DISCLAIMER: The characters and situations of the television program "The X-Files"are the creations and property of Chris Carter, Fox Broadcasting, and Ten-Thirteen Productions. No copyright infringement is intended. Title: Wall Chapter 9 Author: Missy Spoiler: none Date: 2000.3.5 ================================================================================================ 夕方オフィスで会ったあなたの顔色の悪さに 予想通りの混沌の始まりを知る。 「で、ロスチャイルドはどうだった?」 「何か隠しているような感じなんだけど、  かえってそれが気にかかるの。」 「そうか。  実は僕はこの汚職事件そのものに疑問を感じるんだが。」 「どういう点で?」 「関係者がみんな小物なのがね。」 「やっぱり、あなたもそう思う。」 「ああ。一体何の為の金の流れなんだかがわからない。」 「ええ、スキリングはどんな感じなの?」 「ん? 彼とは当り障りのない話をしてきただけだ。」 「どうして?」 「突っ込んだ話しをするには、まだ材料が足りない。  僕はもう少し彼のことを調べてみる。  君は?」 「私は・・・」 ある男の顔が浮かんでいた。 でも会いたくない。 自分の気持ちなど無視して、 仕事に必要ならば会わなければならないことはわかっている。 だが、彼に会うことが自分に与える影響を考えると 怖いのだ。 そう思う一方で、 彼の声を聞きたいと思う自分がいる。 「ロスチャイルドの周辺を調べてみるわ。」 「周辺って?」 「業界での彼の評価とか、社内での彼の立場とか」 「ああ。だからそれをどこらへんから調べるんだ?」 この人はどうしてこうも私の心を易々と読むんだろう。 ときどき忌々しくなる。 「まさか社内で彼のことを聞きまわるわけにはいなかいでしょ。」 「で?」 「だから、業界のことやNWCSに詳しい人物に会ってみるわ。」 「つまり、・・・・・・  マクファーソンに会いに行くんだな。」 「ええ。」 「そうか。」 気づいてるくせになんでそれしか言わないの。 お門違いの怒りを感じながら、帰り支度を始めた。 「報告書は?」 「さっき、スキナーと廊下でばったり会ったんだけど、  今日から2日間急な出張でロスに行くから  報告書はまとめて明々後日に出すようにって。」 「そうか。」 「じゃあ、お先に。」 「ああ。」 モルダーの顔をまともに見ずに私はオフィスを後にした。 ================================================================================================ あなたはどうしていつまでも自分を責めているの? 私たちが出会ったのはあなたのせいじゃない。 私がデュエーン・ベリーに誘拐されのもあなたのせいじゃない。 メリッサが死んだのもあなたのせいじゃない。 私がガンになったのもあなたのせいじゃない。 私が不妊になったのもあなたのせいじゃない。 エミリーがこの世に生を受け、短い一生を終えたのも あなたのせいじゃない。 FBIで働くことを決めたのも、 Xファイル課への異動を受けたのも、 Xファイル課に残ることを決めたのも、 あなたのそばにいることを決めたのも、 みんな私自身なのよ。 そして、 私があなたを愛するようになったのもあなたのせいじゃない。 私にはどうしようもなかった。 どうにも逆らえないことだったのよ。 それなのにあなたは、 どうして自分だけを責め続けるの? 私と一緒にいることはあなたにとって本当に幸せなの? いつまでも私に起きたことに責任を感じ続けて、 あなたはつらくないの? 私は、そういうあなたを見ていることが たまらなくつらくなることがあるわ。 あなたの私への思いが、 その責任感から来ているんじゃないかって、 そんな思いがよぎることがあるの。 私にあなたに愛される価値があるの? この存在が、こんなにもあなたを苦しませている この私に。 あなたが心の中で何度も 君が僕と出会わなかったら、って思ってることは知ってる。 でも、それは私だって同じよ。 私と出会いさえしなければ、 あなたは自分を責め続ける日々を送らなくて済んだはず。 同じことを何度考えたことだろう。 私たちにとっての ”もし” の重さ。 いくつもの「許し」「信頼」「勇気」「喜び」「癒し」「強さ」 そして「誕生」と「真実」 私があなたからもたっら沢山のもの。 私があなたにあげられない多くのもの。 あなたが私にくれた光。 でも、ダメなの。 たとえあなたの心の平安を乱していることが分かっていても 私はあなたから離れることはできない。 真実を求めるその情熱とか、嘘をつかない誠実さとか そんな言葉で表せるものじゃなくて、 あなた自身がわたしをひきつけてやまない。 それなのに、私は一体どうしてしまったというのだろう。 あなたをこんなにも苦しませていることもわかっているのに。 この状態をなんとかしなければ。 とにかく、なんとかしなければ。 End of Chapter 9 missy@mc.neweb.ne.jp