「真実ってここにある!?」〜アブタクティは語る −ワシントンDCレポート− 「Amandaさんへ、DCレポートを楽しみにしています」 マジで? 私は自分の目を何度疑った事だろう。BBSのカキコに「Amandaさんへ」という書き始めで何度と なく出てくるこのフレーズ。 やっぱ今回も書かなきゃダメか...。 昨年のホノルルマラソンレポート作成という前科、いや、前例を持つ私。「またアヤツはDC レポートを書くに違いない」と思われているのだろうか。はたまた「天下のFBIを見に行った 以上は、報告書を書く責任がある」という「X-PhilesのX-PhilesによるX-Philesのための不文律」 が、私の預かり知らぬ所で存在しているのか。しかしそれよりも「Amandaさんへ」というカキコ を見る度に、一つの大きな疑問が湧きあがってくるのだった。 なぜ私なんだろう? なぜアイーマちゃんではダメなのか? そんな疑問を当のアイーマちゃんにぶつけてみたが「それは、みんなが私じゃなくって、 あみゃ〜んだちゃんのレポートを読みたいって証拠よ。それに、誰もモルダーが書く報告書 なんて期待してへんやん。『報告書担当はスカリー』って、本編でも相場は決まってるしな」 と、軽くあしらわれてしまった。 上記のセリフは、私達の普段の「役割」が大きく影響している。というのも、彼女から電話が かかってくると、出だしは決まって『Scully, it's me』であるのに対し、私が電話をかける 時の第一声は『Mulder, it's me』なのだ。とことんイッてしまってる二人である(苦笑) よっしゃ 書いてやろーじゃないのよ というわけで、やっぱり今回も書いちゃいます(笑) ------------------------------------------------------------------------------------------ ではまず簡単にDCの解説から。DCとは、もちろん米国の首都、Washington,D.C.の事。ここは アメリカ50州のいずれにも属さない、米国連邦政府直轄の特別地区なのです。ちなみに、 アメリカ西部にワシントン州という州がありますが、これはオリンピアを州都に持つ、全く 別の地域です。ややこしいですね(^^;) 「DC」は「District of Columbia(コロンビア特別地区)」の略称です。間違っても「どうにも こうにも」の略だろうか、などという、Amandaみたいな寒い事を思いつかないようにして くださいね(爆) なお、本レポートは2部構成になっています。日記形式ではなく、特に印象に残った事や、 面白小ネタ等を中心に取り上げています。 それでは、しばしのお付き合いを...。 ------------------------------------------ 第一部『謎のX-Philes、DCへ行く』 File No.001「クライド・ブルックマンも予測した!?『Amandaの死に様』」 旅行へ行く直前に事故に遭う人なんて、果たしているのだろうか? それは伊丹(いたみ、と読む)空港に向けて、阪神高速を走っていた時の事である。 3月10日(金)午前8:00の伊丹(大阪)空港発、全日空076便。これがアイーマちゃんと私の 「DCへの道」の第一歩だった。朝が早いため、アイーマちゃんは前日から空港近くの親類の 家へ泊まり、私は朝5:00に「頼むよ〜」と、(誰かには劣るが)精一杯の小犬顔を決め込み、 親に空港まで車で送ってもらった。 大阪には二つの空港がある。今やすっかり有名になった「関西国際空港(いわゆる「関空」)」 と、関空ができる前は立派な国際空港としての機能を果たしていた「伊丹空港」である。 この時、運転手をしていた私の父親は、「伊丹空港」へ行くために右に曲がらないといけない ところを「関空」と間違えて左へとハンドルを切り、中央分離帯を5メートルほど過ぎて しまった。 「あ、しもた。まちごうた」 「あらら、しゃーないな」 「いや、でもまだこんな時間やし、後ろ来てへんな」 なに!? 『後ろ来てへんな』って...!? それぞれ助手席と後部座席に座っていた私と母親は、このセリフを聞き逃さなかった。 「よいしょっと」 次の瞬間、父親はブオーッとアクセルを踏みこんで行き過ぎた5メートルをバックし、右の車線 に移ろうとして車体を横に向けた。その時である。 パパパーーーーーーッッッ!!! 長距離運転用のトラックが私達の車を目掛けて突っ込んできたのだ。 「キエ〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!」 互いがすんでのところでハンドルを切り、なんとか大惨事は切り抜けた。その直後、私と母親 の耳には、左後方から「ガシャン」という鈍い音がかすかに飛び込んできた。 「大丈夫やな?」 「え、でもトラック、壁にぶつかったで」 「ホンマか?」 「うん、ガシャンってゆーたで」 「...行こか」 そう言うが早いか、父親はアクセルを全開に踏み込み、往年の海外ドラマ『ナイトライダー』 に出てくる「キット2000」並みの速さで、その場を走り去ってしまった。 「阪神高速早朝の惨事 一家無理心中か?」 Amanda家メンバーの年齢&実名入り顔写真が掲載され、こんなタイトルをつけられた夕刊の 三面記事を、私は頭の片隅で想像してしまった。 一体あの後、トラックの運ちゃんはどうなったのだろう? ------------------------------------------ File No.002「入場お断り」 12時間半という長い飛行時間を経て、現地時間3月10日(金)の朝9時、私達は麗しの Washington,D.C.へとやってきた。機内で決めた、見方によっては「それって強行?」とも言え そうなスケジュールを頭に叩き込み、ホテルへ荷物を預け入れるやいなや、地下鉄で国防総省 へと向かった。そう、「ペンタゴン」の別名を持つ、あの「国防総省」である。「もしかして 『眉なしビル兄さん』にでも会えるかな?」などというアホな期待を胸に、ペンタゴン見学 ツアーの窓口へと向かった...のだが、窓口のお兄さんは私達を見るなり「ダメっすよ。アンタ 達は入れません」と、(一応)申し訳なさそうに、私達のツアー参加を拒否した。 なぜだ? やはりそれほどアヤシいのか、私達は? まさか「コイツらを見たら911番!!」なんて情報が出回ってるのではないか? などと、様々な憶測を頭に巡らせた私に視線を移した窓口のお兄さん。「ほれ」と彼の指差す 方向には、こんな事が書かれていた。 Sorry, All tours are full today(本日のツアー、全て満員です) ...やはり私は大バカ者である。 ------------------------------------------ File No.003「A Bear in the Forest」 DC到着から一夜が明けた土曜日。ホワイトハウスの見物に行くべく、私達は朝食を済ませ、 部屋を出る前に軽く荷物の整理をしていた。その時、なぜか私の頭の中に、童謡「森のクマさん」 が浮かんだのだ。(そのへんのいきさつはAmanda自身、今でも全く説明がつけられないまま である)そして、突然頭に現れたその「森のクマさん」をアイーマちゃんと分かち合いたかった のかどうかも謎であるのだが、私はボソボソと歌い出したのである。 ♪ある〜日 森の中 クマさんに出会った♪ 「?? どしたん、Amandaちゃん??」 そう聞きたくなるのも当然だろう。アイーマちゃんは何やら怪しげな物を見るような目で、 私をチラリと見やった。私はそしらぬ顔で次のフレーズに移ったのだが、その歌は何かが 違っていた。 ♪花咲くモ〜ル〜の〜み〜ち〜 ダナちゃんに〜で〜あ〜った〜♪ これで終わりかと思いきや、私の脳細胞達は次々と活動を強め、2番、3番と続いていく。 ♪お嬢さん お逃げなさい 「Scully.........RUN!!」 すたこらさっさっさのさ〜 すたこらさっさっさのさ〜 お嬢さん お待ちなさい ちょ〜っと 落とし物 白い金属の〜 小さな謎のチップ〜 あらモルダー ありがとう お礼に 歌いましょう 『ジェレマイアはウシガエル〜 仲のいいともだ〜ち〜さ〜』♪ .....私の頭は、一体どんな構造をしているのだろう? 我ながら、ますます不可解になってきた。 *『ジェレマイア...』の部分は、アイーマちゃんのアイデアです。 他の部分は、とっさの思いつきで歌ったため、オリジナルはもう少し歌詞が乱れていました。 そのため上記は、オリジナルバージョンに若干手を加えたものです。 ------------------------------------------ File No.004「お誕生日おめでとう」 滞在中、唯一雨が降った土曜日に、私達はホワイトハウスの見学に行った。DCでは必須の観光 スポットという事もあり、朝8:30に行くと既に100人以上の人・人・人。10時開門なのに、この 行列は一体なんなんだ!? とりあえず、長蛇の列の後ろに並び、開門を待つ事にした。「うちの 母親は、S5の『万霊節』の事を『ばんれいぶし』と読んだ」などというくだらない内輪話を しながら時間を潰していると、私達の後ろで順番を待っていたある一家のSweety, マシュー 少年の「天使のような歌声」が聞こえてきたのだ。子供特有の調子っぱずれた音程で、マシュー 少年は張り切って歌う。 ♪Happy birthday to NOBODY〜♪ ...え? 誰に「はっぴーばーすでい」やって?? アイーマちゃんと私は、同時に顔を見合わせた。 ....ぐわっはっはっはっはっはっ!!.....ひーひー.....やめて〜っ!! の...『のーばでぃ』やってぇ!! 共に「関西人」だからなのか、二人の「笑いのツボ」が寸分違わぬ所に存在していたのだという 事を改めて思い知った私なのだった。もちろんDC旅行の間中、この名曲(迷曲!?)『Happy Birthday to NOBODY』は、私達の間でしつこいぐらい歌われる事と相成ったのである。 ------------------------------------------ File No.005「うまい話の落とし穴」 ペンタゴンシティーをフラフラと歩いていた時のこと。公衆電話のようなものが私の視界に 飛び込んできた。間仕切りの外側の部分には、白抜きの大きな文字。 『Internet』 「なあ、あれって...インターネット見れるん?」 あいにく先に人が使っていたのだが、恐る恐る近づくと、確かにその人の指はキーボードを 叩いていた。 うわお!! インターネット使えるんやん!! という訳で、その人が使い終わるのを待ってから早速二人で画面に飛びつく。なぜかこの日、 利用料はタダだった。(二日後に行った時は、10分間でしっかり2ドルを取られてしまった・ 苦笑) とまあ、ここまでは良かったのだが、「Yahoo Japan」のアドレスを入力した後、 アイーマちゃんが私の方に振り向いた。 「これ、日本語読めるん?」 うっ、そうやった....。 ここはアメリカ、しかも公衆の場である。「日本語対応可」なんて都合の良い事があるはずが ない。案の定、日本語は全て「ラララ語」(どこの言葉や!?)とみなされ、文字化けの嵐と なっていた。かくして私達は英語でBBSカキコをするという信じ難い事をやらかしてしまった。 BBSの英語カキコはそんな理由が元になっていたのである(文法があっているかどうかは別に して・苦笑) レスしていただいた皆様、どうもありがとうございました。 ------------------------------------------ File No.006「モル似の男達」 「あの人、モルダーに似てる」 DC滞在中に、この言葉を何度口にしただろうか。決して、アメリカ人が全て同じ顔に見えると いうダサい現象に陥ったわけではない。私達の行く先々で、なぜかモル似の男が出現するのだ。 やれ鼻のあたりが似てるだの、パッと見の雰囲気が似てるだの、「モル似の男」と遭遇する度に 私達は「おおおお〜〜〜っ!!」と感嘆の声を上げていたのだった。おそらく、その数3人は 堅かっただろう。 そこで私はふと思った。モル似の男がDCに3人。単純に考えると、アメリカ合衆国全50州にも、 モル似の男が3人存在しても不思議はない。という事は、アメリカ国内にモル似の男は153人 いるという事なのだろうか? そう考えた私は、よせばいいのに、153人の男が同時に「小犬顔」 を作っている様をつい想像してしまった。 ......やめておけば良かった......... ------------------------------------------ File No.007「パレードとフェチシズム」 風が強かった日曜日。この日はたまたまSt.Patrick's Dayのパレードの日だった。St.Patrick's Dayとは、アイルランドにカトリックを広めた宣教師、St.Patrickを称えるという、アイリッシュ 民族の祭りである。ニューヨークやボストン、DCなど、アメリカの大都市では毎年3月の中旬に、 このSt.Patrick's Dayを祝うためのパレードが行われる。 この祭りでは、緑色の物を身につける風習がある。洋服やスカーフ等、何でも構わない。もし 緑色の物を身につけていない人がいれば、その人をつねる事ができるらしい。なぜ「つねる」 なのか...わからない(情報収集不足です、スミマセン)。ちなみに「緑色」はカトリックの シンボルだとか。なんでも、キリスト教の思想「三位一体」が理解できなかったアイルランド の人々に、Patrickは三つ葉のクローバーを使って説明したことが由来しているようで...と、 説明はこのくらいにして。とにかく、このパレードには毎年たくさんの団体が参加し、 マーチングやアイリッシュダンスなどを披露して町中が盛り上がりムードになる。 突然だが、私は制服フェチだ。(背中フェチでもあるという事実は、今は関係ないので除外する) パレードのマーチングバンドと言えば、やはりユニフォーム着用というのが「お約束」である。 「制服フェチ」である私にとっては格好の(!?)スポットではないか。イカした(注:死後である) ユニフォームで身を包み、さっそうとDCを歩く人々...たまらんです(爆) というわけで、制服姿の人々を写真に撮りまくるわ、マーチングバンドの指揮者を務める、 超カッコイイお姉さんとツーショットを撮影するわで、すっかり舞い上がり状態の私。その姿は きっと、シーズンオフ中に行われるプロ野球ベースキャンプの練習場へ足繁く通う「おっかけ」 と、寸分たりとも違いはなかったであろう。 ------------------------------------------ File No.008「感動のご対面」 現地時間3月12日(日)午後1時頃、FBI本部の前にいた人達は、さぞかし楽しめた事だろう。 ミーハー根性丸出しの「じゃぱにーずぎゃる」(あくまでもぎゃる、である)達を目の当たりに できたのだから。 St.Patrickのパレードが大方終わった頃、私達はどうにも我慢できずに、地図いわく「一つ筋 向こう」にあるフーバービルを見に行く事にした。次の日にツアーに参加する予定だったのだが 「どうしても見たいんだぜべいべー」という、まさに「聞き分けのないおこちゃま(よりもたちが 悪いかも)」と化し、せめて外観だけでもと、フーバービルのあるペンシルバニア通りへと歩を 進めた。 それは意外に地味だった(←By Amanda) まるでスキ様みたい(←By アイーマ) *彼女は「包み込むような暖かさ」を感じたらしい ペンシルバニア通りへ差し掛かり、二人は「どこ?」と見渡す。地図には「すぐそこやっ ちゅーねん」と書いてあるのだが、私の視界にはなかなか入ってこない。するとアイーマちゃん が遠くを指差し、「あれ?」と声をあげた。彼女の指差す方向には、アメリカ国旗が並べて掲げ られている黄土色の建物が。「あれ?」と私も聞き返す。二人顔を見合わせ、ニヤリ。 「あれ〜〜〜っっっ!!」「あれや、あれや!!」いったい何度「あれ」という代名詞を使えば気が 済むのかと思うほどの興奮状態...錯乱状態という方がふさわしいだろうか...の中でのご対面と なったのである。 「ひゃ〜、超感動!!」 「うわ〜、本物!!」 「写真写真!!」 「やっぱテレビと同じアングルで撮る?」 「あったり前〜!!」 ...ああ、こうして書いていても、あの「我を失っていた時」を思い出す(笑) 「狂喜乱舞」という四字熟語がとてもお似合いの私達は、何枚も写真を撮り、騒ぐわ叫ぶわの 大騒ぎ。近くを通り過ぎていく人々が、好奇の目で私達を見ていたのを、アイーマちゃんは 知っていただろうか? ひとしきり感動に浸った後、ふと私達は大事な使命を思い出した。 「なあアイーマちゃん、もう1時やで」 「げ、電話探さな!!」 大事なタイミングを逃す危機である。私達は急いで電話を探した。というのも、某Ficライター Sさんが以前、こういう夢を見たと言うのだ。 「夜中に電話がかかってきて、取ろうとしたら切れてしまった。メッセージを聞くと、 『もしもし、Sさん? 私、アイーマです。今フーバービルの前にいます。ふふふ、それじゃあ』 その後、メッセージサービスセンターの声が響いた...『ただいまの時刻、午前2時59分です、 ピーッ』」 というわけで、私達はそれを正夢にするべく、DCへ来る前から計画を練っていたのである。 まるで図ったように、公衆電話はビルの真向かいに立っていた。電話をかけると見事に留守電。 (後で聞いたところによると、ご本人が電話を取ろうとした直前に、留守電に切り替わったそうだ) こうして私達は「正夢にしよう大作戦」を成功させたのである。 もはや誰にも止められないのか、この二人を...。 ------------------------------------------ File No.009「FBIツアー」 これを語らなければ、おそらく私は皆さんから「袋叩きの刑」にされるはずだ(^^;) FBIツアーは、平日の朝8時から催行されていた。正面玄関とは別に「ツアー専用」の入り口が フーバービルの裏側に設けられており、ツアー客はそこから入る事になる。ガラスのドアを 潜り抜けると、お馴染みの(笑)X線荷物検査と金属探知ゲートという「お約束の洗礼」が待ち 構えている。某Ficでは、私がここでセキュリティーガードをのし、アイーマちゃんがその現場 を写真に撮る事になっていたのだが、あいにくそういったハプニングが起こる事もなかった。 嬉しいやら悲しいやら(!?) 一連の検査を終えると、そこからは一切の撮影、録画、録音の類が禁止となる。やはり謎の チップ等が一般旅行者のカメラに収められるとマズイのだろう(笑) ツアー参加者は、別の出口 から一旦外に出てツアーの順番を待つ。なんとここには、順番待ちの参加者のために、木製の 簡易ベンチがズラリと並べられているのだ。そして等間隔に設置してあるモニターでは、FBIの 活動やアカデミーのカリキュラム等、FBIについてのビデオがクローズド・キャプション付きで 流されている。FBIでこんなに手厚いもてなしを受けるとは、かなり意外である。ツアー客の ためにベンチを用意する連邦捜査機関があるなんて...と、思わずジーンとしてしまった。 「みんなが座れるように、もうちょっと詰めてベンチに座ってください!!」 感動に浸っている時に、私達は、ツアー客にそう呼びかけている男性を見かけた。FBIの局員 だったのだが... め〜〜〜〜〜っちゃカッコええエージェント!!(笑) 「Ally McBeal」ではないが、アイーマちゃんともども、顎が外れて舌が地面に落ちたような 気がした。ブロンド、長身、優しそうだが捜査官特有のキリッとした表情を持つ彼。とにかく カッコイイのである。思わず二人はミーハー根性丸出しでこんな会話をしていた。 「なあ、めっちゃカッコイイよな」 「本物のFBIにも、あんな人おるんや!!」 「スカウトしよっか?」 「彼がモルダーの代わりにS8に出たら...悪いけど私、見るで」 「うん、私も」 ...情けね〜っ(苦笑) 順番が回ってくると、再び建物の中に通される。2階のホールのような所には、FBIのシンボル マークと歴代の長官達の写真が飾られている。「ツアーは1時間ほどかかりますので、お手洗い に行きたい方は今のうちにどうぞ」というガイドさんの優しい心遣い。「えふびーあいって... いいカンジ」すっかり感動してしまった私は、別にトイレには行きたくなかったが、記念に(!?) トイレを覗いて冷水機で水を飲んだ。とことんミーハーである。 ツアーでは、約20人ほどを1人のガイドが担当する。まず始めに簡単な導入ビデオを見た後、 本格的なツアーが開始される。FBIの主な捜査対象...国際的犯罪組織の追跡、麻薬取締など... の各セクション毎に、丁寧に解説してもらう。今回は以下のような物を見聞する事ができた。 ・有名な犯罪者(ボニー&クライドなど)の簡単な解説と、彼らが所持していた武器(実物) の展示 ・麻薬の引き渡し道具の実物もしくは写真: セメントに麻薬成分を混ぜて作られた「犬小屋」(これを普通の「犬小屋」のように見せかけて 麻薬取引をする)など ・悪質商売アイテムの数々: 心臓のペースメーカー(患者の死後、それを死体から取り出し、新品と見せかけて再利用する) など ・国際犯罪組織一覧: ガイドでは、日本の「ヤクザ」を例に挙げて説明していた。指詰めの 話とか...してはりました ね。指詰めした両手の写真、ありましたよ!! ・アカデミーに関するパネル説明: 施設概要、カリキュラムなど。端の方に「羊たちの沈黙」のパネルが貼ってあった。これは、 捜査官になるための最終試験として本物の事件を追う、という実際のカリキュラムを劇中に 反映しているために、パネルの一つとして展示している そうだ。映画では、ジョディ・ フォスター扮するクラリス捜査官がハンニバル・レクター事件を扱うように司令を受けていた が、あれはクラリスにとってのアカデミーでの最終試験という設定だったのである。 ・殉職者及び、功労者のパネル:殉職者は意外に少なく、これまでで40人ぐらい。 ・逃亡中の犯罪者について:ちなみに検挙率は94%、かなり優秀ですね。 逃亡中の犯罪者については、特にFBIが勢力を上げて捜索している約10名の犯罪者についての写真 と略歴が大きく引き伸ばされてパネル展示されていた。実は以前、ツアーの参加者がこのパネルの 一つを見て「あら、この人、うちの近所に住んでるわよ」と言い出し、調べてみると、なんとその 犯人だったとか。犯人はめでたく御用となり、通報者には報酬金(15,000ドル)が支払われたという 事があったらしい。ガイドさんはその事を楽しそうに語り、「もしかしたら報酬金がもらえる チャンスかもしれませんから、じっくりご覧くださいね」なんて事を言っていた。なるほど、 ジョークにしつつも、ツアー客に捜査協力をさせてしまっているFBIに、私は「なるほど、さすが やね」と感心してしまった。 エスカレーターを上がると、ガラス越しにラボが見えた。思ったほど広くはない。学校の理科実験 室の半分ぐらいのスペースだっただろうか。かつてはペンドレルもここで作業をしていたのかと 思うと、何かもの哀しさが漂う。この時、ラボには一人のスタッフがいた。彼は私達の姿を見て、 ガラス越しに手を振ってくれた。ラボのスタッフって...意外に陽気なんだ。 一概にラボといっても、その検査内容によって扱う器具や薬品等が異なるため、遺伝子検査用、 化学繊維用、成分分析用など、いくつかのラボがある。ここではわずかな手がかりで様々な情報 を得る事ができる。例えばたった一本の毛髪で、その毛髪の持ち主の人種、性別、染めている のか、脱色しているのか、ストレート・天然パーマ・作為的にあてたパーマなどの区別がつく ばかりでなく、その毛髪が自然に抜けたのか、引っ張ったために抜けたのか、切り落とされた のかなど、非常に細かい部分までがこのラボでは解明可能なのである。普段こういった類の 分野には疎い私。科学もここまで進歩したのかと、ラボの設備達が頼もしく見えた。 ラボだけでなく、コレクションやサンプルも並みの数ではない。タイヤの跡、靴底、科学繊維 など、ありとあらゆる種類のサンプルを写真に収め、捜査の参考にしているのだ。現在では 既に主流から外れている旧式の型のサンプルなども保管されており、その数は数千種とか。 別の部屋には、押収した銃のコレクションもあった。現在FBIが使用しているシグやスミスから、 古くはJFK暗殺の時に使われたものと同じ型の銃などもあり、そりゃあもう「ス・ゴ・イ」の 言葉以外に何があるだろう? といった感じだった。 一通りの見学が終わってから射撃のデモンストレーションを見る事ができたのだが、その標的を 捕らえるスキルのレベルに私は驚いた。普通に標的を射抜くだけでなく、暗い場所や電灯が 激しく点滅しているような、標的を捕らえるには視覚的に困難である状況においての発砲デモも ある。彼は暗闇で10回発砲し、人の形をした標的のちょうど胸のあたりに、10個の銃弾で円を 描いたのだ。これはやはり、16週間に及ぶアカデミーでのハードなカリキュラムで得た産物 なのだろうか。ライフベストと銃がなければ、見た目は至って普通のオジさんである彼。 ぐれいとである。 射撃デモでFBIツアーは終了となる。出口にギフトショップがあったが...FBIアイテムは意外に ダサかった(笑) たくさんのツアー客がたむろしていた事もあり、結局何も買わずに出てきて しまった。 私達の担当だった職員さんはとても感じの良い女性だった。声が非常によく通り、聞き取り やすい発音でユーモアたっぷりに話してくれたので、私でもなんとか聞き取れることができた。 違法輸出入関連の犯罪で押収された毛皮や宝石などの展示コーナーでは「ここ、デパートじゃ ありませんよ」などと笑いを取ってみたり、ツアーの最後に「何か質問はありますか? 何でも いいですよ。『X-Files』についての質問はない?」などとジョークも飛ばしてくれる。 ツアーの所要時間は約1時間ほどなのだが、彼女はこの1時間に、FBIが扱っている犯罪や捜査 方法などの「FBIの全て」を凝縮させ、中味の濃いツアーを私達に提供するのだ。始めは「ツアー 担当って、もしかしてエリートコースから外れた人達がやってんのかな」なんて失礼な事を 思っていたのだが、これはFBIを知り尽くしていなければできない仕事だと思う。何と言っても、 FBIに関する知識など皆無に等しいツアー客が質問をするのだ。中にはとんでもなくピントの ズレたような質問や、答え方の難しい質問も出てくるだろう。彼女達は、そんなありとあらゆる 質問に答えなければならないのだ。 連邦政府機関という言葉からは、閉鎖的・かつお固いイメージしか得られないが、そんなイメージ を払拭するべく、寛大な態度で(可能な所だけではあるが)施設内を一般公開しているFBI。そのFBI と一般人達の架け橋となるツアー担当の彼女達に、私は感謝の意を示したい。 とても充実したツアーだったように思う。日本も警視庁ツアーとかやってみれば面白いのに... って、そんなもの、見たがる人っているのだろうか?(爆) 見学できる所はおそらく全FBI施設の 数%ほどなのだろうが、それでも十分楽しむ事ができた。皆さんもDCを旅行される際には、是非 FBIツアーを旅行日程に組み込んでくださいね。 ------------------------------------------ File No.010「チャーリー」 「ウォール街」に出演していたチャーリー・シーンの話ではない。 ポトマック川、という川がある。たまにFicでもお見かけするので、ご存知の方も多いだろう。 この川沿いには桜並木があり、満開の時期には多くの見物人達で賑わう。だがやはり川沿いの 風は冷たいのか、私達が行った頃、川沿いの桜はまだ咲いていなかった。町の中に植わっている 桜は結構咲いていたのだが...。しかし桜の他にも、リンカーンメモリアルなどの観光スポット はたくさんある。かねてからのアイーマちゃんの希望により、私達はポトマック川周辺を自転車で 回る事にした。 早速ボートハウスで自転車をレンタルする。地理的にもさほど急な坂道がなく、変速付きの自転車 はレンタル料が若干高くなる事もあり、私達は「One-Speed(変速ギアなし)」の自転車を選んだ。 「OK」と、愛想のいいおじちゃんが出してきたのは、鉄パイプを白のペンキで塗った、いかにも あの「無印良品」で売ってそうな自転車だったのだが...あ、あれ?? 私は思わずおじちゃんに 尋ねる。 「ねえ、手元のブレーキは?」 「ないよ」 値段が安いとブレーキもついてへんのか!? と言いかけたが、おじちゃんは続ける。 「あーそれね、ペダルがブレーキになってんのさ」 なんと、ペダルを逆にこぐとブレーキが効く仕組みになっているのだ。慣れてしまえば楽なの だが、慣れてまでが一苦労だった。何気なく(特に下り坂で)逆方向にペダルをこぐ癖のある私に とって、最初の7分はまさに地獄そのもの。どれだけ前につんのめった事だろう。そんな私の苦労 を知ってか知らずか、アイーマちゃんは始めから結構うまく乗りこなしていた。 くそう、今に見ておれ 元来、私は非常に負けず嫌いな性分で、トランプのババ抜きだろうが七並べだろうが、とにかく 真剣勝負をするヤツなのだ。そんな私がこの自転車に対して闘争心(!?)を燃やすのも当然の 成り行きであろう。そして私が自転車のブレーキに慣れた頃、「下り坂までペダルをこぐな!!」 と、アイーマちゃんに諭されていたのは容易に想像がつくはずだ(笑) しかしやはり、自転車には手元で操作できるブレーキがないと落ち着かない。 え? タイトルとどう関係があるのかって? 私はいつも自転車(チャリンコ)の事を「チャーリー」と呼ぶ...ただそれだけの事である(爆) ------------------------------------------ File No.011「XF-S7の感想」 DCで見たXFの最新シーズンについて、少しだけ触れておこう。 私達が見たのはブードゥー教絡みのEpiだったのだが、このEpiのキーパーソンを務める男性が なかなかの迫力で、思わず「うげ〜〜っっっ!! 気持ちワル...」と二人で顔をしかめること数回。 クライマックスはドキドキするような展開だった。特に「○○の部分に□□が××られたスカリー の△△をモルダーが発見する」シーンには、つい手に力が...これ以上口を滑らせてネタばれに なってもいけないので、このへんでやめておく。(←知りたい方は、Amandaまでご連絡ください・笑) もちろん日本語でのサポートはなかったが、あの「そこはかとなく漂う不気味な雰囲気」は 健在。ストーリーもクラシックな感じで面白かった。「三人よれば文殊の知恵」と言うが、 別に二人でも理解できたよね、アイーマちゃん(笑) ------------------------------------------ File No.012「最後に」 これは極めて個人的な感想だが「DCはアメリカらしくない」と思う。今日までに何度か経験した 「アメリカ訪問」を通じて、私の中では「アメリカ=くさい」という公式が確立されていた。 別に「酒臭い」とか「うさん臭い」とかいう意味ではなく、実際にこれまで各地で「アメリカの 匂い」というものを感じてきたのである。 例えば先日のハワイであれば、吹き抜ける潮風に「アメリカくささ」を感じたし、LAでは、あの 照り付ける太陽がそうであった。フロリダのディズニーワールドでは「ワクワク感」がそれに 値し、NYでは道行く人の躍動感に「都会的なアメリカくささ」を嗅ぎ取る事ができた。 しかしDCには...匂いがなかった。 これはDCが持つ特有のイメージが起因しているのではないかと思う。DCと聞いて真っ先に思い 出すものと言えば、青い海や真っ赤な太陽ではなく、ホワイトハウスやFBI、ペンタゴンなど、 国家レベルの重要機関であろう。そういった事もDCを異質だと思わせる要素となっているのでは ないだろうか。あえて言うならDCは「匂いがない」という「アメリカくささ」を持つ街、と いったところか。 と、こう書くとまるでDCをけなしているようだが、私はDCが気に入っている。きれいだし、 地下鉄にも乗りやすいし、日中は歩くと気持ちがいいし、美術館や博物館など(もちろんFBIも)、 楽しめる場所もたくさんある。なかなか面白い街だ、と思う。 もしまたDCへ行く機会があれば、私は喜んで飛行機に飛び乗るだろう。 今回嗅ぎ取れなかった「DCの匂い」を求めて...。 ------------------------------------------ 第一部はこれでおしまいです。 これでも充分な量なのですが、実は第二部があるんです(爆) 題して『謎のX-Philesによる証言録取』!! 「しゃーないな、読んだろか」という慈悲深い方(^^;)は、第二部へお進み下さい... By Amanda