DISCLAIMER: The characters and situations of the television program "The X-Files" are the creations and property of Chris Carter, Fox Broadcasting, and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringement is intended. 警告: 18歳未満の方は読んではいけません。 今回、モルダーとスカリーは既に恋人同士になっております。 そうゆう設定は嫌だ、という方も読んではいけません。 °。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。°。 『The night before…』by Miyuki ・ ワシントンD.C 南東地区 「Casey's Bar」 煙草の煙とアルコールの匂いが室内に染み付いたようなバーのカウンターで、どこか拗ね た子どものような顔のモルダーは、顔見知りのバーテンの前でテキーラのグラスを重ねて いた。 「また、つまらないことがあったんですか?」 高い襟の白いシャツに黒いベストをつけた女性バーテンダーは、まるでお天気の話をする かのようなどこか朗らかな口調で尋ねる。 「そう、また、つまらないことがあった」 「大変なお仕事なのね」 フンとモルダーが自嘲気味に鼻を鳴らした。 「でも、今夜はいいことがあるかもよ、モルダーさん」 バーテンダーはショットグラスを手際良く拭いて並べていく。 「美人が来るわ。赤毛でブルーの瞳、キャリアらしいスーツでまっすぐこっちに向って歩 いてくる。後はあなたの努力次第ね」 いつもクールなバーテンダーを出し抜いた快感に、一瞬モルダーは口の端を緩めた。 「彼女はダナ・スカリー。仕事中は相棒、それ以外では僕の恋人だ。明日の憂鬱な出来事 に備えて今夜は飲み明かそうと誘ったんだ」 隣のスツールに彼女の気配がした。使っている香水、馴染みの体温、目の端に赤い髪がゆ れる。 「Hi、私にも彼と同じものを」 スカリーはスツールに座ると足を組み、バーテンダーに向って微笑んだ。 それはメリーランドの郊外で起こった事件だった。 少女が学校からの帰り道、何者かに撃たれ、病院に運ばれた。警察は通り魔の仕業と考え たが、ほぼ時を同じくして救急車で運ばれた男が「少女の継母が犯人」と言い出したのだ。 男は手術中に幽体離脱をし、「廊下で継母が電話で話しているのを聞いた」と主張。 当然、警察は無視したが、地元のゴシップ紙が報じて、モルダーは興味を持つに至った。 そして、彼はこれまでと同様、スカリーを説得し、独自の捜査で母親が有罪だという証拠 を掴んだのだ。 しかし、本件は正式な捜査として許可されていなかった。しかも、地元警察からその強引 な方法は捜査妨害にあたると、強い抗議も受けた。 そこで、二人はスキナーに呼び出され、「明日、午後4時からの諮問会で君たちの処遇は 決定することになった」と言い渡されたのだった。 「多分、減俸と謹慎は免れないわよ」 最初のテキーラに顔をしかめた彼女の為に、バーテンダーがかなり飲みやすいカクテルを 出してくれるせいで、スカリーが今夜はやけに飲んでいた。 「そうだな」 だんだん頬を赤くし、だんだん威勢が良くなってくる彼女が新鮮で…モルダーはカウンタ ーに肘をついた姿勢で様子を眺める。 「あら、謹慎ってお休みってことでしょう、いいじゃない?、せっかくだから出掛けてし まえば?、おふたりで」 バーテンダーが手元でロックアイスをつくりながら、ハスキーな声で口を挟む。 「あぁ…、そうねぇ、それもいいわ、うん、そうしましょうよ、モルダー」 だんだん呂律のあやしくなってくる口調に上機嫌な笑顔は、この場で抱きしめたくなるほ ど可愛らしい。あの無機質なモルグでラテックスの手袋をパチンといわせるスカリーとは 別人のようだ。 「君はどこへ行きたい?」 スカリーは唇を尖らせるようにしばらく考える。 「ハワイ、カリブ、カンクーン…青い海、白砂浜、照り付ける太陽、泳いだり、肌を焼い たり、土産物屋をのぞいたり、イルカやクジラのウオッチング…そういうのやりたいわ。 私達の日常からもっとも遠い世界だと思わない?」 「へぇ、溜まってる論文を読み終えて、興味深い点について要点をまとめておいたりする のかと思ったよ」 「ひどいわ、私をクラス委員みたいに思ってるのね、モルダー」 スカリーは自分をみつめる彼に向き直ると、右手を伸ばして摘まんだ彼の鼻先を、思い切 りゆすぶった。 「あなたの行きたいところなんてわかってるわよ、ルーマニアのドラキュラ、ヒマラヤの 雪男、ネス湖のネッシー…そういうの探しに行くんでしょ。知ってる? ユタ州のベア湖 にも湖底怪獣がいるんですって」 「ふ〜ん、それは聞き捨てならないな」 大様に微笑むモルダーと、彼に人差し指をつきつけて言い募るスカリー。 バーテンダーはその組み合わせの妙に思わずクスッと笑みを漏らす。 「仲がいいのね、うらやましいわ」 「あら、そんなことないわ」 スカリーはすばやくバーテンダーのほうに向き直った。 「彼、ここに連れてきたことない? ブルネットで、髪の毛がこのぐらいでぇ」 と、両手を肩先でヒラヒラさせる。 「スカリー!」 慌てて遮ろうとするモルダーに微笑んでバーテンダーは首を横に振った。 「いいえ、あなたが初めてですよ」 「ふ〜ん」 なかなか説得力のあるバーテンダーの口調にスカリーは満足げに微笑むと、 「いいわ、じゃ、行きましょう、モルダー。謹慎がなによっ、諮問会なんかに負けないわ」 「いいよ、どこへ?」 「そうねぇ、私なら…」 …こうして同じ会話がクルクルと、酔っ払いの夜は更けて行くのであった。 ・ 翌日 FBI本部 4:40p.m エレベーターの下向きボタンを押してから、スカリーは大きく息を吐き出した。 先に諮問を終えたモルダーと廊下ですれ違った時の、彼の憮然とした表情から、おそらく うんざりする様な席になると覚悟はしていたが、惨澹たる結果だった。 さらには、昨夜の酒が胃の中にゴロゴロしているようで、気分的には最悪だ。 「いいかね、君たちは私立探偵じゃない、FBIの捜査官だ」 「自覚を持ちたまえスカリー捜査官、君は組織の一員なのだよ」 「地元警察でも、あの程度の事件は解決できただろう。君は彼らを怒らせ、我々への不信 感を植え付けただけではないのかね」 彼らの言い分はすべて、一定の手続きを踏まなかった捜査を非難するものであって、実際 に犯人が捕まったことなど、まったく考慮されなかった。 そして、3ヶ月間の減俸と3日間の謹慎。 それでも、警護や盗聴チームの応援に回されなかっただけありがたいかもしれない。 もちろん少女を襲った犯人を捕らえることができたのだから、後悔はしていない。 しかし、今後ずっとFBIでの自分の記録に残るのだと思うと、多少は憂鬱になるというも のだ。 「あら…」 いつものオフィスのドアを開けると、彼女が来ていた。 デスクの前に置かれた椅子の肘掛けに座り、ファイルを広げてモルダーに何か説明してい るところだ。 「まぁ、スカリー捜査官」 ダイアナ・ファウリーが鮮やかな笑顔で振返った。 「よぉ、不愉快だったろ? スカリー」 その向こうから、妙に機嫌の良さそうなモルダーが片手を上げる。 「はぁ…」 スカリーは予想していなかった展開についていけず、ぼんやりと肯いた。 「フォックスが3日間の謹慎だって言うから、 その間にプロファイリングをお願いしよ うかと思って来たの、私が今抱えてる事件なんだけど、ちょっと長引いてるのよ」 「ファイルを読む限り、単純な事件だよ」 「それがね、フォックス…」 再び、彼に事件の説明を始めたダイアナの脇を通り過ぎて、スカリーは自分の鞄を取り上 げた。 「モルダー、私は帰るわ…なんとなく疲れちゃったし」 「まぁ、顔色が悪いわ、気をつけてね。明日からしばらく、ゆっくり休めばいいじゃない」 すかさず答えたダイアナに向って、スカリーはかき集めた社交辞令を総動員して微笑み、 “ご親切にどうもありがとう”と呟いてからドアに向う。 慌てて立ち上がろうとしたモルダーは、“フォックス、まだ終ってないわ”というダイア ナの言葉に引き止められ、しぶしぶ椅子に腰を下ろした。 ・ Scully's Apartment 9:00p.m “トントン” ノックをしても答えがない。 部屋の明かりはついていたし、カーテンの向こうに人影も確認していた。 彼女がいることは確実なのに。 ダイアナが絡むといつもこうだ。スカリーは言葉少なになり、すばやく立ち去ってしまう。 実際、非難されたことなどないが、彼女との過去を気に病んでいるに違いない。 しかし、スカリーとの関係を公にすればパートナー解消必至で、はっきりとした態度をと るわけにはいかないのだ。だから、ダイアナへの態度も変えることができないでいるのに。 昨夜は本当に楽しかった。機嫌良く飲んでタクシーでここまで送った。 普段はクールな彼女がめずらしく、運転手を気にせず分かれ際にキスしてくれた。 ジンとオレンジジュースの香りが残るお休みのキス。 「じゃぁ、また明日ね」と笑ってくれた。 大きくため息をついて、二度目のノックをしようと手を挙げた瞬間、カチャと小さな音が して扉が薄く開いた。 「あぁ、モルダー、今夜は帰って」 その隙間からのぞいた俯いた横顔が小声で囁く。 「今、とってもいいところなの、邪魔しないで」 “いいところ?”モルダーは眉をひそめた トッテモイイトコロナノ? 「どうゆうことだよ、スカリー」 “まさか…誰か来てるのか?”、扉にかけた手に力がこもる。 「誤解しないで、そうじゃないわ」 なんとか扉を開けさせまいと向こう側から押さえながら、スカリーが顔をあげた。 「ス、スカリー?」 殆ど無意識にモルダーは扉を押し開いていた。 彼女の頬に残る涙の痕、はれぼったい瞳とほんのり紅くなった鼻先…例え彼女が100万回 否定しようとも、絶対に泣いていたのだ。 泣かせてしまった、傷つけてしまった、だから僕の訪問を拒否しようとしたのだ。 「ごめん…」 モルダーはそう言って、思い切り彼女を抱きしめた。 「君がそんなに嫌なら、僕はもう二度と…いや、それは約束できないけど、出来るだけ彼 女とは会わない。少なくとも君がいない時に二人きりになったりしないよ」 「モ、モルダー?」 ぎゅっと押し付けられた厚い胸板から、スカリーはようやく顔を上げると、20センチばか り上にある相棒の顔をじっと見上げた。 「僕を信じてくれ」 モルダーの口調は真剣だ。 しかし…じっと自分を見詰めるヘーゼルの瞳を覗き込んで、スカリーは不思議そうな表情 で尋ねた。 「ねぇモルダー、その“彼女”って誰のこと?」 スカリーは開いたままの扉を閉める為、彼の腕の中から抜け出した。 “パタン”…目的を果たして振りかえると、呆然としたモルダーが立っていた。 「だって君は、今日、元気がなかったじゃないか」 「減俸に謹慎で、どうやって元気になれっていうのよ」 「そして、オフィスでダイアナを見た途端、“帰る”って言い出しただろう」 「寄りたいところがあったから」 「それで、ここへ来てみたら、泣き顔だし…だからてっきり」 「ダイアナに嫉妬して、私が泣いてると?」 「昨夜だって、あの…バーテンダーに聞いただろ、ブルネットがどうのこうのって」 「…それは、よく、覚えてないけど」 スカリーは苦笑したままビデオデッキに近づいて、中からビデオテープを取り出してモル ダーのほうに持ち上げて見せた。ラベルに「Life is beautiful」そう書かれている。 「イタリア映画で、すごく感動的なの。収容所に入れられることになるユダヤ系の一家が 主人公で…完璧なハッピーエンドじゃないけど、最後は男の子の笑顔で終るのよ」 「それを見てたのかい?」 「えぇ、あの諮問会の後で気が滅入ってたから、気分転換にはちょうどいいと思って…、 あなたが来た時、ちょうどラストシーンだったんだから」 “貸して”モルダーはビデオテープのほうに手を伸ばした。 しかしそれを差し出したスカリーの手首をすばやく掴え、ビデオは取り上げて床に滑らせ ると、すかさず引き寄せて自分の膝の上に座らせる。 「泣いてるところを見せたくなかったの」 スカリーはあきらめたようにモルダーの背中に片手を回して、そっと体重を預けた。 「ひどいね、すべて見せてくれたと思ったのに」 片手は彼女の手首を捉えたまま、モルダーのもう一方の手は優しく膝頭から腰のほうへ線 を描いてゆく。 「30過ぎたオンナが簡単にそんなことするわけないでしょ、バカ」 モルダーの視線に微笑んで、スカリーはゆっくり瞳を閉じながら、自分から唇を合わせた。 ほんの少し触れ合ったのを合図に、モルダーは手首を放し、代わりにその手を頬に添えて、 ふっくらした唇を包み込むように味わい始める。 親しんだ感触…お互いの舌が出会うと、唇の間から熱い吐息が漏れ始める。 「ちょっと待って…モルダー」 スカリーは体を離して、ソファに上に押し倒そうとするモルダーを押し留めた。 「今日はまだシャワーも浴びてないの」 「そう?」 彼の動きは止まらない。細く長い指がスカリーのTシャツをせわしなくたくし上げていく。 それを元に戻そうとスカリーの手が苦闘するが、状況は完璧に不利。 あっという間にソファの上で組み敷かれる。 「ねぇ、それにリビングなんて駄目。外に声が洩れちゃう」 しかし、潤み始めた蒼い瞳と甘い響きを含んだ彼女の声は逆効果だ。 「がんばって我慢するんだね、スカリー。僕に隠し事をしようとした罰だ」 モルダーは意地悪くにやりと笑って、自分の重みで彼女の動きを巧みに封じながら、すっ かりずりあがってしまったシャツからのぞく膨らみを手のほら全体で包み、その先に唇を 押し付けた。 「ねぇ…お願い、離して」 明るいリビングのソファで…そんな若い頃のような性急さにも、次第に熱くなってくる自 分自身を否定しようと、スカリーは冷静な口調を試みるがモルダーは耳を貸さない。 唇はそのままに舌先で刺激を変えながら、彼女に止める暇を与えず彼女のソフトジーンズ の中に片手を滑り込ませた。 自分の指先に翻弄され反り返る白い喉、紅く上気した頬、ぎゅっと閉じられた瞳、震える 睫、ドアの向こうを気にして噛む人差し指、眉間に皺を寄せ我慢できない様に洩れだす吐 息…その様がさらにモルダーを煽る。 「スカリー…、もう我慢できない」 モルダーは耳元で囁いた。 その言葉に応えるように、スカリーは、彼のセーターとTシャツを一気に引き抜く。 モルダーも彼女の上半身を剥ぎ取り、背中に手を回して力いっぱい抱きしめる。 直に肌が触れ合って、温度と汗が交じり合う。 彼の唇が耳元から輪郭をなぞるように、彼女の唇へ戻る。 二人は無言のまま自分のジーンズを脱ぎ去り、一瞬唇を離して、鼻先が触れ合うほど近く で見詰め合った。 赤く腫れた唇、煙った瞳、うっすら汗ばむ額…。 所在無くモルダーの肩に置かれていたスカリーの腕が彼にからみつく。 「シャワーはいいのかい?」 「あなたのせいよ」 熱い息と一緒に吐き出される甘い非難の言葉に、モルダーは満足そうに微笑むと、彼女の 膝頭を大きく広げて、ゆっくりと侵入をはかった。 途端にスカリー自身が彼を心地よく包み込む。 その暖かさと彼女の喘ぎ声が彼を追いつめ、次第に早くなるリズムが二人を高めていく。 声を漏らすまいとスカリーが無意識に掴んだクッションを、モルダーは邪険に取り去って、 その代わりに唇を塞ぎ、その腰をぎゅっと抱き寄た。 そして…さらに深く沈み込んだ感覚の後で、“もう…”声にならない彼女の囁きを合図に 一気に上り詰めていった。 * ************************************** 散らばった衣類に囲まれたソファの上で、まだ息を弾ませながらスカリーは苦笑した。 「こんなの…20代じゃあるまいし」 冷静になると急に恥かしく、スカリーは慌てて床に落ちたシャツを拾い上げたが、あっと いう間にモルダーに取り上げられる。 「これからシャワーだろ、スカリー、服は要らないよ」 “もうっ”スカリーは伸び上がってシャツを取り戻し、さっとアタマからかぶると、すば やく裾を下ろした。 「じゃ、お先にどうぞ。あなたが帰った後で、私はゆっくり入るわ」 モルダーが声を出さず“エーッ”と唇を突き出す。 「明日は早いんだから、今夜は君のベッドで寝てもいいだろう」 「明日は早い?」 ソフトジーンズに片足を入れたまま、スカリーが聞き返した。 「そう、フロリダ行きの朝一番の飛行機だ」 「フロリダ?」 さらに戸惑う彼女にモルダーは組んだ腕の上に頭を乗せて余裕たっぷりだ。 「海に行きたいんだろ? 1週間ならともかくたった3日の謹慎じゃ、ハワイやカンクーン は遠すぎるよ」 「モルダー、謹慎っていうのはね、自宅待機が原則なのよ」 マジメな顔で講義する彼女の為には切り札を用意してる。 「あれ?、昨夜のバーで“謹慎がなによっ”って叫んだのは君じゃないか?」 スカリーは弱みを突かれて“ぐっ”と言葉に詰まった。 モルダーには言ってないが、昨夜のことは半分ぐらいしか記憶がないのだ。 何を話していたのかまったくといっていいほど思い出せない。ただ楽しかったなぁ、とい うおぼろげな記憶があるにすぎない。 「自宅の留守電は外からも聞けるし、携帯もある。“眠ってて気がつかなかった”“シャワ ーを浴びてた”“ジョギングに出てた”“母が急病で実家に戻った”折り返し電話の言い訳 のバリエーションは取り揃えてる。たった3日のことだし、僕等の不可解な行動にはスキ ナーも慣れっこさ。旅行鞄は既に外の車の中、後戻りはしたくなね」 モルダーはさっと立ち上がると、からだを屈めてスカリーをソファから抱き上げた。 「さぁ、だから一緒にシャワーを浴びて、ベッドでゆっくり続きを楽しもうよ」 腕の中のスカリーはモルダーを軽く睨んで“仕方がないわ”と微笑む。 「そ、そのかわり、ちゃんと眠るのよ、わかってるんでしょうね」 まぁ、いいわ、ジタバタしても、彼の思い通りになるんだから。 それにおとなしく諮問会の言いなりになるのも悔しいし。 「それは君次第だね」 モルダーは自分の勝利を確信して、うれしそうに答えた。 “そう言えば、あなた、この謹慎期間中にプロファイリングを頼まれたんじゃなかった?” “あ? あれはもう終らせてきたから大丈夫” “ずいぶんそっけないじゃない? 彼女の頼みなのに” “ほらぁ、やっぱり気にしてるじゃないか” “気にしてないわよっ” “そうかなぁ…” そして、バスルームではそんな他愛もない口論が賑やかに続くのだった。 The End 最後まで読んで下さったかた、ありがとうございます。 BBSに感想などいただけると嬉しいです。