DISCLAIMER: The characters and situations of the television program "The X-Files"are the creations and property of Chris Carter, Fox Broadcasting,and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringement is intended. ★前書き このFicは「ファイアー・プロミス」というユニットによって書かれたものです。 内容は、同じページにある『前編』を読んでいただければわかるかと思いますが、 『あだると』であると同時に、ひたすら『お笑い』志向で進めています。 そのようなジャンルの作品を好まれない方、または前編を読んで「私の求めて いるものと違う」と自覚されてしまった方にはお薦めできません。 そのような方は、即刻このウィンドウを閉じてください。 また、前回の作品を読んでうれしい感想をくださった方、本当にありがとう ございました♪ とても励みになりました。 そして、それに対して調子に乗った私達は、あらゆる意味でさらに『濃い』ものに 仕上げてしまいました。 それを事前にご理解いただいた上で、読んでくださるならとてもうれしいです! 以上、今回は前書き担当のプロミスでした。        〜この作品は、大好きな「関西人万歳!」さんに捧げます〜 ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏             『Love Hotel of Investigation』(中編)                 (Rating:NC-17)                                Written by                 ファイアー・プロミス              ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ ああ、早く、早く出て来て!! ! もう、なんでこんなに印刷するのに時間がかかるの!? ピー!! あっ、やっと! 私は出てきた紙をビーっと引っ張って、ミシン目の所できれいに切ると、慌てて Bathroomに走って行った。 「えっ、Scully・・・!?一体どこに・・・?」 ごめんなさい、Mulder。今は説明してるひまはないのよ。 背中に聞こえてきたMulderの声を無視して、私はBathroomに到着すると、 ライトセーバーのボーっとした光の元で恐る恐る紙を覗き込んだ。 「えっ、これって・・・測定ミス?」 思わず声に出してしまったわ。一体何なの、この結果は? こんなキレイな6角形、おまけにこんなに小さい6角形は見た事がないわ。   『ゼンギ2』、『スタミナ1』、『テクニック2』、『センス1』、 『スピード1』、『コウギ1』   それぞれ1から5まで方々レベル毎に赤い線が放射状に延びて6角形を象っている。 こんなに小さい6角形を見た事が私今まであったかしら??? 私は信じないわ・・・きっとこれは何かの測定ミス。 はっ、そうよ!年齢だわ!年齢をいい加減に入力したからそこで誤差が 生じてるのよ! こんな結果はいらないわっ! いくらなんでも、これはあんまりだわ。 私は分析用紙をクシャクシャっと丸めるとゴミ箱にポンと投げ捨てた。 バタンとBathroomのドアを締めると、Spaceshipのベッドに寝ころがって、 安眠しようとしてるMulderにダイブした。 「わっ、Scully!!なんだよ、いきなり!?」 何、眠りにつこうとしてるのMulder?? このままで終わりだとか思ってるんじゃないでしょうね!? そんなのは許さないわよ、絶対に。 「ねえ、Mulder・・・眠っちゃイヤ。私、まだ・・・あなたに抱かれて いたいのに・・・」 「なんだ、まだ足りなかったんだ。素直な君もカワイイよ、子猫ちゃん♪」   あの早さで満足できる女性が居たらお目にかかりたいものだわ。 はいはい、お願いだから、そんなに急がないで。 私は胸の愛撫に夢中なあなたを横目に、手を伸ばしてロボットの再試行ボタンを押した。 「アアン・・・Mulder、あなたって今、何才だったかしら・・・?」 「ハニー、なんだってそんな事今聞くんだ?ほら、ここはどう?気持ちイイだろ!?」 「あっぁん、気持ちイイわ、とっても・・・で、今何才?」 「38だよ。ほら、ここは?ここも気持ちイイだろう?僕が開発したところ  だもんなあ♪」 38ね。OK、38っと・・・あとの設定は同じね。 さあ、今度は頑張ってね、Mulder。 ・・・だからダメなのよ、そんなに急いだら。 別に両手を使って上と下を同時に愛撫しなくてもいいのよ。 順順に、胸から下へと・・・ああ、どうして??どうしてそう急いで私の中に 入ってこようとするの?? 「ソノスピードデハ、モチマセン」   ほら、言われてるじゃない! 空耳じゃないのよ、Mulder。 「モット、ユックリ、ウゴキナサイ」   Mulder、ゆっくり動くのと動きを止めるのとでは意味が違うのよ。 「なんだよ、これさっきからウルサイなあと思ったら。」 「ヤダ、Mulder。よそ見しないで、私の方を見て、ねっ♪」   ほら、Kissしてあげるから・・・ 「君のKissは最高だよお〜、まだまだイカせないよ〜。」   私は大丈夫よ、あなたでしょう、先に終わってしまいそうなのは!! ああ、ほら、だからそんなに急ぐと・・・ 「・・・・・」 「ふうぅぅ・・・・・」 カーン♪ 「どいて、Mulder!!!」   早く、早く出てきて!!! ジーガリガリガリ・・・・   今度こそ、きっと!!!さっきよりは時間は長かったわ、絶対に!!! 「ピー!!」 出てきたわっ!! えっ、ちょっとMulder・・・待って、その紙は私のもの・・・ 私は両手からすり抜けて行った紙の行方を追い掛けMulderの手元に 辿りついた。 「なんだよ、これ、Scully・・・?」   どうして、私より先にあなたが見るのよーーー!! 「もしかして、さっきの紙も・・・」   止めて、Mulder。Bathroomには行かないで!!! ショックを受けるのはあなたなんだからっ!!! ._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._.        ・・・ ・・・・・・な。 ・・・・・・・・・な、なんなんだ?これは? 黄緑色のライトの元、2枚の記録用紙を見比べてみる。 一枚は今、Scullyからとりあげたもの。 もう一枚は今くしゃくしゃになってゴミ箱につっこんであったもの。 くしゃくしゃになっていた方の紙にはちっちゃい6角形がちんまりと中央に描いてある。 『ゼンギ2』、『スタミナ1』、『テクニック2』、『センス1』、 『スピード1』、『コウギ1』   そして・・・今取り上げた方は、ちっちゃい4角形が2つ・・・   『ゼンギ1』、『スタミナ1』、『テクニック0』、『センス0』、 『スピード1』、『コウギ1』   が〜〜〜ん!!!   これって・・・2回目の方がもっと良くなかったって事か? だって、2回目の方が長かったじゃないか! もったじゃないか!!! おかしい・・・絶対になにかがおかしい・・・ 僕の真実を求める力が働いた。 えっと・・・男・・・ん?40才? だぁれが40才だ? 僕はまだ38才だぞ・・・あ、そっか・・・だからScullyはさっき僕の歳を 聞いていたんだな? 2枚目にはきちんと38才ってなっている。 でも、2枚目のこの成績の悪さって・・・ なになに? 年代別アドバイス? 40代のあなた・・・これでは彼女は納得できません。年齢のせいもあるかも           しれませんが、トレーニングをして精力をつければ多少の           改善の望みがあります。彼女の協力を得てもっと がんばりましょう。 30代のあなた・・・すべての項目において平均を大きく下回っています。 とくにテクニックとセンスが皆無というのは話になりません。 アドバイスのしようもありません。彼女がいる事が奇蹟です。 別離も時間の問題だと思われます。   ・・・って事はつまりなにか? 僕の・・・は40代ならばまだ許されるけど、30代では救いようがないと・・・? ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・機械になんでここまで言われないといけないんだ?なんなんだ?この分析は? それに・・・あいつのせいだ!あいつがいちいち耳元で変なことを言うからだ! ちくしょぉぉぉ!人間の底力を舐めるなよ〜〜〜〜! バタン! Bathroomのドアを思いっきり開けると、そこにはScullyがびっくりした顔を して立っていた。 「M、Mulder?」 「来いよ、Scully!」 「え?あの・・・?きゃっ!」 僕はScullyを抱えあげてベッドの上へと放り投げた。 そして、R2-D2もどきをはったと睨み付ける。 おっ、おまえなんかに・・・おまえなんかに負けないぞ〜〜〜! 勝負だ!!! Scully、ちょっと君に翻弄されっぱなしで、押され気味だったけど今度という 今度は僕が勝つ!覚悟しろよ! びっくりした顔の君を見ていると、俄然やる気が出てくるぞ! 今こそ、いままで君と過ごしてきた夜に学んだ知識を総動員する時だ! 君の弱いところのすべてを僕は知っている! さあて、どうしてやろうか? あ・・・髪がきれいにベッドに広がって・・・やっぱり色っぽいな・・・じゃなくて! 僕はぶるぶると頭を振る。 いかんいかん、最初から翻弄されてどうするっ! えっと、どっから攻めたら・・・あ、そうだ。 ほらほらぁ・・・とっておきのココは? ん?どう? おっ、もう息が上がってきたじゃないか・・・ふふふーん、僕が本気になれば一味違うぞ! よし、じゃあこれと同時にこっちも・・・ん? その時、Scullyに下へと伸ばしかけた手をぐいっと上へ引っ張られた。 んー?なんだい?こっちの方が好きなのかい? 「んっ、Mulder・・・お願い。ゆっくりと・・・順番に・・・ね?」 順番?えっと・・・一極集中?おっかしいなぁ? いままでみたどのビデオでも同時にいろいろと・・・の方が感じていたように 見えたんだけどな〜。 そっかぁ、こうの方が・・・いいのかな? 「あっ・・・あっ・・・Mulder・・・だめっ・・・」   うわぁ、ご、ごめんなさい! これは・・・だめなんだ・・・? えっと、じゃあどうしようかな? ・・・ってあれ? 心なしかやめた途端、背中を抓られたような・・・気のせいかな? じゃあ、気を取り直して・・・ここは? 「あ・・・Hm・・・・・だ・・・」   え?ここもだめなの? 「あ・・・いいわ・・・」   よっしゃあーーー、ここだな? それじゃあここを、れろれろ〜んと・・・お? これはいいみたいだ、声が艶っぽく大きくなってきた! ふふふ、なんだか優越感だなー、今の眉間に皺を寄せている感じは怒っているときと 違って、すごく色っぽいよ! ・・・あれ?でも、じゃあ今までって・・・一体? 「ねえ、Mulder・・・来て・・・あっ・・・」   お?もう耐えられない? よっしゃあーーー、んじゃ・・・そろそろ。 『ファイト〜アト6分〜。』   なんだ?この声は・・・? あと6分だと? ふふん、もうこれで3回目だ、ちょっとやそっとじゃ果てないぞ!!! 余裕だもんね! 6分以上も楽勝楽勝♪ 「ああっ!」   あ? あれ? なんかScully・・・さっきまでと違って・・・なんかすごい・・・ええ? これはなんなんだ??? 「Mulder!!!」 も、もしかすると、「今」が本気でイイって思ってるわけ? あ・・・やばい・・・またしても僕の方が耐えられないかも・・・ こんなはずじゃっ。 「ああん・・・・」   あ、だめだよ、そんな色っぽい声を!やばいっ・・・他の事を考えないとっ・・・ 終わってしまう! なにを考えよう・・・? えっと・・・Skinnerの頭とか・・・・つるっとしててふわふわで・・・って、それは Scullyの胸じゃないか! 「あん・・・あっ・・・ああっ!」   ち、ちょっとScully・・・そんなに激しく動くと・・・あっ!まずい!!! ・・・・・・・・ ・・・あ・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・・ あ、あはっ・・・なんか・・・冷たい視線が・・・・ 『ファイト〜あと5分〜』   ・・・って一分しか・・・その・・・・ カーン♪   ひぇぇぇぇぇぇ!!!!! ._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._.     Depression of spirit・・・ ここは日本だから、日本語で。 『意気消沈』 以前にたまたま出会った日系人の女の子が今、漢字の練習をしてるんだって 言って教えてくれたのよ。 書けないけど、意味は知ってる私の唯一の漢字よ。 まさに、今のあなたにピッタリな漢字だわ。 ここは日本だから漢字の意味がホントに感動するぐらいあなたにピッタリ。 私はSpaceshipにうつ伏せでグタっとなっているあなたを見つめた。 「Mulder・・・」 「何も言うな、Scully・・・」 何も言わないわよ、というより言えないわよ。 四角から今度は三角になったなんて・・・。 「・・・初めてだわ、こんな形のグラフを見たのは・・・」 「・・・初めて・・・って!?」   えっ、聞こえてたの?ヤダ、私声に出して言っちゃってたのかしら、今!? ヤダ、そんなにムックリと怖い顔して宇宙船から起き上がらないでよ。 「説明してくれるよな、Scully・・・前にも同じ事をやった事が、あるのか!?」   何、何なの??何をいきなりそんな強気になってるの!? もしかして、これって逆ギレっていうやつなの!? 何よー、キレたいのは満足させてもらえない私の方なのよー!!! 「もう1度聞く、前にもやった事があるのか!?答えろよ、Scully!?」   目が真剣だわ・・・ 「ちっ、ちがうわよ、もちろん初めてよ。今までの様々な物理や医学実験から  色んなグラフを見たけど、こんなにネガティブを指し示すグラフは初めて見たの・・・」   なんて科学者的なウソ。私って嘘つくときまでサイエンティストだわ。 「へぇ?それにしては明確に指摘してたじゃないか。もしかして・・・?」   もしかしてって一体何よ!?何が言いたいわけ!? 「もしかして....う」 「明確に指摘するのは科学者としての本能なのよ。」 何よ、『う』って・・・もしかして私があなた以外の誰かと・・・なんて 考えてるわけ? 聞かなかった事にしてあげるわ、今は。 「へえ〜科学者の本能ね・・・」   その疑い深い目は何なのよお〜!? 「そうやって、君は僕を実験の道具にするんだな・・・。」   今度は何シューンとなってるの!? 「どうせ僕は30代で最低最悪な救い様の無いデータ持つ男だよ・・・」 あらら、とっても落ち込んで行ってるのね・・・ お願いだからそんな捨て犬のような目で私を見ないでー!!! 「こんな僕なんてさっさと見切りつけてさあ・・・君を満足させてくれる男の とこに行きなよ・・・クスン。」   もうー、何泣いてるのよ・・・泣きたいのは私なのよー!!! 「君はそうやって・・・僕を・・・僕を・・・」   バサっと頭の上から黄緑のシーツを被ったあなたを私はどうしたらいいのよ・・・ ・・・もう、しょうがないわね、あなたって、ホントに。 「バカね、Mulder・・・私はどこにも行かないわよ。」   私はシーツをゆっくりとどけて、ナデナデとあなたのブラウンの後頭部を撫でた。 「それともあなたは、私なんてもう要らないの!?」   枕に沈んでるあなたの頭がプルプルと無言で左右に振れて、私はつい微笑んだ。 「Mulder、でも数字はあなたの私に対する愛情までは表されないわ。あなたの 愛情指数はとっても高いって私はちゃんと分析してるのよ。」   やっとこっちを見てくれた....ああ、でもその捨て犬の目は反則だわ・・・ 「・・・でも君はデータ至上主義だろ・・・?」 「ええっと、それはだって、数値って正直でウソつかないから・・・。」   はっ、違うわよ、正直に答えてどうするのよ、私!? ああ、Mulder、そんな枕を抱えてスネないでよ! 「ねえ、Mulder。私達の愛情の深さを一体誰が測れるって言うの??」 「ロボットが測ったじゃないか・・・」   いいえ、Mulder。ロボットが量ったのはあなたのベッドテクであって、愛情じゃないわ。 って、こんな事を口にしたらもう取り返しがつかなくなるほど、落ちこむわね、きっと。 だから、私は、最終手段に出るしかないのよ。あなたを慰める為に。 そう、それはもう私のベッドテクで!!! Mulder・・・そのシーツの中から外に出してあげるわ。 いつまでその中に篭ってられるかしらね? まずは意外に敏感なあなたの耳たぶから・・・ふふふ、身体を堅くしたってムリよ。 うなじにKissして、ツツーっと背骨に舌を滑らされるのもあなた好きなのよね。 「ねえ、Mulder・・・仰向けになって・・・ねっ?」   そうそう、その調子・・・はい、あなたの唇頂きねっ!! 「ああぁ、Scu・・・こんな事で・・・僕は、ダマされない・・・ぞ」   あら、そうかしら?でもあなたの身体は正直よ、とっても。 「悔しくないの、Mulder??たかがロボットに言いたい放題言われて。」 「あん・・・なのっ、ウソだ・・・ううぁ!!」 「そう、あんなのはウソなのよ、私が知ってる、ホントのあなたの事は。  だからそれがウソだって、見せてやりましょうよ、Mulder。ねっ、ロボットを  見返してやりましょうよ!!」   あなたの闘争心を性欲へ・・・あれっ?反対かしら?? あなたの性欲を闘争心へ・・・. ・・・ どっちでもいいわ、この際。 でも闘争心や性欲を掻き立ててあげるなんて、私ってなんてソツがないのかしら。 自分で言うのも変だけど。 思わず、あなたを握ってる手に力をこめる私。 「うわぁ、ああぁぁ、Scully!!それは・・・っ!!!」   ごめんなさい、ちょっとやり過ぎたみたいね。 「ダメだ、Scully。我慢なんて出来ないよ。君は僕をいつでもソノ気にさせるプロだね。」 「だってあなたの恋人だもの。あなたの事は私が1番分かってるわ。」   その言葉にバサっとシーツを剥ぎ取って、私を組み敷いたあなた。 さあ、来て頂戴。私の中に。 私はあなたが私の中に入ってきたのを確認してからロボットに手を伸ばした。   ._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._.      ああ、Scully。 君ってなんて素敵な人なんだろう?ごめん、ごめんよぉ! 君にそこまでしてもらって・・・君に僕の紛れもない愛情をしっかりと感じ取って おいてもらいながら・・・僕ってやつはーー! そうだよね? ロボットなんかに僕達の愛情が測れるわけがない! 君の愛というラブパワーで僕は今、ラブマシーンと化したんだ!!! 僕の下で、色っぽく吐息をつく君、君の手に誘われるままにありったけの愛情を 込めて愛撫する僕。 そうだね、なにも焦らなくてもゆっくりとお互いのリズムに沿って・・・もう、 ロボットの声も気にならない・・・それでも負けず嫌いの君はロボットのスイッチを? ふふふ、邪魔してやる♪ ほら、ここはどうだい?とっておきの場所・・・ピクンと君の体が細波の様に震えた・・・ よしよし!さあ!これからだ!!!   ・・・・・ ・・・・・ カーン♪   ん?時間修了?そんなものは関係ない。まだまだだもんね〜!     ._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._. ふぅぅぅ・・・やっと動けるようになった。最後の君はすごかったね・・ 思い出しただけで・・・くふふふ・・・ その時、視界の端にロボットが目に入った。 あ、そっか・・・結果か・・・今回は自信あり!だし、気になってきたぞ? さぁ!今度こそ完璧だ! ロボットの設定時間よりもかなーり!もったし、いろいろなテクも駆使したし・・・ 今回の結果は楽しみだぞ! ぐったりとしているScullyを横目にロボットの口から出ている判定結果を破り取った。   ・・・・・・・・・ ふふふーん。 ほらぁ♪ さっきまでのちっちゃい六角形や四角形、三角形と違ってなんてでかいグラフなんだ! やればできるじゃないかー? なんか1ヶ所だけ他と比べるととても低い所があるのは気になるところだけど・・・ ん?でも、なんか・・・あれ?項目が違う・・・・? 『テクニック5』『演技力5』『感度2』『センス4』『経験度5』『ベッドマナー5』 え?なんだろう???これって・・・??? あ、アドバイス・・・30代女性のあなた??? Scully、自分のデータが欲しかったのかな? でも、その割にはベッドの中で相変わらずぐったりしているし・・・   30代のあなた・・・その美しく均整のとれたプロポーションは、たくさんの男性を           魅了してきたでしょう。その経験の豊富さが見事に生かされていて           男性を喜ばせるテクニック、その気にさせる演技力は完璧です!           ただ、声の微妙な調子から感情曲線を分析すると本当は感度が           あまりよくないようです。なかなかすぐにはイケないのでは?           自分も楽しむためにはそこをもっと磨きましょう! これって・・・成績がいいと・・・喜ぶものなのか? というか・・・あれは全部演技だったのか??? あ、まだ続きがある・・・なになに?   あなたにぴったりな職業・・・アダルト女優。               演技力、テクニック、スタイル、どれをとっても               ぴったりです!あなたの最大の弱点である感度の鈍さも、               この職業なら、感情の波に押し流される事がなく演技を               続けられるのでプラス要素に。監督も喜ばれる事でしょう!   ・・・・・ ロボットってやつは・・・なんて遠慮会釈のない・・・こんなものScullyの目に 止まったら大変だ。 いや、僕もショックだけど、FBI捜査官に適職がこれっていうのも・・・ Scully、怒るだろうな・・・   バサッ。   一瞬にして手にしていた紙が消えた。 あ!Scully!!!いつの間に後ろに? あっちゃー、読んでるよ・・・あ、だんだん怒りで眉間に皺が寄ってきた。 ベッドの中で見せるのとは違う怒りの皺だ〜! しまったぁ! Scullyに見られる前にいっそ捨てて・・・ いや、飲み込んでおけばよかったんだ〜〜〜! 「あ、あのさ、Scully・・・?」 「・・・・・」 肩が震えている・・・あ、指も震えて・・・あっ、そんなびりびりに破って! でも、まだ怒りが収まらないみたいだ。 ここは、一発恋人の笑顔で慰めて・・・ 「ねぇ、Scully?」   上目使い、この表情に弱いっていうのは知ってるもんねー、ほらほら、どうだい? 「そんなたかがロボットの言う事なんて、気にするなよ。こいつが僕よりも君の事を わかってるなんてわけがないじゃないか?ん?そうだろ?Scully。僕の君に対する 愛情は君にだって測れないくらいだと思うよ。」   で、ここで後ろから優しく抱きしめて・・・頤に手をかけてこっちをむかせて・・・ 愛情の篭ったKissを・・・ん。 ちらっ? 薄目を開けて様子を見てみると・・・げげっ。目を開けたまんまだ! 「Scully?」 「私・・・怒りが収まらないわ。」 「Dana〜、ロボットの言う事なんてって言ったのは君だろ?僕もこんな結果は  信じないよ。君が僕だけだっていうことはよくわかっているし、これ以上捜査官  として信頼のできるパートナーなんていないよ。わかるだろ?」 Scullyの髪の毛をくしゃくしゃっとかきまわして、おどけた表情を作ってみせる。 「Mulder・・・」   あ?怒りが和らいできたかな? 振り返って僕の胸に顔を埋めた君の肩の震えが止まっている。 「さあ、今日はもう寝よう。明日は夕方の便でDCに帰ればいいだけだし、久しぶりに  朝寝坊ができるよ。それから近所のレストランで美味しい日本食を食べてお土産を  買って・・・」 きみの指に僕の指を絡ませてながら、耳元へ囁くように提案してみる。 何気に息を吹きかけたりして・・・ 「そうね、Mulder。」   よしっ、良い雰囲気になってきた・・・と思ってた・・・ところがっ! ガガガ・・・ジージー、ガガガ・・・・   ちょっと忘れ果ててたロボットから、これまた忘れ物を届けにきたみたいに 新たな紙が出てきた・・・ Scullyと顔を見合わせてそれを覗き込む。なになに・・・? 2人の相性度・・・? チーン♪   そこで紙が排出されきって、それを手に取った。 ・・・え?5%??? その時、横にいたScullyががばっと立ち上がった!なにをする気かと見てると・・・ 取り出してきたものは・・・ そ、それって銃じゃないか! しっかりとロボットを狙っている!!! 「ま、待つんだ!Scully!ここは日本だぞ!冷静になって・・・」 「どいて!Mulder!!!絶対に許さないから!!!」   忘れてた・・・Scullyは普段はとても冷静だけど、一時の感情の波にはむちゃくちゃ 弱いんだ〜〜〜! もう一度、同じ手が利くかな? ここはもう一度思わず微笑み返さずにはいられないような恋人の笑顔で・・・   に、にこっ♪   ガチャっ!   あっ、撃鉄を下げて・・・本気だ、Scully! ど、どうしたら?日本で発砲なんて始末書どころじゃすまないぞっ! ♪たらりら〜んたららら〜〜〜〜〜 その緊張感を消し去る様にロボットから、これまたご陽気な曲が流れてきた・・・ 「さあ!おさらいの時間です!2人でじっくりと研究して明るい未来を  目指しましょう!!!」 なんだ?なんだ?   ブチッ・・・   かってにテレビのモニターに電源が入る。 そしてそこに映し出されたのは・・・あっ、僕達?? なんだ?????これは???? ._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._. ここはどこ? 私は誰? あれはなに??? 頭の中でたくさんの「???」マークが舞ってる。 理解不能というよりも、なにも考えられないくらい真っ白だわ。 「な、なんなんだっ、これはっ!!!」 Mulder、あなたはなぜ、テレビの前でジタバタしているの?。 うん?・・・写っているのは私達。 『うふふふ・・・連れて行って、Mulder・・・』 シーツをめくりあげている私。 あら?最近、ちょっと太ったのかしら? ワークアウトを考えないといけないわね。 「ど、どうしよう!?Scully。いったいどんな仕組みなんだと思う???  だって、ビデオデッキなんてついていないんだよ?!」 テレビにうつる姿って、実際よりも太って見えるって聞くけど、そのせいかしら? でも、Mulderのお腹ぽっこりは間近で見るのと変わらない気がする・・・ あら?じゃあ、あれはやっぱり真実の私の姿? ちょっとショックだわ。 「ケーブルもない・・・ワイヤレスか。ってことはやっぱり原因はあのロボットか?」 それにしてもわずかな光源しかないのによくとれているわね。 でもやっぱり、FBIの赤外線スコープの方が、もうちょっと明瞭かしら? そんな事を思いながら、あなたの方へ目をやるといつのまにかスーツから 取り出してきたらしい、いつものペンライト持って、ロボットを抱えてた。 「ああ〜、これって監視されてたってことなのかな?こんなものがSkinnerの  目に入ったら・・・」 「Skinner???」 聞きなれた上司の名前に、ふとわれに返った。 あれは一体、なに??? 「Mulder!どうして私達ビデオに撮られてるのっ!?」 「そんなのわかんないよ。それよりこのライトを持っててくれ。おっと、  その前にドライバーを・・・確か・・・」 ・・・なんだか手先が危なっかしいわね。 それに、あなたって機械に強かったかしら? 「わっかんないなー。これはフロントに電話をしてなんとかしてもらうかな?」 「だめよっ!」 冗談じゃないわっ。 こんな姿を人に見られるなんて・・・絶対にイヤ! 「第一どうやって説明するのよ?英語は通じないのよ?」 「君が説明すれば通じるみたいだけど・・・」 ・・・あなたって、こういったときには、皮肉が冴え渡るのね。 私はため息をついて、Mulderからライトを受けとり・・・ふと画面に目を戻した。 『ファイト〜アト6分〜。』 ロボットの声が流れてくる。 これって、2回目の終わりの頃の・・・? それほど時間が経ってないように思えたのに、もうそこまでシーンが 進んでたのね。 ・・・やっぱり、言っちゃ悪いけど・・・早いわ。 「お?開いた!」 プツン ロボットの頭が開いた瞬間に、画面がブラックアウトした。 部屋の中にしーんとした静けさが戻ってくる。 「大丈夫なの、Mulder?」 おかしなもので、1つ不安の要素がなくなると、別の不安が頭をよぎって くるんだから、人間って不思議よね。 もし、これがSkinnerの陰謀で、ロボットのデータを改ざんしたってことが ばれるようなことになったら・・・どんなふうに疑われるのかしら? それにJackとこのロボットを使った時には、こんな機能はなかったのに・・・ でも、そんな事を口にしたら最後、またあなたをなだめるのが大変だわね。 「うーん、テープは無いみたいだよ。これってFrohikeのところで見た、  再生と同時に消去されるチップが使ってあるのかな?似てるような気がする。  なんとか確認できれば安心なんだけど。」 「Frohikeに電話してみる?分析を頼む?」 「そ、それはまずいよ、Scully!」 な、なによ、突然大声を出して・・・ 「僕と君のこんな姿を見たら奴は・・・」 「なによ。」 「い、いや。なんでもない。」 ・・・変な人。 でも、確かに時間的には無理だし、この状況を説明するのもぞっとするわね。 「くそっ、見にくいな。」 「ほら、ごらんなさい。モルダー。もし、私の言うとおりに病院の部屋にして  おいたら、きちんとした照明があったのに。」 危なっかしいあなたの手つきを見ていたらつい嫌味の一言も言いたくなって しまうわ。 「そんな事言ったって、しょうがないじゃないか!第一、最初は君だって、変な  エジプトチックな部屋がいいって言ってただろう?もしあそこにしていたら、  穴ぐらみたいな所だろうからこのくらいの照明すらなかったかもしれないんだぞ!!」 とMulderは持っていたドライバーをぎゅっと握りしめて私に怒鳴った。 ・・・なによ、また逆ギレ? 負けないんだからっ! 私達は、はったとにらみ合った。 なんだか、数秒の時間が数時間にも感じるわ。 でも、そこでふと気付く。 ・・・いけないわ、Dana。 ここは冷静にならないと、なにも先に進まない。 私は大きくひとつ深呼吸をして、あなたの顔を覗き込んでみた。 「ごめんなさい。私があんなロボットを動かしたりしたから・・・」 そして、あなたから視線を外してちょっとうつむく。 「いや、Scully。君のせいじゃないよ。ほら、気にしてないから、ね?」 私の態度の変化以上に、あなたの態度がころっと変わった。 途端におろおろと私の目を覗き込もうとする。 ふふふ、心配してくれるあなたの表情ってとっても好き♪ でも、そんな事はなかなか口にはできないのだけれど。 「ホント?」 「もちろんだよ、僕が言い過ぎた。ごめんよ?」 おずおずとあなたの顔が近付いてきて、様子を伺うようにそっと私の唇に 自分の唇を重ねてきた。 なんて、可愛い人なのかしら? 思わず、あなたの首に腕を廻したくなってしまうじゃない。 ・・・でも・・・え? 「ち、ちょっとMulder!」 床に押し倒された私はびっくりして、彼の顔をはがした。 「なんだよー、Scully。ココでやめるのかい?」 「やめるってあなた、今は悠長にそんな事をしてる場合じゃないでしょ?  とにかくそのロボットをなんとかしないと・・・」 「後でイイよ。ね?」 「良くないっ!」 どんとあなたの肩を突き飛ばして、体を起こした。 すると・・・ああっ、あなたってばまたふてくされて・・・! 「ねえ、Mulder。機械に強い男の人ってイイわよね。」 「え?」 「あなたの器用そうなその指も好きよ?」 そっと、あなたの人差し指にKissをする。 「このロボットの問題をなんとか解決しましょ?私には再生と同時に  消去されるチップとか、まったくわからないもの。すぐにわかった  あなたってすごいと思うわ♪」 「Scully・・・」 ふふふ、機嫌を直してきてくれたかしら? もう、一押しね! 次にあなたの鼻の頭にKissをする。 「ね?がんばりましょう?確認できたら解決よ!」 「うん、やるよ!Scully!!!」 さっきとは一変して、俄然はりきりだしたあなたは、再びロボットへと向き直った。 ・・・単純と言うか押しやすいと言うか・・・ パートナーとしては、ちょっと不安なところもあるけれど、私にだけ 素直になってくれるのよね? 思わず背中から抱きつきたくなった衝動をぐっと抑えて、私は自分のスーツの ポケットに入っているペンライトを取り出すべく、立ちあがった。 ._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._. チュンチュンチュン・・・・ 外からすずめらしき鳥の声が聞こえてきた。 そういえばここは、とくに交通量が多い道路に面しているわけではなかったな。 街中とは言え敷地内に木があるので、朝の光に誘われて集まってきたすずめが活動を 開始したのだろう。   朝・・・か・・・ 「Scully、そのドライバーをとってくれないか?」 「・・・この大きさで良いの?はい。」   そう言って、僕に手渡す時に上げたスカリーの顔は・・・しっかりと目の下に深い隈が 刻み込まれている。 無理もない・・・結局は徹夜だもんな・・・ 「よし・・・これで元通りかな?」 「モルダー、このネジはどうして余っているのかしら?」   ロボットのフタを閉めようとしていた僕の前にスカリーがネジを差し出した。 (はああ・・・一体どこのネジなんだ?)   いよいよ終盤だと思われていたロボットの復元作業が振り出しに戻ったので、思わ ず大きなため息をついた。 もう一度、今さっき閉じたばかりのネジを開けるのか・・・ 僕はちょっと頭を振って、また作業に戻った。 結局、チップは僕の予想通りの、再生すると共にデータが消えてしまうもので ロボットの頭頂部にあったアンテナから、テレビへと映像が発信される仕組みに なっていた。 それをきちんと確認できたのは、明け方より少し前。 そこから、ロボットの復元作業に入ったのだが・・・朦朧としているせいか 思うように進まない。 ああっ、このネジはどこのなんだ!!! それから3時間・・・なんとか余っていたネジの場所を見つけて、修復した時・・・ 「プルルルル・・・」と電話が鳴った。 もう動きたくないというScullyの目を見て、仕方がなく僕が出ることにする。 「えーっと、もうチェックアウトの時間なんだけど・・・わかるかい?  チェックアウト!」   日本語だったが、「チェックアウト」の言葉はわかった。時計を見ると10時前だ。 なるほどそんな時間なのかもしれない・・・ 「OK・・・」   電話を切ってScullyを降り返った。 「Scully、チェックアウトだってさ・・・」 「もうそんな時間なの?」   Scullyは時計を見て、けだるそうに立ち上がった。 「Mulder、飛行機の時間も迫っているわ・・・もう、はやくDCに帰りましょう。  ベッドが恋しいわ・・・」 「ん?じゃあ、僕の家の方が近いからそのまま来るかい♪」   ぎろっ。   くすん・・・ちょっと場を和ませようとしただけなのに、そんな厳しい目をして 睨まなくてもいいじゃないか〜〜〜。 ゆうべのかわいい君はいったいどこに・・ 僕は立ち上がって、忌々しいロボットを部屋の隅に追いやり、ごそごそと荷物を まとめて着替えを済ませた。 見るとScullyはとっくに用意が出来ていたらしい。 腕を組んで玄関口で待っている。 「じゃあな!」   散々馬鹿にされ、苦労させられたロボットの頭をひとつ叩いて部屋を出かけた・・・その時。 『Let's have fun!』 「もう、たくさんだ!」 「もう、たくさんよ!」 僕達は思いっきりドアをバタンと閉めた。       ._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._. チーン♪ エレベータの開く音がして、2人分の足音が響いてきた。 一つはカツカツとヒールを響かせているけど・・・もう一つはなんだか疲れきった ような足取りだね。 私は読んでいた雑誌から顔を上げてフロントの前に立った人物の顔を見た。 「どうしたんだい?あんたたち???」   外人には通じないと途中で気付いたけど、思わずそう声をかけずにはいられなかった。 なんだって二人して目の下に隈を作ってげっそりとしているんだい? まさか、一晩中・・・? 「We'd like to check out please.」   男は弱々しげに笑って、そっと鍵をさしだした。 私がそれを受け取ると男は、少し眉を上げて見せて女の方へと歩き出そうとした。 けれどその瞬間、足元がおぼつかなくなりコケそうになった。 その様子に気付いて女の方が慌てて駆けよって肩を貸す。 ふふーん♪なんだい・・・昨日の夜はずいぶんと仲が悪そうだったけど、少しは 改善したみたいじゃないか。 男のがんばりの成果ってことかな? その時、女が顔を上げてこっちを見た・・・間近で見るその顔は、遠くにしていた ときよりもさらにやつれてみえた。 一体この2人、昨夜どんなふうに過ごしたんだか・・・ 「ちょっと、お待ちよ。」   もちろん日本語は通じていないと思うけど、私の身振りでわかったらしい。 一旦出て行こうとした二人はこっちを見た。 そこで手招きをしてやる。 2人がフロントの前に立ったのでおもむろに私は、昨日の特売日に父ちゃんの為に 買っておいたスタミナドリンクを2本差し出した。 「What?」 「これはねー、滋養強壮剤って言ってね、飲むと力が出るんだよ。よかったら  あげるから飲みな。あっというまに体力が戻るよ。ね?」   その形状からなにか飲み物だということは察したらしい。 でもラベルには日本語で「強力!赤マムシパワー!」って書いてあるから読めない だろうけど・・・そこで私はそれを飲むまねをしてみせた。 すると2人はニッコリと笑って「Thank you!」と口々に言い、表へと出ていった・・・ 2人とも、感じのいい外人じゃないか・・・あれを飲んで元気を取り戻してくれると いいんだけど・・・そう思いつつ、残されたビンを見て・・・愕然とした。 しまった! 間違えて一本5000円のとっておきのヤツを渡しちまったよ! 中がどんなのか見てみたくて箱の中から出して・・・そのまま特売の安いやつと 混ざってしまったんだ・・・大きさも形もそっくりだったからなー。 ああ、もったいない! よく調べるとどうやら、5000円のを一本と200円のを一本渡したらしいという事 に気付いた。 あの5000円の方のは、かなり効くらしい。 前に同じシリーズの3000円ので試した時に、うちの枯れかけた父ちゃんでさえ、 すごいことになったからな。 あの若さで飲んだらどうなるんだろう??? それに一体どっちが、すごい方を飲むんだろう??? あの2人・・・いったいどうなるんだろう??? もし、なにかあったら私の責任かい・・・? その時後ろからポンと肩を叩かれた。 「桜井さん、交代の時間ですよ。」 「あ、はいはい。」   声をかけられて、私はフロントから重い腰を上げた。 はぁぁ・・・せっかく父ちゃんにって思ったのに。 まあ、国際親善ができたと思えば、良しとするかね。 私は残ったスタミナドリンクをかちゃかちゃいわせながら持ち上げて、家路へ向かう 準備を始めた。 「ねえねえ、桜井さん。これ、さっき掃除のおばさんが見せてくれたんだけど・・・  今日って外人のアベックがいなかった?その部屋に落ちてたんですって。  フフフフ・・・」   交代のえみちゃんが私の座っていたフロントの椅子に座りながら、なにやら 紙を渡してきた。 「これって・・・例のロボットの???」   そういいつつ、紙片を受け取るとそこには、見たことのないようなちんまりした グラフが描かれていた・・・これって、あの気の弱そうな外人の男の・・・? 「こんなちっちゃいグラフ、見たことないわよねー。回数はすごいけど・・・  一晩に4回ですって。でもさー、これじゃあ彼女は納得できないわよねー。  あはははっ!」 最近の若い子っていうのは、はっきり言うね。 なんだか、ますますあの気の弱そうな外人男が憐れになってきたよ。 「・・・じゃあ、帰るわね。お先に・・・」 「お疲れ様でしたー!」   ・・・しかし、あの男がこんなんだったなんてね。 そうと知っていたら私も5000円のを2本・・・いや、10000円のを 差し入れしてやってたかもしれないよ。 まあ、せめて2つのうちの5000円の方が男の口に入るといいね。 そんな事を考えながら・・・今晩の御飯のオカズを考えながら・・・私は職場を 後にした。 なんだかいろいろな事があったような1日だった。     ._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._._. コンコンコン ふいに運転席の窓ガラスを叩かれた音に俺は意識を取り戻した。 寝ぼけてたのもあるが、反射的に客だと判断して後部座席のドアを開けた。 ガチャ!! 「お客さん、どこまで!?」 「Take us to the Airport please.」   どこかで聞いた事のあるような、でも聞きなれない言葉に俺は全身硬直した。 そして、ゆっくり恐る恐る後部座席に振りかえると、そこにはニカッっと笑った、 けれど疲れた顔立ちの外人男と、昨日乗せた時と同じく美人だが思いっきり不機嫌な 顔をした外人女が座っていた。 (あわわ・・・まさか1度ならず2度までも・・・)   俺ってば、どうしてこんな所で寝てたんだ。 奴らを下ろしたHotelの近くなんて、また拾われる可能性があるのは当たり前じゃないか。 俺はただ、かあちゃんのフロントの仕事が終わる頃だからついでに拾っていこうとして 時間があったから少し居眠ってただけなのに!! 「Airport please.」   言葉を無くしてる俺を女はまた英語が分からないんだろうと判断したのか、ゆっくりと 行き先を言ってきた。 「エ、エアポート!?」   俺の言葉に女はホっとしたように頷いた。 そしてドサっとシートに凭れかかってしまった。 気が付くと男は寝ていた。女はそんな男を人睨みするとやがて目を閉じて行った。 俺はエンジンをかけると、エアポートに向けて車を発射させた。 2人が熟睡してるようなので、俺は心底助けられた気がした。 黙ってりゃあ、何語をしゃべろうが客は客。 俺は妙に落ち着いて、気分良く運転しながらチラっとバックミラーを覗いた。   (・・・!?)   寝ている女の顔を見て、なんだか記憶の糸を手繰られた気がした。 どっかで見た事あるぞ。。。どこでだっけ!? 外人と、しかもこんな別嬪とは知り合う機会なんてないんだけど。 ああ〜気になる。 なんでこんなに気になるんだ!? もやもや考えてるうちに、空港が近づいてきた。   (起こさないとなあ・・・さあ、どうやって起こそう・・・)   言うべき事を考えてるうちに、またもや国際線ターミナルの正面に着いてしまった。 仕方無しに俺は車を止め、後部座席に回って女の肩と揺すって起こすことにした。 どうして女の方にしたかって!? そりゃ俺より体が小さいからだ。体の大きい男は、しかも外人はなんだか怖かったからだ。 「Oh my GOD!!....What time is it??」   おお〜まいがっど!?おお〜まいがっど・・・おお〜まいがっど・・・!!! ああっ、思い出したぞ!!! ピンっと閃いた俺は、男を起こすのは女に任せて急いで運転席に戻ると料金表を 書く紙を千切り、ペンを持つとまた後部座席に行った。 俺はかなり自分でも分かるほど興奮していた。 「サ、サ、サイン、プリーズ!!!」   女は一瞬キョトンとした顔をした。 やっぱり通じなかったのか!?サインは英語じゃなかったのか!? 俺はかなり焦っていたが、諦めはしなかった。知ってる英語を総動員してまでも 必ずサインを貰ってやると心に誓っていた。 「サ、サイン、ネーム、ここに!!」   『ここに』というのは思いっきり日本語だが、俺は指で紙を突ついた。 「・・・OK・・・」   女は奇妙な顔をしたままだったが、俺からペンを取ると紙に流れるような字で サインをくれた。 「サンキュー、サンキュー!!」 俺は興奮のあまり、女の手を掴むと勝手に握手をして、さらに女の顔を奇妙にさせた。 そこに今まで眠っていた男が俺と女の間を割って入ってくると、握手していた 俺の手に金を握らせ、なんだか無理やり引き離された。 あっけに取られた俺は、言葉を無くしてるうちに2人はもう空港内へと入ってしまった。 消えて行った二人の背中をしばらく見送って、ハっと気が付いた俺は手元にあるサインを 見て人知れずニヤリとした。   (かあちゃんも驚くぜ、これは。まさか幻と噂されてる彼女に出会うなんて、しかも日本で。) 俺はもう1度それを見つめると、きれいに折りたたんで上着の内ポケットにしまった。 さて、ここで客待ちするかな。 - to be continued - ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ あとがき ........おっしゃりたい事は分かります。 「ヤリ過ぎだ」........でしょう!? ホントに、その通り、仰る通りで御座います。弁解のしようも御座いません。 でもですね、止まらなかったのですよ、ファイアー・プロミスのタイプする手が(笑) 1つのFicでこれだけ回数をこなしたのはFic界広しといえど、私たちのFicが初めて じゃないでしょうか?記録更新?という事で、多目に見てやって下さい。 前編で楽しんで頂いた読者さまも、この中編ではそろそろお疲れかと思います。 が、あと後編で絶対に終わります(笑) もうしばらく、付き合ってくだされば幸いです。 後編はやっぱりおもしろ可笑しく、おとなチックにしかも皆さん既にお忘れでしょうが、 これはX-FilesのFanFic、XFテイストも織り交ぜてお送りさせて頂きます。 それまで、ごきげんよう♪ あとがき担当、ファイアーでした。              ┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏