THE X-FILESの著作権は全て、FOX,1013,CHRIS.CARTERに帰属します。                               お読みになる前に   本作はいわゆる「アダルト」な場面を含んでいますので   18才未満の方や、そういう関係の二人を好ましく思わない方は   お読みになられませんようお願い致します。     ****************************************************************************              罠                  By きらら ****************************************************************************              朝からずっとモルダーが咳をしている 先日解決した事件を報告書にまとめ PC に打ち込んでいたスカリーの指が止まった 「モルダー大丈夫?」 「ああ たいしたことないさ。。。」ぐったりと椅子に躰を預けてモルダーが答える 「そうみたいね。。。」素っ気なく答えるスカリー 「見もせずに 言うなよ〜〜〜ぉ」  画面に釘付けになった目を一端外し 椅子をひいてくるりとモルダーの方にまわすと  ちょっと頬を紅潮させてモルダーが むくれている 「だって 本人が大丈夫って言ってるンだから。。。大丈夫なんでしょっ   私にどうしろって 言うの? 」 「何を怒ってるんだ?」 「べつに。。。」肩を竦め両手を開いて見せるスカリー    モルダーがごろごろしてるおかげでいつも報告書のまとめが遅れて  スカリーがしわよせを食らっているのだ  まぁったく この男と来たら そんなことぜんぜんかまいやしないのよねぇ  言ったって 聞きゃぁしないし。。。    椅子を引き直し逆に座り背もたれに顎を乗せじっとモルダーを見るスカリー  黙ってスカリーを見返すモルダー 「貴方でも 風邪をひくのね。。。」ぽそりとスカリーがつぶやいた 「僕は風邪も ひかないバカってこと? でもバカじゃ無いことが証明されたね」 「あら ほんとのバカは 自分が風邪をひいたこともわかんないのよ」  言いながら 何をムキになってるんだろう? そう思った  昨日まで忙しくて風邪ひいてる暇もなかったわねって言いたかったのに。。。  素直じゃないわね  わたしって。。。 「どうせ また カウチで寝たんでしょっ ちゃんとベッドで寝なきゃ。。。。」 「一人で 寝るんだ カウチで充分だよ」 「じゃ あなたのベッドは 何のためにあるの?」 言ってしまってスカリーは しまった。。。 とあせった  心臓が ドキドキするのを 必死に押さえ顔に出さないように振る舞った 「君と寝るためだよ。。。 スカリー その他になにがある?」   やはり 思った通りの答えが返ってきた  どうして そう ストレートに言うんだろう。。。まったく  今まで何度かそう言う雰囲気になったが うまくかわして来たスカリーだった  いつまでも 避けてはいられないのも わかってる  でも。。。もう少し そう もう少し 待って。。。  スカリーは黙って席を立った  一刻もこの場から逃れたい そう思った  この胸のざわめきを止めないと。。。頬が火照ってきた 「何処へ行くんだ?」 「どこでも いいでしょ」モルダーを見ないようにして答える 「逃げるのか?」 「逃げる? 何から? どこから? なんのために?」  勝手に言葉が走り出す 真正面からモルダーの顔が見られない 「いつもそうやって はぐらかすんだ。。。」 「。。。。。」黙るスカリー 背を向けて出ていこうとすると 後ろから声が掛かる 「一人にするなよぉ」スカリーに手招きするように腕を上げながら  モルダーがぐっと躰を反らせたので耐えきれなくなった椅子が悲鳴を上げた   仕方なく振り向いて近づくスカリー  その指先をちょっと持ち上げて手の甲に軽くキスをして 「ちょっとね すぐ戻るわ。。。待ってて」  モルダーに反撃する暇も与えずさっさとスカリーは出ていった    そろそろお互いに限界かもしれないわね。。。  直接求めては来ないけどそれらしいことを言葉でほのめかすようになったモルダー  私だってもう子供じゃないんだもの 彼の言いたいことも充分わかってる  私の中の女の部分が彼に抱かれたいと思っていることも嘘じゃない  そうよね 30過ぎた女が今さらキスだけで満足してると思うの?  でも なし崩しに結ばれてしまうって言うのがどうしても。。。。  なんというか。。。そうよ そうなのよ 今ひとつ きっかけが無いのよ  男と女のいくさきは結局最後にはそこに行き着くわけだけど  それだけが目的みたいに思われるとちょっと癪にさわるじゃない?  一度そういう関係になったら 後は底なし沼に落ちていくようにお互いがお互いにのめり込んでいく。。  それが一番怖いような気がする 回りが見えなくなってしまったら。。。  局内の恋愛を禁止してるのも わかるわ 恋は盲目って言葉もあるくらいだし  捜査の邪魔になるのよね 命を張ってるのに。。。一瞬の隙に命を落とすことになるかもしれないし。。。  あぁ〜〜あ。。。 そんなこと言ってたら 恋愛も出来やしないわね。。。  ため息をつき 腕組みしながら歩くスカリーのヒールの音だけがカツカツと冷たい廊下に響いた  しばらくしてスカリーが帰って来た 「遅いよ どこいってたんだ。。。」机に突っ伏してモルダーが辛そうに話す 「10分しか経ってないわよ ホラ お薬よ 調合してきたの 飲んだらすぐ  帰って 眠った方がいいわ ついでに休暇届も出してきたから」 「君も帰る?」伏し目がちにおねだりするようにモルダーが言う 「何故? 私が帰る理由は何処にもないわ」 「あるよ。。。僕を暖めてくれなくちゃ治らないよ。。。」  いやに絡むモルダーに だんだんイライラするスカリー 「心配しないで。。。すっごく強力なやつだから飲んだらぐっすり眠れてすぐなおるわよ  わかった?  なんと言われても私は 帰らないわ 風邪もひいてないし  なにより 報告書をまとめなきゃ もう期限も過ぎてるのよ 」 「君がいないんなら 帰らない そんな紙切れと僕とどっちが大事なんだよ 」 「なに バカなこと言ってるの これは医者としての命令よ 帰りなさい」 「一人で?」情けない声を出してモルダーが 恨めしそうにスカリーを見る 「当たり前よ。。」 ペットボトルから コップに水を注いでモルダーに差し出すスカリー 「ほら お水よ 飲んでちょうだい」 「いや  飲まない」首を振るモルダー  「何言ってるの?飲まなきゃ治らないわよ」 「じゃ。。。飲ませて。。君の口移しで。。。」脚を開き両手を広げてモルダーが甘える  得意の子犬顔で言われるとどうもねえ。。。  ムッとしながらも 「しょうがないひとねえ」わざと声に出して言うスカリー  口に水を含んで スカリーの唇が モルダーの大きくあいた唇に重なる  モルダーの喉元がゴクリと音を立てて水と薬が流れ移っていき  スカリーが躰を引こうと思ったとたんモルダーがいきなり舌を絡ませてきた  びっくりして躰を引こうとしたが   両腕でしっかりと抱きかかえられていては身動きも出来ず   更に優しく舌を絡め取られ 息もできないくらいに 吸い上げられた 「ううっ。。」小さくスカリーが呻いたので やっと腕をゆるめてくれた 「やめてよっ」モルダーの胸を叩いて本気で怒り出すスカリー 「まったく 油断も隙もないったら。。」 「ごめん なんか急にキスしたくなっちゃって。。。」 「もう。。。帰って寝てちょうだい わかった?」 「何処で寝る?」目を輝かせて聞くモルダー  そんなに にこにこして聞くなんて 何を言いたいのかまるわかりだった 「ベッドにきまってるでしょっ」ムッとするスカリー 「じゃあ。。君を待ってていいんだね?」 「そう言う 意味じゃないでしょ もう 怒るわよっ 」 「じゃあどういう意味? わかるように言ってほしいなあ」ふざけながら言うと 「いい加減にしてっ!!」本気で怒るスカリー  やっぱり そう来ると思った 本当にどうしようもないんだから。。。  叱られた子供のようにしぶしぶ椅子から立ち上がり歩き出すモルダー  ドアノブに手をかけて 「来なくていいからね 風邪が移ると大変だ。。。」 「あんなキスしておいて 今さら言うせりふ? 誰が行くもんですか  絶対いかないわっ さっさと帰りなさいよっ」 「冷たい言い方。。マイスィートハニー 」 「歯の浮くような科白言わないでよ まったく 」 「浮く? へえぇ 虫歯なの?それは大変。。知らなかったなあ  痛いの?」  自分の頬に両手を当てて痛そうな顔をしてみせるモルダー  スカリーの怒りはピークに達した ああ言えば こう言うどうしようも無いモルダー  「なに? 喧嘩売ってるの?」斜に構えて睨むスカリー 「別に。。。ちょっとかまってほしかっただけ。。。」 「FBIきっての特別捜査官 フォックス・モルダーがこんな事言ってるなんて誰も思わないわね」 「君の前では 只の一人の男だよ。。。」ふっとため息をつくモルダー  互いの視線を絡ませあい見つめあった  先に視線を逸らしたのはモルダーだった  肩を竦めて「帰るよ でも明日になったら 冷たくなってるかも?」 「脅すの?」 「別に。。。じゃ。。」  バタンとドアを締めて出ていった後スカリーは何も手につかなくなってしまった  ただぼーっとしながら 半日を過ごしてしまった  机の上のセルを見て。。。一度は手に取ってみるが また戻した  眠ってたら 起こすのは可哀想だし。。。でも。。熱があったら。。。  そう思うとまたセルに手を伸ばす。。 「もうっ あんなせりふ吐いていくからよ 冷たくなってるだなんて。。  気になるじゃないの」  腕組みをして うろうろし出すスカリー  絶対行かないと言った手前 行くきっかけがつかめない  でも  心配。。。  主のいない椅子が寂しそうだったので 座ってみた   モルダーのいないことで 改めて彼の存在が自分の中で大きく心を占めている  事を知らされる  机に ゆっくり頬杖ついて目を閉じた  事件の事を熱く語るモルダー うなずきながら聞き入る私  でも 貴方の唇を見ながら その唇で キスされたい   なんて思ってるなんて知らないでしょうね  冷たく装った仮面の下で 熱く貴方を思ってるなんて知ったら。。。  何気なく触れる指先から心まですべてがあなたに向かっているなんて知ったら。。。  ありったけの理性を総動員して貴方と二人きりの このオフィスで過ごす毎日  だって ここは神聖な職場だもの 漫画じゃあるまいし   オフィスでキスなんて。。まして ×××なんてもっての他よね  でも あなたが求めたらきっと 拒めないと思うわ。。。  さっきだってやめてって言ったのは心臓のドキドキが伝わってしまいそうだったから  あれ以上続けていたらきっと歯止めがきかなくなってしまいそうで怖かったからよ。。。  なにげに時計を見るともう6時を過ぎていた  机の上のセルをぼんやり見つめ手を伸ばそうとしたとき いきなり受信音が響いた  セルを取って見ると発信者はモルダーだった 「モルダー 大丈夫なの?」 「スカリー もうだめだよ。。スカリー。。。」 「モルダーっ」スカリーが二度目の名前を叫ぶ前に電話は切れてしまった  車を走らせながらスカリーは唇をかみしめた   けだるい声だった 声も掠れていたし きっと熱があるんだわ   一人で帰すんじゃなかったわ。。。  自分を責めながら 心配で胸がキリキリ痛んだ    そのころモルダーは。。。。  スカリーの心配をよそに 生き生きとしてカウチに横になり  大きめのピローを抱いてスカリーをどうやって抱きしめようかと   シュミレーションに余念がなかった  時間を持て余し 脚の間に挟んだり頭の下においてみたり 新しいおもちゃを待つ  子供のように そわそわと落ち着きがなかった  風邪はスカリーが口移しで飲ませてくれた薬のおかげですっきり完治していたし  絶対行かない そう言いきった スカリーを来させるには 良い作戦を練らなきゃね    時計を見るといい時間だ  カウチに横になって だらんと垂れ下がった右腕からセルを落とす  ちょっと力が入りすぎてわざとらしいくらい 転がって行った  う〜〜〜ん あまりにも。。。。  起きあがって もう一度 指先から落としてみる   コトッと音をたてて セルが転がる。。ああいい感じ   モルダーの頬に笑みが走った  次は足だ 片方下ろすか? その方が熱っぽく見えるかな?  仕上げは左手を額に乗せよう スカリーは額の熱を看るのに絶対手にふれてくる  その手を掴んでそのまま 抱きしめよう。。。  嘘だとばれたらきっと拳か張り手が飛んでくるだろう  怯んでたら次には進めないんだ スカリーが怒るそぶりを見せても本気じゃないことは  わかってる 口移しで薬を飲ませてくれたときも怒ってはいたけど目は怒って無かった  あの時確かに確信した スカリーだって感じてる事を。。。  今はまだキス止まりの二人だけど 次のステップを踏んでもいいと。。。  こんな事でもなきゃ 君はこの部屋にはなかなか来てくれやしない。。  何を恐れているんだ? 僕が怖いのか? 聞きたいが言葉には出来ない  熱もないのに 身体中が熱くなって 心臓がバクバクいいだした  窓の外で車が止まり ドアの締まる鈍い音がした  廊下を走るハイヒールの音がかすかに聞こえ  しばらくして ドア越しに鍵を開けるガチャガチャという音がした  モルダーは その音を聞きながら大きな深呼吸をしてそっと瞼を閉じた  起こさないよう気を配っているのだろう 静かに 音も立てずスカリーが  近づいてきた 目を閉じていても気配で感じ ふいに彼女の優しい香りが鼻先に届いた 「また カウチで寝てる。。。 どうしてベッドで寝ないのよ」     ベッドに誘うまでに君が絶対逃げるからだよ。。。。    もう帰るわ。。。とか言って。。。 「毛布も掛けないで。。もっと悪くなったらどうするのよ」一人でつぶやくスカリー     毛布があると足で君をはさめないだろ? これでいいんだよ。。。       スカリーはカウチに跪き垂れ下がった腕を取り脈を計り始めた  次に額に掛かった手を外し 熱を看るべく掌を当ててきた 「おかしいわ。。脈が速いけど 熱は無いわ。。。」  ここで抱きしめるつもりだったはずのモルダーはちょっと躊躇した  「モルダー 私よ スカリーよ 」耳元で囁くスカリー  眠ったふりをしていると なんとスカリーの指が顔を挟むように優しく触れてきた 「ごめんね 意地張っちゃって。。。あなたを一人で帰してしまって。。。  とても後悔していたの。。何も手につかなくなってしまって ここに来る  きっかけも見つからなくて あなたの電話が無かったら 来てなかったわ」  モルダーの唇をそっと指でなぞり始めると 頬の上に熱いものが落ちてきた  スカリーの涙だった 一つ 二つ 三つ 声も出さずに泣いているのだろう  よこしまな考えをしていた自分が何となく情けなくなってしまった  抱きしめようと少し上げた手を静かに下ろしたとたん   モルダーに覆い被さるように 優しい唇が降りて来た  濡れたような唇がモルダーの理性を一気に引き剥がしてしまった  それは一瞬の事だった いきなりモルダーの唇が応え始め スカリーの閉じた唇を  こじ開けて 熱い舌先が入り込んできた びっくりしたスカリーが躰を引こうとしたときには  両腕で抱きしめられ長い両足が蟹鋏のようにスカリーの躰を固定していた  突然の息もできない激しいキスに流されてしまいそうになった           ふと我に帰ったとき騙されたことを思いだし 急に腹立たしくなってきた  そう思ったら 拳でモルダーの胸板を叩いていた 「どう言うことなのよっ」やっと離れた唇から怒りの言葉が飛び出した 「心配で 胸が張り裂けそうだったのに。。。騙したの?」涙がぼろぼろこぼれだし  怒りで胸が大きく上下していた 「離して。。もう帰るわ 」泣きながら胸を押す 「帰さない 今日は絶対帰さない。。。」抱きしめた腕に力を込めて引き寄せる 「君に会いたかっただけだよ 騙した訳じゃない 君の薬のおかげで咳も止まったし  熱も下がった」 「でも 脈は速すぎるくらいだったわ」しゃくり上げながらスカリーが言うと 「熱が下がってから 君の事ばかり考えてた 心臓がドキドキして痛いくらいだった」 「じゃあ あの電話はなに?」 「だから。。。我慢できなくなったんだよ 君をこうして抱きたくて。。。」  髪を撫でながらその手を背中に回しそっと抱きしめるとスカリーはモルダーの胸に  顔をうずめてきた 「スカリー」囁くモルダー  黙るスカリー 「この部屋に来るのに理由なんていらないよ。。。いつでも来て欲しいんだ」  きっかけが欲しいとは思ったけどこういう展開になるとは。。。  抱かれた腕の暖かさが 少しずつしみこむようにスカリーを包みはじめると  身体中の力が抜け落ちて行くような気がしてもう自分の脚で立っていられなくなってしまった  二人並んでカウチに腰掛ける 止まったような時間の中でお互いの視線を絡ませあい  互いの心にあるものが同じだと確信しあった  静かに肩にまわされるモルダーの腕   躰じゅうの血が騒いで逆流しそうだとスカリーは思った  肩にまわされた腕はいつものふざけて絡んで来る腕とは違っていた  器用にスーツのボタンを一つ外し入り込んだ指はブラウスの上から胸にそっと触れてきた  触れられたところが熱を帯びて熱くなって来ているのが自分でもわかった  ピンと張った胸の蕾がモルダーの指先を痛いくらいに感じていた  モルダーのキスを受けながら静かに目を閉じるスカリー  それを合図にモルダーの指が動き始めた   優しい衣擦れの音がして肩から滑り落ちてゆくブラウス やスリップ  モルダーの指で露わになっていく自分を全身で受け止めるスカリーの体中を  軽い痺れたような感じが覆い尽くしはじめ ゾクゾクするように鳥肌がたった  生まれたままの素肌をさらけ出す恥ずかしさ  モルダーの視線を痛いくらいに感じるスカリーだった    躰中に甘ったるい痺れるような快感がひろがってゆき  愛される喜びが心まで満たされてモルダーの動きに身を任せ   彼が導いてくれるままに流されていく  初めて愛する人と一つになれる喜びが涙となって溢れ出した  溢れる涙を唇で拭うモルダー  髪に 額に 頬に 。。。。だんだん降りていく唇 「モルダー。。。わたし。。。外から来たばかりなのよ。。。」 「だから?。。。」 「シャワーも浴びてないし。。。」 「そのままの 君を愛したい。。。」  躰中に降り注ぐキスを受けながらめまいがしそうな気がした  そっとカウチに横たえられ最後の一枚のショーツがフロアに落とされた時 「明かりを消して。。。」やっとの思いで言葉にする 「君が見えなくなるよ。。君のすべてを見たい。。。君のすべてを愛したい」  力のこもったモルダーの言葉にもう後戻り出来ないことを知る  ずっと求められながら 避け続けてきた   言い訳をしながら避けてきた  恋人同士だもの 求めあって当然なのに 触れたくない話題にしてきた  何を怖がっていたんだろう。。。この優しい腕にくるまれながら何を恐れていたんだろうか  辛抱強くモルダーは 待っていてくれた  今日は モルダーのたくらみにまんまと騙されたような気もするが   こんな事でも無かったらきっとまだ決心がつかないでいたかもしれない。。。    モルダーの遠慮のない視線が余すところ無くスカリーに降りかかる  見られると思うだけで 躰の奥深い処が疼き始めた 首筋から胸元へと遠慮がちにふれていた指はスカリーのラインを確かめるように下へと  降りてゆく  内股を撫でるように静かに触れていた指先がスカリーの深いところを探り始めた  不意に入り込んだモルダーの指にのけぞるスカリー   カッと目を見開いて息を止めると豊かな胸が更に盛り上がった  「スカリー。。。息をしろよ。。。」耳元で囁きながらも指の動きは止まることなく  躰の奥深く官能を呼び起こすかのように優しく責め続ける  あなたのその指が息を出来なくさせているのよ。。。  喉がカラカラに渇いて躰が固まり始めた  身動きも出来ないくらいに感情が高ぶって来るのが自分でもわかるが  自分の躰なのにどうしようもなく 蜘蛛の巣に掛かった蝶のようにもがけば  もがくほど深みにはまり やがては。。。。  あなたのものになる。。。この日のために生まれてきたの。。。  あなたに愛されるために。。。そうよ 何も怖くないわ。。  初めてだから ちょっと びっくりしただけよ  自分に言い聞かせようとするスカリー    探るように優しく愛撫するモルダーの指先は   スカリーの躰の奥に潜んでいた火を一気に引き出しやがて水の音に変えてしまった  だんだん大胆になっていく指の動きにゾクゾクするようなしびれが腰のあたりから  背筋を這い上がって全身に広がりをみせ始めた   モルダーの指の動きがあまりにも優しくて   吐く息と共にゆっくりと強張っていた力が 溶けていくのが感じられた 脚に力を入れスカリーに躰の重みが負担にならないように そっと躰を重ね  静かにモルダーがその体をスカリーの中に沈めだした 「あうっ。いっ。。。痛いっ。。。」思わず叫んでしまい躰をよじるスカリー  スカリーの顔に苦渋の色を見たモルダーは腰を引いて彼女の髪を優しく撫でた 「ごめん 君の準備がまだだったね 急ぎすぎたよ  」 「私の準備って?」聞き返すスカリーに優しく口づけしてから  太股に手をかけて左右に広げながら スカリーの蕾に指をあてそっと押し開いていく  いくら大好きな人とはいえ足を開いて 目の前に自分を晒すのは耐え難く  両手で顔を覆ってしまうスカリーだった   「えっ」と思うまもなくモルダーが脚の間に顔をうずめてきた  「いやっ やめてっ」  白い脚を跳ね上げ のけぞるスカリー 「そんな。。。いや。。。見ないで。。。。」  声がだんだん消え入りそうになるスカリー  「すべてが 君だよ 君のすべてを愛するって 言っただろ?」   閉じようとする脚を力強い手に優しくやんわりと押さえ込まれ   足はカウチの背もたれにかけられて大きく開かれた 「君の負担を軽くするにはこれが一番いいんだよ。。。これから夜は長いし  朝までたっぷり時間もあるし。。君がなじむまでゆっくり 愛してあげるよ 」  誰にも触れられたことのない場所に 彼の吐息と視線を痛いくらいに感じ   やがて柔らかな髪が触れ つづいて生暖かい濡れた唇が核心に触れてきた  モルダーの熱い舌先が入り込んで来る頃にはスカリーはもう失神寸前だった 「どうして。。。そんなとこ。。。」 「僕には ないものだからかな。。君を味わい尽くしたい。。朝になるまでには  君も僕をすんなり受け入れてくれるようになると思うけど。。。」  朝? 朝って。。。? いま 夜が始まったばかりなのに。。。。  これが 朝までつづいたら きっと狂ってしまうわ。。。  吐き出す息までが自分のものではないようなそんな気がした  自分がいま どんな体勢になっているのか 怖くて目も開けられない 想像するだけでも顔から火が噴きそうになるスカリーだった  誰にも触れられたことのない深い場所をモルダーの唇や舌が行き交いはじめると  恥ずかしい思いがいっぱいになって気絶しそうになった 恍惚に浸りとろけそうな顔を見せるスカリーのなめらかな肌を眺め  自分の印をつけはじめるモルダー   さくらの花びらをちりばめたように白い肌を彩り始めると  スカリーの顔に困惑の表情が浮かび上がった        心配しなくていいよ 僕だけが見えるところにしかつけないから。。。    僕の やっと僕のものになったスカリー。。。    僕の印だよ。。。 スカリー。。君だけに。。。        どれくらい時間が過ぎたのだろう  躰中が麻痺したように 脳も麻痺してしまったのだろうか   何もかんがえられなくなってしまった  すべての神経が モルダーの舌が生み出す快楽へと集中して   そこだけが異次元のものであるかのように スカリーに襲いかかり   朦朧としながらも感じていく自分をどうすることもできなかった  スカリーの芯をなぞるように優しくゆっくりと愛撫していくと  強張った躰が応えるように柔らかくなり 白い脚がうっすらと紅みを帯びて  舌に絡まる密の音がスカリーの耳にも届き始めた  耐えきれない 胸の高まりが喘ぎになって 口元からこぼれだした 「あ あぁ。。もう ゆるして。。。。。おねがい。。。」  その言葉が届いたはずなのに 更にモルダーの愛撫は深くなるばかりだった  スカリーの爪がモルダーの裸の背中に食い込み どうしようもない躰の疼きを指で伝えて来た  モルダーは唇を離しゆっくりと躰を滑り上げてスカリーの髪を優しく撫でながら 満面の微笑みを見せた    「いい?」と聞くモルダー  黙ってうなずくスカリー  スカリーは モルダーの首にまわした指を組んでぎゅっと握りしめた   モルダーが優しく手を引いて導いてくれる快楽への階段をこれから  自分の意志で踏み出し そしてゆっくり焦らずに登り詰めるのだ  離さないで。。離さないで。。なにがあっても 手を離さないで。。  祈るように 静かに目を閉じるとモルダーは堅くしまった躰を重ねてきた  スカリーの入り口を探るようにゆっくり動いた後 更にゆっくりと  でも 確かな感触で彼女の中に入り込んでいった やがて躰の中心に経験したことのない鈍い痛みが走り再び彼が入り込んで来たことが  わかった ゆっくり ゆっくり スカリーの呼吸に合わせるようにモルダーは  自分自身を沈めはじめた  「あ。。。。あぅ。。。」声にもならない声がスカリーの唇から漏れる  躰が引き裂かれそうなのに 痛みとはまた違う言葉にならない温かな快感も湧いてくるのが不思議だった   二人を乗せたカウチが囁くような音をたて  モルダーがスカリーを揺らすたびスカリーは切れ切れに小さな悲鳴をあげた 「やめる?」歪んだスカリーの顔を覗き込み 心配そうにモルダーが訪ねる 「いいえ いいえ。。。」「痛かったら やめてもいいんだ。。。」 「いいの 続けて。。。」そう言いながらしがみついてきた 「あなたと。。。ひとつになりたいの。。。」 スカリーのうっすらと汗が滲んだ躰がしなり  愛された喜びにうち震える艶やかな肌から 花にも似た泡立つような甘い匂いを放っていた  躰中にけだるいような快感が広がって 自分が自分でなくなったような気がした  裸の胸に重なる自分のものでは無いもう一つの脈打つもの  それは確かな暖かさを持ったモルダーの心臓だった  目尻にたまった涙を唇ですくい上げられ 優しく髪を撫でられて。。。。  今まさに 至福の時を迎えたスカリー  躰の中で息づく彼を感じ 初めて結ばれた実感がスカリーの中に湧き上がってきた  互いの躰の暖かさを求めてまた抱きしめあう二人。。。  愛し合うって こういう事だったのね  大好きな人の温もりを肌で感じる。。隙間無く合わさった二つの躰。。。  すっぽりと優しい腕に抱きしめられて 息もできないくらい深いキスを交わす  微睡みながら愛し合う二人を包んで 夜は静かに更けていった  ああ 明日はどんな顔でオフィスで会えばいいのかしら。。 その前に この状況からどうやってぬけだせばいいの?  モルダーの躰の重みがそろそろ苦痛になり始めて来た  横になりたいわ  重いのよ  狭いし。。。苦しいわ   ちゃんと ベッドで寝るのよってあれだけ言ったのに。。。  私が警戒すると思ったのかしら。。。  びっくりして怒ったのも確かだけど  こんな 優しいたくらみにならまた騙されてもいいわ。。  でも 二度目があるのなら絶対ベッドがいいわね。。もうカウチはいやだわ  終わってしまったら裸でいることがなんだか急に恥ずかしくなってきたのに  躰を隠そうにもシーツも 毛布もないのよね。。。  当然だけどモルダーも裸。。。目のやり場に困ってしまうわ  逞しい腕 そして胸。。。この胸に今まで抱かれていたんだと思ったら温かいものが  身体中を駆けめぐりはじめた    顔に出ないように平静さを装いながらモルダーの背中にまわした腕に少し力を入れて  抱きしめた  胸の中の思いを 隠したまま モルダーに ありったけの微笑みをかえすスカリーを  温かいまなざしでみつめるモルダー  しかし彼の胸の内がスカリーには わかるはずもなかった  この次は どうやって誘おうか 虎視眈々と妄想するモルダー  やはり次はベッドでだな このカウチじゃ狭すぎるし。。。  スカリーの脚を上げるにはちょうど良い高さでいい眺めだったけど。。。  ベッドに糊のきいた真っ白なシーツを敷いて。。。  それにしても スカリーのこの柔らかさはどうだ?  気が遠くなりそうなほどに自分になじんで来る肌  柔らかく やさしくて 何処までものめり込んで行きそうになる  今 付けた印が消えてしまわないうちに新しいのを付けたいなぁ。。 風邪をひいたってのは もう通用しないから今度は腹痛でいくか。。  う〜〜ん なんだかなあ。。  仕事が終わった後   いきなり 今晩どう?抱きたいんだっ   ってのもあまりにもあからさまでパンチが飛んできそうだし    スカリーの何処が一番感じるところかもよくわかったし   そこを攻めることにしよう  二度目は騙したりしないでもすんなりいけそうな気もするけど。。  スカリーのすべてを味わい尽くしたモルダーには満足感があった  お互いがお互いのものになったという何にもかえられない至福の時だ  やめられる筈も無いのに やめてもいいなんて よく言ったもんだ  痛いからやめて。。。そう言われたらどうしよう  内心ハラハラだった事を思いだし モルダーの頬にうっすらと微笑みが走った  微笑みあって躰は一つに繋がったままでも   お互いの心に行き来するものは 違っている二人だった  dskms42@p2332.nsk.ne.jp