
(後編)
2000年2月10日 (エジプト6日目)
〜 偽りのオールドカタラクト 〜
「アガサ・クリスティで有名なオールド・カタラクトでアフタヌーン・ティをどうぞ!」
パンフレットにはそんなうたい文句がありました。
しかし、残念ながら私の頭にはピンときません。
そこで、チャットでお会いする方などにいろいろと聞いたり、ガイドブック等を調べた結果、どうやら
アガサ・クリスティが書いた「ナイルに死す」という作品の舞台であり、また彼女自身もこのホテル
に泊まって執筆していたのだということがわかりました。
そして、これは「ナイル川殺人事件」というタイトルで、映画にもなっています。
その存在を知ったからには「予習しなければっ!」という思いにかられ、出発前にばっちりと
ビデオでその様子を勉強しておきました。
実際、映画で出てくるホテルのシーンは、冒頭の方だけなんですけど、その中には確かに
テラスでお茶をしているポアロの図がありました。
「やっぱ、お茶を飲むんだからあのテラスで・・・ポアロ気分で飲めるということね♪」
お茶を飲む前に私達は、“ファルーカ”と呼ばれる帆掛け舟に乗って、ナイル川を
クルーズしていたのですが、その乗り場はすでにオールドカタラクトの敷地内。
ちょっと崖っぽいような急な階段を登ると・・・映画でみたまんまのテラスが広がっています!
「ロコさん、ここだよ!ほら、ポアロが座ってたのってあの辺じゃなかった?」
「そうそう!映画を見ておいてよかったね!」
ミーハ―根性丸出しだったのは、そんな私達だけではなく、まわりもわりとざわついて
いたので、みなさん予習済みだったようです。
「どの辺りに座れるのかな?」
「もっときちんと、ポアロが座ってた位置を覚えておけば良かったね!」
・・・覚えていたからなんなんだって感じですけど、やはり映画と同じ場所と言うのは
否が応でも、気持ちを盛り上げてくれます。
“さあさあ、遠慮なさらずに、奥にずずずぃっと!”
なんて事を言ってくれているのかどうかはわかりませんが、私達を案内してくれる
ウェイターは、どんどん奥のほうへと私達を導きます。
奥へ・・・奥へ・・・?
気がつけばあこがれのテラスを通りすぎて、ちょっと林っぽいところに入ったかと
思うと、目の前に広がったのは・・・桟敷???
だだっぴろい空間を囲む様に2段の桟敷席があり、そこになにやら安っぽい
いろとりどりの敷物が敷いてあり、6つくらいのちっちゃな丸テーブルが配置されて
います。
「ええ?映画で見た所で飲めるんじゃないの???」
そんな期待を裏切られ、悲しい気分になってしまった私達にさらに追い討ちをかける
ように、次々と現実が襲ってきます。
「これを・・・飲むのか?」
一緒のテーブルになった龍ちゃんが指差した先には、袋入りネスカフェと剥き出しの
ティーパック・・・
そして、半分冷めかけたようなお湯が沿えてありました。
あとから、ウェイターが持ってきてくれたお菓子は、きちんとアフタヌーンティ用の
しゃれた器に盛りつけられてはいたものの、悲しい気分は拭えません。
私達は、ホテルのテラスで楽しそうに、お茶をしている新婚さんを横目に
沈み行く太陽の中、照明がないためにどんどん手元が暗くなっていく不便さと
ナイルから渡ってくるふきっさらしの風がもろにくる桟敷席で、肌寒さを覚えながら、
もそもそと渇ききったサンドイッチと、極甘のアラブ菓子を口に運んだのでした。
「やっぱさー、一流のホテルできちんとしたサービスを受けたかったら、それなりの
金を払わないとだめなんだよね。安い料金でやってくる団体客には、それなりの
扱いしかしてくれないんだ・・・」
と、龍ちゃんと一緒に来ていたタカくん(仮名)はそっとため息をつき、私達はその言葉に
大きく頷いたのでした。
・・・せめて、チャイくらい飲ませて欲しかった・・・(泣)
スークのおっちゃんですら、淹れたての熱いチャイを出してくれたというのに・・・
〜 おしんになったひよ 〜
すっかりと、意気消沈した私達でしたが、切り替えの早さというか、とにかく楽しまないと損!
というプラス思考の人達が揃っていたせいか、ホテルを出るなり、夕食までの2時間を有意義に
すごそうと、私達は次なる目的地へと飛び出しました。
結局、2つのグループに分かれて、私達のスーク話をうらやましそうに聞いていた人たちは、
いそいそとスークへ。
すでにスークで買い物をしてしまった私達と、ちょっと年配組はホテルに帰る途中にある
「ヌビア人博物館」へと行く事になりました。
「ヌビア人博物館」はまだ、できてそれほどたっていないとてもきれいな博物館です。
カイロなどとは違い、展示されているヌビア人の顔つきは、かなりアフリカンな感じです。
展示物保護の為の、暗めの落ち着いたライティングを楽しみながら、英語の達人である
吉永さん(仮名)に、すべての展示物の説明を読んでもらいながら歩いていると・・・
「きゃー!」
と甲高い声の団体が・・・
そうです、どこの国でも明るく元気一杯な、子供の団体が入ってきました。
年のころは、小学校1年生から中学校3年生くらいまでな感じ。
全員、赤いスカーフを首に巻いたガールスカウト風の女の子です。
私達は、女性ばかり8人くらいでグループを作ってあるいていたのですが、他に
日本人はおらず、なぜだか彼女達の注目を一心に浴びてしまったのです。
一生懸命説明を続ける先生を尻目に、すべての視線はこちらに・・・
中には先生の目を盗んで、話しかけてくる子もいます。
「What your name?」
「My name is Hiyo.」
「Japanese?」
「Yes.」
笑えるほど、同じ会話の繰り返し。
彼女達の習っている英語もそこまでなのかもしれません。
でも、次第にその会話の中に、新たな質問が加わりました。
「・・・Osin?Osin?」
おしん?
覚えていらっしゃるでしょうか?・・・というかご存知かしら?
私は実際には見なかったのですが、誰もがわりと知っている、NHKで一斉を風靡した
涙なしには見られないドラマ「おしん」。
最初は素直に「No.」と答えていたのですが、なぜだかあまりにも繰り返し聞かれたので、
次第に面倒くさくなって
「Yes.My name is Osin.But this is top secret.」(←バカだ・・・)
などと調子よく答えてしまいました。
すると、とたんにあたりがざわつきます。
「Osin!Osin!」
口々に私に指を差して、興奮する子供たち。
中には、あまりにはしゃいで先生に頭をぶたれる子供もいます。
「ど、どうしよう?本当におしんだと思ったのかな?」
「えー?ただ、同じ名前だと思っただけじゃないの?」
ロコさんは、軽く笑います。
「そうだよね、どう考えても似てなんていないと思うし・・・」
そんな会話をしていると、先生の目を盗んでやってきた子供が呼びかけてきます。
「Osin!」
手招きをされる方へと近付くと、2人の子供は私に手を差し出させ、そっとキャンディー
を乗せてくれました。
「・・・For me???」
子供たちは、にっこりと笑って頷きます。
「Thank you!」
私がお礼を言うと、子供たちは満足そうな表情で手を振って団体の輪に戻って行きました。
「・・・もらっちゃった。」
「ええ?!」
一緒に博物館に来た人達にその事を告げると、一斉に驚かれました。
「ねえ、本当におしんだと思ったのだと思う?」
嘘をついたことへの罪悪感が募ってきてしまった私はまわりに訴えます。
「日本人の顔はみんなおんなじに見えるのかもね?いいじゃん、アイドルじゃない・・・ほら、
あの子達が手を振ってるよ。」
私がそちらをみると一斉に何人かの子が手を振ってきます。
・・・どよーん、いたいけな少女をたぶらかしてしまったのだろうか?
力なく手を振り返すと、こわい先生がそれに気付いて、全員を強引に次の部屋へと
連れ去ってしまいました。
そこからは一応、私も気を使って彼女達の前に姿をあらわさないようにしていたのですが
ひととおり見終わって、外に出ると・・・遠くで固まっていたさっきの少女たちが玄関で
固まっていて、これからバスに乗ろうというところでした。
わりと遠いところにいたので、まあいっかーとその場に佇み、まだ中にいる人を
待っていると・・・
「Osin!」
バスの方から2人ほど走ってきて・・・またまた、キャンディーをくれました。
こんなもらいっぱなしではいけない!
そう思った私が、なにかないかな?とカバンの中をまさぐっていると、またしても
恐い先生にみつかり・・・プレゼントを渡す暇もなく、結局、彼女達は連れ去られて
しまいました。
「なんか、おもらいさんになってしまった気分・・・良かったのかな?」
おずおずとそばにいたロコさんにお伺いをたてました。
「気にする事ないよ。きっと、彼女達は帰ってから“おしんに会ったよ!”って家族に
話すんじゃない?今晩の夕食時の明るい話題になるよ♪団欒を提供できたと思えば?」
「そ、そっかなー?」
「そうそう!」
明るく笑い飛ばすロコさんに、ちょっとの救いを感じながらホテルへと戻りました。
レストランに入ると、スークへ行っていた太郎くんや愛ちゃんたちが、興奮気味に
話しかけてきます。
「スークへ行ったらさー、偶然結婚式の一団に会って、一緒に踊って写真をとってきたの!」
「すっごーい!よかったね♪」
彼女達の楽しかったスーク体験を聞いた後、今度はこっちが太郎くんに聞かれました。
「そっちはどうだった?博物館面白かった?」
「キャンディーをもらった。」
「キャンディ???」
仕方なく事の顛末を話すと、スーク組全員に言われました。
「・・・・・それって普通は逆だろ?詐欺だよ。なんでいい大人が子供にもらうんだよぉ!」
・・・夕食時の明るい話題どころか、一斉に非難を浴びた私でした。(苦笑)
本物のおしん・・・ごめんなさい。(深々)
しかし、他にも女性はたくさんいたのに、なぜに私がおしんだったのかしら?
・・・一番幸薄そうな顔をしてたのか、一番貧乏臭く見えたのか・・・?(沈)
後でシリフに聞いたところ、エジプトでは2、3年前に初めて「おしん」が放映され
「日本人の女性はみんなこうなんだ!」と、多くの男性を魅了したそうです。
・・・やまんばギャルを見せたい私。(笑)
現実はどんどん変わっていっているのですよ、エジプシャン!
2000年2月11日 (エジプト7日目)
〜 目指せ!ベリーダンサー 〜
旅のお決まり、ナイトクルーズ!
この日の夜は、「ナイル川ディナークルーズとベリーダンスショーをお楽しみください」との事。
昼間にはエジプト考古学博物館やハンハーリ・バザールと言うスークを歩き回った私達の
締めのイベントです。
「ベリーダンスって見た事ある?」
「うん。トルコに行った時に見た。きれいだったよぉ。」とゆりかさんはにっこりと答えてくれました。
ベリーダンスと聞くと、きれいな色っぽいお姉ちゃんがお腹をだしたどきどきするような
コスチュームで、妖しげに踊ってくれる・・・そんなイメージ。
そしてついに船が出向して、バイキングの料理も食べ終え・・・音楽が鳴る!
メインイベントです!
まず、男性がピアノを弾きながら歌を歌い・・・そして、紹介されて出てきた人は!
・・・・・・・・・
言葉を失います。
なんて、肉感的な・・・・


同一人物です。(笑)
お色直しを1度してくれました。
左のPicで手に持っているのは
客席の中から選び出した人と
お互いのお腹ではさんで、踊る
時の小道具。
まちがっても叩く為のものでは
ありません。(笑)
アラビアンナイトのお姫様風な感じを思い浮かべていた私達は、
ちょっとびっくりでした。
でも、踊りはとても迫力があって、細かな腰の動きと弾む肉体は
鍛え上げられた技術を感じさせ、すごかったです。
「ベリー・ダンスのベリーは腹の意味ね。だから日本語に訳すと“腹踊り”
まあ、日本の腹踊りとは違うんですけどね。」とシリフ。
エジプトには一戸ウン千万ドルという超豪華マンションがあるのですが、
そこに居住しているのは、アラブのお金持ちと、エジプト一番の人気の
俳優と、一番売れっ子のベリーダンサーとか・・・
「あの体型が必要なら、私すぐにでもベリーダンサーになれるかも?」
「今の仕事が嫌になった時の、次の選択肢に入れとこうかな?」
女性陣は、なんだか新たな道を見つけたような思いを抱えつつ、その船を
後にしたのでした。
2000年2月12日 (エジプト8日目)
〜 美○子様になったおばさま 雅○様になった私 〜
旅の最終日は、アレクサンドリアへと向かいました。
クレオパトラ縁の場所であり、メインは「グレゴ・ローマン博物館」です。

さて、ここで問題です。
上のPicのうち、どちらかがクレオパトラなんですけど、どっちだと思います?
こんな問題を出すから分かりそうだけれど、正解は右側のちっちゃい方です。
クレオパトラというと「おかっぱ頭の絶世の美女」というイメージがありますが、
実際は語学に堪能な「知的美人」だったとも言われています。
また、この像は晩年のものだという話も。
実際は、どんな女性だったのでしょうね?
グレゴ・ローマン博物館にある彫像はどれもギリシアチックで、それまでどっぷりと
古代エジプトに浸っていた私には、ちょっと別物に思えました。
移動中のバスの中、後ろに座っていた愛ちゃんのお母様が
「あらあら。」
「ほら、店の奥で座っていた人も立ち上がってるし!」
となんだか興奮状態です。
「どうされましたか?」
「みんな愛想がいいのよね。どこでもそうだったけど、道行く人がみんな
手を振ってきて・・・」
確かに旅行中、なぜか観光バスに乗った私達に、手を振ってくれる人は
多かったです。
多くは子供で、女の子なんかははにかみながらも、手を振って見せるのは
とってもかわいらしくて、つい振り返してしまいます。
「ほら、あの人も・・・なんだか美○子様になったみたいねぇ♪」
おばさまは、道行く人で手を振ってくれる人に対して、全部に手を振り返して
いたみたいです。
そこで、外に目をやると・・・なんだか大人の男性も、手を振っている。
「はあ、でも疲れてきたわ。やっぱり・・・」
フレンドリーな微笑を絶やさないまま、おばさまは最後にぼそっと呟きました。
皇室行事で、にこやかに手を振っているやんごとなき御方も、心の中では
そうつぶやいているのかも?と思いつつ、私も手を振って、雅○様気分を
味わったのでした。(笑)
〜 ぱ○つが踊る「女人市場」 〜
イスラムの女性は、肌を隠します。
顔も隠します。
・・・でも、隠さないものがあります。
それは・・・ぱ○つ。
アレクサンドリアには、「女人市場」という女性のもの専門の市場があります。
そこの前を通った時に、ひらひらと目に入ってきたのは・・・巨大な・・・ぱ○つ?
でかいぱ○つの代名詞とも言える、懐かしのグンパンもそこのけの勢いの
いろとりどりのぱ○つが、軒に並べられ、風に揺れています。
それだけではありません。
ガラベイヤなどと共に、ブ○ジャーもたくさん陳列されています。
バスの中からみただけなのですが、その量、賑わい、どれも圧倒されてしまいます。
「僕はいつもココを通るたびに目のやり場に困りますね。」と恥ずかしそうに言っていた
シリフが印象的でした。
中身(?)が入っていなければ、ぱ○つもただの布切れなんでしょうかね?(笑)
売っている人は、やはりおじさん。
あなたなら、八百屋で大根を買うように
「おじさん、そのぱ○つ、一枚ちょうだい!今日は赤いやつね!」
なーんて言えますか?(笑)
〜 旅の最後の幸運 〜
これは全然笑える話ではありません。
ただ、かなりうれしかったので、聞いていただける人には聞いて欲しいなと思って。(笑)
とばしてくださって構いません。
最後の日のランチ時に、みんなで
「これで、すべての日程が終わったんだよね。もう帰らないといけないなんてねー。」
と美しい地中海を見ながら、食事をしていると・・・窓の外に・・・・

ふふふ、虹が出たのです!
最後の最後に思わぬプレゼントをもらったような気分になって、とてもうれしかったのです。
・・・ただ、それだけ。(笑)
〜 置いて行かれたゆりかさん 〜
一人旅が好きで、好奇心旺盛なゆりかさん。
旅の途中で、彼女の時には楽しく時にはスリリングな体験を聞くたびに
一人旅にとてもあこがれてしまった私でした。
アレクサンドリアで虹を見た後、ホテルへと向かうべく、高速道路を走っていたのですが、
途中でトイレ&おみやげ休憩にインターへ降り立ちました。

←なんだかわかります?
これはエジプトのひまわりの種。
しましまがないんです。
モルダーが、エジプトに捜査に来たら
これを食べるかしら?などと、妄想しつつ
思わず買ってしまいました。(笑)
ふと、見ると休憩所の隅っこにある怪しげなお店で、ゆりかさんはおじさんと
楽しそうにおしゃべりをしていました。
「なんかまた、おもしろい話を後で聞かせてくれるかな?」
なんて思いつつ、トイレへと向かい、最後のお土産を買ってバスに戻りました。
その休憩時間は、ちょっと短めでした。
なんでも予定時間をかなりオーバーしていたらしく、バスは急くようにそこを離れました。
そのスピードは半端ではなく、一体何キロ出しているの?!ってくらい。
しばらくすると、パトカーがバスの横にぴったりとつけてきました。
「え?スピード違反?」
パトカーから何事かを、こっちへと怒鳴りつけてきます。
エジプシャン・キャデラック事件(前編参照)があったとはいえ、相手は警察。
「お久しぶり!」なんて会話だとは思えません。
すると、次にシリフの携帯に電話が入り・・・なにやら首を振っています。
「どうしたの?シリフ。」
「いや、このバスでいない人はいないかって問い合わせがあったんですよ。」
「なになに?」
「なんかね、いない人はいないかって・・・」
その時に、ふと私達の1つうしろに座っていた年配夫婦が視界に入りました。
夫婦・・・え?奥さんがいない!?
だんなさんのみが座っている????
「ねえ、ロコさん。奥さんがいない。」
「え?本当だ!ど、どうして?」
「わかんないけど、まさかケンカしたから置いてきたとか・・・」
実はこの旅行中に添乗員の早川さん(仮名)に、添乗しているときの面白い話などを
いろいろと教えてもらっていたのですが、そのなかの話に「新婚さんケンカ事件」
というものがありました。
なんでも、ケンカした花嫁さんがバスの中での人数確認の際に「揃ってます!」と
だんなさんがいないにも関わらず嘘をついて、観光地に置いてけぼりにし、大騒ぎ
になったとか・・・
若くて夫婦になりたての人達ならまだしも、あんなに思慮深そうな熟年夫婦なのに・・・
旅行中、ずっと仲睦まじく、奥さんがバスに酔った時には、自分の膝の上に
奥さんの足をのせて体を伸ばせさせ、ずっとマッサージをしてあげていた優しげな
だんなさんがなぜ?!
「ねえ、添乗員さんに言う?」
涼しげに座っているだんなさんを横目にロコさんは聞いてきます。
いったい2人の間になにがあったのか?
まさか、○○して××したんじゃ・・・←伏字の中はご自由に想像ください。(笑)
さまざまな妄想が頭に広がり、どきどきしてきます。
「うーん、そうだね・・・あ、ちょっと待って?」
もっと後ろの席に視線を向けたら・・・奥さんが座ってる?
なんだか、足を隣の座席に乗せてゆったりと座っています。
私達の乗っていたバスは、すし詰めではなく余裕があったので、一人で二人席に
座るのも、全然構わない状態でした。
「いたよ。よかった・・・」
「びっくりしたね。」
私とロコさんは照れくさそうに笑い合いました。
でも、ほっとしたのは束の間で、話は前から後ろの席へと伝わり・・・
突然後ろで声が上がりました。
「ゆりかさんがいないっ!」
「ええええええ?!」
その声に振り返ると・・・確かにいない!
いつも、バスの発車時には人数確認をしていた早川さんでしたが、
時間のない今回・・・そういえば数えていた覚えがない・・・
「ど、どうなるの?」
「ここって高速だからUターンなんて簡単にできないよね?」
「もう、あれからどれだけ走った?」
「こんな真っ暗なのに、ゆりかさん。どうしてるんだろう???」
みんな口々に心配をします。
添乗員さんもシリフに謝るばかりで、具体的な解決策はありません。
すると、またシリフに電話が入ります。
「大丈夫です、みなさん。彼女はツーリスト・ポリスに保護されて、この先で
待っているとの事です!」
ほぉぉぉぉ・・・・
一同、安堵のため息を漏らしました。
ツーリスト・ポリス。
それは、ルクソールの事件があってから発足した(のだったと思う、多分・・・)
観光客を守る警察官です。
各観光施設に配置されていて、なおかつ治安の悪そうなところや、団体のバス
になんかは、1日後ろをにくっついてきて守ってくれます。
私はちょっと気付かなかったのですが、アレクサンドリアでも1台のパトカーで
ツーリスト・ポリスが、ずっとついてきてくれていたみたいでした。
さて、話を戻してゆりかさんです。
バスの運転手は、待ち合わせ場所に指定されたところを目指してさらにスピードを
あげます。
置いていかれたゆりかさんは、このスピードを上回る早さのパトカーで移動したのかしら?
などと不思議に思いつつも、さっきよりも一団とスピードを増したバスの中で、みんなは
妙な緊張感に包まれていました。
やがて、バスが止まり・・・ゆりかさんの姿は・・・とみんな窓からのぞきこみます。
でも、待てど暮らせどゆりかさんの姿はない・・・
けれど、やっと後ろからもう1台のパトカーが現われて・・・ゆりかさんの姿を確認する
事ができました!
なんでも、あまりのバスの早さに追いつけなかったとか・・・
まあ、バスの運転手さんは、先にいるとなぜか思っていて一生懸命とばしてくれたみたいですけど。
なにはともあれ、無事にゆりかさんが戻ってきてよかった♪
「ごめんなさーい!」とゆりかさんは、バスへと戻ってきました。
「どうしたの?」
「大丈夫だった?」
口々にゆりかさんを質問攻めにします。
「集合時間だと思ってバスを見たら、いきなり動き出してて・・・すごく驚いたのよ!」
なんでも、走り去ろうとするバスに「待ってぇ!!!」と叫びながら、カツオくんを
おっかけるサザエさんのように、走ったと。(ゆりかさん談)
でも、やっぱり間に合わずに呆然としていたゆりかさんに声をかけてきてくれたのが
ツーリスト・ポリスだったのです。
「どうしたんだ?」
「バスに置いて行かれて・・・」
「よしっ、乗れ!」
・・・なんてかっこいいんでしょう?
そして、なによりもその場にツーリスト・ポリスがいて本当によかった。
私の場合、もしもロコさんが出発時に席にいなかったら、それを伝える事が
できるし、その逆もあるでしょう。
でも、いくらみんなと仲良くなっても、こんなふうに気付かれない場合もあるなんて・・・
『ちょっと、一人旅ってこわいかも?』
うーむ。
まあ、とにかくゆりかさんが無事で良かった♪
ちなみにゆりかさんは、旅の思い出を忘れないようにとすべてノートにつけているのですが、
もちろん、すぐにその事件をメモっていて「貴重な経験ができたわ♪」と言っていたのには
逞しさを感じました。(笑)
〜 忘れちゃいけない。旅先でのXF 〜
観光途中でも、ビデオ屋・本屋が目に入るたびに、思わずさりげなくXFの存在を
チェックしてしまう私。
残念ながら、エジプト国内では確認する事はできませんでした。
まあ、チェックした場所も空港と街中のちっちゃい本屋さんくらいなんですけど。
最初にXFをみつけたのは、帰りのオランダの空港でした。
行きにも乗り継ぎで使っておきながら、そのときにはあまり本などが充実していなくて
ビデオ・DVDコーナーもちょっと探したのですが、見つからなくて残念に思っていました。
ところが、帰りは一味違いました。
本屋の雑誌コーナーに「X‐Files」の文字が!
良く見ると「オフィシャル・マガジン」だったのですが、実は本物を見るのは初めてで
なによりも、旅行中にずっと離れていた懐かしさも手伝ってか、自分用にもおみやげ用(?)
にも、何冊か思わず購入。
日本で買うよりも、400円くらい安かったです。

← オフィシャル・マガジン。
実は50000hitのプレゼントに・・・とも
思ったんですけど、Philesなら持っている
かな?と思ううちに過ぎてしまいました。(笑)
今となっては、古いものですが欲しいなって
思う方っています???
次に、オーディオコーナーにて、ロコさんに呼びとめられました。
「これって、ひよちゃんの好きなやつじゃないの?」
と言われて、指を指し示した方をみると、S4のコレボが・・・
なぜ空港に?なぜS4ひとつのみ?
いろいろと思うところはありましたが、なんだか見つけられて嬉しい私。
さすがに買いはしませんでしたが、ちょっと感慨深く見つめてしまったのは
言うまでもありません。(笑)
あとは、あちらの雑誌をひととおりチェックしたのですが、残念ながらDDとGAの
姿は発見できず。
でも、とりあえず雑誌は購入できたので、それを旅のお供にして、いそいそと飛行機に
乗り込んだのでした。
成田について、そこからは今度JALにて名古屋へと向かいます。
たった一時間のフライトなので、目の前にあるモニターで映画を見ることもできませんし
ゲームのサービスも中止しているようです。
そこで、仕方なくぺらぺらと機内誌を繰っていると・・・見なれた顔が?
「ジリアン?」
一部では有名だったらしいのですが、GAが案内役を勤めている21世紀の世界や
宇宙を予測する科学ドキュメンタリー、「Fantastic
Future」という番組がJALの
ファースト・クラスまたはビジネス・クラスでやっているのです。
その時の番組タイトルは「星へのあこがれ」「脳細胞への衝撃の影響」の2本でした。
ああ、ジリアン。
どうやって案内をしてくれるのかしら?
どんなふうに語ってくれるのかしら?
でも、私はしがないエコノミー使用者・・・
機内誌でにっこりと微笑んでいるGAを見て、見られないわが身をうらめしく思いつつ、
帰ったらさっそくネットで新しい情報をゲットしようと思いつつ、日本へ帰ってきたのだな
としみじみ思ったのでした。
そして、帰ってからのメールチェック時に、みなさんからの「愛のチェーン・メール」を受けとって
ネットの世界にどっぷりと戻ったのはいうまでもありません。
とても、うれしかったです♪
あらためて、ありがとうございました!
ここまでお付き合いくださった方、お疲れ様でした!
これで本当に終わりです。(笑)
また、もしエジプトに旅をする予定があって疑問点があれば、遠慮なく質問してみてくださいね。
わかる範囲で、お答えします!
・・・ふふふ、エジプトはいいですよぉ・・・←暗示にかけてる。
(終わり)