THE X-FILESの著作権は全て、FOX,1013,CHRIS.CARTERに帰属します。 本作に一切の営利目的は有りませんし 著作権侵害を意図するものでもありません。 TITLE :   告  白    AUTHOR : き ら ら ☆*。                    E-Mail : dskms42@p2332.nsk.ne.jp テーブルの上に置いた女の白い手の上に がっしりとした 男の手が重なっている 力を込めて引こうとする女 それを許さない男 「ごめんなさい 許して。。。 あなたを愛することは 出来ないわ このまま いいお友達でいさせて。。」 「いつも 君を 危険な目に遭わせて 守ろうともしない そんな男の何処がいいんだ?」 「ちょっと 待って 何ですって? 私を守る? 守るって言った?」 「ああ 確かに言ったよ 僕ならちゃんと 君を守ってあげられるよ」 「やめて。。。 私は守って欲しいなんて 思っちゃいないわ 女を守ろうなんて 男の エゴイズムよ 私は 対等でいたいの それ以下でも以上でもないわ」 「どうしてなんだ どうして あんな 君を愛してもくれない男がいいんだ」 「愛して欲しいなんて 思っていないわ 私が勝手に愛してるだけだもの。。」 「そんなこと いいわけだよ 抱かれたいと思ってる筈だ」 「やめて そんな 言い方」 「だって  本当の事だろ?いい年をした女がプラトニックな愛で我慢できるもんか」 「もうやめて あなたを嫌いにさせないで。。手を離して。。。。」 「離さない 今日は帰さない」男がぐっと手を引いた グラスの中の水が テーブルと一緒に揺れて  撥ねた               ****************** F B I 地下 *********************************************** 「あら フォックス あなたのおちびさんは いないの?」 ダイアナのその言い方にムッとしながらも 「何か 用があるのか?」 「用がなかったら 来ちゃいけないの?」 「別に。。。好きにしたらいいよ。。」振り向きもせず P.C に向かうモルダー 「スカリーは何処に行ったの?」 「さあね 友達と会うとか言ってすぐ帰ったよ」 「へえ どんな 友達? 女? それとも男?」 男と言われて はっとした   キーボードを叩いていた指が止まってしまった 「わかりやすい人ね あなたも。。。男と会ってるなんて思ってもいなかったんじゃないの?」 「何が言いたいんだ スカリーが誰と会おうと関係ないよ」 言いながら 内心は穏やかではなかった   「あ・そっ」わざと言い捨てるダイアナ 何かを知ってそうな ダイアナの口振りに モルダーは次に切り出す言葉を探していた 「会ってるのが 誰か知ってるような 口振りじゃないか」 「まあね でも 知りたくないんでしょ?」 黙っていると 「ふふふ。。。聞きたい? 聞きたいの? でも どうでもいいんでしょ?」」 まったく むかつく女だな こいつは。。。。気を取り直して 「どうせ いいたくないんだろ?」 「あら 言って上げても いいわよ 二人で 手を取り合って 人目もはばからず 愛を語り合って いたそうよ 私たちが よく行く いつもの喫茶店で。。。誰だと思う?  相手は ロバートよ」 「ロバート?」思わず立ち上がって 横にあるゴミ箱を倒してしまった  グワッシャ〜〜ン と大きな音を立てて 中身を吐き出しながら 転がっていった 「あらあら あなたの 動揺の音みたいね あはは。。。」ゴミ箱を指さしてダイアナが笑った ゴミを拾い集め P.C の電源を落とし 「もう帰るから 君も出てってくれ」背広に手を通しながら モルダーが 顎で ダイアナを促す 「行く気になった?」      「。。。。。」 何も答えないモルダー 頭の中が真っ白で 混乱していた  スカリーが ロバートと  スカリーが ロバートと。。。。。 ロバートは局内でもなかなか評判のいい男だ 若いしルックスもいい 隠すことなくスカリーに言い寄っていた そのロバートにスカリーは 。。。想像するだけでカーッとしてきた 「モルダー  彼らが会っていたのは もう2時間も前の事よ 食事も終わって 今頃は ベッドインの最中じゃないの? 週末だし   。。。」 「もういいよ」 怒りがこみ上げてきた  この怒りは何なんだろう? 言葉にして スカリーに愛してると言ったわけでもないが そんなこと言わなくてもわかってるだろ? 何で わからないンだっ という想いと 今までの二人のいい関係に甘えて  スカリーをないがしろにしてきた自分に 腹が立ってきた 「あら もう一つ あなたに言いたいことがあるわ 」追い打ちを掛けるようにダイアナが言う 「もうなにも 聞きたくないっ」 ダイアナが話す前にモルダーは走り出していた 「大事なことよっ  モルダーがんばってっ 急いでね ファイトよっ  」大声で叫ぶダイアナ 背中にダイアナの声援を受けながら右手を高く差し上げてブイサインを出すモルダー   あぁ〜〜あ  あたしって なんて お人好し。。。その場に佇んでダイアナは思った 夜遅くスカリーは部屋に戻ってきた 明かりも付けず しばらく立ったままでいた 小さな肩が上下し すすり泣きが始まった  しゃくり上げ 号泣に変わった 日に日に心を占めてゆくモルダーへの思いに耐えきれなくなってきているのだ 溢れる想いを胸に秘め 彼の前では完璧な女を演じ 絶対に涙なんか見せまいとがんばってきたのだ それだからこそ ロバートの優しさや 母の 思いやりが 心を弱くしてしまうのだ 泣くまいと思っても 止めることを忘れたかのように 後から後から涙が 溢れてくる  幾度目覚めても 心休まる日は なかった こんな 生殺しのような日々を あとどれくらい 過ごしたら 楽になれるのだろう 指の間から こぼれ落ちてゆく 砂のように モルダーの心はとりとめがなく 捕らえどころがない あと一ヶ月?  半年?  一年?  そう思いながらもう7年。。。。 もう 限界だった もう耐えられない。。。 忘れてしまえたら。。。 他の男。。。 そう 私を愛してくれる ロバートのような男を愛せたら どんなにいいだろう そんなことが出来ないことは 自分が一番よく知っている でもうち明けて 今のいい関係を壊してしまう そんな勇気もなかった 愛して欲しいなんて 思っていないわ。。。。    なんて嘘ばっかり   愛して欲しくて  愛されたくて 乞い焦がれているのに ベッドルームに行くとカーテンの間からこぼれる月の光が薄ぼんやりと部屋の片隅を照らしていた スカートを足元に落とし ストッキングを脱ぎ去り ブラウスを脱いで 大きく息をつくと また 新たな涙が 溢れてきた 両手で顔を覆い 引きつったように泣き出した 「ロバートは そんなに よかったかい?」 聞き覚えのある声だ 「モルダーっ」スカリーが叫ぶ  びっくりして涙も止まってしまった 「何処にいるの?  何処っ」暗闇の中 眼を凝らすと うっすらと シルエットだけが ベッドサイドに 浮かび上がって来た カチッと音がしてベッドサイドの スタンドの小さな明かりがふっとついた ベッドの脇の小椅子に脚を組みモルダーは 座っていた ベッドを挟んで二人はにらみ合った 「どうやって 入ったのっ  不法侵入よっ」 「遅いよ ずっと待ってたのに」 間延びしたように話すモルダー  「答えになってないわ どうやって入ったのよっ」ヒステリックに叫ぶスカリー 「ああ これ?」モルダーの指先には 鍵があった 「なぜ?」 「兄妹だと言ったら ああ お兄さんのビルさんですね といって管理人がくれたよ」「うそ」 「嘘じゃないよ ここにあるんだから」鍵を差し出して 椅子から身を乗り出そうとした スカリーは初めて 自分が半裸で あることを 思い出した 「近寄らないで。。」 両手で胸を抱え込み 薄暗闇に感謝した さっとベッドに手を伸ばしシーツを引き抜いて躰に巻き付けた 「出ていって 早く」 「ロバートは優しく抱いてくれたかい?」 「何を言ってるの? 出ていってと言ってるのよ」 「滅多に泣かない君を そんなに泣かせるほどロバートは愛してくれたのかと聞いてるんだよ」  「何を言ってるの?」同じ言葉を繰り返すスカリー モルダーの言ってる意味が分からないのだ 「奴と寝たんだろ?」「私が? ロバートと? 何?どういうこと?」 「今まで こんな遅い時間まで 奴と一緒だったんじゃないのか?」 「ママの処に行ってたのよ ロバートとは会ってすぐ別れたわ」 「ママ? そんな 見え透いた嘘をつくな 確かめてやる」 ベッドの上に手をついて飛び越えあっという間にモルダーはスカリーの前に立ちはだかった 「近寄らないで」その言葉が終わるより早くスカリーの胸に手を伸ばしシーツを奪い取ってしまった    「やめて。。。あなたは 仕事の上では相棒かも知れないけど  人生のパートナーじゃないわ 私生活まであなたに 詮索される必要が何処にあるの?    私が何処で誰と何しようと あなたに関係ないわ。。誰と寝ようとね。 あなただっていろんな女を抱いてるじゃないの 私が知らないとでも?」 吐き出すように唇から飛び出す言葉はもう嫉妬でしかなかった 「もう顔を見たくもないわ 私の前から消えてちょうだい。。。」 どうしてこの口は心と裏腹な事を言い続けるのだろう 彼がいないなんて 気が狂いそうなのに でも言ってしまったら もう後戻りは 出来ない 必死になって隠し続けてきた 彼への愛が 一気に濁流となって 溢れ出しそうだった 唇が震えだし 感情が高ぶって 閉じた瞼の内側が 熱くなって 涙がせきをきって 流れ出した モルダーの手が伸びて 引き寄せられ抱き締められた   なぜ?  暗くて彼の表情は わからない 必死で 胸を押す  「やめて。。。私たちは そんな関係じゃ ないはずよ」 心臓が 狂ったように動きはじめ   どくどくと赤い血を吹き出したかのように痛みが襲ってきた ここで抱かれてしまったら ひた隠しにしてきた愛が放たれて もう自分を止められなくなってしまう そんな事を思いながら モルダーの胸を押したが すぐに払われて 抱きしめられた 不意に熱い吐息が近づいて いきなり 唇を奪われてしまった 熱い舌先がねじ込まれ 息をするのも忘れそうな 激しいキスだった 足元が ガクガクと震えはじめ  自分の脚で立っていられる事が 不思議なような気がした 躰ごと モルダーに預け 快楽に溺れていく自分をどうすることも出来ない 朦朧とする 意識の下で もうどうなってもいい 今日だけでもいい 今まで築いてきた7年がなくなっても  この思い出があれば生きていける  思い切り抱きしめられて 彼の熱いモノでこの躰を貫かれたい。。。 そう思うと絹のブラジャーに隠された乳房が痛いほどピンと張り躰が疼いて気が遠くなりそうだった モルダーの指がブラジャーに掛かろうとしたとき  沈黙を引き裂くように電話のベルが鳴った 「ロバートか?」 ベッドの反対側でベルはまだ 鳴り続く。。。「 彼の筈がないわ 」   出ないでいると ついに 録音に変わった 「ダナ? まだ帰っていないの?」 「ママよ 離して。。」モルダーの腕から抜け出そうとするスカリー  しっかり抱きしめて離そうとしないモルダー 「あなたが 泣いて帰ったような気がして 心配だったの 滅多に家に来ないあなたの事だもの 何かあったんでしょ? きっとフォックスの事ね? なにも話さなかったけどそんな 気がしたわ 」 スカリーの全身に鳥肌が立った 「ママ やめてっ」スカリーが叫んだ なんて勘がいいんだろう 慰めて欲しいと思って 会いには行ったけど モルダーのことは一言も話さなかったのに。。。 母親は 自分がモルダーを愛して悩んでいることをうすうす感じている 何を話し出すかと思ったら 気が気ではなかった 「ダナ あなたの その口は何の為にあるの? 食べるため? キスするため?  もっとあるでしょ  言葉にしなきゃ。。。思ってるだけじゃ フォックスに 伝わらないわ 。。」 さーっと躰から血の気が引いていった ガタガタと震えがきた 「ママ やめてっ やめてっ  私はここにいるわ 」涙が溢れてきた かろうじて自由になっている腕を受話器に向かって伸ばしてみるがベッドの向こう側に届くはずもなかった スカリーを抱きしめたモルダーの腕に 更に力が加わってぎゅっと抱きしめられた もう自分の気持ちがモルダーに知られてしまった   モルダーは どう思ったのだろう  怖くて 顔を上げることも出来ない モルダーの胸が大きく上下し感情が高ぶっていることがスカリーにも伝わってきたが 表情は暗くてよくわからなかったし  まして心の中を計り知ることは出来そうになかった   母の言葉は まだ続いた 「あなたに言おうかすごく迷ったんだけど ビルは絶対言うなって怒るんだけど。。。。。」 「ママ お願いだから もう何も言わないで。。。。」モルダーの胸に顔をうずめてスカリーは懇願した しばらくの 沈黙のあと スカリーの耳を疑うような言葉が続いた 「フォックスが 来たのよ あなたを下さいって 結婚の申し込みよ ビルは猛反対だったけど  妹のあなたが 可愛くて仕方がないのよ でも心配しないで。。。 そのうち 折れるわよ」 「うわぁお〜〜 うわっ うおお〜っ 」わけのわからない言葉を叫んで慌てたのは モルダーの方だった  スカリーを壁際に突きとばし ベッドにダイビングして受話器に手を伸ばそうとしたが  勢いがつきすぎてベッドの向こう側に落ちてしまい  しこたま 腰を打ち付けた あまりの痛さにモルダーが呻いている間にも 言葉は続けられた  「必ず幸せにします 二人で幸せになりたいと思ってる。。ですって いいわねぇ でもまだあなたにはうち明けてないそうよ。。 二人でいることが あまりにも永すぎて うち明けるチャンスを逃してしまったのね きっと 心配しないで  ダナ  フォックスもあなたを愛しているわ   あなた達って 本当に不器用なのね恋愛に関しては。。。。 あ。。。 ビルがきたから もう切るわ」 一方的に切られてしまった 壁際に背中をくっつけて膝を抱え 俯いてしゃがみ込むスカリー  両手と両脚を広げ大の字になって ふてくされたように床に寝転がるモルダー お互いの心に飛来するものは何なのか。。。誰も知らない。。。 他人の 言葉によって 自分達の気持ちが暴露されてしまうなんて。。。 息を殺した二人を包む静寂と 暗闇だけが残った       つづく。。。                     感想は BBS または 直接メールで こちらまで 。。。                     前向きな 感想 ご意見お待ちしています。               dskms42@p2332.nsk.ne.jp きらら ☆*。