DISCLAIMER// The characters and situations of the television program"The X-Files" are the creations and property of Chris Carter,Fox Broadcasting, and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringement is intended. ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ WARNING:このFicは「おとな」向けのものです。     もしあなたが、18歳未満であったり、その種の作品に興味がないという方なら、     すぐにこのウィンドウを閉じてください。     「クリスマス」という事で、さすがにモルスカで書いてみました。(笑)     ただ、いつもは勢いだけで書いていたのですが、今回は「おとな」を書いたばかり     で、肝心な(?)部分が浮かばずにあっさりとしてしまったような気が・・・     ただ、甘い二人を書きたかっただけなのでどうぞ、ストーリーの無さはお許し     ください。     また、言い訳はのちほど・・・          感想やアドバイスや、読んでくださった方なりの考えを教えていただけ     たらうれしいです。     e-mail : stella@hikoboshi.net       ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 「article」 by Stella Date 99/12/22 街中はすっかりとデコレートされていた。 通りすぎる道沿いにある多くの店からは、赤、黄、緑、青といった色々な色の ツリー用の電飾の光が漏れている。 そして、とめどなく耳に入ってくるクリスマス・ソング。 オルゴール風、ハンドベル風…その音色は様々だったが、ここまでくるとどれも あまり代わり映えしない様に僕には思えた。 やがて、しばらく歩くと、FBIの建っているオフィス街へと差しかかった。 そこは普段は無愛想なシンプルさを誇ってはいるものの、この時期ばかりは別の ようだ。 どんなに飾り気のないビルでも、とりあえず玄関口には大きなリースをかけて いて、それだけで町やまわりと何とか調和しようとしているように見えた。 当たり前だが吐く息は白い。 僕はコートのポケットに手をつっこみ、風が吹くたびに背中をまるめながら 歩いていた。 愛用しているウールの黒いコートでも、この底冷えするような寒さに対しては 役不足かもしれない。 すれちがうOLらしき女性は、色とりどりのマフラーやコートを着ているが、 中には毛皮を身につけているリッチそうな女性もいた。 僕はそんな彼女達を尻目に、光こそ当たらないが、それでも空調設備だけは ばっちり整っている温かいオフィスを求めて足取りを早めた。 地下のオフィスに入るとやはり僕より先に出勤していたScullyが目に入った。 街に溢れていた女性達と違っていつもどおりのかっちりとした紺のスーツに 身を包んでいる。 僕はそんな彼女に対して、やはり好感を持った。 「おはよう、Scully。」と僕が声をかけると書類を揃えていた手を止めて 顔を上げた。 「おはよう、Mulder。」いつもどおりちょっと目を見開いて答えて、また もとの作業へと戻る。 僕はいつも通りにコートを脱いでから、机へと腰掛けた。 相変わらず作業に没頭しているScullyに対して、僕はちょっと迷ったが きちんと伝えてみる事にした。 「クリスマス・イブだね。Scully。」 すると彼女は少しおもしろそうな顔をして視線を僕に向ける。 「そうね、Mulder。そして明日はクリスマスよ。」 「別に僕は暦の話をしているんじゃない。」 やはり予想通り彼女はクリスマス・イブに対して重きを置いていないよう だった。 「去年はお化け屋敷を探検したけど…」 「今年は平穏に過ぎる事を祈るわ。」すぐに切り返される。 僕の思う事が手に取るようにわかってからかっているのだろうか? でも、ぼくはめげずに続ける。 「明日は土曜日だし、今晩は君の家に泊まりにいってもいいかな?」 そう言うとScullyはにっこりと笑ったが、すぐに僕の目の前に書類を突き 出した。 「そうできればいいけど、年末にむけていよいよ書類がたまってきてい るのよ、Mulder。今夜は何時に帰れると思う?」 Scullyの片手にはあまってしまうほどのファイルを僕に示した。 「それはどうしても今日中の仕事なのかい?」 「年末でしょ?これ以上先送りするなってお達しがあったの。」 「じゃあ、今日1日は君とここに缶詰なのかい?」 「あら?恋人と1日中一緒にすごせて、私は幸せね。」 オフィスではまったくの仕事のパートナーとしての会話しかしないように と務めているScullyが"恋人"という言葉を使ったので、僕は驚いて目を見開いた。 するとScullyはいたずらっぽく微笑んでいる。 僕の驚いた表情を見られたのが"してやったり"といった感じだ。 僕は彼女の術中にまんまとはまったのがくやしくて、どんな反撃をしてやろうか と口を開きかけた時に "プルプルプル…"と机の上の電話が鳴った。 僕はScullyから視線を外さないままで、受話器を取る。 電話の主はSkinnerだった。 至急オフィスに来るようにとのお達しだ。 受話器を置いて、ため息を一つつく。 「どうやら一緒には過ごせないかもしれないな。僕一人だけが呼び出されたよ。」 するとScullyはいつものように眉を上げて両目を大きく開いて見せた。 「じゃあさ、夜がゆっくりできないのなら、せめてランチくらいうまいところ に食べに行こう。」 と僕は提案してみた。 「あなたのお気に入りのところ?」とScullyはまるで僕の味覚を疑うような 聞き方をする。 「いや、君の好きなところでいいよ。ただし、ここのカフェテリアはなしだよ。」 この言葉にScullyはにんまりと笑った。 「プレゼントかしら?わかったわ、じゃあ、楽しみに待ってる。高くておいしい ところを探しておきましょ。」 そんな事をいうScullyに僕は指で銃の形を作り、"Ban!"と声を上げ、にやりと 笑って見せつつ部屋を後にした。 Skinnerに命令されてしぶしぶ出た会議は、それは退屈なものだった。 しかも、そんなものにも関わらず予想外に延びて、結局解放されたのは昼もとっく に過ぎた頃の2時くらいだった。 こんなふうに気まぐれに呼び出される、僕にとってあまり重きを置けない会議の 為に、どんどん書類仕事を処理する時間がなくなり、いったい今日は何時に帰れる のだろう?などと考えながらオフィスに向かう。 そして、やっと懐かしのオフィスのドアを目の前にし、ほっとため息をついて中に 入ろうとした瞬間にいきなり目の前で扉が開いた。 「あ、失礼。」 そう言って出てきたのはラボでよく見かける名前はよく知らない女性だった。 この地下のオフィスにはめったに人は来ないので、正直ちょっと驚いた。 彼女と入れ替わりで中に入るとScullyはちょうど外に出ようとしていたところで、 あやうくぶつかりそうになった。 「あら?Mulder。会議は今終わったの?」 「ごめん、Scully。ランチに行けなくて…もう行った?」 するとScullyはあいまいに笑って見せて、その質問には答えずに僕の胸を軽く叩いた。 「今、ちょっとラボの方から依頼があって、変わった症例に対する医師としての見解 を求められたところなの。多分…」 そこで自分の腕時計を見る。 「夕方には戻れると思うわ。じゃあ、また後でね。」 と言ってScullyは僕を残して廊下を歩いて行ってしまった。 あの様子ではきっと僕を待っていてランチはとっていないのだろう。 "悪い事をしたな…"僕はそう思いつつ、今夜は何を一緒に食べようかと同じくランチ を食べていなくて空腹感のかなり募った胃をだましつつ、早く帰るためにきちんと 机に向かった… 「やっと終わったわ…」 廊下で規則正しい足音が響いたかと思うと、ガチャッとドアが開いてScullyが現れた。 めずらしく机に向かって書類に没頭していた僕は、頭を上げたのはいいが一瞬くらっ と来てしまう。 「そっちの仕事ははかどった?Mulder。」 「もちろん、君と早く帰るために…」 とそこで、僕がいかに(珍しく)がんばったかという成果をScullyに示そうと、 意気揚揚と立ちあがった時、"プルプルプル…"と机の上で、電話がなった。 なんだかいやーな予感がする。 "プルプルプル…"電話はしつこく鳴りつづけている。 「とらないの?Mulder。」 「なんだか嫌な予感がするんだ。」と僕が答えるとScullyは"あきれた"と言った表情 を顔に貼りつけて、目の前の受話器をとった。 「はい…お待ちください。Mulder。」 そういって僕へと電話を差し出す。 「Skinnerからよ。」 僕はため息を一つついて、Scullyをうらみがましく見つめた。 Scullyはそんな僕の視線を意にも介せずに、"早く取れ"と受話器をさらに差し出す。 しぶしぶと電話に出ると、Skinnerからのまたの出頭命令だった。 電話を切った後にScullyを見ると、すでに仕事を始めている。 「お呼び出しだ。」 「Mulder、ここ間違っているわ。」 書類のチェックをしていたのか、さっそく指摘された。 「Scully〜」僕が情けない声を出してみたが、Scullyは書類を眺めつつ、あっさりと 続ける。 「早く行ったら?こんなところでもたもたしていたらますます帰りが遅くなるわよ。」 「…わかったよ。じゃあ、できるだけ早く済ませて帰ってくるから。」 するとScullyはやっと書類から目を離しにっこりと笑って答えた。 「ええ、待ってるわ。」 僕は彼女に手を振って廊下に出て、エレベーターに乗ったところでふと思い付いた。 あんなに僕に素っ気無く、仕事をがんばってこなそうとしているのは、ひょっとすると 今夜の為…? そう考えると、僕はなんだか自然ににやけてしまい、その時エレベーターが止まって 乗ってきたSkinnerに思わず微笑みかけたような図になってしまって、慌てて顔を 引き締めた。 僕の微笑をSkinnerがどう解釈したかわからないが、その後が大変だった。 Skinnerにもう1つの会議に引っ張り出されるわ、他の課に回って応援を頼まれるわと、 さんざん働かされ、気がついた時にはなんと12時前だった。 「ご苦労だったな、Mulder。これで明日は休日にしてやってもいい。」 「休日にしてやってもって…休日じゃないですか。」 「あの状態で休めると思っていたのか?」 僕がぐっと言葉を飲み込むと、めずらしくSkinnerは親しそうに微笑んだ。 「まあ、ゆっくりとできるうちにしておいたほうがいい。珍しく事件もないしな。」 と言って、話は終わりだとばかりになんの挨拶もなく自分のオフィスへと消えて行った。 これが彼流のクリスマスプレゼントなんだろうか?そう思いつつ、僕は大事なことを 思い出す。 「Scully…」 "待っているわ"とにっこり笑った後、どのくらい経ってしまったんだろう? 僕は大慌てで、地下のオフィスへと駆け下りた。 これじゃあ、「イブを一緒に過ごす」どころじゃない。 (しかも結果的にはSkinnerと一緒に過ごしてしまったし…) 怒って帰ってしまったかも? とにかく彼女の家に向かうため、早く帰り支度をするべくオフィスに飛び込んだ。 慌てていたので気がつかなかったが…部屋には明かりが点いていて…僕の机には Scullyがいた… 「Scully。」 「あら、お帰りなさい。」 まるでついさっきオフィスを出たかのように、これだけ待たせたのを感じないように あっさりとScullyは答える。 「待っててくれたんだ…」と僕はそばにあったゴミ箱に蹴躓きながらも彼女に一目散 に駆けよって、驚いて立ち上がった彼女をそのまま抱きしめた。 「待ってるわって言ったから…」Scullyは僕の胸の中でそう答えた。 そして、僕の胸を軽く押しのけて、腕時計を見る。 「3、2、1…はい、イブはおしまい。Merry X'mas、Mulder。」 にっこりと笑う。 「1番にあなたに言えたわ。」そういって満足そうに微笑んだScullyを僕はもちろん、 さらに強く抱きしめてキスせずにはいられなかった… 「ティーンのようにこだわるつもりはないのだけれど…」 そう言って僕の恋人はするりと腕に自分の腕を絡ませてくる。 やっと2人で彼女の家にたどりついて、リビングのソファに一緒に腰を落ち着けた ところだった。 「やっぱり、一緒に過ごせないかと思うと淋しかったわ。」 ちょっと上目使いで僕を見上げる。 普段は言い慣れない台詞なのか、その顔が妙にこわばっているのが可笑しい。 彼女としては精一杯、素直になっているのだろう。 僕がそんな彼女を思わずじっと見つめると、絡めていた腕を照れくさそうに外して、 机の上に用意してあったミニケーキを皿にとって僕にフォークを渡した。 2人でひとつのケーキをつつき合いながら、ときには数少ないいちごを取り合う バトルを展開しつつ、あっというまに平らげてしまった。 皿にはユーモラスな表情をしたサンタのロウソクと、ヒイラギをかたどった飾りのみ が残されている。 僕は思わずそのサンタを手にとって、残っていたクリームを舐めとった。 「子供みたいよ、Mulder。」Scullyはそんな僕をみてくすくすと笑う。 しかし、ふいに真面目な顔になって小さく呟いた。 「来年もこうやって一緒に過ごせるのかしら。」 彼女の言葉は僕達の仕事の危険さによる不吉な思いを抱えていると言う事なのか、 それともどちらかが心変わりをしてこうやって過ごせなくなるかも?と言っているの か、どちらとも判断がつきかねた。 「なにを弱気な事を言っているんだい?Scully。君には僕をふる予定があるのかい?」 茶化して声を掛けてみたものの、一応微笑み返した彼女の顔があまりに不安げだった のに驚いてしまった。 そんな僕の表情を読み取ったのか、Scullyも黙り込んで僕から視線を外してじっと 窓の外を見つめた。 僕は、なんて声を掛けたらいいものかとしばらく考えあぐねたが…ふと思い付いて 手にしていたサンタを… 「きゃ!なにをするの?Mulder!!!」 彼女は弾かれたように立ち上がった。 ぼくはにやにやと笑って見せる。 「君があまりにも僕の事を信用してくれない罰だよ。」 「酷いわ、Mulder。いったい何をいれたの?冷たい!」と自分の背中をもぞもぞさせる。 「ははは、サンタのいたずらだよ。」 ずっと冷蔵庫で冷やされたサンタはさぞかしScullyの背中で冷たく存在を主張している だろうと思われた。 さらに睨み付けてくるScullyに僕は笑いかける。 「そんな怖い顔をしなくても取ってあげるよ。」 そういって、僕は立ち上がった。 「あれ?どこかな?」 彼女を前から抱きかかえながら、背中に手を突っ込む。 暖かい彼女の背中にゆっくりと背骨に添って指を這わせながら、そのままたどりついた ホックを外した。 「Mulder!」 「ん?」 僕はとぼけてそのまま絹のような背中の感触を楽しむ。 「ないなぁ…前に回ったのかな?」 そして彼女を腕の中で回転させて後ろから抱きかかえ、そのまま膨らみに手を当てた。 「真面目に探す気があるの?」 僕のたくらみに簡単に気付いたScullyは笑いを声に含ませつつ、それでも責めるような 口調で聞いてくる。 「さあ?」 Scullyの方に顎を乗せてそのまま耳を軽く噛んでみた。 その後、柔らかい頬に頬擦りをしながら、僕はブラウスのボタンを順番に外してから、 スカートのホックに手をかけた。 「待って、Mulder。」 僕の手をScullyは、ぐっと押さえた。 「何故?」 振り返ったScullyの顔は予想外に近くにあり、その少し濡れた光る唇が視界に飛びこ んだ瞬間、僕は反射的に自分の唇を重ねていた。 長い情熱的なキスをして、彼女の方が酸素不足になりかけたのを機にやっと外す。 「今日は1日ラボで汗をかきながら仕事をしていたの。シャワーを浴びさせてよ。ね?」 「いいよ。ただし条件がある。」 「条件?」不審な顔で問い返してきたScullyに僕はにっこりと笑って答えた。 「僕も一緒だ。」 そう言って、彼女のスカートのホックを外したとき、背中からこぼれ出たサンタが コトっと音を立てて床に落ちる。 なんだかユーモラスな表情が一瞬痛そうに歪んだように見えてしまって、思わず笑うと 彼女も同じように笑っていた。 バスルームは温かい湯気に包まれていた。 Scullyはお気に入りの泡風呂にすると主張したが僕は断固としてバスソルトを希望した。 「なぜなの?Mulder。」 「だって泡風呂にしたらせっかくの君の姿が見られないじゃないか。」 そう言った瞬間、Scullyはいじわるそうに笑って、問答無用にバブルバスを突っ込んで 掻きまわした。 「Scully、やったな!」 僕はそのまま彼女を抱えて勢い良くバスタブに飛び込んだ。 「ちょっと、Mulder!いきなり…!」 「それはこっちの台詞だよ。」 最後の飛び込みでいよいよ泡だらけになったせいで、彼女の肢体は見えない。 僕はあきらめきれずに彼女を少し隅に追いやり、水面に出て露わになった胸に頬を寄せた。 もともと滑らかな肌は、石鹸の膜に覆われてさらにつるつるとして気持ちが良い。 そのまま頬をうごめかしてみる。 「ちょっと、Mulder。ちくちくするわ。」 そう文句を言いながらも、笑いながら僕の顔を抱きかかえた。 仕事が終わって、1日経った僕の髭ははやくも伸びかけているようで、Scullyは顔を動かす たびにくすぐったそうに身をくねらす。 「ボディブラシだと思ってくれ。」 そして、そのまま頬を首元に、腕にと気の向くままに擦り付けた。 ScullyはScullyで、まるで僕の体を洗い上げるかのように背中や腕に指を滑らせて、同じ様 にいつもとは違った触感を楽しんでいるようだった。 僕達はときには見詰め合っては、浴室で笑い声を響かせていた。 しかし、当然の事ながら、だんだんこの触感だけでは満足できなくなってきて、彼女を 味わいたくなってしまう。 僕は彼女の背中に手を廻すふりをして、そのまま栓を抜いた。 "ゴゴッー"すごい勢いで見る見る僕達を包んでいた泡の水面が下がって行く。 驚くScullyを尻目にシャワーの栓を捻った。 すると途端に髪に背中に心地良い刺激を与えつつ、みるみると僕たちにまとわりついていた 泡のベールを取り去り始める。 すっかりと濡れてしまって顔に掛かっていた彼女の髪をどけてやりながら、僕はすかさず 唇を体に押し付けた。 「あっ。」 Scullyの口から短い声が漏れる。 そのまま肩に舌を滑らせながら首筋に顔を埋めると、先ほどのつるつるした感触ではなく、 もっちりとして、まるで吸い付いてくるような肌の感触となり、大いに僕を満足させた。 僕は彼女の体に付いた水滴の一滴も残さないような勢いで、あらゆる部分を舐め取る。 するとだんだん彼女の息があがってきて、バスタブのふちへと身を反らせた。 そんな姿に僕はとうとうがまんできなくなり、そのまま彼女を抱きかかえて中へと入った。 Scullyの白いしなやかな指が僕の濡れた髪の中に差しいれられる。 僕の動きが激しさを増すにつれて、彼女の胸に僕の髪から落ちた滴がぽたぽたとこぼれた。 それに誘われるように、さらに舌を這わせながらスピードが最高に上がった時に… しっかりと僕の背中に回された白い腕にものすごい力が入ったかと思うと、やがてすべての 力が抜けたかのように、ゆっくりと再びバスタブに体を沈めていった。 「私ね、あなたに謝らなければならない事があるの。」 Scullyは僕の腕の中で、急に神妙な顔つきになった。 湯がすっかりなくなったバスタブから柔らかいベッドへと移って、もうひとがんばりした 後だった。 全身がスポーツをしたすぐ後のように心地良い疲労感に包まれている。 そんな時間を過ごしたすぐ後の台詞には似つかわしくない単語を聞きとって、僕はScullyを 見つめた。 「ほら、ここ最近とても忙しかったでしょ?今年はプレゼントを用意できなかったの。 ごめんなさい。」 ほんの少しだけ身構えてしまった僕だったが、その言葉に思わず笑みが広がる。 「いいさ。君が僕にとってはなによりもの神様からのプレゼントだよ。」 そういいつつ目を閉じて、さらにぎゅっと抱きしめようとしたが、何故か軽い抵抗を覚えた。 ちょっと驚いて目を開けるとなんだか複雑な表情をしている。 「どうしたんだい?」 「…私は物じゃないわ、Mulder。」 「ん?」 彼女の意外な答えにぼくは少し目を見開いてみせた。 「だからあなたにプレゼントはできない。それに私はあなたを神様からのプレゼントだ なんて思わないわ。」 「Scully…」 彼女の顔にかかった一房の黄褐色の髪をどけてやると、僕をまっすぐ見つめていた大きな 蒼い瞳が現われる。 「私はね、Mulder。」 僕の肩に顔を寄せ、僕の視線を視線を外しながら、Scullyは続ける。 「あなたと出会ったのも、あなたとこうなったのもすべて私の意思だわ、Mulder。運命 なんてことじゃないの。私は自分で選んで、掴んで人生を切り開いてきたわ。その中で あなたに出会って、あなたに恋をして…そしてあなたと一緒になった。あなたも同じ様 に自分の力で意思で海を渡ってここまで来たのでしょう?」 Scullyの声は囁きのように小さく、ハスキーだったが僕の耳にはしっかりと届いた。 そしてその言葉を噛み締めてみる。 そう、ここまで来たのはあらゆるものを選択して、時には捨てて自分の意思で力で掴み 取ってきた。 そして僕の意思で君をつかまえたいと思った。 手に入れた。 そういうと君はまた「物じゃない」って怒るかもしれないけれど… 「ねえ、Mulder。私の言いたいこと分かる?」 彼女の言葉がとても心地良く、つるつるなめらかに僕の心をくすぐる。 僕はなぜだか、小さい頃に大好きだった子馬の背中の柔らかな感触を思い出していた。 恋人同士の何気ない会話の上の言葉にも自分の思いと違う部分はきっちりと否定し、 僕に伝えてくれる。 自分の思い、どれだけ僕を思っているかと伝えようとしてくれる僕の恋人は… 「ねえ、Mulder。聞いてるの?」 それはイコール、どんなに僕が好きかって、告白している言葉になってるってわかって るのだろうか? そして君にそんなふうに語らせているのは僕なんだと思うだけで、とても幸せな気分に なってくる。 そんな君の優しい声は心地良い子守唄のようで僕の瞼はどんどん重たくなってきた。 「もう、人がまじめに話しているのに…」そういいつつ、Scullyは怒るふうもなく、 ぼくの胸へと顔を埋める。 彼女の声と共に暖かい息が胸にかかり、そこだけぽっぽっと熱くなる。 「ねえ、Mulder。」 ああ、だめだ。 君の柔らかい声を聞いているだけで大きな安心感に包まれてみるみる意識が遠のいてしまう。 おかげで僕の不眠症もすっかりと解消されたような気がするよ。 もう一言聞いたら、完全に夢の世界へと入ってしまう確信がある。 聖夜に見る夢は君と楽しく過ごせる夢だといいな… そして、来年も再来年もその先もずっとこうして。 ねえ、Scully… 「ねえ、Mulder。」 …… (Fin) ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ あとがき(言い訳) 「キリスト教の国アメリカには“クリスマス休暇”というものがあるんじゃないか?」と 思ったのですが、やはり日本人の私には「御用納めは29日!」という概念がきっちりと しみ込んでいるので、こういった設定となりました。(これぞ言い訳!?) 今回のFicでは「君はぼくの物」とか「君は神様からの贈り物だ」と言われたスカリーは なんだか「私は物じゃないわ!」と否定しそうだなーとぼんやり考えたところから、 書き始めた話です。 そして、モルダーがなんの気なしにそんな台詞を言っても、好きだからこそ自分の考えを きちんとわかってほしいと思ってうったえるんじゃないかな?と。 どうでもいい相手なら、自分の事をきちんと理解してもらおうと思わないですよね。 あとはこの時期、とても寒かったので「お風呂でいちゃいちゃする2人」というあったか そうなシチュエイションを書きたかったのだけれど・・・真冬のお風呂場ってあったかいの かしら?(爆) などと言い訳満載で終わります。(笑) ここまでお付き合いくださった方、本当にありがとうございました! そして・・・クリスマスソング。 私は、ジョン&ヨーコ レノンの「Happy X'mas」が大好きです。 いつもどこかでこの時期にかかっている定番ソングですが、ずっと題名や誰が歌っている かわからなくて、かなり探した覚えがあります。 子供たちのハーモニー部分を聞くと、「なんだか透明な穢れのない声だわー。」なんて うっとり・・・ ベトナムの反戦運動の為に作られたんですよね?確か・・・ 世界中、すべての人々が幸せなクリスマスを迎えられることを祈りつつ。 これにて失礼致します。