************************************************** 題:ひとことおやすみ 作:Canon ***************************** - Scully's Apartment AM 2:15 -  今日もふと気がつくと彼女の家の前に立ってドアをノックしている自分が いる。特に事件が起きたわけでもなく、これといって話したい事があるとい う事でもない。ただ、気がつくといつもこの時間にこのドアをノックしている 自分がいる。 "ガチャ"  ドアが開いて、彼女が顔をのぞかせ、少し怪訝そうな顔をしつつもすぐ部 屋へと入れてくれる。  はじめの頃は、何かあったのか?散々聞いてきた彼女ももうすっかりなれ てしまったようで、もう何も聞かない。それどころか簡単な夜食まで作ってく れて、この深夜の訪問を楽しんでいるようにも感じられる。  たわいのない話をして、彼女の作った夜食を食べる。他人がこの姿を見た ら、どう思うだろう。恋人?夫婦? どちらにしてもただの同僚には思われないだろう。 そりゃ、彼女をただの同僚とは思わないし、思うつもりもない。じゃぁ、何だ? とたずねられても答えに詰まるだろう...。それを言葉で表現するのは、難しす ぎるのだ。 「モルダー?どうかした?フォークが止まってるわよ」  彼女の言葉に、考え事を中断する。彼女は心配そうに覗き込んでいる。 「ねぇ、おいしくなかった?あなたが食べれるように工夫してるんだけど・・・」 「おいしいよ。僕の料理に比べたら、すごくうまいよ」 「ホント?それならいいけど・・・。ほら、野菜も食べて!!」  彼女の仕事中には、ほとんど見ることのないこの笑顔を見るといつも安心す ることができる。この笑顔を独り占めできるなら・・・・。  だが、きっとそれは叶わない願いかもしれない。僕らがこの先の見えない真 実探しを終えるその日まで・・・・。 「ごちそうさま。おいしかったよ」 「どういたしまして。出来ることならもう少し早い時間にと、言いたいところだわ」  皿を片づけながら、彼女はそう言って微笑む。  時計の針はAM3:30を指している。そろそろ帰らなければ、彼女の貴重な睡 眠時間をこれ以上奪うわけにはいかない。 ただでさえ、仕事で振り回すのだから・・・。 「スカリー、そろそろ帰るよ」 「そう?そうね。あなたも眠らなくっちゃね。これ以上遅刻したら、スキナーにあ わせる顔がなくなるものね」 「そうしたら、まともな整形外科にでもかかるよ」 「そうね、人の顔を移植するような所には行かない方がいいわよ。腕のいい友 達を紹介してあげる」 「頼むよ。とびっきりハンサムにしてくれるよう、言っておいてくれないか?」 「わかったわ、ってもう!バカなことばかり言ってないで、さっさと帰りなさい!  ただでさえあなた睡眠時間少ないんだから」    彼女に背中を押されるようにして、ドアまで行く。 「じゃ、また。オフィスで・・・」 「ええ。おやすみなさい」  エントランスまで行くと、ドアが背後で閉まる音がする。 その後必ず、彼女は窓の所で僕の車が走り去るのを見守ってくれる。 僕はそれを感じながら、車を発進させる。  彼女のくれる笑顔とおやすみのひとことで、不眠症の僕が安心して、眠れる 事を彼女は知っているだろうか?  いつの日か、彼女のそばで眠れるその日が訪れるまで、深夜の訪問は続く 事になるだろう・・・。  - end - *********************************************************** ひゃぁ〜っ。明るいFicを書かねばと、思ってたのに・・・(T_T) 見事に玉砕!!ひよさまの疲れた体に、これでもかってぐらい ダメージあたえたかも・・・・ごめんなさいm(_ _)m 生まれて初めて、モル中心のFic。いつもスカ中心なんで、モル 好きのひよさまの為にといきごんで書いたのに・・・。(号泣) ごめんなさい〜、許してひよさま。 でも、ひよさまいなくって寂しかったよ〜!!!!エジプト旅行記、楽しみです♪ *************************************************************************** *