DISCLAIMER// The characters and situations of the television program"The X-Files" are the creations and property of Chris Carter,Fox Broadcasting, and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringement is intended. =-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= おことわり:キリ番、ゾロ目ゲットおめでとうございます! あなたはこのFicを読んでくださる XX 番目の方です。       ・・・というような形で、ゲット報告をくださった方にあつかましくも       プレゼントとして、送らせていただいていましたが(汗)、今回、10万hit       を超えたのをきっかけに、普通に公開させていただくことにしました。       なお、新しいプレゼントは、Ficという形ではないかもしれませんが、       なんらかのものを考えるつもりでいますので、もう少々時間をくださいね?              この話の内容はかなりお遊び的なものとなっており、XFな雰囲気とは       かけはなれているかも?(笑)       一応設定としては「その一言―」の続編となっています。       (というか2人は既に恋人と言った前提です。)       一時の暇つぶしになればいいなと思うのですが・・・       あと、モルスカの性描写の部分も入っています。       万が一そういったものが苦手であったり、18歳に満たなければ       読まない事をお薦めします。       それではあとがきでお会いしましょう。(笑)       e-mail  creoblue@ymail.plala.or.jp   =-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 「Phantom」  by Hiyo Date 99/10/11 〜Skinnerの憂鬱〜 「ふぅ…」と私は今日何度目かのため息をついた。 机の上にある履歴書を思わず指で弾いてしまう。 そこについている写真は、笑っているわけでもないのに、とてつもなく能天気そうな顔に見えてしまい、 さらに私の感情を逆撫でた。 そして、また今朝の出来事を思い出させる… 朝の会議でのCassidy副長官から言われた、とても嫌味たらしい言葉を一言一句! 「あら?Skinner。あなたのところには本当に逸材が集まるのねー。それはあなたの人徳なのかしら? 彼はMulder以来の逸材と期待されていて凶悪犯罪課のRyanも狙っていたみたいだけど、まさかその彼も あなたの下を希望するなんてね。あなたの下じゃなきゃFBIへの入局を拒否するとまで言ったらしいじゃ ない?そうそう、あなたの大切なMulderと同じ大学なんですってね。そのあたりの影響もあるのかしら? あなたは意外と策士だったのね。あ、それともこれが"類は友を呼ぶ"ってやつかしら?」 彼女の言葉はこれだけでは終わらなくって、しつこくエレベータに乗った後にも続けられて、私は心底 辟易してしまっていた。 でも、本当は彼女こそ彼を自分の下に欲しかったのだろうというのはよくわかる。 そして、それはたいていの部下を持つ上司全員思っていたのだろうとも… 確かに彼のアカデミーでの成績や学歴は申し分ないくらい優秀なものだった。 まあ、Mulderの時程のことはないが、今年入局するメンバーの中では抜きん出ているのは事実だ。 その彼が私の下を希望したのだ。 本来なら、多少の嫌味くらい吹き飛ばせてしまうような喜ぶべきことなのかもしれない。 しかし…そこで、また何十回目かのため息をついた。 …なぜ、XF課なんだ? なにがいったいあの部署へと惹きつけたのだろう? まともに出世したいと思っているやつなら、間違いなく避けたがる方が普通だと思うのに… 嫌な予感がする。 …ひょっとするとこの展開では、もう一人Mulderが増える事になるのではないか?! そしてその状況を想像しただけでくらくらしてくる。 まあ、とにかく彼に直接会ってみないことには、なんとも言えないのだが… そう思った矢先、実に良いタイミングで机の上のインターフォンが鳴った。 秘書が彼の到着を告げる。 私は部屋に通すように伝えた。 "コンコン"軽いノックの音が響いてドアが開いた。 入ってきたのは、身長が190cmくらいはありそうで、Mulderよりは高いと思われる。 ブルネットの髪の毛には天然だと思われる細かめのウェーブがかかっており、その瞳はブラウンだ。 大きめなきれいな二重で、そのせいかとても甘い顔立ちに見えるうえ、20歳そこそこのように若く 見える。 ただ、体の線がやたらと細い。 一言で言えばマッチ棒のようだった。 筋肉とかはちゃんとついているのだろうか?体力はあるのだろうか? 私の3分の1くらいの薄い胸をみて不安に思ってしまう。 「Thomas Cragg…くんだったね。」 「はい、Sir。よろしくお願いします。」と、彼はにこっと笑う。 その表情が…なんだかあまりにも誰かに似ていて、ますます私のいやな予感を増幅させる。 "類は友を呼ぶ"あの嫌味なCassidy女史の顔と言葉がまた思い浮かんだ。 …しかし、もう決まってしまったものは仕方がない。 私は彼をデスクの向かいのソファに座らせて話を始めた。 「XF課を希望とのことだが…」そういうと彼の顔はますます輝く。 「はい、研修をさせていただけることになって本当に幸せです!」 …なんだかその生き生きとした顔がますます私を憂鬱にさせる。 「なぜ、希望したのかね?あ、いや、一応研修は決まったが、そこでの適正次第では他の部署に配置 されることも…」 すると彼はとたんに傷ついたような表情をして上目使いに私を見上げた。 …な、なんなんだ?この表情は!どうしても奴を思い出さずにはいられないじゃないか! 一瞬、本気でこの研修をやめさせようかと思った私だが、やはり外見だけで人を判断するものではない。 しかし、私の奥で警報が鳴り続けている。 "これは奴と一緒にさせるととんでもないことになるかもしれない" そこで、私は急遽計画を変更することにした。 「今日から君にはXF課で研修をしてもらうのだが…」 …やめてくれ!そんなにうれしそうな顔で私を見つめるのは!!! そこで彼の気勢をそぐべく私はおもむろに言った。 「Scully特別捜査官が君の指導にあたることになる。」 「えっ?」きっと彼は思わず不服を唱えるところだったのだろう。 慌てて自分で自分の口を押さえている。 「なにか不満でも?」 「…いえ、なんでもありません。Sir。」 とりあえず口ではそう答えたものの、やはり不服の色は隠せないようだった。 しかし私は、自分の判断に間違いはなかったと確信していた。 私は秘書にScully捜査官を呼ぶようにと指示する。 Thomasの様子はさらに落ちこみを増していた。 …しかしなんだかいじめてしまいたくなってしまうタイプだ。 「Craggくん、なにか言いたい事があるのならいいたまえ。」 すると彼は、またまた上目遣いで私を見た…言うんじゃなかった、その表情はやめてくれ!!! 救いを求めるように彼から視線を外して、ドアの方に視線をやると、ちょうどノックの音が響きScully が入ってきた。 「お呼びですか?Sir。」 私は心底ほっとしながら、立ち上がって言った。 「彼はThomas Cragg。今日から研修なのだが、君が面倒を見てやって欲しい。」 すると彼女は一瞬驚いたような表情を見せたもののすぐに表情を戻して聞いてきた。 「研修生はMulderの下にと聞いていましたが。」 「予定が変わった…頼んだぞ、Scully。」 有無を言わせずに答えたが、そこは彼女も優秀な捜査官らしくすぐに気持ちを切り替えたようだった。 「初めまして、Dana Scullyです。」と手を差し出す。 そこで彼の顔をあらためて見たら…さっきまでの落ちこんだ表情はどこへやら、今にも尻尾を振りそうな 人懐っこい笑顔で手を差し出し返していた。 「Thomas Craggです。よろしくお願いします!!!」 …とてもうれしそうだ。 私はひょっとするとさらに選択を誤ったのではないか…? それとも同じ表情を持つもの同士、女性の好みまで似ているのか? …しかし、余計なことは考えないでおこう。 とりあえず今は彼と違う空気を吸いたいと切に願った。 「それでは頼んだよ。」話は終わりだとばかりにきっぱりと言う。 すると2人は私に一礼をして出ていった。 これで一ヶ月は会わずに済むのか、と思うと少しホッとしたが、研修後に彼の適正がXF課にぴったり だと判断されたら…!? そう考えると私はかなりの恐怖を覚えずにはいられなかった… 〜Tommyの撹乱(その1) 最初はすごくがっかりだと思った。 あこがれのMulder捜査官と一緒に仕事ができると思っていたのに!と… でも紹介されたScully捜査官はとてもきれいな人で、ぼくの落ちこんだ気持ちを一気に浮上させてしまう くらい素敵だった。 しかし、うれしいながらもこうやって2人で歩いていると緊張してしまう… 「えっと、名前は確か…」 「はい、Thomas Craggです。」 「Craggね。」 「あ、ファーストネームで良いです。Tommyと…」 そう言いかけるとScully捜査官は、諭すように言った。 「仕事中はCraggと呼ばせてもらうわ。私の事もScullyでいいから。」 表情は優しいがきっぱりと言う。 …なんだろう?XF課の伝統なのかな? 僕はとりあえずファーストネームで呼んで欲しいと切望しているわけではないので、素直に 「わかりました。」とだけ答えておいた。 エレベーターを降りて廊下をずんずんと歩いていく。 どんどん人気がなくなり、やがてひょっとすると倉庫?と思ってしまうような隅の部屋の前でやっと 立ち止まった。 ドアに「Fox Mulder」のプレートが貼ってある。 あまりの意外な場所にあるオフィスにがっかりしかけた僕だったが、その名前を見た瞬間、心がざわざわ と興奮してきた。 …この扉の向こうにあこがれの… Scully捜査官がドアを開けた。 …第一印象は…外とたがわずにやはり倉庫といった印象だった。 整理されていない机、よくわからない書類の山、いったいなにに使われるんだろうと思ってしまうドラフ ター…しかし、そこにその人の後姿があった! ブルーのシャツで腕まくりをしている。 その背中は想像していたより、少しがっちりしていた。 僕はなんだかわくわくしながら振り返ってくれるのを待った。 「Mulder、研修生よ。」Scully捜査官がそういうと…振り返った! 掛けていたメガネを外して、おもしろそうな顔で僕を見た。 少しウェーブのかかったブラウンの髪、ヘイゼルの瞳、そして少し大きめの鼻…すごくハンサムという わけではないが、なんだかとても魅力的な人だった。 「やあ、君がこの課に来たいと言ってSkinnerを困惑させた変わり者かい?」 「Mulder。」その言葉にScully捜査官がたしなめる。 でも僕はそんなことにはめげなかった。 「はいっ、僕はこのXF課に配属されることを切望しています!」 思わず興奮して声が大きくなってしまった…Scully捜査官はびっくりした表情で僕を見た。 しかし、それとは反対にMulder捜査官はますますおもしろそうな顔をして僕を見る。 「なんでこんな課を希望したんだい?」 "あなたにあこがれていたからです!"そう答えたかったがすんでの所で止めた。 下手したらホモと思われてしまう… 「僕は異星人の存在を信じています。そして、その事を隠蔽しようとしている政府の力もあると思って います。僕はこの目でそんなあらゆる事の真実を知りたいのです!!!」 これがMulder捜査官の常日頃言っている事であるというのは聞いていたし、僕もそれは思っていたこと なのでそれを口にした。 するとそんな僕の答えにScully捜査官は天を仰いで、Mulder捜査官は吹き出した。 「それは僕も同じ考えだよ。ひょっとするといい仲間になれるかもしれないね。」と、Mulder捜査官は 言って立ち上がり、僕に近づいてきて手を差し出す。 そして握手をしながら耳元で囁くように言った。 「ところで君、レクチル星人って知ってる?」 次の日は、朝からScully捜査官と地下のオフィスで勉強という事になった。 いままでXF課がとりあつかった不可思議な事件やその顛末等いろいろと説明を受ける。 聞けば聞くほどその事件の異常さに首を傾げ、僕はどんどんと虜になっていた。 そして、そこかしこでScully捜査官からの科学的なものの見方も教わる。 その話からは彼女の聡明さや冷静さを感じることができて、僕はますます彼女を好きになった。 とても楽しい時間である。 その授業に僕がますますはまり込みかけた時、"トントン"とドアがノックされた。 「Scully。」Mulder捜査官だった。 今日は1日、よその課の応援でプロファイリングを頼まれていたのでは?と怪訝に思いつつ彼を見る。 「ちょっと教えて欲しいんだが…」なんでもそこで総務の人に捕まって、はやく領収書を清算するよう にと叱られたらしい。 「まったく、何年やってるの?」そう言ってひととおりざっと説明をした。 それにMulder捜査官は頷いてにっこりと笑う。 「すまないな…」と言って部屋を出ていった。 そして再び授業が再開される。 説明し出したScully捜査官と、それに入りこむ僕がお互いに集中しだした時…またノックが響いた。 「あのさ、Scully。」またMulder捜査官だった。 今度は書類の提出先がわからないと言う。 Scully捜査官がまたあらかたの説明をすると「ありがとう」と言って出ていった。 やっとほっとして授業の再開を始めたが…"トントン" 「あのね、Scully。」これにはScully捜査官は怒った。 「Mulder、あとでまとめて聞くから邪魔しないで!」と睨む。 するとMulder捜査官はちょっと上目遣いで彼女を見つめて、そして僕をも見つめて頷いて出ていった。 いったい彼はどうしたというんだろう? 激しい口調で怒ったScully捜査官と2人になってしまった僕はちょっとどきどきして彼女の表情 をそっと窺った。 すると、彼女は意外にも、なんともいえない優しい微笑を浮かべているではないか? "え?"と思って視線を外すのを忘れて見つめてしまった僕に気付いた瞬間、彼女は慌てて顔を引き締めたが、 僕は見逃してはいなかった。 …いったい? 再開された授業中も、さっきほど集中できなくなってしまい、とにかく彼女の表情が忘れられなかった。 邪魔されて実はうれしかったのか?それとも…? 僕がぼんやりとそんな事を考えていると…なんとまた、ドアがノックされた。 当然入ってきたのはMulder捜査官である。 「Mulder、いい加減に…!」 その時、ランチタイムを告げる鐘が鳴った。 「お昼だよ、Scully。食事に行こう!」とMulder捜査官はにっこりと笑った。 まるでタイミングをはかっていたとしか思えない彼の間の取り方に僕たちは黙り込む。 そんなことはお構いなしに「ん?」なんて顔で促していた。 Scully捜査官はそこでため息をひとつついてたち上がった。 「じゃあ、Cragg。」 「え?」 僕も一緒にと誘ってくれるとばかり思っていたのでびっくりする。 同期のやつらと一緒だと思っているのかもしれないが、僕としてはあこがれの彼らと一緒にもっといたい! そんな思いを込めてScully捜査官を上目遣いでじっと見つめた。 すると彼女は"ハッ"とした顔で僕を見返して言ってくれる。 「よかったらあなたも一緒に?」 「はいっ!」僕は嬉しくて元気良く返事をしてしまった。 すると彼女の後ろにいたMulder捜査官はなんともいえない複雑な表情で微笑んだ。 …いったい、あの表情はなにを意味するのか…? 一緒に行ったら、まずいなんてことはないよな? 〜Scullyの災難〜 突然ふってわいた研修生の指導に、私は内心とてもとまどった。 ただでさえ仕事は忙しく、そのうえ事務処理に疎いMulderからもたらされる雑務処理、そしてたまに入って くるアカデミーでの授業があるというのに、研修生まで面倒をみなければならないなんて… でもSkinnerの命令なので断る事もできない。 とにかく研修後に溜まりきっているであろう仕事の山を想像すると頭が痛いが、預かったからにはきちんと 指導しなければ、と思っている。 Craggはとても感じの良い青年だった。 最初の"異星人の存在云々"には度肝を抜かれたが、礼儀は正しいし真面目に私の話に耳を傾ける。 ただ…困った事に、彼が失敗をしてもきちんと怒れないのだ。 彼が落ちこんだような表情をしたり、人懐こい笑顔を見せた瞬間に怒りの矛先がそらされてしまう。 …なぜかしら? 結局、私一人では彼の指導をしきれないので、Mulderにもついてもらうことにした。 傍からみていると二人はとても似たもの同士のように見える。 Mulderは嬉々として彼を、いかにもMulder好みの事件…科学では解明できないような事件から、三流のゴシ ップ雑誌を賑わすようなミステリーサークルの出現やキャトルミューティレイションといった事件にばかり 連れまわした。 あれじゃあCraggはすっかりMulder色に染まってしまうかもしれない。 私は彼が本配属になった時の事を想像すると少しぞっとしてしまった。 Mulder二乗… 軌道修正すべきかも?と思いつつも、早くも他の業務に支障をきたし始めていた私は、なかなかCraggに 関わる事ができない。 そして今日も一抹の不安を残しながら、ラボへと重い足取りで向かった。 〜Tommyの撹乱(その2) 「さあ、今日もScullyはラボに行くらしいから、僕につきあってもらうよ。」 「はい。」 するとMulder捜査官は僕をじっとみて言った。 「だが、今日は外に行って捜査する仕事はないんだよ。だからオフィスワークを指導するから。」 最初の頃とは違う僕の気分を彼に気付かれたかもしれない。 でも、僕は務めてにっこりと笑い返した。 この2週間、ちっとも僕にとってわくわくするような事件は起こらなかった。 どれもこれもまがいものばかりで真実なんて、とてもつまらないものに見えてしまう。 そして始まった彼の言うオフィスワークは確かに仕事上で必要なことなんだろうが、考え様によっては たまっていた事務処理の手伝いをさせられているような気にもなってしまった。 そのあまりの量に半分くらくらしてきて、僕はコーヒーを買いに外に出た。 すると廊下で同期で同じく研修中のJhonに会った。 「やあ、Tommy。調子はどうだい?」 彼もちょっとブレイクしていたらしく、片手にコーヒーを持っている。 「…うん…」僕はちょっと答えにつまってしまった。 「うまくないのかい?」僕の顔を覗きこみながら心配そうに聞いてきた。 「…現実の世界はなかなか厳しいって事だよ。」と僕が簡単にまとめてみると彼は大きく頷いた。 「実際はそんなものさ。ところで…」とJhonは僕の腕に自分の腕を絡ませて引き寄せた。 「僕らの間で話題になっていることがあるんだけど…」 「なに?」するとまわりの人の様子を伺いつつ、僕の耳元でそっと囁いた。 「Mulder捜査官とScully捜査官ってデキてるのかい?」 「え?」 思わず聞き返してしまった。 どういうことか一瞬言葉の意味すら掴めなかった。 「いや、局内で最近、もっぱら噂されているんだけど、誰もあそことの付き合いがなくって真実を知ら ないんだよ…で、おまえならいつも一緒にいるからなにか知らないかな?と思って…」 「…」突然の事に少し考え込んでしまった。 その上そんな事、想像したことすらなかった… するとJhonは僕の様子から察したのか、笑いながら言った。 「おまえはプロファイリングには才能を見せるけど、そういったことにはからきしだもんな。たとえば 同じクラスのMalindaがおまえにぞっこんだったって知ってるかい?」 「ええ?」次々と現われる思いもよらなかった事柄に僕はひたすら驚くしかなかった。 するとJhonは"ほらな"という表情を見せる。 「まあ、僕らの勘違いかもしれないし、二人のこともMalindaのことも気にしないでくれよ。」 そう言って彼は僕の肩を軽く叩いて去って行った。 取り残された僕は…固まっていた。 彼の言った事は真実なのだろうか? Mulder捜査官とScully捜査官。 僕の前ではそんな恋人同士のようなそぶりをみせたことはない。 しかし、気になりだしたら止まらなくなってしまった。 どうなんだろう? 僕はとてもその真相を知りたくなって、いつしかそのことばかり考えてしまっていた。 果たして真実は? 確かめる方法はなにかあるのだろうか? 〜Mulderの鬱憤〜 "はあー"とCraggの肩越しにScullyを盗み見ながら僕はため息をついた。 …不覚だった… こんなにストレスが溜まってしまうなんて思いもよらなかった。 もうかれこれ一ヶ月近くScullyと2人きりの時間がない。 昼は昼で必ずCraggがいるし、夜は夜で最近Scullyの母親が久々に彼女の家に泊まりに来ているので、 そうそう会いにいくわけにも行かなかった。 いつもはどこでも2人でいるのが当たり前の事だったのに、これほどまでそんな時間がなくなると なんだか僕はイライラがたまりそうだった。 せっかく恋人同士になれて、これからって時にこんな状態になってしまうなんて… そんな悶々とした気持ちを抱えていると、突然Craggが席を立った。 「ちょっとコーヒーを飲んできます。」 「ああ、ゆっくりしてきていいよ。」 今日も朝から事務仕事で、彼がもう何十回もあくびを噛み殺していたのは知っていた。 彼は頷いて、ちょっとふらふらしながら外へと出ていった。 …Scullyと2人きりだ! それはとても久々な気がして僕は思わず席を立った。 「Scully。」僕は彼女のそばに歩いて行った。 突然近付いた僕をScullyは驚いた表情で見返しつつ、「なあに?」と答えたはいいが、すぐに書類 に視線を戻してしまった。 僕はそんな彼女を思わず後ろから抱きすくめる。 「Mulder!なにするの?Craggが戻ってきたら…」と振り返って抗議をしかけたそのかわいらしい 唇を強引に塞いだ。 Scullyは一瞬目を見開いたがすぐに目を閉じて僕の首に腕を絡ませた。 久々の彼女の唇の感触に思わず顔を緩ませながら、よりいっそうぎゅっと抱きしめる。 「どうしたの?Mulder。オフィスではこういうことはしないって…」 そういいつつ僕の背中に手をまわすScullyはとてもかわいい。 僕はなんだかとても甘えたくなる。 「だって文句を言うわけじゃないけど、かれこれ一ヶ月近く君と2人で過ごす時間がないじゃないか。」 柔らかい彼女の感触を胸の中で楽しんでいるうちに…自然に僕の手は彼女のブラウスをまさぐり始めていた… 「だめよ、Mulder。Craggが帰ってきたらどうするの?」そう言ってScullyはやんわりと抵抗したが もう僕を止められない。 彼女のブラウスのボタンを外したところから差し入れた手が、彼女の隆起を探り当てた。 やわやわと揉みしだいてみる。 「ねえ、Scully。君は淋しくないのかい?僕はもうがまんの限界だよ。」そう言って今度はブラウス のボタンの上の部分を外した。 そして、とてもセクシーだが今は邪魔な黒いレースを少しずらして、目的の突起を見つけてそっと 口に含んだ。 これにはScullyは先ほどの抵抗とは比べ物にならないほどの力で抵抗する。 しかし、僕は久々の彼女の感触にかなりの興奮を覚えていたので、それも簡単にねじ伏せた。 彼女の両腕を片手で後手にして塞ぎつつ、僕は思う存分彼女を味わう。 すると、最初は忍びやかだった彼女の息遣いにだんだんと熱がこもってきた。 しばらくして彼女を見上げると、照れたような困ったような顔で僕を見返す。 すでに彼女の腕からは力が抜けている。 彼女のその表情はなんとも艶かしくて…僕をついに決心させた。 「Dana…」興奮のせいか桜色に火照った首筋に透ける静脈に舌を這わせながら、耳を軽く噛んだ後、 僕は彼女のスカートを一気にたくし上げた。 僕の目的に気付いたScullyは驚きで目を見張る。 「Mulder、正気なの?Craggが…」 「だってScully、このままじゃ…」切なげに彼女を見つめた。 すると彼女はそんな僕をしばらく見つめていたが、やがて抵抗の力を抜いた。 僕はよく知っている。 どういうわけか彼女が僕のこの表情に弱い事を… 二人して思わず息を飲んだかもしれない。 僕は彼女に入る準備をしようとした。 しかし、その時! 〜Tommyの撹乱(その3) "知りたい!知りたい!"僕はそんな思いにとりつかれてしまった。 本当にあのふたりは恋人同士なのだろうか? そう考え出した時から、すべての興味がそこに集中してしまった。 僕としては3人でいる時は、むしろ仲が悪いのかも?と思ったくらいだったのに… ずっと6年間一緒にいたら、お互いの顔をあわせるのにうんざりしたりすることもあるだろうと。 しかし…本当はつきあっているのか? 僕はそんな事を考えながら歩いて、やがてオフィスの前にたどりついたのでそのドアを開けた。 だが、いつもと違ってノックをするのを忘れていた。 "がちゃ"開けた瞬間に中で"がたがたっ"と音が響く。 びっくりして顔を上げるとScully捜査官が奥の本棚へ走る後姿が目に入り、次にMulder捜査官が いつもと違って机の上で足を組んでいない姿が目に入った。 「やあ、Cragg。早かったんだね。」心なしか声が上ずっているような気がする。 「あ、すみません。同期のやつと廊下でばったり会って、つい話しこんでしまったので遅くなっ てしまって…」 すると、本棚の影からScully捜査官が現れた。 気のせいか少し顔が赤い気もする。 なんとなく髪も乱れているようにかんじるのは気のせいか? 「ど、どうしたの?Cragg。人の顔をじっと見て…」 そういいつつScully捜査官は僕と視線を合わせないようにしながら、スッと奥の椅子に座った。 …なんなんだ?この空気は??? しかし、今の2人は僕が部屋を出ていったときと同じように再び仕事を始めている。 特に変わった様子はないように感じてくるし… その時ランチタイムを告げる鐘が鳴った。 「あ、昼ですよ。ランチに行きましょう!」と僕はいつもどおりに誘う。 すると、Mulder捜査官はにやりと笑って立ち上がりかけたが…はっとしたようにすぐに座って しまった。 「…?」 不思議そうに僕が見つめる視線に気付いたのか、Mulder捜査官はコホンと一つ咳きばらいをして答えた。 「えっと僕はまだすることがあるから後にするよ。」 「えーーーー?」 今日はあんなに楽しみにしていた、最近オープンしたすごい人気のイタリアンの店へ行く予定だったのに! 「だって予約してあるんですよ、せっかくとれたのに…」と僕は唱えたがMulder捜査官はあいまいな笑み を浮かべただけだった。 「Scully捜査官は行きますよねっ!」と僕は懇願の目を向けた。 「え?あの、私…」なんだか困惑しているみたいだ。 行かないのか? 僕はびっくりしたが、じっと彼女を見詰めて訴えた。 「行きますよね?」 すると困ったような顔で僕の顔を見た後、やがて頷いてくれた。 「ええ、行くわ、Cragg。」 やった♪ その時、Mulder捜査官に視線を移すと…なんだか不本意そうな顔をしていた。 そして、Scully捜査官に一生懸命…あれは、目配せ? 僕はわけがわからなかったが、時間がとにかく心配で時計を見てみた。 やばい、あと3分だ! 「Scully捜査官、はやく行きましょう!時間が無いですっ!」と、僕は彼女のうでをつかんでせっつく。 「じゃあ、Mulder。後でね。」 Scully捜査官はそう言ってやっとドアへと向かってくれた。 僕はもう1度Mulder捜査官に挨拶をしようと降り返ると…たち上がりかけてた彼は慌ててまた座って 僕に対して手を振った… なんなんだ??? 〜Mulderの独り言〜 Scullyのやつ… 2人が出て行ったドアをうらめしげに見つめながら僕は呟いた。 こんな状態じゃ歩けるわけないじゃないか!どう責任のをとってくれるんだ?! 僕はもう腰を引いて歩かなくても良い状態になるまでひたすら待つしかなかった… 昼になってせっかくCraggがいなくなってチャンスだったのに、なんでやつについていってしまうんだ?と 僕は一人ごちる。 きっとあのCraggの訴えるような上目遣いに断れなかったに違いない。 ああいった表情をなんて表現するんだっけ…? そう!「Wounded-Puppy-Dog-Face」 まさにあいつの顔の事を言うんだ!! 生まれ持った顔つきだけで女性を思い通りに動かしてしまえるなんて… と、僕はCraggの顔を思い浮かべ、忌々しげにため息をついてしまった。 しかし、彼の研修期間中はScullyとの甘い時間はあきらめざるを得ない気がする。 まあ、彼が仮に本配属になっても、いずれはScullyの母親はまた家に帰ってしまうだろうし、そうなれば 夜にはまた2人ですごせるさ。 やはり彼女の言うように公私混同はしないようにしよう。 僕はちょっと反省をして、やっとたち上がれる状態になったので、遅いランチを食べに行くことにした。 〜Tommyのあきらめ〜 そんなこんなであっという間に研修期間が終わろうとしていた。 結局、あれからはいわゆるX-Files的な事件はまったくなく、たまに応援に行かされたよその課での事件の 方がスリリングだったりしたこともあった。 「今日で最後ね、Cragg。」と朝、オフィスに行くとScully捜査官に背中を叩かれた。(さすがに僕の肩に は手が届かない) 「はい。」そう答えながら、僕はこの研修期間中のことを思った。 途中から僕の興味の対象はこの2人の関係がどうなっているのか?という事に終始してしまったかもしれ ない。 しかし、仕事中の二人の会話はどう聞いても、職場の同僚といったものでしかなく、どこにも恋人同士と 言う片鱗はのぞかせなかった。 おかしいなと思った時は、僕がトイレや他の事でちょっと席を外した後に戻ってくると、妙に2人の距離 が遠かったりしたという程度で、具体的にはなにもなかった。 むしろそれは"仲が悪いんじゃないか?"とさえ思わせる。 「どうするんだい?XF課に希望を出すのかい?」とMulder捜査官が言った。 「はぁ…」それができたらどんなにいいか。 僕はこの2人の事が大好きになっていたし…多少事件の面では思ったような真実にはお目にかかれてない が、そんなものはそうそう転がっているはずもないから、もっとここにいれば出会う事ができるかもしれ ない… けれど、僕に残された時間が… そのとき、机の上の電話が鳴った。 Mulder捜査官がとって2、3言交わして電話を切った。 「Cragg。Skinnerがお呼びだ。」 僕は、それからSkinnerのオフィスへ行って、研修の報告を済ませ、具体的な配属先が決まるまでは一旦 アカデミーに戻る事となった。 それを聞いて最後の挨拶をしにオフィスへ戻る事にする。 「今まで、お世話になりました。」万感の思いを噛み締めながら2人と握手をした。 「どうしたんだい?Cragg。今生の別れでもないじゃないか。」 思わず潤んでしまった僕の目を見てMulder捜査官は優しく微笑んだ。 「Skinnerに配属先とならないって言われたの?」とScully捜査官も心配そうに見つめる。 「いえ、そういうわけじゃ…」ああ、なんでこんな最後になって2人の優しさが身にしみるんだろう? 「じゃあ、僕は行きますね。」いつまでたっても離れられそうに無くなってきたので、僕はついに決意を 固めてきっぱりと告げた。 「ああ、君がまた来てくれるのを待ってるよ。」 「希望が叶うといいわね。」 僕は大きく頷いて、ぺこりとお辞儀をして部屋を出た。 "さあ、もう満足だろ" 頭の中で声が響いた。 "いや、Eric。まだ、真実を見つけていない。" すると頭の中の声は怒り出す。 "なに言っているんだ。研修期間中だけって約束だったじゃないか" "しかし、こんな気持ちのままじゃ行けないよ!" 声はしばらく黙ったが…やがておもむろに言った。 "わかった、おまえの求めていた真実の一片を見せてやるよ。今からすぐにオフィスにそっと戻ってみろ。" "え?"問い返す僕に声は囁く。 "いいか?そっとだぞ…" 僕はごくんと唾を飲みこんで、半分まで歩いてきた廊下をそっと元に戻った。 音を立てないようにドアを開けるのはなんだか心に疾しさを感じたが、Ericの言う真実が見られるのなら… と思いそっと開けてみた。 すると… !? ふ、2人が抱き合ってキスしてる??? Mulder捜査官は机に座って両足でScully捜査官を挟み込むようにして抱きしめていた… その2人はなんとも絵になって…かっこよかった!! 持っていたカバンを思わず取り落としてしまう。 その音に2人ははっとしてこっちをみた。 「あ、あれ?Cragg。忘れ物かい?」 僕がばっちり見てしまったのを知ってか、突然の事に離れる事もできなかったのか、二人は抱き合った ままだった。 そこで僕は一番聞きたかったことをついに口にした。 「あの…お二人は恋人同士なんですか?」 すると、Scully捜査官は真っ赤になったが、Mulder捜査官はにやりと笑ってさらに強く彼女を抱きしめて 答えた。 「そうなんだ。でも、内緒にしておいてくれよ。」 …そっかー。 うんうんと僕は頷いた。 とてもお似合いだ。 抱き合ってる2人を見て僕はやっと満足感を得た。 "真実を見付けたろ?"再びEricの声が頭に響く。 "ああ。"僕はやっと素直にそう言えた。 満足だった。 すると…だんだん頭の中が真っ白になり、体が空気に溶けていくような感覚を覚えた。 「じゃあ。」この声が普通の声として2人に届いたかどうかはわからない。 ただ、ものすごく驚いた顔で僕をみながら抱き合っていた2人が最後に心に焼き付いた。 〜そしてX-Filesへ〜 「…これもX-Filesなのかしら?」とScullyが呟いた。 「そりゃあ、まぎれもなくそうだろう?」と僕は自信たっぷりに答える。 「目の前で見たことをまだ信じられないのかい?」 さらに追い打つように僕が畳み掛けるとScullyはそっとため息をついた。 ことの顛末はこうだった。 Thomas Craggという人間は、アカデミーには確かに在籍していたが研修を前に交通事故にあって死亡し ていた。 そして、FBIへ研修に来たと言う事実も、そんな書類もまったく無くなっていた。 Skinnerさえも、そんなことはなかったと言う。 …つまり、僕達2人の記憶にはなぜかしっかり残っているのに、その他の人達のなかからはさっぱりと 消え去ってしまったらしい… これはいわゆる霊体験というやつなのだろうか? 彼が突然目の前で消えた後…そこには灰のようなものが残されていた。 分析の結果、それはいわゆる遺灰だった。 そして、それは調べた結果Thomas Craggのものであると判定される。 しかし、僕達はこの事を調べ上げて満足して、特に報告せずにX-Filesとして記録に残しておくだけに とどめることにした。 まわりの記憶があらかたなくなっていることと、彼が幽霊だった証明したとしてもどこにもなんの メリットもない。 むしろ彼の遺族を悲しませるだけになってしまうだろうと僕は判断した。 そして、Scullyは相変わらずはっきりとは認めたがらなかったが、そんな僕の判断には同意して くれた。 彼は多分、本当にこの課に来て働きたかったのだろう。 アカデミーを過ごしていよいよと言うときだったのに…残念だった。 彼の人懐っこい顔を思い出す。 ひょっとすると僕達3人はいいチームになれたかもしれない…と今更ながら思った。 「Mulder。書類の中身はこれで全部ね。」とScullyが机の上にあった資料をまとめる。 「ああ、ファイリングは君に頼むよ。」 するとScullyはちらりと僕を睨んだ。 「たまにはそういった事務仕事もしてみたら?」 ScullyはScullyできっといろいろと思うところもあるだろうが、あえてそれは顔に出さずにいつもの 調子でいる。 僕はそんな彼女の心の奥を覗かなくてもわかるような気がしたから、特に触れる事もせずいつものように 眉を動かしておどけた表情を作って見せた。 Scullyはそんな僕に対してわざと大きくため息をついてみせて、ファイルのタグに書きこみを始める。 「あら?」そう言って僕の顔をみてにっこりと笑った。 「どうしたんだい?」 その笑みは思いっきりなにかを含ませていて、どきりとさせられる。 「今晩はあなたのおごりに決定のようよ。」 そういってファイルを僕に渡した。 僕はそのファイルを見て彼女の意図した事を理解して、情けなさそうに訴えてみた。 「給料日前なんだからあまり高いところは指定しないでくれよ。」 するとScullyはちょっと意地悪そうに笑って答えた。 「そうね。でも、ルールはルールよ。めったにないことなんだから、甘えさせる事はできないわ。」 確かに…僕はScullyとのお遊びの約束をちょっとだけ恨めしく思った。 これからはもっと事務仕事もするようにしようかな? File No.100-000 ゾロ目、キリ番ファイルのナンバーをファイルにふったほうが、相手の好きなものをおごると言うルール。 〜おまけ〜 「なあ、Eric。」と僕はいかにも死神ですって格好で僕を先導している彼に向かって言った。 「ひょっとするとさぁ、素直に霊体になっていろんな所を見て回った方が、真実を簡単に見つけられたの かな?」 するとEricはあきれたような顔をして僕をみた。 「なに言ってるんだよ、Tommy。あくまでも普通の人間としてまわりと接したいって言ったのは君 じゃないか。」 「そうなんだけどさ…」と僕は頷いた。 「なんだい?後悔しているのかい?」 「いいや。」僕はにっこりと笑って答える。 「あの2人に会えてよかったと思うよ。」 「…すまないと思ってる。」と初めて彼の口から出た謝罪の言葉に僕は目を見開いた。 「へえ、やっと認めてくれたのかい?」 僕は本当なら、もう一ヶ月長く生きられるはずだった。 ふざけた話だが、その迎えにくるのをEricは間違えて一ヶ月はやくに来てしまったらしい。 それを知ったぼくは断固抗議した。 でも、所詮はすでに肉体のない身だ。 あきらめつつも抗議をせずにはいられなかった僕は、しつこくしつこく彼に訴えた。 当たり前だ、あんなに楽しみにしていた研修がパーになってしまったのだから。 本来なら研修だけは受けることができたはずだったなんて聞いたらなおさらだ。 すると、意外にもEricはなんとか望みを叶えてくれた。 普通の人間として一ヶ月だけ戻るか、霊体として好きなだけこの世界にとどまるかどちらかを選べという ことだった。 僕はまよわず前者を選んだ。 そして、すべてが終わって僕が満足したらきちんと彼に連れられて行くという約束をした。 僕に関する記憶はすべての人からなくすという約束もした。 他の人はともかくMulder捜査官とScully捜査官から僕の記憶が消えるのはとてもさみしい事だったが これ以上わがままをいうつもりはない。 「あの2人は将来どうなっていくのかな?どう思う?Eric。」 すると彼は僕を見返していままでにない優しい顔で答えた。 「あの2人が本当に好きなんだね。」 その言葉に僕は大きく頷く。 「大丈夫、あの2人の心には君の事はきっと残ってるよ。」 それが何を意味しているのかはわからない。 すべての記憶はなくなっている筈だから、それはEricなりの気遣いなのかもしれなかった。 大好きな人の心から存在がなくなってしまうのは悲しい事だから… 「あっちの世界に行けば、すべての真実を知る事ができるよ。もちろんあの2人の未来もね。」 そう言っていたずらっぽく微笑んだEricは、先導をするべくまた前を向いてしまった。 「そうか?それは楽しみだな!!」 僕はもう思い残す事はなかった。 願わくばあの2人に幸せな未来が待っているといいなと…いや素敵な未来が待っているとなぜだか わからないけれど確信しながら、Ericの後をついていった。                                           (おわり) =-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= あとがき いかがだったでしょうか?(どきどき) なんか、「こんなものをプレゼントにしていたのか?!」とお怒りの声がたくさん聞こえてきた ような気もしますが・・・(苦笑) まあ、大目にみてやってくださいまし。(ぺこり) この話は「キリ番、ゾロ目」をどこかに盛りこんだものを書きたいな、と思ったところから浮かんだ 話です。 とっていただいたカウンタの数を、ファイルナンバーに組み込んでいたのですが、途中から かなり無理が出てきてしまいましたね・・・(いったいいくつ事件を抱えているんだ?って 数。(笑)でも、リクエストを初めていただいた時はまだ“777”