*************************************************************************  DISCLAIMER// The characters and situations of the television program  "The X-Files" are the creations and property of Chris Carter,  Fox Broadcasting, and Ten-Thirteen Productions.  No copyright infringement is intended.  この作品は、Skinner&Scullyを題材にしております。  内容は取り留めなく暗い上、Scullyは嫌な女全開です(苦笑)  Skinner様のFanにも叱られるかな?  そして、軽い「おとな」なテイストを含んでおりますので、そう言う表現が苦手  な方はご遠慮ください。  申し訳ありませんが、読んでむかっ腹立っても力不足な私には責任は取りかねま  すので・・・ご了承ください(深々) ************************************************************************* = THORN = Written By AKUA Data:11/17/99 Spiler:None Rating:PG-13 *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* 私はいつからか、こうしてこの部屋で彼女を待つようになった。 時々ここを訪れては、この両の腕の中で夜を越える人。 いつの間にか二人の間にできた秘密は、私に苦い暗黙を与えジッとその時を待たせる。 今夜もきっと… 無機質なブザーの音が、私にその訪問を気付かせる。 扉を開けると、そこには仄かに雨の匂いを漂わせた彼女が立っていた。 「入りなさい。」 「……」 「外は雨か…」 何も言わずにこの部屋に踏み入ると、水分をたたえたジャケットを重い音と共に脱ぎ 捨てる。薄いブラウスの両手を私の首へと伸ばしながら、その小さな重みを私に預け、 拒まれることを恐れるかの如く口付けを繰り返す。 冷たいその唇の感覚に、私は僅かに彼女を引き離し諭すように囁いた。 「身体が冷えてる…直ぐにシャワーを浴びなさい。」 子供のようにただ何も言わずに首を振る彼女には、いつもの様な凛とした強さはない。 私の頬に触れるこの冷たい滴は、嫌だと愚図る彼女の赤い髪から溢れ出す物か。 それとも… 「風邪をひくといけない。とにかく直ぐに…」 「貴方が…」 囁いた後、また痛いくらいに求める唇に、私は彼女の中の『棘』を思い浮かべずには 居られなくなる。彼女を慈しめば慈しむほど、それは私の心に赤い雨を降らせ、酬わ れない想いを痛めつけていく。 その痛みに耐えながら、己と彼女を宥めるように鈍い赤色の房をそっと撫でた。 「Scully…」 「…貴方が暖めて…」 ここに居るのは誰も知らない彼女。『奴』も知ることのない彼女を私だけがこの手に している。 こんな夜と震える声で呟く彼女はより一層儚げで、私の胸の奥に何かが溢れ出す。 『苦渋と優越』 彼女の想いを知る苦渋と、彼女を手にする事への優越か… 私はいつからこんな男になった。 優越感なんてものに誰よりも縁遠かったはずの私が… 細い身体を抱き上げて、いつも一人で眠るベットへと運ぶと、冷たく澄んでいた瞳の ブルーに僅かな透明の靄が掛かり彼女が唇を開いた。 「私はずるい…」 「何も言わんでいい。」 「私は…貴方を……貴方を…利用している……」 「静かに。」 「私は…」 私の攻めに段々と言葉を失っていく彼女を、いつもと違う色が襲う。 抜けない棘に赤く濡れていく彼女の心の襞をこの舌でなぶり、背中を彼女の痛みで赤 く滲ませていく。 その痛みと同じだけ、私は目の前に広がる白い肌に幾つも唇を落とし、彼女の潤いを 呼び覚ます。互いに探り合い潤い出す不安定なこの波。 支える両手首を彼女のか細い指が締め上げて、身を沈めた私は彼女の限界が近いこと を知る。その時を迎える度に繰り返す同じ囁きを、今夜も私は口にしていた。 「君の欲しいモノをあげよう…」 「…私の…欲しいモノ…」 「…っ…そうだ、君の欲しいモノをあげる。何が欲しい…」 彼女が口にするモノを分かっていながら、私は自分を苦しめるように囁いた。 「…Mulderが欲しい…」 決して手にする事が出来ない玩具を強請るように、彼女はそれを求め、私はその囁き に身体と心を締め付けられる。 彼女は私に『奴』を求め、私は彼女に何を求めるのか… 「じゃあ、目を閉じておいで…」 その囁きにそっと瞳を閉じる彼女を、私は同じ動きを繰り返しながら高見から眺めて いる。私に抱かれながら違う男を思い浮かべる女と、この不毛な夜をこの虚しい行為 をこうして繰り返している。 声を出さぬように自分の限界を迎えようとする私に、今夜は彼女が囁いた。 「でも…貴方も…貴方も欲しい…」 「……」 「私を『女』だと気付かせてくれる貴方も…」 「……」 「暖かく包み込んでくれるその腕も。抱き留めてくれるその胸も。全部…」 「…私は…」 私は『既に君のものだ』と呟きかけて躊躇った。 彼女はたとえ私だけを手に入れても満足はしない。その心は満たされはしないのだ。 そんな事は分かり切っている。 躊躇い言葉を濁す私を咎めるように彼女が囁いた。 「違う…私の中を貴方で満たして…」 「Dana…」 「私の全てを貴方だけに…」 「……」 「お願い……Walter…」 幾つもの夜を越えながら、彼女が初めて囁く私の名。 私はそれを遠い意識の外で聞いていた。 Fin *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-* 私の一言:  こんな私の無謀な作品を読んで頂いてありがとうございます。  もう、何も言い訳は致しません。  と、言うより何を言えばいいのか、分かりません。  慣れないことはしちゃダメよって事でしょうね。  これを「書いて」と言ってくれた『あなた』に送りたいのですが  こんなモノは「いらね〜よ!彼じゃねぇよ〜」って言うな多分(笑)  まあ、1号の戯言と思って許して頂戴!  読んで下さったスキスカFanの方にも心よりお詫び申し上げます。  「あんた・・・修行が足りねえよ〜」って事など、今後の参考にさせ  て頂きたいのですが、宜しければ建設的なご意見・ご感想等お願い  します。 E-Mail:akua@mail2.dddd.ne.jp