本作品の著作権は全てCC、1013、FOXに続します。 この小説は私の片寄った趣味により書かれたものなので、気を悪くさせたら申し訳ありません。 ======================================                       『fou you』 (7)                                 from 涼夜 「こんにちわ」 優しく微笑んだロクサーヌは、スカリーの想像とは少し違っていた。 写真で見た彼女は、落ち着いていて大人を感じさせる女性だったが、目の前の本人は子供のような無邪気な笑顔をスカリーに向けている。 モルダーがスカリーを紹介すると、握手を交わしながら彼女は一言呟いた。 「あなたが・・・・」 その後ロクサーヌは満足そうな微笑みをスカリーに向けた。 意味が分からなかったスカリーが「えっ?」と聞き返したが、すぐにロクサーヌからは違う答えが返って来た。 「あなた医者でしょ?」 微笑む彼女に、スカリーが驚いたのは当たり前だ。 「どうして?」 「どうしてって・・・"勘"かしら?」 ロクサーヌはもう一度笑うと、声の出ないスカリーと笑っているモルダーをソファーに促した。 「何かあった?」 「いや、捜査は全然だよ。ブライアンからも何も言って来ないしね」 「そう・・・・」 「君には窮屈な思いをさせる・・・すまない」 瞳を伏せたモルダーの頬にそっとロクサーヌが触れた。 「まだ顔色が悪いわ」 「えっ?」 「ちゃんと休んだの?」 「あ、ああ。もちろん・・・」 曖昧に頷くモルダーに、ロクサーヌは少しだけ苦笑した。 「ちゃんと診てもらいなさい」 軽く頬を叩くと、その首をスカリーの方へと向けた。 スカリーは"何?"と首を傾げていたが、ロクサーヌに睨まれてモルダーはゆっくりと口を開いた。 「あー・・・実は、夕べ・・・熱があったんだ」 「え!?」 「でも、もう下がったから」 苦笑いをするモルダーを、今度はスカリーが睨んだ。 「口を開けて」 「でも・・・」 「早く」 うむを言わさないその口調にモルダーは観念するように口を開くと、横でロクサーヌが楽しそうに笑っていた。 結局スカリーに診断されたモルダーはまだ完全に回復しておらず、帰って休むか、後で倒れるかと言う判断を迫られた。 「帰れないよ、もしロクサーヌに何かあったら・・・」 言いよどむ彼に折れたスカリーが、ロクサーヌからベットを借りて少し休むと言う事で片付いた。 「じゃ、車から医療機具を取って来るから」 その言葉を残して部屋を出た彼女に、ベットからモルダーが力なく手を振った。 いつまでも二人のやり取りを楽しそうに見ているロクサーヌに、モルダーが首を傾げた。 「あなた達っていつもああなの?」 モルダーの横たわるベットにロクサーヌは腰掛けると悪戯っぽく微笑んだ。 「・・・もう、7年もパートナーを組んでるから」 「いい人ね」 「ああ・・・・信頼してる」 モルダーの瞳が優しくなったのを見て、ロクサーヌは微笑んだ。 「・・・・愛してるの?」 不意の質問にきょとんとした顔で彼はロクサーヌを見つめ返した。 「彼女の事はそんな対象で見た事がないよ」 「大切な人なんでしょ?」 「ああ」 「彼女が必要なんでしょ?」 「ああ」 「でも愛してはいない?」 「・・・・ああ」 「まるで、愛さない事が義務のような言い方をするのね」 「・・・・決めたんだよ、2度と同じ環境の人を好きにならないと・・・」 「・・・・そうすれば、ずっと一緒にいられるものね」 一瞬、モルダーの表情が凍り付いた事にロクサーヌは気づいたが小さく微笑んだ。 その寂しい微笑みに、モルダーの中を痛みが走った。 自分達は一緒には入られなかった。 もしあの頃お互いに"恋愛感情"が存在して無かったら、離れる事は無かっただろう。 二人の間にあったのが友情だけだったら、そこから二人は時間をかけて新しい関係になれたかもしれない。 悲しい時を一緒に乗り越え、苦しい時間を分け合って、側で支えあえたのかもしれない。 でも・・・そうはならなかった。 お互い想い合ってると分かっていても、それは重苦しい沈黙しか生まず 喜びよりも悲しさが、嬉しさよりも切なさが永遠に溶けない雪のように降り積もって行った。 「ロクサーヌ・・・・ロージーは知ってるのかい?今回の事・・・」 「・・・・いいえ」 「えっ!?」 モルダーは勢いよく起き上がると、小さく首を降った彼女の肩を掴んだ。 「言ってないって・・・!ロクサーヌ!!」 ロクサーヌは首を横に向けたまま、モルダーとは目を合わそうとしなかった。 「もう、大切な人を巻き込むのは嫌なのよ・・・」 「・・・・!」 「もし今回の事がばれたら、一発ぐらい覚悟しといてね」 肩に置かれた手の力が弱まったのを感じ、ロクサーヌは彼の頬を軽く叩くと小さく微笑んだ。 そしてドアの入り口が開いてスカリーが入って来ると、立ち上がって部屋から出て行った。 「モルダー腕を出して・・・モルダー?」 「えっ?あ、ああ・・・」 「大丈夫?」 不意にスカリーの深いグリーンの瞳が覗き込んで来たので、モルダーは驚いて体を後ろに引いた。 「大丈夫だよ」 2、3回深く頷くと、モルダーはスカリーから目をそらした。 「?」 スカリーは訝し気な表情をしたが、薬を打ったモルダーがベットに潜り込んで規則正しい寝息を立てたので、部屋から出て行った。 ドアを閉めるのと同時に、スカリーの鼻孔を甘い香りが広がる。 「どうぞ」 振り返った彼女に、ロクサーヌが入れたばかりの紅茶を指差した。 スカリーは少し困ったように微笑んで、ソファーに座るとロクサーヌと向き合った。 紅茶を口につけながらも視線がロクサーヌに向っていたスカリーは、彼女の表情がだんだんと曇って行くのが分かった。 「あの・・・おいしくない・・・かしら?」 「えっ?」 「紅茶って滅多に入れないから・・・おいしくない?」 あまりに彼女が見つめていたので、ロクサーヌは紅茶がおいしくないと勘違いしたのだ。 「えっ、いえ・・・」 慌てて首を降ったスカリーに、ロクサーヌは安心したように微笑んだ。 「なら良かった」 あまりに無防備に微笑むその顔に、スカリーはなぜモルダーが彼女に惹かれたのか分かったような気がした。 柔かな空気を持つロクサーヌは、側にいる人間に安心感を与える。 何気なく微笑む顔や無邪気に笑うしぐが、相手の気持ちを自然と優しくさせ張り詰めた物を溶かして行く。 モルダーは幼い頃から計り知れない孤独を抱えていた人間だった。 いつかローンガンメン達が言っていた。 「モルダーが恋人を作らないのは、寂しさを紛らわす対象にしたくないからだ」と。 でも彼が本当に望んでいる物が安らぎだと言う事を、スカリーには分かっていた。 溢れるほどの温もりで彼を包み、心を癒してくれる存在。 それはきっと・・・こんな相手なんだろう。 スカリーは目の前に座るロクサーヌを見つめた。 彼女の微笑みは柔かで、とても優しい。 でも、自分はこんな風に微笑む事はきっと出来ない。 彼の悲しみを理解出来ても、その傷を癒す事は・・・。 「スカリーさん?」 「えっ?」 ロクサーヌの呼び掛けに我に返ったスカリーは、紅茶から顔を上げた。 「モルダーは私達の事を・・・?」 「・・・ええ、さっき・・・」 「そう・・・」 ロクサーヌは小さく安心したようなため息をはいた。 「良かった。彼の側に、あなたのような人がいて・・・・」 微笑んだ彼女の瞳はどこか寂しさに満ちていた。 その微笑みが、さっきモルダーが過去を話していた時の表情と同じだとスカリーは気づいた。 どこか寂しいその表情・・・・。 ああ・・・そうか・・・・。 スカリーの中に一つの結論が生まれる。 だから二人は離れたんだ。 側にいても寂しいから、どんなに時間をかけてもお互いの瞳の奥にある悲しみを消す事は出来ないと分かったから・・・。 一緒にいればいるほど、そこにいた三人目の存在を思い出し、三人で過ごした過去から歩き出せないから・・・。 これからも、こんな風に彼女とモルダーはお互いを想いやって行くのだろう。 お互いの瞳に悲しみの色をたたえながら・・・。 その切なさに、スカリーの胸は痛んだ。 28歳の彼が失った物は、あまりに大き過ぎたのだ。 スカリーが口を開いた瞬間、部屋の外に大きな銃声が響いた。 二人の間に一瞬、緊張が走る。 「そこにいて!」 スカリーは彼女を手で制すと銃を握り、部屋のドアを乱暴に開け放った。 すぐ側で警官が二人撃たれて倒れている。 「!!!」 駆け寄って止血しようとしたスカリーの手が止まった。 氷りのような冷たい目が、彼女を射るように見つめていたからだ。 片手には銃が、その体には血のしぶきが顔までかかっている。 すぐに脱獄したブライアンだとスカリーは分かったが、銃を向けられて動く事が出来なかった。 「動くと撃つ、しゃべっても撃つ、助けたければ銃を置け」 青白い顔に生気の感じられない表情、そして・・・氷のような瞳。 淡々と話す口調に選択の予知が無い事を判断したスカリーは、黙って銃を置いた。 その動作にブライアンは小さく笑うと、スカリーを横切りあけっぱなしにされたドアに近寄った。 「・・・・久しぶりだな・・・モルダーにスフィル捜査官」 「銃を置くんだ!!ブライアン」 銃声で目覚めたモルダーはすぐさま飛び起き、ロクサーヌの元に駆け寄った。 向い合った二人は銃口を向けあい、お互いを睨むように立ちはだかる。 「撃ってみろ。その前に私が彼女を撃ち殺す」 「こんな事をして何になる!?お前はもう、逃げられないんだぞ!」 「逃げる気などない」 あっさりと言い切ったブライアンに、モルダーは一瞬言葉を失った。 「どう意味だ!?」 「私の目的はこの12年間一つだった。死刑が執行される前にそれをやり遂げる為に脱獄したのだ。逃げる気などない」 その口元がニヤリと笑い、モルダーを通り越して彼の後ろにいるロクサーヌに注がれた。 「私・・・・?」 「なぜ、ロクサーヌを狙う!?今も、12年前も!!!」 モルダーの真っ直ぐな瞳に、ブライアンの眼差しも真剣な物に変った。 「それが・・・彼女との約束だからだ」 「彼女・・・約束?何の事を言ってるんだ!」 「彼女って・・・ソニアの事なの?」 モルダーの後ろで庇うように守られていたロクサーヌがその身を乗り出した。 「答えて!!」 詰問するロクサーヌにブライアンは深く頷いた。 「君は覚えてないのか?」 射るように見つめられて、ロクサーヌは自分の心臓が強く波打つのを感じた。 12年前のあの時も、確かこんな風にブライアンとソニアが今のモルダーのように彼と銃を向けあっていた。 彼女の脳裏を、あの頃の記憶が鮮明に駆け巡って行く。 そう・・・確か・・・・。 先に銃を下ろしたのはソニアで、彼が後ろを向いた瞬間に二人がかりで押さえ付けた。 ブライアンの銃を奪う事に成功したが、そのはずみで彼に突き飛ばされて頭を強く打ったのだった。 そして・・・気を失って・・・・。 ロクサーヌは小さく首を振って記憶の中の霧を振り切ろうとした。 「ロクサーヌ!?」 彼女が頭を押さえて座りこんだので、モルダーは慌ててその手を引き寄せた。 「大丈夫か!?」 その言葉が、あの時ソニアがかけてくれた声と重なる。 "大丈夫!?" そう・・・あの時・・・まどろんだ意識の中でソニアとブライアンが話していた事・・・。 『君は・・・モルダーを愛しているんだろう?』 「何を・・・!」 『君達が一緒の所をここ1年で何度も見たよ。君とモルダー、そしてそこの女性。 そこの女性も・・・彼の事を愛しているんだな。君らはライバルか?二人の間に挟まれて、動けないのが彼か』 「それ以上下らない事を言う前に、自分が犯した罪の多さを自覚したらどうなの!?」 『私には分かる。モルダーが君とそこの女性、どちらを愛してるか』 「・・・・!!」 『だがモルダーは、傷つける事を恐れて黙っている。 可哀想に・・・君達二人が彼を追い詰めているんだ』 「・・・だまって!!」 『いや・・・本当は、君にも分かっているんじゃないのか?』 「!!」 ほんの小さな沈黙の後、ブライアンが言った最後の言葉・・・。 『私なら、モルダーの心を永遠に君の物にしてみせる』 その言葉の後、ソニアは小さく頷いた。 そう・・・悲しそうな顔をしてただ、小さく・・・。 「モルダー・・・・」 ロクサーヌは震えた手でモルダーに触れると、真っ直ぐに彼を見つめた。 「・・・・ロクサーヌ?」 銃口をブライアンに向けながらも、モルダーは様子がおかしくなった彼女を見つめた。 ロクサーヌの顔は青白く、震えている。 「モルダー・・・・・彼は・・・」 涙をたたえた瞳で、ロクサーヌはブライアンを見つめた。 「彼はわざと・・・・わざと私を狙ったのよ・・・・!!」 「えっ・・?」 「ソニアが庇うと分かってて・・・わざと・・・!!! "あの時"彼は、あなたの心を永遠にソニアの物にしてみせるって彼女に言ったのよ。 その言葉に、ソニアは小さく頷いたわ・・・。それが、二人が交わした約束、そうでしょ?」 睨むように見つめるロクサーヌに、ブライアンは小さく微笑んだ。 「けどソニアはすぐに考え直した・・・でも、あなたは・・・・」 ロクサーヌは耐え切れないように顔を背けた。 ブライアンは微笑んだままだったが、ロクサーヌの話しを聞いていたモルダーの脳裏に、ソニアの言葉が浮かんだ。 "ごめんないモルダー・・・" 撃たれたすぐ、ソニアはうわ言のように繰り返していた。そして息を引き取る最後の瞬間でさえも・・・。 ただ一つの結論が、彼の思考を風のように走り抜け残酷な答えに辿り着く。 "ソニアには分かっていた" ブライアンが最初からロクサーヌを狙うかもしれない事を。 だから彼女は飛び出した。 "命"をかけて彼女を守るために、自分の行動に責任を取るために。 そんなソニアの行動をブライアンはさらに予想して分かっていた。 彼女が取るべき行動も、自分を撃ち殺す決断を与える間がない事も・・・。 そして彼女が死ねば、自分とロクサーヌがお互いに責任に感じて離れる事も全て計算していた。 「きさま・・・・!!!なぜだ!!」 モルダーは銃を強く握ると、ブライアンの心臓に向けた。 それでも彼の笑みは顔から消えなかった。 「彼女が望んだ事だ。君達はおもしろいほど計算どうりに動いてくれたよ。 真っ直ぐな彼女が自分の発言の責いで撃たれそうな親友を見殺しにするはずがない。 そして私に法の裁きを受けさせようとしていその信念が私を前にして撃ち殺す事など考えられなかった」 「きさま・・・!!」 「ダメよ!!モルダー!!!」 彼が銃を引こうとした瞬間、ロクサーヌが強い力で押さえ付けた。 「ロクサーヌ!?」 「彼を撃ち殺すなんて・・・そんな事、ソニアは望まないわ!それこそ彼の思うとうりよ!!!」 「・・・・!!」 「やめて・・・・・」 悲痛な思いを込めたその声にモルダーが気を緩めた時、ブライアンが銃をロクサーヌに向けた。 「ロクサーヌ!!」 彼女を庇うように抱き締めたモルダーは、次に来るであろう衝撃に身構えた。 頭か胸か、それでもどこかに一瞬は激痛が走るだろうと彼は思った。 しかし、銃声も激痛もしない現状にモルダーが顔を上げると、変わりに聞き慣れた"相棒"の声が聞こえた。 「銃を置きなさい」 スカリーはブライアンの頭に銃口を突き付けると、彼の拳銃を奪った。 「スカリー・・・・」 彼女の血まみれの姿にモルダーは一瞬、息を飲んだがすぐに彼女の物ではない分かり安堵のため息を漏らした。 ブライアンが諦めたように小さくため息をつくのと同時に、廊下を走って来た数人の捜査官が彼を取り押さえた。 モルダーは何も言わす、自分を見るブライアンを睨み付ける。 そして彼がスカリーと捜査官達に連れられて部屋を出るのを見届けると、ロクサーヌの肩を強く抱き締めた。 涙に濡れ、震えた彼女をしっかりと抱き寄せる。 「僕らも行こう・・・」 ロクサーヌは小さく頷くと、モルダーと共に歩きだした。 モルダー達が外に出ると空には雪が舞い、辺りを一面をFBIの車が囲んでいた。 辺りを包む大雪と救急車の赤い光の影から、スカリーがこっちに向って来るのが見えた。 モルダーが手を上げようとした瞬間、1人の捜査官が声をかけてきた。 「一緒に来て頂けますか!?」 回りの騒音に声を上げる相手に、モルダーは頷いた。 「分かった!」 ロクサーヌを見ると彼女は力なく、でもしっかりと頷いた。 「すぐ後で行くから」 「大丈夫よモルダー、ありがとう」 彼女は小さく微笑むと、モルダーの肩に軽く触れた。 「本当にありがとう、モルダー」 ロクサーヌの手が肩から離れた瞬間、過去の記憶がフラッシュバックになってモルダーの脳裏に流れ込んだ。 安心して目を話したすぐ後、銃声が聞こえたのを思い出す。 本当に狙われているのは"今" 「ロクサーヌ!!!!」 ほんとんど瞬間的に、モルダーは彼女を突き飛ばした。 "あの時"ソニアが自分にしたように。 モルダーには全てがスローモーションのように感じられた。 鳴り響く銃声の音、腹部に広がる鈍く強い痛み、血に染まった真っ赤な手・・・・。 ゆっくりと膝をついて仰向けに地面に倒れたモルダーは、パラパラと空を舞う白い粉雪に気付いた。 "あの時"もこんな風に空から雪が降りそそいでいた。 優しくそっと、自分を包み込んでくれるように落ちて来る白い粉雪。 "あの時"ソニアの瞳には自分が写っていなかった。今ならそれが理解できる。 死を感じた瞬間に知る事のできる自然の尊さ。 彼女が見た最後の外の光景、それはこんなにも美しい物だったのだ・・・・。 「モルダー!!!」 遠く離れた場所から、聞き慣れた声が名前を呼んでいる。 「・・・・・スカ・・リー・・・」 薄れて行く意識の中で、モルダーは自分の名を呼ぶスカリーの声を聞いていた。 「モルダー!!」 スカリーが見た光景は、息を飲む物だった。 彼の元へ駆け寄ろうとした瞬間、モルダーはパトカーに乗り込もうとしたロクサーヌを横に思いっきり突き飛ばしたのだ。 そのすぐ後に、一発の銃声音が当たりに響いた。 瞳を大きく開いたスカリーが見た物は脇腹を押さえて倒れこんだモルダーと、離れた場所から銃を持って立ちつくしていたブライアン。 そしてスカリーは反射的にブライアンに銃を向けて発砲すると、血を流し倒れているモルダーへと駆け寄った。 「モルダー!モルダー、しっかりして!!」 意識を確認するために呼び掛けるが、彼はピクリとも動かない。 「救急車に早く!!!」 怒鳴る彼女の足下の雪は、どんどん赤い染みが広がって行く。 「モルダー・・・!!お願いだから、しっかりして!!!」 止血をしながら乗り込んだ救急車の中で、スカリーは祈るように彼の手を強く握った。 薄れて行く意識の中で、モルダーは強く握りしめられたその手の温もりだけを感じていた。 "離したくない"と願いながら・・・・。                    to be continued・・・。 ====================================== えっ〜っと・・・まず、すいません(><) 感想くれたそこのあなた!許して下さい!!最初の設定上モルはロクサーヌと決めておりました(爆) 結果的に二人はくっつかなかったわけですが、気持ちは届いてたと・・・(滝汗) スカちゃんとモルも(このシーズンまではずっとそんな感じなので)少しは似てるかなぁ・・・と。 私の個人的意見では、モルはやっぱり『安らぎ』を求めているんじゃないかなっと思い 結果的に癒し系(?)のロクの方に気持ちを向けました。 スカちゃんもちろんモルに『安らぎ』を与えられる人物です!!でも(私の中の↑スカちゃんはまだそれに気付いてないのです) だから・・・これからですね(笑) その前に、モル・・・大丈夫なのか!?(滝汗) もうすぐファイナルが近い・・・そして、私の夏休みも(爆)