THE X−FILEの著作権は全て クリスカーター、1013,20世紀FOXに帰属します。 本作は、作者の楽しみのみに書かれたもので、営利目的 著作権侵害を目的とするものではありません。 「TRIANGLE AFTER」 Spoiler:「トライアングル」 Author :Melody ****************************************          「Scully・・・I Love you」          「Oh、brother!」    あの言葉は僕の真実・・・Trust me・・Scully モルダーは退院した翌日、いつもの様にFBI局内地下室に向かった。 ドアを開けるとすでにスカリーがデスクの上にあるXファイルの資料に目を通していた。  「遅いわよ、モルダー」  「病み上がりの僕への第一声がそれかい?スカリー」  「少なくとも顔色はいいみたいね」 と、モルダーの顔を見つめた。 美しい瞳、形のいい唇そして少しだけ口角を上げて微笑むスカリーを見て  (ああ・・この間はなんという事を言ってしまったのか) モルダーは少しだけ後悔した。 スカリーという人間に出会って6年。 今まで何度自分の気持ちを言ってしまおうか考えた。 しかし、言ってしまえばこの美しい人は、どんな態度を取るだろうか・・ ジョークとして流されるか、仕事に支障が出るからと、真面目な性格が自分を遠ざけるか 案の定「Oh brother」で片付けられ、ホッとしていいのか悲しんでいいのか 一人苦虫を噛み潰した気分だった。 でもあの時の気持ちは忘れられない。 何も分からない船の上で、スカリーの姿を見つけた時、どっと安堵感が出てきたのは 事実だ。 あのスカリーが今のスカリーと違う人物だと分かっていたけれど、肌の白さ、僕を見上げるグリーンの瞳、手をつないだ時の温かさ・・・ みんないつも僕の隣にいるスカリーだった。 だから思わず君にキスしてしまったけれど、お返しのパンチはさすがFBI捜査官だ。 今でも左頬が痛む・・・殴られた時、確信した。 「やっぱり、スカリーだ」と・・・  「モルダーどうしたの?ぼ〜っとして」  「い、いやなんでもない」  「具合が悪ければやっぱり帰る?」  「スキナーにも挨拶に行かなくちゃならないから・・・」 モルダーはドアノブに手を掛けた。 スカリーは書類から目を離さず言う。  「行ってらっしゃい」 スカリーの言葉にモルダーは自然と笑みがこぼれる 『行ってらっしゃい』か・・・ もし、彼女とファミリーを持つ事が出来たら、毎朝のキスと共に優しい声で送り出して くれるのかな?それとも二人で仲良くご出勤? あれこれ想像していたが、局内の雰囲気がいつもと少し違う事に気が付いた。 一流の捜査官としてFBIに入局したのも束の間、【Spooky】と、呼ばれだしたのは そう遅くはなかった。 それからというもの、廊下を歩いていても「モルダー 元気かい?」なんて、声掛けられた事は、自慢じゃないが一度もないし誰もが自分を無視していた。 なのに今日は、みんなチラチラと顔色を窺うようにすれ違って行く。  (おかしい・・?) モルダーは窓に自分の顔を写してみるが、いつもの子犬顔だ。 スキナーのオフィスに入ると、いつも挨拶を交わす秘書も今日の様子は何かおかしい 「副長官いるだろ?」 「は、はい」 ノックして入ると、スキナー副長官はモルダーをチラッと見ただけで、すぐ書類に視線を 戻した。  「昨日退院してきました」  「早く良くなってよかったな、今回の報告書はすでにスカリー捜査官が提出してくれて  いるので」  「花のお見舞いも有難うございました」  「いや、たいした花じゃない」 その時、スキナーは見ていた書類をデスクからバサバサッと落としてしまった。  「し、失礼」 慌てて拾うスキナーをモルダーも手伝う。  「Sir、どうしたんですか?様子が変です」  「そ、そうか?モルダー捜査官、話はそれだけなら仕事に戻りたまえ、私は忙しい」 とりなす術もなくモルダーは、オフィスを追い出された形になった。  (一体どうしたっていうんだ、何かあったのか?) 全く解らない・・・  「スカリーどうもおかしいんだ」 地下室に戻ったモルダーは開口一番スカリーに訴えた。  「どうしたの?」  「局内のみんなは僕をチラチラ見るし、スキナーはいやに他人行儀だ」  「あなたがSpookyだからでしょう?それにスキナーは他人だわ」 相変わらずこのアイスクイーンは、理論的に話をする。 だからこのSpookyもいつもの想像が膨らんでしまう。  「これは大変な事になっているかもしれない。僕たちの知らない間に侵略されたのかも」  「モルダー・・・」 スカリーは又始まった、という顔をして、モルダーを見た。  「そうさ、異星人がFBIに入り込み人間の心に住み着こうとしている」  「モルダー、ジュニアスクールの子供達でさえ、もっとましな事を考えるわよ。   まさか、入院中にTLGから又変なビデオをみせられたんじゃ・・・」 スカリーはあきれ顔で、部屋を出て行った。 彼女のヒールの音が高く響いていた・・・が数分後、そのヒールの音が再び響いた。 スカリーが驚いた様子で部屋に入ってくる。  「モルダー!あなたの言うとおりだわ、みんなおかしいのよ。ジロジロ私を見るのよ」 (そりゃあ、君が綺麗だからさ)等とは、後が恐いから言えない。 それに冗談を言っている場合ではなさそうだ。  「とにかく、もう一度スキナーのオフィスに行って来るよ」  「私も行くわ」 二人がオフィスに向かう途中でも、視線は注がれた。  「いつ僕たちの心に忍び込もうか、隙を狙っているようだ」  「モルダー、集中してちょうだい」 視線に耐え、スキナーのオフィスに着いた。 秘書が驚いて、イスから転げ落ちそうになっている。  「何をそんなに驚いているの?」  「異星人に侵略されていない人間がまだいるからか」 彼女はモルダーの言葉に、きょとんとした。  「あ、あの」  「どうなんだ!」 秘書はモルダーの迫力に泣きそうになりながら言った。  「お、お二人は喧嘩されて、お互いパートナーを変えられると聞きました  それなのに何故一緒にいるのですか?」 彼女の言葉に、今度はモルダー達がきょとんとする番だった。  「私達が喧嘩?」  「パートナー解消?」  「何故そんな話が出ているの?説明して頂戴」  「スカリー捜査官が、エレベーターの中でスキナー副長官にキスをしていたそうで   それで、モルダー捜査官に解消を申し出たと聞きました。   スカリー捜査官は、モルダー捜査官の奥様だと言われていますから、副長官に浮気し   て、モルダー捜査官は捨てられたって・・・」 彼女の話を聞いてスカリーはポカ〜ンと口を開いたままだった。 モルダーはなぜか落ち着かずそわそわしていたが、突然スカリーの手を取ってオフィスを 出て行った。  「モルダー、離して痛いわ」 スカリーの言葉を無視し、足早に自分のオフィスに向かっていく。 歩幅が違うスカリーはほとんど引っ張られる形となり、もう少しで倒れそうになった。 やや乱暴にスカリーを部屋に押し込んだ。 勢い余って、Xファイルに棚にぶつかりそうになる。  「モルダー一体どうしたのよ、さっきの話もおかしいけれど、あなたはもっとおかしい   わ」  「スカリー、彼女の話は本当か?」  「嘘に決まっているでしょう、パートナー解消なんてあるはずないわ」  「僕が聞いているのは、スキナーにキスをしたかどうかって事だ」  「あまりはっきり覚えてないわ、夢中だったから」  「夢中?何に」  「だからあなたを助けるのに夢中だったのよ」  「僕を助けるのに、スキナーとのキスが必要だったのかい?」 スカリーは大きく溜息をついて、お得意の腕組みをした。  「モルダー、冷静になって。スキナーの協力無しでは、あなたを助ける事はできなかっ   たのよ、キスのことは本当に覚えてないし・・・」 モルダーは思わず、スカリーの細いウエストに手をまわし自分に引き寄せた。  「モ、モルダー?」 スカリーが逃げようとしても、モルダーの腕はびくともしない。  「じゃあ、僕が君に告白したのも覚えてないのかい?」 その言葉にスカリーの瞳は大きく見開いた。 そして、その顔はみるみるうちに、朱色を帯びて彼女の肌の白さを一層引き立たせた。  「あ、あれは、モルダー・・・」  「あれは、何?」  「いつものジョークだと思って・・・あなたは私をからかうのが好きみたいだし」 やはり本気に取られてなかったのか、あんなに真剣に心を込めて言ったのに・・・ 自業自得・・ってところかな。 でも、僕も照れが入っていたんだよ、スカリー。 長い間、パートナーとして仕事をして、家族より、一人でいる時間より一緒にいる時間が 増えて、僕の隣には君がいるのが当たり前になっていた。 改めて言わなくても分かってくれているかな?なんて甘えもあったし・・・ 君は僕の【SWEET HEARTS】なんだ。  「スカリー、前に結婚してくれ、って言った事があったよね、あれだって僕は   真剣だったんだ」  「でもモルダー、あの時あなたは変なビデオを見ていたわ、だからそれに感化されて   言わされたのよ、脳が刺激をうけたのね」 スカリーの返事にモルダーは、一層抱きしめる手に力を入れた。  「モルダー離して、誰かが入ってきたら困るわ」  「みんな異星人に侵略されているから、誰も来ない」 モルダーはスカリーに顔を近づけていった。  「いつも君の顔が近くにあった。息を感じた。   そして、いつも君にキスをしたいって思っていたんだ」 言葉が終わらないうちにモルダーは優しくスカリーに唇を重ねた。 突然のキスにスカリーは初め小さく抵抗していたが、その抵抗も2,3秒で消えていく。 あの船上のキスとは又違う、スカリーの暖かさは、このうえなくモルダーを幸せな気分に していってくれる。 ふと、この後強烈なパンチを食らうかな、と不安になった。がそれも杞憂に終わった。 スカリーは力が抜けたようになり、モルダーに体を、いや心まで預けてしまったようだ。 グリーンの瞳は、かすかに濡れている。  「あなたの視線には気づいていたのよ、本当は」  「スカリー・・・」  「でも恐かったの、私自身、気持ちに素直になって今まで通りあなたと仕事をしていけ    るか・・・あなたに対して甘えが出るかもしれない、スカリーじゃなくダナになって   しまうかもしれない・・・」  「分かるよ、それは僕だって同じだ、でも僕は今この時間、スカリーといるこの時間を   大切にしたいと思っている。それからだよ、一緒に考えていこう」 モルダーはスカリーの額、髪にキスをした。   「モルダー、お願いがあるの」   「なんだい?」   「あの時の言葉をもう一度言って」  スカリーは恥ずかしそうにモルダーに訴えた。 可愛い・・・本当にそう思う。この可愛い人とずっと同じ時間、同じ空間、 そして同じ人生を歩んで生きたい、モルダーは切に願う。          「Dana・・・I Love you」          「I Love you,too Mulder」 その頃、スキナー副長官のオフィスでは・・・ 書類に目をやりながら、自然に笑みがこぼれ、鼻歌まで出てきてしまう。 時計を見ながら(今日の残業は無しだな・・・)と、決めていた。 帰りに花屋に寄り、スカリーの好きそうな花でも買って、彼女を食事に誘おう。 知らなかったなあ〜スカリーが私のことを、好きだったなんて・・・                                  END **************************************       初めに・・スキナーファンの方、ごめんなさい。       彼をオチに使わせて頂きました。       初Ficなので、あっさりとしたものに仕上がりました。       トライアングルのラストのセリフが『冗談はよしこちゃん』状態       だったし、モルに嫉妬させてみたかった私の願望が、この結果です。       これから、二人にはもっとラブリーになって欲しいと思っています。       掲示板の方に、ご意見、ご感想等頂けたら嬉しく思います。       日々、精進致しますので、宜しくお願いします。                               BY、Melody