DISCLAIMER: The characters and situations of the television program "The X-Files"are the creations and property of Chris Carter, Fox Broadcasting, and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringement is intended. Title: Wall Chapter 4 Author: Missy Spoiler: none Date: 2000.1.16 ================================================================================================ スキナーとのミーティング中、 私は何を考えていたのかしら。 汚職事件の資料を読むふりをして、 ぜんぜん違うことを考えていた。 モーテルでのこと。 優しさと、時々怖くなるくらいの激しさを見せる彼の指を 視線の端で追いながら、あの夜の彼の言葉を思い出す。 まだ見ぬ私。 それがどんなものなのか想像もつかない。 兄弟と姉がいたおかげで、 私は男の子とも女の子とも遊ぶ、活発な、 どちらかというとお転婆な子供だった。 それがいつからだろう、 両親に迷惑をかけちゃいけないと 思うようになったのは。 素直に甘えられなくなったのは。 メリッサは常に自分の気持ちに正直に行動する人だった。 私はどうだったかしら。 自分の気持ちに正直に行動し、 その結果大好きな父を悲しませた。 父や母を悲しませたり困らせたりすることって、 何よりも嫌いなことだったのに。 何よりも嫌いなこと。 モルダーに「大丈夫かい」ってきかれること。 モルダーに私を守らなきゃって思われること。 ”女性捜査官”として扱われること。 モルダーに「大丈夫」って嘘をつくこと。 モルダーに守られたいと思うこと。 女性であるという事実を受け入れられないこと。 なんだか矛盾してる。 人の心ってどうして科学的に割り切れないのかしら。 今一番の矛盾は、 自分を知ってもらいたい唯一の人に 自分を知られたくないこと。 あなたが望む人間になるなんて、 そんなことは不可能だということくらい私だってわかってる。 私自身が欲しいと言ってくれたあなたの気持ちを わかっていながら、 それにどう答えたらいいのか・・・。 そうじゃない。 どう答えたらいいかなんてことじゃなくて、 私はどうしたいの、何が望みなの。 それが分からなくて。 クラクションの音で、私は現実に戻った。 角を曲がれば、目的の建物に着く。 End of Chapter 4 missy@mc.neweb.ne.jp