DISCLAIMER: The characters and situations of the television program "The X-Files"are the creations and property of Chris Carter, Fox Broadcasting, and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringement is intended. Title: Wall Chapter 7 Author: Missy Spoiler: none Date: 2000.2.3 ================================================================================================ 「で、君たちの感触としてはどうなんだ?」 スキナーは僕とスカリーをゆっくりと見ながら尋ねた。 僕たちは別々に捜査をしていたので、 今回はお互いの捜査結果について話し合っていなかった。 僕たちが捜査している二人、 スキリング上院議員とロスチャイルドはどちらもある意味小物だ。 スキリングは確かに上院議員ではあるが、 特に議会の要職に就いているわけでもなく、 影響力があるわけでもない。 僕が疑問を感じるのはそこだ。 何故スキリングなんて小物に賄賂なんて渡すんだ? それに何の意味がある? ロスチャイルドがスキリングに金を渡した事実がもしあったとしても それによって、NWCSが一体どんな利益を得たというんだ? 「まだ、真偽を明らかにする確証はつかめません。」 「確証でなくていい。君はこういう言葉を嫌うかもしれないが、  勘でいいんだ。どう思う?」 スキナーの言葉にスカリーは少し躊躇したが、 はっきりと答えた。 「なにかひっかかるものを感じました。  それが何かはわかりませんが。」 「そうかわかった。  引き続き捜査を進めてくれ。  報告書を忘れずにな。」 と言ってスキナーは僕の方を見た。 「ああ。」 不機嫌丸出しの声で返事をした僕に いつもならスカリーの睨みが飛ぶのだが、 彼女は真っ直ぐ前を見たままで、 でもその瞳には何も映っていないことが明らかだった。 いや、何かが映ってるんだ。 今朝僕が起こしたときも、 一緒にシャワー浴びてるときも、 彼女のキッチンで一緒に朝飯を食べてる時も、 スカリーは僕を見ているようで見ていなかった。 君は何を・・・・・・ 誰を見てるんだ? 僕以外の誰を? 視線に気づいた彼女が僕を見た。 そして、僕の表情からすべてを読み取って 目をそらした。 僕の疑惑が確信に変わる。 君の中に僕以外の誰かがいる。 それも君のその様子からすると 男だ。 一瞬のうちに僕らの間に緊張が走る。 「以上だ。  ごくろうだった。」 その言葉にオフィスをでようとした僕らの背中にスキナーの声が飛んだ。 「モルダー捜査官は残ってくれ」 ================================================================================================ 「危険が伴うとは思えなかったので  別々に捜査をすることを許したが、  やはり一緒の方がいいんじゃないか。」 FBIのお荷物を押し付けられてはいても さすがは管理職。 自分の部下の様子には敏感だな。 「何故だ。」 「Xファイル課の事件解決率が高い理由を  お前自身はわかっているのか。」 「どういうことだ。」 「お前たちはそれぞれに優秀な捜査官だが、  特にXファイル課としてその優秀さを発揮する。  つまり、別々ではなくチームとしてだ。  お前たちは二人で一人なんだ。」 チクショー、あんたやな奴だよ、スキナー。 「捜査は別々にしていても、  ちゃんと連絡は取り合ってるし、  今後はお互いの捜査結果を話し合いながら進めるつもりだ。」 「そうか、ならいい。  捜査に戻ってくれ。」 ================================================================================================ 地下に向かうエレベーターの中で さっきのスカリーの表情を思い出していた。 とにかく話さなければ。 そう決心して、勢い込んで開けたドアの先には メモが残っていただけだった。 「モルダー  ロスチャイルドの調査に行きます。  何かあったらセルに連絡を下さい。                    スカリー」 メモ一つ残して出かけてしまうなんて、 パートナーを組んで以来初めてのことだ。 君にいったい何が起きてるんだ。 End of Chapter 7 missy@mc.neweb.ne.jp