DISCLIMER:The characters and situations of the television program "The X-Files"are the creations and property of Chris Carter, Fox Broad castig,and Ten-Thirteen Productions.No copyright infringment is intended.   処女作ゆえ、拙い文章です。それでも読んでやろうという方のみ、お進みください。         『Report』                        by indy     ***********************************     地下室のオフィス        ラボから戻ってくると、スカリーのPCの前に書類の束が置かれていた。椅子に座る と、しばらくその束を見つめていたが、かすかに視線を上げて目の前に座っている、相 棒を見た。   相棒のモルダーは、やる気がないのか、ひまわりの種をかじりながら報告書とにらめ っこをしている。かけていためがねをはずすと、足をデスクの上に投げ出し、鉛筆を手 で弄びはじめた。完全にやる気がなくなったようだ。モルダーが何気なくスカリーの方 を見て、目が合うと、ニコッと微笑んだ。自分が遣り残している報告書の整理を手伝っ てくれと目が言っている。いつもなら「仕方がないわね」と手伝うのだが、今日はなぜ かモルダーのその笑顔に腹がたった。  いつもその、捨てられて「ねえ、ねえ」と甘えてくる子犬のような顔に振り回されて いる。スカリーはこの顔に弱いのだ。だが、今日のスカリーは違った。そうよ、甘やか しちゃいけないわ。   「ねえ、モルダー。これ何かしら」 「見てのとおり、報告書だよ」    スカリーはふうっとため息をついた。   「あなたは本当に言葉足らずね。…これはあなたがやりのこしている報告書よ」    言いながら、無意識に腕時計に目をやると、ちょうど定時の時間を少し過ぎたところ だった。   「さ、私はもう帰るわ」    そう言いながら、帰る準備をはじめたスカリーに、あのとっておきの笑顔を見せれば 手伝ってくれるだろうと思っていたモルダーは驚いて、椅子から落ちそうになった。   「ちょっと、スカリー!帰っちゃうのかい?」 「ええ、そうよ」 「君は、相棒が困ってるのを見捨てるのか?」 「困ってるって、自業自得でしょ?その束はほとんどが今日までに提出しなきゃならな いものよね?今まで散々できる時間があったのに、あなたが愛蔵ビデオを見たり、昼寝 をしたりしてるからいけないのよ。それに見捨てるって言い方はちょっと語弊があるわ。 この場合は、そうね…」    スカリーは「うーん」っと、少し首をかしげて考えた。   「愛のムチ、ね」 「そんなのいらないよ〜。愛があるなら手伝ってくれよ」    モルダーは情けない顔で、懇願した。しかし、スカリーは無視という形で要求をはね つけると、ドアの前まで歩いて行った。   「じゃあ、ちゃんと全部仕上げて提出してから帰るのよ。スキナーが待ってるわ」    ドアの方を向いて、ドアノブに手をかけると、一瞬間をおいて、ボソッと言った。   「それに、私も、ね」    そう言い残すと、さっさと出ていってしまった。モルダーはその後ろ姿を見送ってし ばらくボーっとドアを見つめていたが、「うんっ」と伸びをすると観念したのかまた報 告書に向き直った。しかし、それも長くはもたなかった。机に突っ伏して“どうやって この悪魔から逃げようかな”、などと考えていると、ドアをノックする音がした。スカ リーが戻ってきてくれたのかと、期待をして顔を上げると、スキナーの秘書がドアを開 けてこちらを見ていた。   「モルダー捜査官まだいらっしゃったんですね。よかった」 「やあ、僕に何か?」 「副局長からの伝言です。そのまま伝えますね。えっと…『明日、私が出勤したら一番 に見れるように、それまでに机の上に提出しとけ』とのことです」    秘書はそれだけ言うと、モルダーに挨拶をして出ていった。   「朝一に、出せばいいんだよな…」    そう言うが早いか、勢いよく椅子から立ちあがり、上着を持ってオフィスを出た。         スカリーのアパート        ドンドンドン    スカリーがドアを開けると、満面の笑みをたたえたモルダーが立っていた。次の瞬間、 思いっきり抱きしめられた。   「会いたかったよ」 「2時間前に別れたばかりよ」    スカリーは抱きしめらた感触が心地よくて、浸ってしまいそうになったが、モルダー の腕から逃れて言った。   「で、ちゃんと報告書は仕上げたの?」 「お、いいにおい」    モルダーはスカリーの問いには答えずに、くんくんと鼻を鳴らした。そのしぐさがあ まりにも、子犬のようで思わず笑ってしまった。   「ええ、おなかすいてるだろうと思って、冷蔵庫の中身が少しさびしかったんだけど、 有り合わせでシチューを作ったの。食べるでしょ?」 「さすがスカリーだ!やっぱり君は最高だな!!」    またモルダーが自分を抱きしめそうになったので、肩を思いっきりおしやってさっさ とキッチンへ行き、盛り付けにかかった。モルダーは、ふてくされた表情でスカリーの その姿をじっと見ていた。   「ねえ、ちゃんと終わらせたんでしょうね?」    モルダーはまたそれには答えないで、スカリーのそっと後ろまで行って、抱きしめた。   「ちょっと、モルダー。盛り付けができないでしょ?離してよ」 「いやだ」    耳元で囁いた。スカリーはその声が好きだった。自分の耳元で囁くときの甘く低く響 く声。でもやっぱり今日はだめ。そう思いなおすと、少し冷たい声で、スカリーは   「離して」    と、一言だけいった。その冷たい声が聞いたのか、モルダーはしぶしぶ彼女を解放し た。そして、お気に入りのソファのお気に入りの場所へどかっと座った。   「モルダー、まだ質問に答えてないわよ」 「質問って?」 「はぐらかしてもだめ。ちゃんと終わらせてから来たんでしょうね」 「もちろん、と言いたいところだが実は、終わってないんだよな」    その言葉にスカリーは振り返り、呆れた表情でモルダーを見た。彼は、テレビのチャ ンネルを変えまくっている。スカリーは呆れながらも料理を運び終わると、モルダーの 前に座った。   「どういうこと?」 「だから、まだ全部終わってないんだよ。あれから全然はかどらなかったんだけど、そ れでも一応終わらせようとがんばってたんだよ。ところがそこに、スキナーの秘書が伝 言を持ってやってきたんだ」    モルダーは話しながら、食べ始めた。よっぽどおなかがすいていたのか、話すよりも 食べる方を優先している。   「明日の朝、スキナーが出勤するまでにデスクの上に置いてあればいいって」 「それでそのままにしてきたのね。で、いつするの?」 「ん…まあ、早く起きてしようかと…」 「さっきも言ったけど、私手伝わないわよ?…ま、せいぜい早起きすることね」    必死で食べていたのをやめて、モルダーは顔をしかめた。   「スカリー、今日はなんだかやけに僕に冷たくないか?」 「そう?」 「いつもなら手伝ってくれるじゃないか。文句言いながらも…」 「そうね」    モルダーは、持っていたスプーンを置いて腕組をし、考え始めた。しばらくそうして いるとおもむろに立ち上がり、スカリーの横に立った。呆気に取られているスカリーを 立たせると、いきなり背中と膝に腕をもぐりこませ、抱き上げた。   「ちょ、ちょっと、モルダー!なにするのよ。食事中よ!」    抱き上げられたままじたばたするスカリーをそのままベッドまで連れて行き、横たわ らせた。モルダーは彼女の上に乗り、キスをしようとする。スカリーはそれを手で遮り、 モルダーを睨んだ。   「モルダー、とうとう本当にイカれたの?」 「そうかもしれない」    モルダーは悪戯っぽく笑うと、強引に唇を合わせた。抵抗していたスカリーも、やが てそれに応えていった。      荒くなった息も落ち着いてきて、心地よいまどろみの中、スカリーは後ろからモルダ ーに抱きしめられていた。モルダーの腕は彼女のおなかのあたりでまわされ、スカリー の髪に顔をうずめていた。閉じていた目を開けると、スカリーは口を開いた。   「どういうつもりなの?」    モルダーは上半身だけ起き上がらせると、彼女の上腕のあたりにあごを置いて、彼女 の顔色をうかがった。穏やかな表情をしている。口調とは裏腹で、彼女は怒ってはいな かった。気づかれないようにホッとすると、ゆっくりと話し始めた。   「君のご機嫌を治すには、一番いい方法だと思ってね。ちょっと強引だった?」 「…別に機嫌が悪かったわけじゃないわ。ただ、なんとなくあなたの…」    スカリーは一旦そこで言葉をとぎると、続けるのをためらった。   「あなたの…何?」    モルダーは好奇心いっぱいの瞳で、彼女の顔を覗き込んだ。スカリーはその瞳に負け たのか、くるっと向きを変えて、モルダーの胸に顔をうずめた。そんな行動をかわいら しく感じたモルダーは、スカリーをきつく、優しく抱きしめた。   「あなたのペースにはめられるのがちょっと悔しかったの。他の人はそんなことなかっ たのに、あなたには本当に…振り回されるわ」    自分を抱きしめている腕が少し緩んだ。それに気づいたスカリーはオズオズとモルダ ーの顔を見ると、ものすごくうれしそうな顔をしていた。   「うれしいの?」    スカリーは「なぜ?」という表情で聞いた。   「うれしいさ。僕の行動や言動が君に思った以上に影響を与えてるんだと分かってすご くうれしいよ」 「あなたって…」    困ったような、複雑な笑顔を見せたスカリーはモルダーにきゅっと抱きついた。モル ダーもそれに応えるかのように、彼女の髪にキスを何度もうめた。   「あ、モルダー」    いきなりスカリーが頭を少し動かしたので、モルダーのあごに頭があたった。   「いたっ」 「ごめんなさい!大丈夫?」  モルダーは痛そうな顔をしてあごをさすって、大丈夫だよ、と言った。 「で、何だい?」 「報告書」 「え?」 「報告書よ」    甘い雰囲気に浸っていたモルダーを、スカリーの言葉がいきなり現実に引き戻した。   「早く取りかからないと、スキナーにまた怒鳴られるわよ。シャワーを浴びてから、や りましょ」 「やりましょって…手伝ってくれるのか?」 「仕方ないから、あなたに振り回されることにしたの」    モルダーの顔がパッと輝いた。   「やっぱり君は最高だな」    そう言うと、モルダーはスカリーにキスをした。はじめは軽く、そしてどんどん激し く深くなっていった。      二人の目がさめたのは、出勤時間ギリギリだった。急いでシャワーを浴び、ろくに朝 食も取らないまま、部屋を後にした。もちろん、モルダーは額に青筋を浮き上がらせた スキナーにこっぴどく怒鳴られたのはいうまでもない。         ***********************************       いろんな作家さんのficを読んでいるうちに、自分でも書いてみたいと思い、こんなの読 んでくれる人いるのかな〜と疑問を感じつつ、書いてみました。がんばってみたものの やっぱり文章を書くというのは難しいものです。プロットも何も考えないまま、思いつ くままに書くのは無謀ですね。内容なんて全然ない、わけ分からない話になってしまい ました。でも、書いてて楽しかったです。   こんな設定も何もないような話を、最後まで読んで頂いてありがとうございました。も し、感想、アドバイス等してやろう、という奇特な方がいらっしゃいましたら下のアド レスの方までお願いします。      indy_am@hotmail.com