ISCLAIMER// The characters and situations of the television program"The X-Files" are the creations and property of Chris Carter,Fox Broadcasting, and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringement is intended. ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ WARNING:このFicは「おとな」向けのものです。     もしあなたが、18歳未満であったり、その種の作品に興味がないという方なら、     すぐにこのウィンドウを閉じてください。 なお、このお話は以前Stellaが書いた「teethmark」の続編となっております。     まだお読みでなければ、そちらを先に読んでから、こちらを読んでくださいね♪       ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 「teethmark2」 by Stella  Spoiler:「MILAGRO」 Date 2002/3/11 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― そこには信じられない光景が広がっていた。 ドアをぶちあけたとたん、最初に目に飛び込んできたのは、白いブラウスの中央を真っ赤に 血で染めた相棒の姿だった。 一瞬、なにを自分の目が捉えているのか頭で理解する事が出来ず、駆け寄る事もできず、 ただその姿を、呆けたように見つめたまま、ゆっくりと近付いて行った。 この光景は、僕の中では理解ができないものだった。 頭の中が真っ白なせいか、なんの感情も浮かんでこない。 ゆっくりと機械的な動作で、彼女の脇にしゃがみこんだ。 息は…していないように思える。 いつもならすかさず首筋を押さえて、相手の状態を確認するのに…それをした時、 まったく彼女の鼓動を感じられなかったら…自分はどうなってしまうのか? その時の自分が容易に想像がついているのか、そんな恐ろしい感情の波に飲み込まれるの怖くて… 多分、本能が彼女の生死を確かめる事に対して拒否しているのだ。 目の前の光景をどこか異次元のことのようにしばらく見守ることしかできなかった。 …ビクン! その時、彼女の体が跳ね上がった! 次の瞬間、蒼い目が大きく見開かれる。 そして、その恐怖に彩られた視線の先が僕を捕らえた時、すかさず彼女は腕を僕の首に絡めた。 まるで迷子になった小さい子供が、やっと親を視界に捕らえた瞬間に、これ以上ないというほどの 安堵感を全身にみなぎらせながら駆け寄りしがみ付くのと同じような感じで、思いっきりの 力をこめてしがみついてきた。 何度も彼女の指が、僕の体を掻き寄せようと背中を往復する。 そのくらい、彼女は無防備に僕に体を寄せて、全身で僕の存在を…そして自分の生きている 証を確かめるかのように縋り付き、嗚咽をもらした。 僕はというと、彼女を力の限り抱き返しながら、思いっきり大きく深呼吸をしていた。 彼女の重みが、僕にもやっと現実感を…彼女が生きていたという安堵感を与えてくれた。 そこで気付いた。 僕は彼女に抱き付かれるまで…まったく息をしていなかったのだ。 彼女の覚醒と同時に、僕にも再び生命の炎が灯ったかのように、生への執着を漲らせて、 からからになった喉が空気を貪っていた。 荒い呼吸をしながら、泣いている彼女と共に安堵感を味わい、思わず目頭を熱くする。 ああ、この腕の中にいる! なによりも大切なものを永遠に失わずに済んだ。 普段は信じない神に、今ばかりはあらん限りの感謝の言葉を心の中で唱えていた。 彼女の体温やいつもの香りを腕に抱きとめながら、もう他にはなにもいらないと本当に思った。 これ以上の幸せはない! そして、この温もりを2度と失わない! なにがあっても、離さない! 僕も彼女に恋をしていたのだ。 過去になく…今まで、これほどまでScullyに対して自分の思いを明確に感じたことはなかった。 全身を彼女に対する愛しさが支配をする。 …しかし、その激しい思いだけが心の中を占めていた瞬間…それは目に入ったのだ。 僕にすがりついていた彼女の腕から、ずり落ちた袖の中に。 僕がなによりも確かめるのを恐れていた… …Teethmark… 僕は一気に奈落の底へと突き落とされた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「Mulder?Mulder?」 何度呼びかけられていたかはわからない。 僕がぼんやりと目の焦点を合わせると目の前にはScullyの顔があった。 そこへ、一人の捜査員が近づいてくる。 「Scully捜査官、失礼ですがそのブラウスを鑑識に回したいので、よかったら着替えて いただけますか?それとも病院へと向かわれますか?」 パジェットの部屋の中では、今、数人の鑑識が忙しそうに歩き回っていた。 「そうね…ケガはしていないから大丈夫…でもブラウスは・・・この血が鶏のものかも しれないし、なにかの手がかりになるかもしれないから早めに預けた方が良さそうね。」 Scullyは、改めて自分のブラウスを見直している。 その表情はさっきまで号泣していた人物とは同じと思えないほど、クールな捜査官の 顔になっていた。 そして、バジェットはほどなくして収容された。 …彼はゴミ焼き場で、すでに遺体となっていた。 心臓が抉り取られていたという… ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 先程、Scullyを腕に抱いていた時、絶頂とも言える気持ちの昂りから、一気に奈落の底 に突き落とされたせいで、僕はしばらくなにも考えられない状態になっていた。 先に言葉を発したのは、Scullyだった。 しがみついていた腕の力を抜いて、僕の顔をじっとみつめる。 「Mulder…私。」 「大丈夫なのか?痛みはないのかい?」 「ええ、大丈夫。ごめんなさい、取り乱してしまって…」そう言って彼女は僕の首から 腕を解いて立ち上がった。 「パジェットは、どうしているの?」 その言葉にはっとする。 地下で殴り倒したままだった。 犯人が彼ではないと言う事は明確にわかったが、彼がなんの関連もないとは言い難い。 僕達は急いで地下へと走り…そして彼を発見したのだ。 そして、僕は現場の確保をして、ScullyはFBIへと電話をした。 すぐに応援がやってきて、アパートの中は一気に騒がしくなった。 思考はできなくても、こんないつもの手続きだけは、体が覚えている。 鑑識を指導していると、遠出をしていたSkinnerからScullyに電話が入った。 あと1時間ほどでこちらに到着するとの事だった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「Mulder?Mulderってば…」 また、ぼんやりとしていたらしい。 目の前にScullyの顔があった。 そして、相変わらず鑑識は忙しそうに歩き回っている。 「大丈夫なの?まさかパジェットになにかされたのでは?」 "されたのは君だろう…" しかし、そんな言葉が口から出るはずも無く、僕はただ首を振った。 Scullyは心配そうに、僕の体を確かめようとしながら言葉を続けた。 「Mulder、悪いんだけどなにかシャツを貸してもらえないかしら?このブラウスの血液 の正体も気になるし、なにか手がかりがついているかもしれないから、できるだけ早く 鑑識に回したいの。」 「ああ、じゃあ僕の部屋のクローゼットから好きなものを持って行ってくれていいよ。 鍵は開いていると思う。」 「…あなたに話があるの。一緒に来てくれないかしら?」 「話?」 Scullyは僕の目をじっと見ながら答えた。 「ええ、私の身の上に起こった事を…私の中だけでは説明がつかなくって、Skinnerが 来る前にあなたに聞いてもらいたいのよ。」 「…わかった。」 僕はのろのろと立ち上がった。 部屋のドアを開けながら僕は聞いた。 「Tシャツがいいかい?それともワイシャツ?」 「どちらでもいいわ。」 僕は一瞬悩んだが、クリーニングから返ってきたばかりの白いワイシャツを彼女に手渡した。 Scullyはそれを持ってバスルームへと消えた。 ほどなくして、シャワーの水音が聞こえてくる。 僕はぼんやりとその音を聞きながら、じっとカウチに座っていた。 その時、頭にふとシャワーを浴びているScullyの裸身がよぎる。 白い肌、そこかしこに残る赤紫の花びら…そして、Teethmark… 僕はそんな思考のために理性が弾け飛びそうになるのを押さえるべく、膝の上で手を ぐっと握った。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 体についた血を洗い、着替えを済ませたScullyは出てくるなり、そのまま隣の部屋へと向かった。 戻ってきたときには手にしていたブラウスがなかったので、鑑識に渡してきたのであろう。 そして、戻ってくるなり、僕が座っていたカウチの隣に腰を落ち着けた。 「目の前で起こった…しかも自分の身の上に起こったことなのだけれど、説明がつかなくって。」 「なにがあったんだい?Scully」 いつもは彼女の顔を覗き込み、視線を反らさないのだが、今回ばかりはいろいろと意識して しまってそれができない。 僕はひたすら、となりの部屋へと通じる通気孔を見ていた。 「ケン・ナシアメントが現われたの。飛び出したあなたを追おうとした時に…」 「彼はとっくに死んだんだろう?」思ってもいなかった名前が出たのに驚いて、 僕はやっと彼女に視線を戻した。 「それが…」そう言いつつ、Scullyは邪魔くさそうにずり落ちかけてきた袖をたくし上げた。 それは自然な行動で、なにも意識をしていなかったのだろう… しかし、ちょうど僕の視線はそこにあり…現われたその歯型に視線は釘漬けになってしまった。 Scullyははっと気付き、慌てて袖を元に戻す。 しかし…固まってしまったその場の空気は重かった。 「ぞれが…どうしたんだい?Scully。」 Scullyはなにも答えない。 その沈黙は、肯定の意味なのだろう… しばらく続いた沈黙が重くて、僕の方から口を開いた。 「結局、やつの小説の中での予告は、すべて正しかったわけだ。」 すると、Scullyはじっと僕を見つめた。 「…だとしたら、あなたはどう思うの?」 小さい声だった…いつも、どんなときでも凛としているScullyの声ではない。 けれど、その声はしっかりと僕に届いた。 …僕がどう思うか? …今、どう思っているのか… 「どう思う?どうも思いはしないさ。」 Scullyは、じっと僕を見つめ続けている。 その視線の痛さに耐えられなくて、僕はどんどん言葉を続けた。 「ただ、強いて言えばせっかくできかけた恋人がこんな結果になって残念だった…としか 言いようがないよ。亡き彼のためにも、事件にきちんと片をつけるのがせめてもの君への 慰めになればいいと思っている。」 「…パジェットが私の恋人だと?」 Scullyの表情は動かない。 能面のような無表情さを保っている。 「違うのかい?それとも君は好きでもない男と寝たのか?いや、別にそうだとしても責める つもりはないよ。そうなってしまいたくなるときは、女性にもあるんだろう。君は最初から やつの事を気にしていた。ぞっとしたと言っていた。しかし、最初から興味が全くなかったら、 無視するだろう。平坦な感情は簡単には裏返らない。でも、嫌いという明確な感情はちょっと したきっかけで好きっていう正反対の感情に変わるものなんだよ。こんな事は心理学を 履修してなくても、そこらのティーンだって知っていることだ。」 「…私を見ていて、私が彼に興味を持ったのだと思ったの?」 白い顔が、どんどんその白さを増してきたような気がするのは、気のせいだろうか? でも、僕の口が止まる事はなかった。 「そうだろう?第一、君の口から『殺人を予知できる能力がある』なんて言葉を聞くなんて 思いもしなかったよ。裏づけのないことを絶対に認めない君が…普段の君の冷静な判断力を 狂わせるほどの影響を与えたパジェットという男は僕にとって尊敬すべき男だったかも しれないね。7年間かけて、君に認めさせたかったことをたったの1日2日でやすやすと なしえてしまったのだから。」 その時、Scullyの顔が明確に歪んだ。 僕の言葉は見事に彼女の図星をついたのかもしれない。 恋愛を仕事に置き換えて話すのはルール違反だ…2人の間にあった、信頼や歴史を傷つける 言葉になった。 「…もう、行くわ。Mulder。」 そういってScullyは立ち上がった。 僕は顔を上げる気力もなく、ただ前の壁を見つめていた。 「確かにあの時は、私に冷静な判断力が欠落していたと思うわ。ごめんなさい。次からは あんな事の無いようにベストな状態で仕事が出来るようにするから。」 そして、ヒールの音と共に、衣擦れの音が遠ざかる。 それとともに、僕の意識も遠のきそうだった。 心の中にあった、いろいろな大切にしていたものがすべて手のひらから滑り落ちて、なにも 残っていないような空っぽの気分だった。 失ったのかもしれない、なにもかも… このまま、彼女を行かせたらすべてが終わるのかもしれない。 けれども、すでにパジェットと共に遠くに行ってしまった彼女にどんな言葉がかけられるのだろう? 僕の言葉なんてなんの慰めにもなりはしない。 第一、そんな言葉を今かけてやれるほど、僕は器の大きい男ではなかった。 あの扉が閉まったら…次に会う彼女はもう、いままでのScullyではないのかもしれない。 その時、戸口から次に聞こえてくるはずのドア開閉音の代わりにScullyの声が響いた。 「ねえ、Mulder。」 「・…」 「一言だけ、言っておきたいのだけれど…」 彼女の言葉にのろのろと顔を上げた。 すると、Scullyは驚いた顔をして僕の元へと戻ってきた。 「…なぜ、泣いているの?」 「泣いている?僕が?」 Scullyの指が僕の瞼を這った。 その指先の冷たさに、自分の瞼の熱さを思い知る。 みるみるうちに彼女の小さな手のひらは濡れそぼった。 僕の膝の上にも、大きな染みを作り始める。 それでも泣いているという感覚はなかった。 体が僕の意思とは別のところで、勝手に行っているのだとしか思えなかった。 「触らないでくれ。」 僕は彼女の腕をふりはらった。 けれど、なおもScullyは手を差し伸べてくる。 僕はその手首を掴んで制し、もう一度言った。 「触らないでくれと言っているんだ。」 「でも、Mulder。」 「君は勘違いをしていないか?僕は君のせいで泣いているんじゃない。パジェットと どうなろうが知った事ではない。君が離れていこうが構わない。君が…君が…」 …なんてことだ。 すべてを否定していても、そこが気になっていると言わんばかりじゃないか! 苦い思いでいると、Scullyは今度は両腕を差し出して僕を包み込もうとした。 僕は、その手を振り払おうと努力をしたが、彼女は何度でも手を差し出す。 そんな行為を繰り返していると、なんだか自分が小さい子供で母親に対して駄々を こねている様子とかわらないような気がしてきた。 僕は観念して、抵抗を止めた。 Scullyは、そんな僕の頭を自分の胸へと抱え込み、優しく撫ではじめた。 「ねえ、Mulder。お願い、聞いて?この歯型はパジェットのところでつけたものではないの。」 「何を言っているんだ?Scully。」 人にこれだけ頭を撫でてもらったのは、何年ぶりなんだろう? Scullyの言葉を怪訝に思うその裏で、僕はそんな事をぼんやりと考えていた。 優しい感触が、何度も往復する。 「あの小説を読んで、自分でつけたの。」 「なぜそんな事を…?」 「それはあなたの…」 手が止まる。 そして、しばらく言いよどんでいるふうだったが、思いきったように続けた。 「反応が見たかったから…これを目にした時のあなたの反応が。」 Scullyは僕の頬を手のひらで包み、自分と視線を合わさせた。 「あなたが好きだから。」 視線を外そうとした僕を許さずに、なおも僕の瞳を見つめる。 「だから、パジェットとは寝ていない…」 「Scully…」 「確かめて?パジェットと愛し合った跡があるのかどうか…」 僕は、まっすぐなScullyの視線に耐えきれずに彼女の手をふりはらい、うつむいて 子供のように"イヤイヤ"をした。 にわかにとつぜんそんな事を言われても信じられるものではない。 僕には確かめる勇気など持ち合わせていなかった。 それができるなら、最初にあの小説を読んだ時点で彼女のブラウスの袖をまくり あげていただろう。 すると、Scullyは立ち上がった。 しゅるっという音と共に、床にスカートが落ちた。 唖然として口を開けている僕の前で、なんのためらいもなく僕が貸したシャツを 脱ぎ捨てようとした。 「やめてくれ!」 彼女の白い肌に、パジェットの残した跡をみるのが嫌だった。 そんなものを見たら、僕は永遠に浮かび上がれないような気がした。 うつむいた僕の耳には、それでもなお衣擦れの音が響く。 「Mulder、お願い。私を見て。」 その声は、切実だった。 真摯でいて、凛としていた。 僕は、のろのろと顔を上げ…その飛び込んできた姿に衝撃を受けた。 その構図はあまりに現実離れをしていた。 いつもの見なれた僕の汚い部屋。 それはずっと変わらない現実。 そのうえ、ずっと仕事のパートナーで一緒に過ごしてきたこれ以上はない現実である Scullyが、真っ白な体を隠すことなく、いままでにありえない姿で立っているのだ。 その肌はどこまでも白く、細い肩はさすがに震えているようだった。 「Scully。」 「しっかりと見て…そして信じて…お願い。」 そう口を開いた時に、その顔の緊張が弾けて歪みそうになった時、僕は思わず彼女を 抱きしめていた。 「こうまでしないと信じてくれないの?」 「…すまなかった。Scully。」 初めて触れたその肌の感触は、僕の芯をしびれさせた。 僕が唇で彼女の瞼を辿ると、その震えが直に伝わってくる。 僕はそのまま、Scullyを抱き上げてカウチへと転がり込んだ。 そして、唇を奪う。 激しい感情に突き動かされ、僕は舌で彼女の唇を割った。 Scullyは指し込まれた舌に驚愕しながらも、次第に体は僕の舌に翻弄されていった。 Scullyの心地良い喘ぎ声を聞きながら、僕は丹念に彼女の肌に何もないのを確かめる ようにゆっくりと舌を這わせる。 そして、確認済みの印を押すがごとく、僕の印をつけていった。 バラの花びらが舞い降りたかのようにつく跡はとても赤く、Scullyの肌の白さを 今更ながらに思い知らされた。 柔らかな隆起は、彼女の息遣いとともに激しく上下している。 手のひらで包むと、様々な形に変化をしていった。 その頂点に唇をつけ、少しきつく吸うと体をビクンと痙攣させ、その快感の度合いを 示唆するScullyを見ていると僕の芯は一層熱を帯びてくる。 彼女のすべてを味わいたかった。 あらゆるところに印をつけたかった。 僕の舌は、彼女の曲線を覚えるようにゆっくりと下っていく。 くびれたウエスト、太ももの内側。 Scullyのしどけない姿は、僕のあらゆる感覚を大いに刺激する。 「Mulder!そんなところっ!」 足の親指を口に含んだところで、Scullyが初めて抵抗を見せた。 僕はそれでも構わず唇を這わせ続ける。 すべての指の間に丹念に舌を辿らせると、Scullyはたまらないといった様子で身をよじらせた。 「Mulder、私…」 「君のすべてを僕のものにしたいんだ。」 「それは私もっ…私にも愛させて…」 「今はだめだ。」 起き上がろうとするScullyを制して、僕は執拗に愛撫を続けた。 指で触れられるところ、舌で辿る事のできるところ、すべてを感じて味わいたい。 どこの場所も、彼女に触れるのは僕が一番でありたいと思う。 これは、いままで努力して気付こうとしなかった僕の独占欲なのかもしれない。 こんなにのめりこむのが怖くて、こんなに愛しいのだとと気付かされるのが怖くて… ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 僕は、ゆっくりと彼女の中へ入っていった。 Scullyは言葉には出さないが絶頂の時をむかえようとしている。 僕も彼女と共に昇り詰めるべく、ゆっくりと腰をグラインドさせた。 すると彼女の顔が反りかえり、白い喉がゴクンと鳴る。 僕は彼女の髪に指を絡めながら小さい頭を胸へと抱き寄せた。 その時だった。 "ドンドン" 部屋のドアが荒々しくノックされる。 「Mulder、いないのか?Skinnerだ。」 あまりの突然さと、現実に立ち返りそうになってしまう声だったが、今の僕は止められなかった。 「Mulder、Skinnerが…」 僕の下で、僕の愛撫に応えながらもScullyが言う。 僕は、その声を合図によりいっそう腰の動きを早めた。 「Mulder…あっ。」大きな声をだしそうになったのか、Scullyが自分の腕を口元に 持っていった。 「だめだ、Scully」僕は動きを止めることなく、Scullyの芯をさらに指で刺激しながら もう片方の腕でそれを取り去った。 「お願い、Mulder…その手を…」 「噛むなら僕の腕を噛むんだ!」 彼女の口元に腕を持っていった。 とたんにScullyの舌の感触と…歯の感触がしっかりと伝わってきた。 噛まれたその痛みは、心地良く、僕の頭を甘く溶かした。 「Mulder?いないのか?」 外からは相変わらず、Skinnerの声が響く。 いつ入ってこられるかわからないという妙な緊迫感が、なぜか快感の度合いを増して行った。 「うっ」腕と背中、両方に痛みが走る。 それが合図だったかの様に、Scullyの中はぎゅっとより一層引き締まり、快楽の頂点 がすぐそこだと僕に伝えた。 「Scully!」 僕は彼女の腕についていたTeethmarkにくちづけをしながら…悦楽の波に身を委ねた… ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「Skinnerは?」 まだ、荒い息をしながらScullyが問いた。 それを受けて、僕は戸口へと耳を傾けたが遠くで鑑識や住民による喧騒が聞こえて くるだけで、Skinnerのはっきりとした声は聞こえなくなっていた。 「あきらめてくれたかな?」 「まさか。隣ではまだ捜査の真っ最中よ。」 そう言いつつ、もたげた首をふたたび僕の胸の上へと預けてきた。 共寝の後の心地良いけだるさが、全身を包んでいる。 そんな彼女の頭を優しく撫で、指に髪を絡ませたりしているうちに、捜査などどうでも 良いような気分になりかけていたが、Scullyは突然意を決したように僕から離れて 脱ぎ散らかしてあった衣類を身に纏い始めた。 「Scully?」 「Mulder、あなたも早く着替えて。またいつSkinnerが来るかわからないわよ。」 彼女の白い肌がどんどん見えなくなっていく。 そんな姿を見ていると、いまさっきの事は幻だったのではないかな?とすら錯覚に 陥りそうになった。 「Skinnerにそんな姿を見られたい?」 すっかりと着替え終わった彼女は僕の衣服を手早くまとめて、手渡した。 「今なら倒れた僕を君が介抱していてくれたという言い訳がたつかな?」 「あなたを素っ裸にして?」 クスリと微笑みながら、そのからかうような表情はいつものScullyに戻っている。 その表情に、一旦僕の手を離れかけていたと思っていた彼女が、再び戻ってきてくれたのだ と実感した。 「僕のドクターは徹底的だからね。ただいつも解剖台に向かっているから裸にするのが 癖なんだと言い訳をしてあげるよ。」 そう言いつつ、僕も衣服を纏い始めた。 「Mulder、バカな事を言っていないではやく。今度はドアを破られるかもしれないわよ。」 そして、今度は僕に強引に頭からTシャツを被せる。 「子供じゃないんだから…」 ぶつぶつと言いかけたその時、再びドアがノックされた。 「Mulder捜査官、いないのか!?」 案の定、Skinnerだった。 「しまった。ノックをされる前なら近所にジュースを買いに行っていたと言い訳しようと 思っていたのにな。」 慌てて靴を履きながらそういうと、あきれたようなScullyの視線が突き刺さった。 でも、その目のふちの引きつり具合で笑いをこらえているのがわかる。 再びScullyの手が僕の頭に下りて、乱れた髪を整えてくれた。 僕もお礼とばかりに、とっくに整えられた彼女の髪を直すふりをした。 Scullyは笑いながら、僕の唇をそっと撫でて最後の名残を消すと、ドアの方へと歩いて行った。 「僕より先頭に立つという事は、すばらしい言い訳をすでに考えてあるんだろうね。」 彼女の後を追いながら耳元で囁くと、ドアの前に立った彼女はいじわるそうに微笑んで答えた。 「あら、私は嘘がつけないのよ。あなたにすべて任せるわ。」 そういって、おもむろにドアの鍵を外し、ノブに手をかけた。 「え?そんな…」 あんぐりと口を開けてしまった僕の前に、頭から真っ赤にして怒っているSkinnerの顔が にゅっと突き出した… (Fin) ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ あとがき(言い訳) お久しぶりです、Stellaです。 実は、このFic・・・前回の「teethmark」を書いて、結構すぐに書き上げた ものでした。(って2年前?) 「teethmark」をアップしていただいた時に、BBSへいただいたりメールで いただいた感想の多くは(そんなたくさんの反応があったわけではないんですが(^^;) 「今度はteethmarkがあるかどうか、モルダーに襲わせて確認させて?」と、 いったものが多かったと記憶しています。 でも、その頃はそういったパターンのものがものすごくたくさんあるよなぁ・・・と いう思いと「やはり、いくらモルでも無理やりってのは犯罪じゃなかろうか?」(笑) なんて思い、あえてそうじゃないパターンを書いたのでした。 あくまでも、「モルの願望」ではなく、「スカちゃんの意思」で、 「やるならやってほしい」と。(笑) でも、書きあがった後、そんな思いで書いたにもかかわらず、スカちゃんが脱ぐシーンが どうにも気に入らなくて、「どうしようどうしよう?」と悩み、きづいたら 2年以上経ち、PCを整理していた時に「あ、そういえば。」と思い出したのでした。 S8がああいった形で終わった今、具体的には表現しづらいのですが、それまで自分の 中にあったこだわりが氷解してしまい「こういったものもあってもいっか?」と いう気持ちにすんなりと至ったので、今回投稿させていただきました。 Ficは私にとって、「本編ではありえない自分の願望を叶える」場所でした。 本国でゴールデンで放映されているXFでは絶対に大人のシーンはみられない ですもんね。(笑) でも、親は誰にしろ、赤ちゃんが生まれたスカリーや、ラブラブなモルスカを 見たり、うわさに聞いたりするにつけ「なんだか、S1の頃のあの関係が 懐かしいなぁ・・・」なんて、ないものねだりをしてしまう最近。 これで、私のアダルトは最後になることと思います。 (それにこれ以上、ネタが思い浮かばないってのが真実かも?) いままで、メールをくださったり、掲示板に感想を寄せてくださった方、 本当にありがとうございました! 心からの感謝を送ります。 そして、これからはFicを書いている皆様の作品を楽しみにさせてくださいね♪ e-mail : stella@hikoboshi.net