
(中編)
2000年2月7日 (エジプト3日目)
〜 王家の谷 〜
エジプトに着いて、最初の2日間は雨こそ降らなかったものの、ずっと曇りがちな天気。
でも、とうとう3日目にして、晴れました!
目に染みるような空の青さと、王家の谷の白い山肌とのコントラストは絶妙!


ここでは、すでに60を越える墓が見つかっていますが、まだまだ発掘されて
いない墓はたくさんあるとか・・・
私がエジプトに行ったときも、1ヶ月前にみつかったというお墓を掘り出す作業を
していたのを見たり、もう少し前に見つかったのだけれど、調査を始める前に
まず、空気を通しておこうと放置されているお墓があったりしました。
現在のハイテクを駆使すれば、もっと見つかりそうなものだけれど、それはできないのです。
すべては、地道な調査によるものばかり。
「えー?どうしてせっかくのハイテクを使わないの???」
するとシリフは答えます。
「エジプト政府、何度も観光に来て欲しいと思ってますね。そのためには来るたびに
違った目玉が合った方が、人は来たいと思うでしょ?一気にすべての墓がみつかって
しまったら、新しいものがなくなるでしょ?それがねらいだと思います。」
確かに、現在発掘中のお墓を見かけた時の私達は、「これが公開されるようになったら
また来たいよね!」とすっかりと策略にはまった事を言い合っていたばかりでした。
・・・さすが、エジプト政府。(笑)
というか、私達が単純???(爆)

← お墓の内部の両壁にびっしりと描かれて
いたヒエログリフ。
この色の鮮やかさは5000年前のものとは
思えないですよね。
鉱石の粉末等が色の元となっているらしいです。
ちなみに黄色は卵の黄身とか・・・
中央の丸く囲ってある部分は「カルトゥーシュ」
と呼ばれるもので、ファラオの名前を書くとき
だけに使用されます。

お墓の天井部分に描かれていたもの。→
聖なる鳥、ハヤブサがずっと奥まで
描かれています。

←ファラオが天井界へと行く途中の
旅の様子が描かれています。
様々な神に会いつつ、進んで
行くようです。

ファラオがミイラにされる様子。→
「死の家」という場所で、
アヌビスという死神の面をつけた
神官によって、作業は行われます。
・・・確か・・・(汗)

←これも別のお墓の天井部分に描かれて
いたもの。
「大」の字に見える無数のものは、空の
星を表しています。

ここがお墓の一番奥の玄室。→
そして、中央にあるのが石棺
です。
それまで歩いてきたところと
ちがって、岩肌にはなんの
装飾もありません。
これはこのファラオが生きている
間にお墓が完成しなかったため。
つまり、このファラオが亡くなって
次のファラオが立った途端、新しい
ファラオの為のお墓作りへと皆が
移行してしまうからなんです。
・・・結構、シビアだ・・・(苦笑)
2000年2月8日 (エジプト4日目)
〜 アブ・シンベル・・・壮絶なる飛行機の座席争い 〜
いろいろと思い出の詰まった、ルクソールを離れて、次に私達一行が
目指すのはアブ・シンベルです。
ここは「ラムセスU世」の巨像が4体並んでいる神殿、「アブ・シンベル大神殿」で
有名なところです。
そこへと向かうためには、飛行機を使わねばなりません。
使う飛行機はチャーター機で、なんとプロペラ!
「スコルピオン航空」が運営していて、機体には鮮やかに黄色で「さそりのマーク」
が記されていました。
ただ、チャーター機と言っても、私達ツアーともうひとつのツアーとでチャーターしてあるもの。
相手のツアーが到着しない事には出発できないのですが、これがなかなか来ません。
多少、待ち疲れ始めていた私達を、シリフがおもむろに集めました。
「アブ・シンベル大神殿は、飛行機から見ることができます。ただし、左側
に座らないと見ることができません。そこで私、昨日からずっと作戦を
考えていました。」
シリフはいたずらっぽくにやりと笑います。
人間、なぜ同じ目的を持って、作戦を練る時には一丸となるのでしょう?
私達はそれまでのだらけた雰囲気から一変して、目を輝かせ始めました。
「勝負は、飛行機へと向かうバスから始まります。そしていち早く降りて、
飛行機へと乗り込まないといけません。」
その時です。
もうひとつのツアーが到着しました。
ざっと見たところ、平均年齢50歳といった感じでした。
いわゆる「おばさんパワー」炸裂で、止めるひまもないくらい話に
花が咲いているようです。
シリフは、そのツアーのガイドさんと知りあいだったらしく、一言二言
話してから、私達を呼び集めました。
「さあ、トイレへと行きたい人、ついてきてください!」
トイレ・・・?
いよいよ出発前だからかしら?と思いつつ、トイレは別にいきたくないや
と思った私達に、シリフはやたらと目配せをします。
“これも作戦の一環か???”
早くも始まったと思われる「座席奪取大作戦」を皆はすばやく察知して
すばらしいチームワークでさっと全員、集まりました。
「姉ちゃんたち、飛行機が出るのはまだ先だよ。」
「いやいや、ちょっとトイレへ行くんです。」
そんなふうにかわしながら、私達は全員歩き出しました。
その道中、シリフが言います。
「いいですか?相手に席を狙っているという事を気取られてはなりません。これからバス
が発着する場所へと向かいます。みんなできちんと並んで、場所を確保しましょう!」
「は〜い!!!」
小学校の先生でも、こんなにきちんと引率はできないでしょう。
私達は、きちんと2列になって、人の入る隙も与えないようにお行儀良く並びました。
その間も次の指令がシリフからとびます。
「いいですか?バスの中では決して座ってはいけません。そして、必ず
前の方へと固まってください。いいですね?前ですよ!」
そうこうしているうちに、もうひとつの団体がやってきました。
ツアーのガイドさんは、そこで私達の目論みに気付いたらしく、
「やられた!」という顔をしました。
でも、まだ勝負がついたわけではありません。
バスの乗降口は2つ。
着いてから、いかにがんばって飛行機へと辿り付くかが最大の山場です。
私達がジリジリとバスを待っている間も、列の最後の方の人から伝言ゲーム
のごとく、敵の情報が逐一伝わってきます。
「敵は完全に僕達の作戦に気付いたらしいよ。今、もれ聞いたところによると
あっちも左側の座席を狙ってたらしい。」
「なにか作戦があるみたい。でも、こちらにばれないように作戦の内容は英語で
しか話さないんだって・・・」
「男性陣がいち早く飛び込んで、席の確保にあたるからなにか帽子とか荷物をくれ!」
「いやいや、ちょうど背の高い3人組なんだから、壁となって敵を阻んでもらわないと!
がっちりと出入り口はガードしてね!」
「なんかね、ある人が“たとえ荷物で場所取りがしてあっても、それを別の所に放り投げ
てしまえば、大丈夫って言ってた!注意が必要よ!」
今まで過ごしてきた時間の中で、これほどまでに一致団結したことがあったでしょうか?
そこにバスがいよいよ到着し、「座席奪取大作戦」の盛り上がりはピークを見せます。
「いいですか?前ですよ。前!」
きちんと並んだおかげでいち早くバスへと乗り込める私達一人一人に、シリフは
声をかけます。
前の方が少しでも飛行機に近い場所で止まるのかしら?と思いつつ、「補欠組」
と称して、後ろの出入り口にも3名配置して、万全の構えです。
やがて、運命のバスは出発しました。
それぞれの胸のうちはともかく、もうひとつのツアーの方々と表面上はなごやかな
会話がはじまります。
「どっから来たの?」と、おばさん。
「東京からです。」と、龍ちゃん。
「へぇ・・私達はね、名古屋なのよ。」
・・・名古屋?
鮮やかなピンクのTシャツに、はっきりとしたメイクも眩しいおばさんは・・・名古屋?
ちょっと「私達もなんです。」とは言えなくなってきた名古屋2人組の私達。
「あんたたち、左側の席を狙ってるのね?」
「いやぁー。」笑顔のかわいい龍ちゃんは、にっこり笑って言葉を濁します。
「・・・場所取りとか無しだからね!」表面は笑いながらも、その目の奥は鋭いおばさん。
なにかこの人とは後ですごい争いになるかも・・・?と予感させるものがありました。
そうこうするうちに、「スコルピオン航空」の飛行機が見えてきます。
私達は、扉が開くのを待つのももどかしく、いつでも走れるように荷物を肩へとかけました。
シリフの言いつけ通り、私達は前にダンゴ状態。
従って、敵は後ろの出入り口を固めていました。
“ビー!“
扉が開きます・・・しかし・・・開いたのは前のみ!
シリフはこれをわかっていたのか!?
まず、男性チームがいっせいに飛び出しました!
後ろからは
「ちょっとぉ!後ろも開けなさいよ!!!」
「なんで開かないのよっ!!!」
「どうなっているのよ!いったいっ!!!」
と怒号が聞こえてきます!
でも、飛行機へのダッシュ時で繰り広げられるであろうバトルを予測しての危険防止のためか、
日本語が聞き取れないためか定かではありませんが、運転手はまったく後ろのドアを開けようとする
様子はありません。
私達は、さやから弾け飛ぶ豆の如く、どんどん飛び出し一気に飛行機まで駆けぬけ、
見事勝利を収めたのでした。
落ち着いて、左側に座っていると、烈火のごとく怒ったような声が聞こえてきます。
「ちょっと!左側がまったく空いてないじゃないの!」
「これは誰の荷物なのっ!人がいないなら無効よ!!!」
・・・・・こ、こわい・・・
結局、一番怒っているピンクおばさんを、前のほうで空いていた左側の席に案内し
なんとかその場は収まったのでした。
しかし、これで皆には「名古屋のおばさんってこわい。」としっかりと印象付けられて
しまったような・・・
己が反面教師とするべく、私達はこのことをしっかりと頭に刻み付けておく事に
しようと誓ったのはいうまでもありません。
そして・・・ついにアブ・シンベル神殿上空・・・
その時、友達のロコさんが窓際に座っていました。
「どうお?見えた?」
「うん、あれかな?ちょっと待ってね♪今、写真撮るから・・・ん、タイミングがむずかしいなぁ」
「・・・で、どうなの?」
ロコさんはそこでやっと窓からどき、おもむろに指を差しました。
「・・・あの山の裏にあったんだよ。もう見えないけどさ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
朝からのバトルは、私にとってなんの成果も得られないまま、ほんの一瞬で
幕を閉じたのでありました。
〜 スークとは・・・ 〜
前にも少し触れましたが、スークというのは日本語で「市場」のことです。
雰囲気としては「○○通り商店街」をイメージしてもらえればよいでしょう。
エジプトの民族衣装である「ガラベイヤ」を売っている店。
(ガラベイヤとは、ゆったりしたワンピースみたいなもので、高級なものだと
様々な刺繍で飾られている)
血もしたたるような牛が天井からぶらさがっている肉屋。
サフラン等、様々な香辛料を売っているお店。
香水瓶、Tシャツ等、いろいろなお土産を売っているお店。
雑然としてはいるものの、その雰囲気はアットホームでとても楽しいです。
私の初めてのスーク体験は、「アスワンハイダム」で、おなじみのアスワンでした。
それまでは、「自由時間」なるものが、ほとんど無いに等しかったのに
アスワンのホテルに着いた時、初めて3時間ほどの自由時間がもらえたのです。
その日、私達の泊まるホテルの少し手前に「ヌビア人博物館」というできたばかりの
博物館があり、私とロコさんはさっそくそこを目指そうと、荷物を置くのももどかしく外へと
飛び出しました。
ホテルの玄関を抜け、坂道を歩いていると・・・目の前で、誰かが手を振っています。
「・・・・あれって、ゆりかさん???(やっぱり仮名(笑))」
ゆりかさんは、このエジプトツアーに一人で参加していた、とっても気さくなお姉さんです。
初めてトルコへ一人旅をした時の失敗談とか、ひょんなことからインド人のガイドさんと
サシで1ヶ月、インド中を歩き回った旅の話など、道中そばにいる時にはずっと彼女の
旅行の話でいつも楽しませてもらっていました。
今回のツアー参加者の中でもかなりの行動派で、ちょっとでも空き時間があると、
さっさと単身、街へとくりだし、ある時は地元の子供に現地の遊びを教えてもらっては遊び、
またある時は、地元の人の家に招待されてお茶をごちそうになり、アクセサリーのお土産
などをもらってくるというびっくり箱のような人ででした。
そのゆりかさんが・・・なにやら、現地の人と思われるおじさんが運転する白いバンに今、
まさに乗り込もうとしている!
いくら旅慣れているからといっても、そこは女性。
私達は心配になって、呑気に手を振っているゆりかさんの元へと駆けつけました。
バンの運転手であるおじさんは、こわいくらいにがっちりとしていて、口元には底知れない
にやにや笑いを貼りつけています。
「このおじさんね、これから家に帰るらしいんだけど、その途中にあるスークまで乗っけてって
くれるっていうのよ。よかったら一緒に行く?」
「え?スーク???」
スーク・・・行ってみたい!
その瞬間、ガタイの良いにやにや笑いのおじさんは、私達の中で、ふくよかで笑顔の優しい
おじさんへと変貌を遂げました。
「行く行く!」
まあ、いざとなっても(?)女3人寄ればなんとかなるだろう!
私とロコさんはそう、暗黙の了解をしていそいそとバンに乗り込みます。
おじさんは、最初に疑ったのが申し訳無いくらい、とても話好きな楽しい人でした。
英語しか通じなかったけれど、身振りをまじえながらなんとか意志の疎通もできました。
どうやら、私達の泊まっていたホテルに簡単な荷物を届ける仕事をしているみたいで
ちょうど、その仕事帰りだったらしいのです。
私達は無事、目的のスークに到着しました。
ゆりかさんがお礼に・・・と日本から持参した「柿ピー」を差し出すと
うれしそうに受けとって、ひとりひとりと握手をして、私達を送り出してくれたのでした。
さて、スークです。
「お?日本人だ!カモが来た!」
と思われたのかどうかは定かではありませんが、みんな愛想良く店へと
招き入れようとします。
そして、ここだけでは限らず、どこのスークでも必ずかけられる言葉・・・
「バザールでござーる!!!」
そして、お店に興味が無いと言って去ろうとすると
「さらばじゃ!!!」
・・・一体、だれが教えるんでしょう?
でも、彼らはとても勉強熱心です。
少しでも気を惹こうと、新しい言葉も覚えたがります。
「かわいい!愛してる!結婚して!」
と言いながら近付いてきた、エジプト人の特徴であるばさばさ睫毛の店主は
(砂漠の民だから、目に砂が入らないようにと睫毛が長くなったのかも?
「ひょっとしてビューラーで巻いてる???」と聞きたくなるような、くるっとした
睫毛をみんなが持っています。)
「チョット待って!チョット待って!!!」
と言いながら、店の奥から紙とえんぴつを持ってきました。
「“I love you.too”は日本語ではどういうのか???書いて書いて!!!」
私はローマ字で、「WATASIMO AISITERU」と書きつつ、彼らにひとつ新しい言葉を
教えたのだというちょっとした満足感に浸りました。
アスワンのスークで「私も愛してる!」と言われた方がいたら・・・それはひよが
教えた言葉かもしれません。(笑)
とりあえず、「愛してる!」と言ってあげてくださいね。
ちなみに、交換でアラビア語での「愛してる」を教えてもらったのですが、それは
「オアナ、アヘビック。」と聞き取れました。
“アナ”は、アラビア語で「私」の意味。
試しに早速ホテルに帰った時に、シリフに使ってみたところ、「やられた!」というような笑いを
引き出せたので、発音はそれほど遠くはないと思います。
・・・ただし、あまりやたらなところでは使わないように。
誤解をされて、しつこくつきまとわれてしまうかもしれません。(笑)
〜 スークでの極意 〜
スークでものを買うときには、絶対に値切りましょう。
彼らがこちらに提示する値段というのは、相当ふっかけてある可能性大です。
ガイドブックによると「5分の1から始めましょう。」と書いてありますが、私の印象では
10分の1からでも、良いくらいです。
「これ、80ドル!あなたに似合う!ぴったりだ!」と言われた白いガラベイヤ。
「80ドルは高いよ。」
「・・・じゃあ、いくらなら買う?」
「・・・10ドルなら・・・」
するとおじさんは、世にも情けなさそうな顔をして笑います。
「Oh!ともだち〜!それは無理だよ〜!」
「なら、いらない。高いもん。」と、帰りかけると
「あ、チョット待って!!!」
ここで引き止められたら、提示額は実際の価格とあながち遠からずです。
けれど、ここで相手にされなくなった場合は、値切り過ぎです。
「まあまあ、とりあえず・・・これはビジネスではなくて、ともだちとして、このお茶でも飲みながら・・・」
エジプトでの値段交渉は、余裕のあるところではチャイなどのお茶を出される事から
始まります。
ゆっくりとお茶を飲みつつ、日本の話や雑談等を踏まえながらどこまで下がるか、
駆け引きをします。
「うーん、じゃあ、これで最後。15ドル・・・これ以上はまけられない。」
「・・・わかった。じゃあ、お茶をごちそうさま。高いからやっぱり買えないの。ごめんね。」
最後の手段は「必殺帰るふり!」
相手の言う「ラスト・プライス!」に騙されてはいけません。
この手段に出る前までに、最初の提示金額近くまで持って行けていたら、大抵はここで
「わかった!その値段でいいよ!」
と言われます。
そして、商談成立!
同じツアーにいた、これまた一人旅の若い男性、太郎くん(仮名)が、前日のスークで
「100ドルのガラベイヤを60ドルで買った!」と自慢していたのですが、その夜に私の勝利談を
彼に話したところ、くやしそうにしてたのは快感でした。←悪魔?
・・・ごめんね?こんな鬼のような観光客で・・・(笑)
でも、そこまで下がるってことは、最初の吹っかけ具合がすごすぎない???
〜 キスの値段 〜
でも、そんな勝利に酔いしれていた私にも、「やられた!」と思うことがありました。
ガラベイヤを買った店には、香辛料もたくさん売っていました。
「エジプトでは日本では高価なサフランが安く買える」と聞いていた私は、おじさんの弟が
管理している香辛料コーナーへと、誘われるまま足を踏み入れました。
「このサフラン・・・・これだけで、20エジプトポンドね!安いよ、安い!!!」
でも、もちろん提示額通りに買う気はありません。
さっそく値切り始めました。
「ガーリー!(高いの意)まけてまけて!」
「いくらなら買う?」
「・・・10エジプトポンド」(ちなみに1エジプトポンドは30円くらい)
すると、この弟。
兄とまったく同じ反応を示します。
「Oh!ともだち〜!!!」
そして、私の手を取り切々と訴えます。
「サフランはとっても高いね。その値段では売れないよ。」
「じゃあ、いらない。さよなら・・・」
「チョット待って!!!」
このパターンって・・・デ・ジャ・ヴュ????
とにかく、ここでも1歩も引きません。
すると11エジプトポンドまで下がりました。
あと1ポンド・・・30円とはわかっていても、ここまでくると一種のゲームとなっていて
勝負には勝たねばなりません。
すると、弟はにやりと笑って自分のほっぺたをつつきます。
「ここにキスしてくれたら、10ポンドにしてあげよう。」
・・・なんとっ!大和撫子に(???)そんなことを・・・
でも、ゆりかさんとロコさんは「いいじゃーん、希望金額になるんだからさー!」
とはやしたてます。
そこで、私も勝利を手にする為・・・と思い、おもむろに彼の顔に顔を近付け・・・
くるっ!
唇に感じたのは彼の唇!
なんと、いきなり横を向きやがったのです!!!
・・・ひどいっ!
ファーストキスはもうだめでも、外人との初めてのキスは「モルダーに」って
決めてたのにっ!(←もちろん嘘だけど。(笑))
そこで大和撫子3人組、怒り始めます。
「ひっどーい!」
「もっと、まけなさいよ!」←この時点で「大和撫子」ではなく「置屋の遣手婆」に・・・(苦笑)
「私のキスは、すごーく高いんだからね!5ポンドにしなさいよ!!!」
でも、弟は「しちゃったもん勝ち!」なのか、一向に耳を傾けません。
それどころか、にんまり笑って再び口を突き出してきます。
・・・けれど、私としてはこのままでは収まりません。
「せめて9ポンド!1ポンドくらいまけなさいよね!!!」
・・・結局、エジプトのお店にはあまり、おつりという感覚がないのにも関わらず、
10エジプトポンドを渡してしっかりとおつりを要求し(あ、でも、ここで初めてお札ではなく
コインのお金を手に入れられたのはすごくうれしかった!)、なんとか面目を保ったのでした。
・・・まあね、エジプトで食事代は1回15円でも食べられるというし、それを思えば2食分はあるのかな?
とも思いますけど・・・お魚屋さんで、まけてもらうためにキスはしないでしょう。(笑)
しかも、日本円でいくと・・・
ひよのキス=30円也・・・・情けないっ!(泣)
とりあえず、おじさんの弟・・・20才くらいで、おじさんとあまり似ていなく、わりとハンサムだったのが
救いかも?(笑)
目標!「アメリカ人」との初キスはモルダーと!!!←だから永遠に叶わないって・・・(苦笑)
でも、これはanneさまのFicで叶えてもらったかな♪
(収まりきらなかった・・・次でこそ終わりにします。)