DISCLAIMER: The characters and situations of the television program "The X-Files"are the creations and property of Chris Carter, Fox Broadcasting, and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringement is intended. Title: Wall Chapter 3 Author: Missy Spoiler: none Date: 2000.1.4 ================================================================================================ 「・・・以上だ。」 スキナーの言葉とともに僕たちは椅子から立ち上がり、彼のオフィスを後にした。 はっきり言って僕はぜんぜんこの仕事に関心はなかった。 だいたいなんで僕たちがこんな汚職事件の捜査をしなきゃならないんだ、 冗談じゃない。 DCに戻ったら調べようと思っていたファイルがあるし、 気になっていたケースの追跡調査もしたい。 薄汚れた金の亡者たちのことなんて、 出世街道まっしぐらの奴らにやらせりゃいいじゃないか。 そこまで考えて僕は一人歪んだ笑みを浮かべた。 ドロップトアウトした僕らだからこそ、 この仕事の適任者ってわけか。 政府の高官たちを巻き込んだ汚職事件。 裏ではこの機会に目障りな奴を蹴落とそうという 政治家たちの思惑が渦巻いている。 彼らは自分に有利にことを進める為には、 捜査官を抱きこむことなんてなんとも思っちゃいない。 そして、それに嵌って引き返せなくなる者もいる。 それに嵌れなかった者は、意に染まない奴として 二度と日の目を見ることなくその才能を埋もれさせていく。 でもこの程度の規模の事件じゃあ、たとえ逮捕・送検まで持ち込めても それが出世への足がかりになるわけじゃない。 スキナーがあえて僕らを選んだのは、 どちらにせよ僕らなら金の亡者たちの犠牲になることはないだろうし、 結果によって出世できなくてもそれを不満に思ったりしないからだろう。 しかし、見込まれたもんだな。 金や脅しに負けないと言えば聞こえはいいが、 要するに世渡りが下手だって事じゃないか。 つまり、馬鹿なのさ。 僕も、スカリーも。 それに、スキナーも。 柔軟性に欠けるんだ。 適当に周りに合わせて、適当に相槌打って、適当に愛想笑いする。 世間では社会性と呼ばれるこの手の能力を僕らは持っていないんだ。 よっぽど変な笑い顔だったのか、 スカリーが心配そうな顔をして覗き込んできた。 エレベーターの中で二人っきりなのをいいことに、 僕はそのまま彼女の顔を引き寄せてキスをした。 「何考えてるのっ!! 監視カメラがあるのよっ!!!」 「どうせ皆僕らのことなんてとっくに気づいてるよ。」 「だからって、仕事中なのよ。」 「仕事か。確かにご立派な仕事だな。」 「はぁ。」 彼女は諦めたようにため息をつくと、 そのまま視線をエレベータのドアに向けた。 「やりたくないのはわかるけど。」 「そんなことないさ。  僕らは国民の血税から給料をもらってる身なんだ。  国民のために働かなきゃ、なっ。」 「わかってるならいいの。」 スカリーは僕を見ずにそう言うと、 開いたエレベーターのドアからさっさと出て行った。 地下のオフィスに戻ってコートを着ると、 こんな仕事をとっとと終わらせたい僕らは わかれて調査に向かうことにした。 End of Chapter 3 ================================================================================================= お詫び アメリカにおいて汚職事件の捜査をどの機関が行うのかを調べておりません。 事件ものにする予定ではなかった為アメリカにおける事件調査の管轄などまったく調べておらず、 今後の展開においてかなりいい加減、というよりは嘘を書く可能性が大です。 モルダーとスカリーの関係と、スカリーの内面の問題がメインテーマであるということで、この点、 どうぞご容赦下さい。 missy@mc.neweb.ne.jp