THE X-FILESの著作権は全て、FOX,1013,CHRIS.CARTERに帰属します。 本作に一切の営利目的は有りませんし 著作権侵害を意図するものでもありません。 TITLE :   告  白   (続編)  AUTHOR : きらら  ☆*。                    ******************************************************************************* スカママの電話により お互いの気持ちが暴露されてしまっても前に進めない じれったい二人の続編です 詳しくは 前編をお読み下さい ******************************************************************************** 暗くて深い闇が支配するもの 部屋の空間 そして 置き去りにされた心。。。 息をするのもためらうような シーンとした部屋に波をたてたのは スカリーのくしゃみだった 「くしゅん あっ はっ くしゅん。。。」 モルダーに突き飛ばされて下着姿のまま 部屋の隅にうずくまっていたので 躰はすっかり冷え切っていた 自分で自分を抱き締めるとひんやりとした腕が更に躰を冷たくした 暗くて見えもしない天井にじっと目をやり大の字になったままのモルダーの唇は固く結ばれていた 「スカリー」ベッドの向こう側からモルダーが囁くように遠慮がちに小さく名を呼んだ 「スカリーー」 「スカリーーー」 「スカリーーーーっ」  はじめは小さく声を殺して絞り出すようにそして やがて。。。狂ったように叫び始めた 「モルダー。。。やめて。。。聞こえてるわ。。。お願い。。」 両手で顔を覆い小さな肩を震わせながらスカリーがゆっくり言葉を刻んでいく 「スカリー  スカリー。。。。 スカリー。。。。僕の気持ちがわかるか? この部屋で 君が帰ってくるのを じっと息を殺して待っていた 待つ間 君のことをずっと考えていた コーン畑で 追いつめられて はぐれてしまったとき 君を永遠に失ってしまうかも知れないと思って叫び続けた。。。あの時と同じだ。。。 このまま 狂ってしまうんじゃないかと思うくらい君の名を呼んだあの時と同じだった。。。」 思い詰めたように話すモルダーの声は震えて今にも泣き出しそうだった 「君が言うように確かにいろんな女と寝たけど満たされなかった でも君がロバートと一緒だと聞いたら  もうこの腕に戻って来ないような気がして たまらなくなった 自分が他の女と寝ながら。。。君が誰かと寝るのは許せない。。。男の我が儘だとわかってるんだ 君をずっと抱きたいと思っていた  でも守ってもやれない。。。 そう思ったら前に進めなくなってしまった  君は守ってなんか欲しくないって言うかも知れない きっとそう言うだろう? だけど 守りたいんだ 愛する女を守りたい 守らせて欲しいんだ だけど 現実は どうだ? 情けないくらい 僕の方が君に守られている。。。」 お互いに愛し合っている事がわかったのにどうして今更こんなに苦しい胸の内を晒すんだろう 抱き合わない事でずっと保ってきた均衡が崩れてしまったら。。。 お互いが相手しか見えなくなってしまったら。。 そう思ったら かんたんに 手放しでは喜べないのだ なかったことにもできず だからと言って前に進むことも出来ない 袋小路に迷い込んだような 辛い恋になってしまった  どうしてこんなに苦しい恋を選んでしまったんだろう 愛さずにはいられなかったのは本当だった 血反吐を吐くくらい思い詰めてもあきらめきれない恋だったのだ どうしてモルダーなんだろう  魂が呼んで離さないのは どうしてモルダーなんだろう? 心の淵を覗いてみても 答えは返って来なかった 理屈じゃなくて 胸の奥のずっとずっと 深いところで モルダーじゃなきゃ嫌と叫んでる自分がいる 悔しいけど彼以外の人を愛するなんて考えられないのだ  言葉にならずスカリーが泣き始めた 心臓を鷲掴みにされたかのようにキリキリ痛んで もう 躰を起こしていられない 床に倒れ込み頭を抱え込みすすり泣きが始まった 「君を愛してることを言葉にしてほしいかい?  自分の身勝手で 心は通じていると思ってた だから 言葉で君に愛してるなんて一度も言わなかった 僕はこの7年を心の安まる間もなく生きてきた 行き詰まったり 悩んだり でも自暴自棄にならずに 線路を踏み外すこともなくここまでこれたのは 君がいたからだ 君がそばにいてくれたから 路を誤ることなく進んでこれたんだ 君を愛してるって思ったのはいつからだろう?  気がついたら かけがえのない存在になってたのに 言葉にするのをためらった この関係を壊したくない そう思ったからだ こんなバカな男と仕事なら相棒としてやっていくかも知れないが プライベートに 人生のパートナーとして一生をかけてくれるかな?と思ったら 言えなくなってしまった 逞しく冷静でどんどん綺麗になっていく君を横目で見ながら だんだん落ち込んで行く自分が情けなくなって」 モルダーは言葉を探しているようだった 考えながら ポツリポツリと話す 「僕にとって 7年は長かった 女の君にとっては もっと長かっただろうと思う 毎日オフィスで会いながら言葉に出来ない歯痒さを感じていた 前に進むのかもう終わりにするのか決めなくてはならないと思った 順番が逆になってしまったけど 君のお母さんに相談に行ったんだ 僕のよき理解者だから。。。 『幸せになりなさい 相手を幸せにしてやろうなんて思わないのよ。。 片方だけが 気負ってしまったら 疲れてしまってだめになるわ。。。 二人で。。 そう  ふたりで幸せになるのよ。。』 そう言われて 決心がついた  今度の事件が片づいたら君にプロポーズしようと。。。」 訥々と話すモルダー  スカリーは眠ってしまったのだろうか? 物音一つしなくなった すすり泣きも聞こえなくなってしまった 「スカリー。。。  スカリー。。。」薄暗闇の中 探るようにモルダーがスカリーの名を呼ぶ 「寒いわ。。。」歯の根が合わなくなったスカリーがガタガタ震えだした 「そっちへ行ってもいいかい?」 「さ さむい。。。」 スカリーの異変に気づき がばっと起きあがりベッドから毛布を引き剥がし走り寄るモルダー 自分がさっき慌てて 突き飛ばした場所にスカリーは躰を横たえていた  毛布を掛けて 部屋の明かりのスイッチを探す 一気に 明るくなった部屋にさらけ出された二人 毛布にくるまったままのスカリーは その身をぐったりと横たえていた 毛布にくるんだまま 抱き締める 強く強く 細い躰が折れるくらい 「痛いわ。。モルダー。。。」か細い声で訴えるスカリー 頬にそっとキスして スカリーの躰を壁に起こして モルダーは部屋から出ていってしまった しばらくして戻ってきたモルダーは軽々とスカリーを抱き上げた ベッドに寝かせてもらえるものだと思っていたが モルダーの足先はベッドルームを出て 違うところに進んでいた 雨の音だと思ったのは シャワーの流れる音だったらしい バスタブにたっぷりのお湯を張って 霞むくらい蒸気が立っていた 「ごめんっ」そう言い放ってくるんでいた毛布を外すと下着姿のスカリーが現れた そのままひょいとスカリーを抱き上げバスタブに沈めた つま先から 両腕の先から冷え切った躰がじわ〜っと暖まってきた  脚を伸ばして顎にすれすれのお湯から 首から上だけを出して死んだように横たわるスカリー 意識が遠のいてゆく。。。。 「がば ごぼっ うっ  ぐっ。。。」スカリーがいきなり沈み始めた 慌てたモルダーが バスタブに腕をつっこんで 引き上げた 「スカリー  大丈夫か?」 「あ  あぁ  」やっと我にかえったスカリーがみたものは ずぶぬれになったモルダーだった 肘まで捲り上げたワイシャツは濡れて躰に張り付き スーツのズボンは色が変わるほど水浸しだった 「ごめんなさい 濡れてしまったわね 」 「気にしないよ 君の方こそだいじょうぶか? お湯を飲んだんじゃないのか?」 「ちょっとね びっくりしちゃった 溺れたかとおもったわ。。。。」 お互いに見つめあい 心の内がわかってしまって なんだか急に 恥ずかしくなってきた ブラとショーツはつけているものの 透き通ったバスタブの中の自分の姿は何とも言えない様相なのだ 「モルダー。。。。あなたも。。。」 そう言ってスカリーは バスタブの端に寄りモルダーのために場所をあけた 「支えていて。。。。そうしないと また 溺れるわ。。。。」 どう言って 誘えばいいのか いい言葉がうかばなかった でもこのまま 見つめられているのも もう限界だった 蒸気のせいだけではない火照りが身体中を包んでいた しばらくしてバスタブの縁でただ黙ってスカリーを見つめていたモルダーが小さくくしゃみをした  「ほらね  風邪を 引いてしまうわ。。」 ワイシャツを脱ぎ捨て 上半身裸になり  ズボンも脱いだが トランクスを脱ぐのはちょっと ためらったモルダーがそのままバスタブに入ってきた スカリーの後ろから静かに躰を沈め始めたモルダーは長い腕をまわすと  すっぽりと自分の腕の中にひきよせ 愛しいものを優しく抱きしめた 「しっかり 支えているから もう溺れないよ 」白くなだらかな肩に顎をのせ モルダーが囁いた     もう とっくに  あなたに溺れてしまっているわ。。。。スカリーはそう思った ゆっくり目を閉じて 躰をモルダーに預けた 背中にぴたりとくっつけられたモルダーの肌が心地よく 自分を抱き締めてくれる 長くて 逞しい腕 モルダーの優しい愛を身体中で感じるスカリーだった 躰が温まり気分もゆったりとしてきた 守ってほしくなんかないって言ったけど 守られるって なんて 気持ちがいいの? 気持ちが穏やかになって 躰全体がとろけそうな気がする 今まで片意地張って生きてきた自分が バカみたいに思えるほど 満ち足りた気分にさせてくれるのだ 気持ちが良くなってうとうとして 薄目を開けると 身につけていたはずの ブラが お湯に浮いていた いつの間に。。。。眠っている間にモルダーがはずしたらしい でもショーツは付けていた ホッとしたのもつかの間だった 「温かくなった?」耳の後ろからモルダーが聞いてきた 聞こえないふりをして躰をあずけたままでいると モルダーの指がせわしなく動き始めた  両方の乳房の 大きさを確かめるように両手でそっと撫でながらもてあそび始めた 同時にそっと髪に触れた唇は耳元をかすめ 首筋を辿り 肩へと降りていく 乳房に飽きた両手はなだらかな腹部へと進み その細さを確かめるようにキュッと締まったウェストの両脇に添えられ 腰から脚の付け根に向かって降りながら ぴったりと閉じられた両脚を割るように股の内側に静かに沿ってゆく 触れられたところからゾクゾクするような甘い痺れが背中に這い上がって来た 心臓が大きな音を立て始め モルダーに聞こえてしまうのでは無いかしらと息をひそめ このまま気を失ったら どんなに楽か。。。そう逃げ腰になっている自分と モルダーの指先が与えてくれる切ないまでの快楽と期待。。。 いろんな思いが交差して 身体中の張りつめた神経が一気に寸断され粉々に飛び散ったような気がした もうだめ。。。そう思った瞬間 ショーツの隙間から滑るように指が入り込みスカリーの敏感な部分に触れてきた ためらいがちに そして だんだん 大胆に。。。。       起きているのはわかってるんだぞ。。そう責めるように指が動く 「あ  あぁ。。」堪えきれずに吐息がこぼれ ぐっとのけぞると 上から覆い被さるようにモルダーの唇が降りてきた ゆっくりと唇を開いてモルダーのキスに応えるとモルダーの舌がまさぐるようにスカリーの舌と絡み合い それこそ 溺れたかのような錯覚に陥りあわてて手を伸ばしたが空を掴むようにもがくだけだった   脳天から意識がスーッと遠のいて躰がふわりと浮いたような気がした どうしたんだろう 目を開けているのにも何も見えない。。。 慌てて額に手をやると 冷たいものが指先に触れた 冷やしたタオルだった 気がつくと ベッドの上に横たえられていて 優しい目が心配そうに覗き込んでいた はっとして 胸に手を当てると バスローブをきちんと身に付けていた 「大丈夫だよ あのまま裸でいられると 僕の理性が ぶっとびそうだったから。。。」 苦笑いしながらスカリーの心を読みとったモルダーが囁いた 「のぼせたんだ また 沈みそうだったよ 長く入ってたから湯あたりしたんだね」 額からずり落ちたタオルを裏返し 冷たい面をそっと額に当てなおすモルダー 髪を愛おしく撫で 瞳をキラキさせながら「もっと躰の中から温かくする方法もあるけど。。。。」 いたずらっぽく笑って言うモルダーに スカリーは 真っ赤になって 毛布を被ってしまった 「モルダー。。。」毛布の下からスカリーのくぐもった声が聞こえる 「モルダー。。。」「聞こえてるよ どうかした? 気分がわるいのか?」 「モルダー  私  優しいお母さんになりたいわ。。」 「。。。。。」一瞬スカリーの言ってる事が理解できずにいたモルダーの顔が徐々に 何とも言えない 優しい顔に変わっていった そっと毛布を剥ぐと 両手で顔を覆ったスカリーがいた 細い手首をつかみ顔から外しモルダーは自分の掌の中に両手を包んだ スカリーの閉じた瞼から 一筋の涙が頬を伝ってこぼれた 「ママのように 何にも言わなくても 子供の心がわかる 優しいお母さんに なりたいわ」 「。。。君一人で?」わかっていても 照れくさくて話を逸らすモルダー 「そうね 人工授精もいいけど。。。 」静かに微笑んでさらりとかわすスカリー 次の言葉を探しながら 見つめあうふたり。。。 「父親が必要なんじゃない?」そう言うモルダーの顔はもう笑ってなんかいなかった 「僕が 立候補しても?」瞬きもせずじっと見つめて問いかけると 半泣きのスカリーが答える「あなたの 他に誰がいるというの?。。。」 堪えていた涙が堰を切ったようにどっと溢れでてきた 震える唇をかみしめたスカリーがモルダーの手を自分の胸元に導くように引き寄せると 引かれるまま モルダーはベッドを軋ませながらスカリーの隣に静かに横たわった 「私を 抱いて。。。そして。。。愛して。。。。」 スカリーは細い腕をモルダーの首に絡ませた  「君を僕のものにしたいって ずっと思っていた。。。7年分の思いを込めて。。。。」 大事そうにスカリーを抱きしめかえすモルダー モルダーの優しいキスは これから始まる二人の幸せが確かなものであることを約束するように 雨のようにスカリーに降りそそいだ。 悲しみや つらさや 嫉妬や ありとあらゆるものが襲いかかり胸がつぶされそうになっても あきらめる事が出来なかったモルダーへの切ないまでの思いが届いて 今やっとこの腕の中に抱くことを許された。。。 身体中に優しい唇で愛を刻まれながら 7年の思いがスカリーの脳裏を走馬燈のように駆け抜けた 運命と言うものがあるのなら。。 私は 信じるわ。。。 私たちは今日の日を迎えるために7年前のあの日に出会ったのだと。。。                                                                          おわり                                                        <<   ミニ続編    >>                        「後悔してない?」                                                                     「後悔させたいの?」                    とんでもないと言うように首を振るモルダー             「後悔なんて いまさら。。。7年前にあなたに会ったあの日からずっとよ」                          「今も?」                 「いいえ昨日迄よ。。。」にっこり笑って答えるスカリー                 「モルダー あなたに言わなきゃならないことがあったわ」                     「なに?」 モルダーの 腕枕で この上ない幸せそうな顔をしたスカリーが                   クスクスっと笑いながら首を伸ばしてモルダーの耳元に囁いた                  「あなたに 愛してるって 一度も言ってなかったわ」                                         <<おしまい>> x-kilala@excite.co.jp                                        x-kilala@excite.co.jp