03/22/00 DISCLAIMER// The characters and situations of the television program "The X-Files" are the creations and property of Chris Carter, Fox Broadcasting, and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringement is intended. WARNING//この作品は一応Mulder/Scullyのロマンスです。 二人の性的関係を表す描写がございます。18歳未満の方及び二人のそう言ったものを望ま ない方はご遠慮ください。 最後に、あくまでもこの作品は、MulderとScullyの名を借りた私の一人走りです。 ------------------------------------------------------------------------------    Bring...to light Vol.2                       Author:Kate                        Rating:NC-17 ------------------------------------------------------------------------------ The 15th Floor 2:42 a.m.FRI 彼の後ろに続いて私は無言で歩いていた。 部屋の前に来て彼が漸く私に向き直ると、私の目を見つめてから視線を手の中の物 へと移した。 私は無言で彼へとキーを差し出し、ドアが開くのをジッと眺めていた。 「どうぞ...」 彼はドアを押さえながら私を部屋の中へと促した。 「ここはあなたの部屋?」 私は何故かその仕草がカンに障って、嫌味に一言を呟いた。 しかし、彼はそんな私を見透かしたように唇の端を僅かに歪める。 「いいや。でも、これから僕等の部屋になるんだろ?」 そんな行動が私を必要以上に苛立たせ、押し黙らせていた。 部屋に入ると彼は私の横を通り過ぎ、ベットの端に腰掛けた。 ネクタイを緩めシャツのボタンを手早く2つ開けると、両の手をベットにつき壁に もたれる私に視線を向けた。 言葉にしなくても、その視線が「どうするんだ?」と語り掛けてくる。 私は何も言わずにベットに近づくとジャケットのボタンにそっと手を掛けた。 「Scully...ホントに後悔しないのか?」 彼の声が頭の中を右から左へと流れていく。 私は、こらちを見上げて呟く彼を眺めながら、ただボーっとくだらない事に意識を走 らせていた。  彼は、いつもこんな風に私を眺めているの... くだらない事...それは、ただこうして意識を逸らすことで今の現実から逃げようと しているだけなのかもしれない。 それでも、そうする事で少しだけ自分を冷静にさせる事ができる。 何も答えない私に彼はもう一度声を掛けてきた。 「Scully?」 「...今更どうしてそんな事を聞くの?」 「いや、ただ...」 「言ったでしょ...今夜は...」 そう口にした瞬間、私の心の中では口に出せない気持ちがこみ上げていた。  本当は違う、そうじゃないのに... 「だったらそんな顔するな。」 「別に...」 「出来ればそんな表情の女と愛し合いたくはないね。」 彼は、ヘーゼルの瞳を挑戦的に輝かせて言う。 「愛し合う?」 私はその単語の意味すら理解出来ないかのように繰り返し尋ねてみせる。 「それが駄目なら...慰め合うにするかい、Scully?」 彼はニヤリと唇の端を上げると、ジャケットの中へと手を差し入れた。 私を見上げたままウエストの部分からブラウスの裾を引き抜いて、後ろのファスナーを サッと降ろす。私の身体にまとわりついていたタイトスカートは、バサリと音を立てて 落ちジャケットと共に私の足元を占拠した。 下半身に感じる冷気と、彼によってはぎ取られたものを確認し私は一瞬固く瞳を閉じた。 開放されたブラウスの裾から不意に手を差し込まれ、彼の指が私の曲線をなぞっていく。 その指が時々敏感な部分に触れると、電流が走った様に私の身体は反応し、彼はそれを 楽しげに眺めていた。  今、身につけているもの全てが無くなったとき、彼の表情はどう変わるのか... 私はそんな事を考えながら、ただ黙って彼の手の動きと曲線をなぞっていく温もりだけ を感じていた。 ----------------------------------------- 僕の目の前に広がる白磁の肌。 そのあちらこちらに置かれた薄紫の内出血は、あまりにも生々しく僕を嫉妬以上の何か に狂わせていく。 僕の中で誰かが嘲るかのように声を挙げた。   FOX...見てみろ!これが彼女の現実だ。生身の彼女だ。   他の男からみれば、お前がさっき抱いた女と大差ないって事だな...   どうだ、こんな彼女を見たくなかったか?知りたくなかったか?   ふっ、情けない...くだらないと思わないのか?   彼女を神聖視しているけど違うだろ?   単なる逃げ口実。   本音は、お前が彼女を受け入れるだけの許容がないだけ。   大切なものを失うことが恐くて、弱くて彼女を抱けないだけだ。   彼女を煽るような事をしておきながら、また、逃げ出すか?   答えろよ、FOX! 僕の頭の中でもう一人の僕が毒づく。 僕は無意識に彼女の肩を強く掴みながら、荒い呼吸を繰り返していた。 そんな僕を見て、彼女は静かに呟いた。 「こんな私は見たくなかった?」 「...」 「...何も言えない。でも、私だってただの女よ...」 そうだ。彼女は僕の目の前では常にパートナーであろうとした。 女である事を押し殺し、時にはDana Scullyと言う自分自身をも押し殺していた。 そうさせていたのは、他ならない僕達互いの弱さ。 いつの頃からか「信頼」と言う名の綺麗な友情に甘んじ、生身の相手を受け入れること に目を背けてきた。 そんな彼女の身体に残る「夜の痕」は、女である事とそこに生じる心の葛藤の証なのか もしれない。 僕は掴んだ肩を離し、そっと彼女の胸元にある内出血に手を触れた。 彼女の喉がゴクリと響いてその緊張が伝わってくる。 暫く彼女の瞳を見つめてから、体勢を変えて胸元へと顔を落とした。 そこに舌を這わせ、まるで傷口でも舐め上げるかのようにチロリと舌を出し丁寧に触れ ていく。 そんな僕の行為に彼女の唇が一瞬開いて「はっ」と声が漏れる。 その声を聞いて僕は、下へと続く残りの赤い道筋にそっと口付けていった。 彼女は、僕の唇の流れに気付いて、途端に非難めいたそれでいて切なげな声を挙げる。 「...Mul、いや...」 僕は彼女の声に気付かない振りで、少しだけ小高くなった下腹部に舌を走らせた。 彼女は耐えきれない様に、僕の頭に手を滑らせて髪をギュッときつく掴んだ。 そして、崩れるように自らベットへと倒れこんだ。 ----------------------------------------- 私の身体を舐め上げる音が、私をどんどん淫らに変えていく。 さっきまで感じていた何かしらの拒否感は、女としての欲求へと変化し、自分の内側がし とどに濡れていくのが分かる。 彼の指がその内側を彷徨うと、私の水嵩が増して部屋には更に淫らな音が響いていた。 それはまるで、私が「どれだけ彼を感じているのか」を知らしめるかのように。 そして私の身体は、1本1本確実に増やされていく指を容易に受け入れてしまっている。 その度に声が漏れそうになるのを必死に抑え込み、私は、まるで苦痛を味わうように表 情を歪める。 今度は、彼の柔らかな髪と生暖かい息遣いが、私の付け根を刺激する。 中心のそこを避けるように、腿の内側や深溝の淵に口付けていく。 微かに感じる刺激と指から舌へと変化を遂げた動きは、更に私の身体を敏感にしていく。 「Scully、我慢するな。」 私の中心から彼のくぐもった声が聞こえる。 その声が、私を耐えられなくしていることをこの男は理解しているのだろうか... 動く唇が、私を狂わせていること理解しているのだろうか... 「Scully?」 彼の顔が久方ぶりに、私の元へと近づき不器用にKISSをせがんだ。 私が彼の唇を甘く噛んでそれにこたえると、今までに見せたこともない表情で優しく見つ め返してきた。 その瞳があまりにも純粋で、それでいて艶やかで、胸の奥底が一気に燃え上がる様に熱く なる。どうしようもなく切なくて、思わず顔を背けてしまう。  お願い...そんなに優しく抱かないで。  きつく抱きしめて...私の思いを壊して欲しい...  あなたに決して溺れないように...   また、こんな風に感じてしまう己を呪う、いつからこんな辛い愛し方を選ぶようになった のか。自惚れでなく彼に愛されていること、互いに愛し合っている事は、十分過ぎるほど 分かっているのに。 こんなにも深く彼を感じながら、私は甘い蜜に溺れまいと必死になっていく。 快楽の度数が高まるほどに、私の心も濡れていた。 ----------------------------------------- 上気した肌とは裏腹の、蒼い瞳が僕を拒んだ。 彼女を攻め続け、いつしか有頂天になっていた僕を奈落の底へと貶める。 そして、興奮が高まれば高まるほどに色めき立つ別の男の痕に、また僕は嫉妬せずにいら れなくなる。 快感に反応する身体と燻り出す心のバランスは、僕の想像を遙かに超え、やもすると気が 触れてしまうのでは無いかとさえ思う。 いつもの女を抱くように、本能に身を任せ過ごせる方がどれほど楽か。 そう思いながらも、こんなにも危うく、こんなにも激しく僕を乱すことが出来るのは、一 人だけだと認識する。 そしてまた、その逆も... 僕を拒みながらも彼女から感じる、肌の暖かさ、触れる唇の温もり。 どうしようも無いくらい、この女を愛していると感じてしまう。 更に深みに填った様に、僕は彼女から抜け出せなくなっていく。  ...Scully...それが理由か? 抜け出せない甘い蜜。それが彼女の僕に対する拒絶の理由なら、僕はどんな風に愛せば いい。 狂ってしまいそうになる程の嫉妬も、彼女を失うことへの恐怖も、全てをジョークで隠 してきた。気付いてないよう、気付かせないように過ごしてきた。  いつまで、僕等は嘘を願うんだ...Scully。 僕は背けた顔を無理矢理に向かせると、その口の中に舌をねじ込んだ。 彼女の手が僕の胸を押し上げようと必死になる。しかし、その力加減が本気で無いこと を物語っている。僕は、彼女に言い訳の機会を与えられる様にと、その手を片手でねじ 上げた。そして、彼女の動きを封じ込むともう片方では白い膨らみをとらえる。 僕の手に若干余るほどのその膨らみを柔らかく揉みしだくと、掌の中心に固いものを感 じた。  もう、何も考えるな そう自分自身に言い聞かせ、彼女の理性と拒絶に攻撃を掛ける。 もう一度下へと移動して、汗で輝くレングスを肩に担ぐと中心に顔を置き上目使いで様 子を垣間見た。そして... 「Dana...別の男の匂いがする。」 声の様子を抑えて、彼女を少しばかり詰るように囁いた。 「Mul!!」 途端に彼女は、非難するように名前を叫ぶ。 「逃げるな!気に入らないんだ。」 「最初から...あっ、分かっ...んっ...」 ここまで来ても、憎らしい口を利く彼女に苛立ち攻める。 「ああ、でもムカツクね...僕にどうされるか、感じろよ。」 縛られるような腰の痛みを感じ、僕は彼女のくびれを掴むと一気に突き上げた。 その動きに合わせて、彼女の身体が上下する。 その度に、彼女の唇からは声にならない声が流れだす。 強弱をつけながら繰り返す動きは、ベッドのスプリングを軋ませている。 それはまるで、僕のバランスの悪い心のように軋み続けた。 ------------------------------------------------------------------------------ Bathroom 4:07 a.m. 気怠くなった身体を包み込む熱いシャワーの滴。 私は壁に手をついて、強く打ち付けてくる滴を感じていた。 肌にビリビリと感じる程の熱さに、私の身体は赤く染まり、彼の刻印を色濃くしてい く。体中に残るその様を見て、まだ快感の余韻を残したこの身体の炎を呼び覚ます。 正直に反応する私の間から流れ落ちた彼の滴に、私は堪えきれずに崩れ落ちた。  私の中に彼がいるのを感じた。  誰とも違う彼を感じた。 彼に抱かれたという証が、私の心を揺れ動かす。 虚しいと感じながらも、別の男に抱かれた自分を思い出し、誰にも感じたことのない この苦い切なさに、彼を愛している事を思い知らされる。 「Mulder...」 漸く、今夜初めて彼の名を甘く呼ぶ。 シャワーに掻き消される事を願いながら、もう一度この唇に乗せると抑えていた涙が 溢れ出した。  自分のしてきたことに後悔している訳じゃない...  でも、もう少しだけ、もう少しだけ私に時間を下さい。  色々な事が許せる様になるまで... 私は、止めどなく溢れる涙をシャワーの滴に紛れさせた。 ------------------------------------------------------------------------------ In the Bed 4:29 a.m. 彼女の抜け出したベットの中で、僕は一人シャワーの水音を聞いていた。 暫くして、暖かい空気と石鹸の香りが目を閉じる僕へと近づいてきた。 彼女の手が一瞬躊躇って僕の頬に柔らかく触れる。 今夜初めて僕を優しく包み込んだその手は、あまりにも小さくて愛しさがこみ上げる。  何度この手が僕を救ってくれたのか...  何度この手が僕を暗闇から引き挙げてくれたのか... 僕は、堪えきれずにその手を優しく包み込んだ。 「Mul...」 驚いた様に声を挙げる彼女に、僕はそっと呟いた。 「Scully...KISSしてくれないか?」 目を閉じたままで彼女の動きを待つ。 薄い影が僕の顔を覆って、甘い唇が僕に触れる。 本の数秒がどんな時間よりも長く感じられ、こんなKISSがあることを僕に改めて気付 かせてくれた。  こんな君を見せつけておいて、愛するなって方が無理だよ... そんな事を考えながら、唇の端に滴を感じた。 口の中に広がる甘く苦い味は、その滴が涙である事を教えている。 それでも隠したいだろう彼女を思って囁いた。 「風邪引くぞ。」 「ふっ、大丈夫よ。」 包んだ柔らかな手がすり抜けて、彼女がこの部屋を出る時だと悟った。 「Mulder...遅れないでね。」 いつもの彼女の声が、僕に囁いた。 僕は何も言わずに片手を挙げて了解の合図を送る。 そして、それを見届けた彼女が部屋を抜け出した。 閉じられたドアの音に、いつかこの部屋を共有出来る日が来る事を願いつつ、一人の 切なさを噛み締めていた。 Fin ------------------------------------------------------------------------------ *最後に*  最後までお付き合い頂きありがとうございました。  書く事って本当に大変なのですね。  こんなに掛かるとは思いませんでした。  しかし、これに懲りずにまだ幾つか無謀な計画を立てております。                              by Kate e-mail:kate87@geocities.co.jp