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「全くもって退屈だわ・・・」




黒薔薇園









この世ほど退屈で汚い物はない。
そうとさえ思えていた。




エリン公。

後に知れ渡る「カラミティ・ジェーン」は不機嫌だった













幼い頃からこの国を統べる者の姪として育った彼女だったが
小さい頃は良かった。
華よ蝶よとして、人よりもずっと良い気持でいつも過ごせたのだから。

しかしこの年になると最早そうは行かない。
まだ幼年といわれる歳だが、人よりも精神成長が早い彼女は
精神年齢だけ、人よりも遥かに歳をとっていた。

誰よりも聡明な彼女。
もう、「少女」ではない。



しかし、周りはこの美しい者を何時までも「少女」としか思っていない。


「ジェーンに気に入られれば自分の身分は保証される」
「仲良くして損はない」
「我が家の嫁に」
「今のうちに恩を売る」

ダイレクトに言われなくても。
例え他の事をしゃべっていても。

皆、態度にありありと出ている。











何故この様な・・・






退屈で、薄汚い世界があるのだろう

いつもと変わらぬ恩着せがましいやり取り。
「社交」と言うつまらない場。
会話しているものは大人でも、その内容はそこら辺と子供の会話と変わらない。
ただチョット其処に毒が入っているだけなのだ。

毒といっても甘いクッキーに仕込まれた胡椒レベルだが・・。




なんて退屈な世界
なんて汚い視界
なんて醜いこの蛆虫たち・・・。


美しいものを好む彼女にとって
貴族社会とは取るに足らないものにしか過ぎない

しかしこの世の半分以上がこの場に身を置く事を考えると
怖気さえ湧き上がってくるものだ。



美しくない人々
汚い会話



到底自分の美意識に触れる様な人はいなかった
いっそ何も喋らない陶磁人形の方が、ずっと、ずっと美しい

誰かそんな人は居ないか



無理とわかっていても考え、探してしまう。






人形のように美しく、自分の世界を壊さない綺麗な生き物・・















豪奢な椅子に退屈そうに座ってため息を付いたその時。

目に留まったのだ。




















オレンジのような髪の色。
人形のように端正で少し無表情ともいえるような顔つき





一目で判る







彼女も自分と同類な事が



この退屈で醜い世界を疎ましく思っていることが

後に血塗られた「剣」になるものが






「ねぇ・・・貴女」




















お茶を飲もうと手招きをした。
この時、すべては決まっていた。








さあ、手を繋いで茨の道を歩もうではないか





醜いこの世界を制する事を





血塗られた世界に真紅の薔薇を




醜いものは切り捨てて

華麗なるオペラを映し出そう








「薔薇の園」の門は　開けられた






さあ、行こう

黒薔薇を見に







まずは紅茶を愉しみましょう・・・






to　be　contineu　?








ジェーン少女時代の世界観です（＾＾；
ちょっと私情で茨と薔薇を読み返さなきゃならなくて
読んでいたら、なんかめっちゃジェーンとメアリが好きになってしもうた！
の突発第一作目。
この続、掛けたら書きたい！
もうチョット成長した二人やメアリ視点のジェーンがかきたいですね。