 e-mail:kate87@geocities.co.jp