この作品はあくまでも作者の個人的な楽しみに基づくものであり この作品の登場人物、設定などの著作権はすべて、クリス・カーター、 1013、20世紀フォックス社に帰属します。 また、参考にさせていただいた曲、”Tomorrow child ”も私に帰属するものではありません。 TITLE: - Tomorrow child - - SPOILER:   Season8         by yuria * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 君がかすかに動く気配に目を覚まして、僕はナイトテーブルに手を伸ばしランプをつけた。 琥珀色のランプの光の中で、君は小さな泣き声をあげ始める。 隣でぐっすり眠るDanaをおこさないように、僕はそっとベッドから出てベビーベッドへ近づき 柔らかなタオルケットで君を包み、不器用に慣れない手つきで小さな小さな君を胸に抱き上げた。 君は僕の腕の中にすっぽりと入ってしまうほどに小さくそして頼りなく、 それが僕を少し不安にさせる。 でも君の体のぬくもりや、たとえようもない柔らかな感触や、甘く懐かしいその香りは 自然に僕を微笑ませ、今まで味わったことがないほどの幸福感で僕を満たす。 僕に抱かれて泣くのをやめた君は、鏡のように澄んだ大きな蒼い瞳に僕を映している。 もみじのように小さな手はきゅっと握ってこぶしを作り、ふっくらとした頬の横でゆっくりと 動かしている。その仕草の愛らしさに僕の笑顔がまた大きくなる。 僕と君のママは、ずっとずっと待っていたんだ。 君に会える日を、君と暮らせる日を、家族で過ごせる穏やかな日々を。。。 ”Tomorrow child ”なんの歌をうたってあげようか? 君はまだとても小さくて、生まれたばかりだね。 どんなゲームをして遊びたい? 野球は好きだろうか。。。 君が生まれたこの世界はめまぐるしく変化し、人々の心も変わっていく。 君が進んで行くべき道を僕はどんなふうに示してあげられるのだろう? ”Tomorrow child ”僕は君の人生がどうなるのかを教えてはあげられない。 それは『時』がきっと君に教えてくれるだろう。 たとえそれが平坦でなく困難で、君がどうしていいかわからなくて 立ち止まってしまっても、ママの子守唄を思い出して、 愛と勇気をどうか忘れずに、進んでいってほしい。 今はまだ小さな君も、いつか大人になって僕から離れていく時がくるだろう。 その時まで僕はありったけの愛情で君を守っていくよ。 そしていつか話してあげよう、君を授かった時のママの喜びがどれほど大きかったか、 そんなママを僕はどれほど愛しく、美しく、誇らしく感じたかを。 君が一人の夜に、どうしようもなく孤独で自分がちっぽけに思えてしまう時には 君を産んだときのママの勇気を想い出して。 そうすればきっと、君は孤独ではないことに気がつくだろう。 君の存在がどれほど僕を救ってくれたか、 それを知ったら君は自分をちっぽけだなんて思わないはずだ。 ”Tomorrow child ”君の澄んだ瞳で見つめられると僕はテレてしまう。 その澄んだ瞳でまっすぐに真実を見つめて、今は小さなその手でいつか夢をつかんでほしい。 君になら必ずできるさ。 だって君はパパとママの子供なんだから。 君には無限の可能性がある。 だから勇気と信念を持って、君の夢が叶うまで。 幸せな、輝く未来がきっと君を待っている。 君のいるこの世界は目まぐるしいほどに変わっていくけれど、 この世には永遠に変わらないものだってあるんだ。 君にはそれがわかるはずだね。 パパは君に会えてとても嬉しいよ。 君のおかげでパパはもう一度家族を持てた。 そして君を産んでくれたママにとても感謝している。 君のママは世界一優しくて世界一勇気のある女性だよ。 パパはママをどれほど愛していて、どれほど誇りに思っているか どんなふうに君に話したらいいだろう。 ママと夜空の星を見上げて話したこと、初めてのダンス、 夜の湖でボートに乗って語り合ったこと、野球だってした。 パパの隣にはいつもママがいてくれて、ママの隣には必ずパパがいた。 離れ離れの時でも、魂はいつも寄り添ってきたんだ。 2人の間に起こったことを、いつかきっと君に話してあげよう。 だから今は、おやすみ”Tomorrow child ” おやすみ、僕の息子。 もう少しだけ、ママを眠らせてあげよう。                          - end - * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 * 〜〜 *  最後までお読みいただいて、ありがとうございました。<(_ _)>  このFicはs8 Finale の最後のシーン、William君を大切そうに抱いたモルの表情を見て  書いたものです。あのときのモルの優しげで本当に嬉しそうな笑顔に、  私はすっかりやられてしまいました。(*^^*)  そしてフっと昔私が好きだった曲”Tomorrow child ”を思い出したのです。  生まれたばかりの自分の子に父親が優しく語りかけるバラードです。  モルもきっとこんな心情だろうなぁ、と自分なりに考えてみました。  そしてタイトルまでこの曲から拝借してしまったわけで...。  他にも色々と考えたのですが”Tomorrow child ”という響きに幸せな未来や希望を感じて  私が考えた他のタイトルはすべて却下されました。(^^ゞ     Aug. 2001                          - yuria -