オトナの扉



 学校の帰りにカズマくんと遊ぶ約束をした。
 同じマンションの上と下、そんなに時間のかかる距離ではない。いつまでたってもやって来ないカズマくんに待ち疲れ、ボクはカズマくんの家に迎えに行った。

 ベルを鳴らそうかと思ったがいつものようにドアを回すと鍵はかかっていない。
「カズマく―――ん?」
 玄関から呼んでも返事は帰ってこないが、中からは確かに人の気配がある。靴を脱いで上がっていくと、微かに人の声がする。
『なんだ、ちゃんと居るじゃありませんか……』
 カズマの部屋からこぼれる声にホッとしながら進んでいくと……いつもと違う雰囲気に体が緊張していく。
「やだっ、キンちゃんと……約束したんだよぉぉ……」
 カズマくんの声は泣いていた。驚きに足が止まる。
「ダメじゃ、麿の約束が先じゃろう?」
「あっ、ああぁっ………!」
 見知らぬ男の声にカズマくんの泣き声が重なった。口調はおじゃるくんだけど声は大人の低い声でボクには聞き覚えのない声だ。
 『泥棒?』と、そんな単語が恐竜で埋め尽くされた頭の中にポンと出てきた。カズマくんは悪い泥棒に捕まっている。
 心臓がドキドキ言った。
 部屋のドアは開いている、放り出されたランドセルが挟まっていた。音をたてないように、ボクは中を覗いた。
 ベットの上で着物を着た男にカズマくんは乗られていた。
が散らばっていて、カズマくんはTシャツ一枚で泣いている。
「おじゃるっ、もう嫌だよっ!!」
 男の下でカズマくんは悲鳴を上げる。その声は、ボクが初めて聞く声で、ボクの体はビクリと震えた。
 『おじゃる?』今確かにカズマくんはそう言った。
 あれがおじゃるくん?
 あの男が?
「まだじゃ、麿はまだ達してはおらぬ……」
 激しく体を揺する男……おじゃるクンに合わせるようにカズマくんの悲鳴は上がっていく。
 おじゃるくんが体を起こしてカズマくんを抱え上げると、カズマくんは高い声を上げて動かなくなってしまった。
「なんじゃ……また先に達しおって……」
 気を失ってしまったカズマくんの頬を2.3回叩いたが反応がないのに小さなため息を付いておじゃるくんはベットから立ち上がった。
「入ってきてもいいぞキン?」
 クルリとボクの方に向かって微笑み、杓を一振りして男はおじゃるくんに戻った。
「――――!!!」
 目の前の出来事に腰が抜けた。
「カズマが気付くと面倒じゃ、そちの家に行くか……この不思議知りたいのじゃろう?」
 さっきの男と同じ目でおじゃるクンは笑った。
 その顔にボクは寒気を感じずにはいられなかった。


 ボクの部屋でプリンを食べて一息つくとおじゃるくんはあの男に変身した。ただびっくりして口を開けているボクにおじゃるくんは意味ありげな顔笑った。
「どうして、カズマくんを苛めるんでしゅか?」
「麿はイジメてなどおらぬ、アレは悦びの声じゃ……」
「あんなに大声で泣いていたじゃないですか?」
 あんな……聞いたことのない声で……
「さっきのカズマの声はよかったじゃろう?」
「なっ!!」
 心を見透かされたようなカンジがして顔が赤くなった。
「ナニを言っているんですかっ!!」
「あの声が気持ちよかったんだろう……のう?」
「ふざけないで下さいっ!!」
「なら……どうして入ってこなかった?」
 それは……相手が大人だったから……
「助けをよばなかったのじゃ?」
 目の前におじゃるくんが居た。
「ここが疼いて動けなかったんじゃろう?」
 ボクの体の中心が押さえつけられた。
「なっ!!」
「ほれ少し堅くなっておる……」
 布越しに握られてボクはその手を払った。
「いじめたんじゃないって、じゃあ……ナニをしていたんですかっ!!」
「あれか、アレは目合じゃ、カズマの体はとても具合が良くてのぅ……つい夢中になってしまうのじゃ……」
「まっ、まぐわい?」
「とても気持ちの良いものじゃ、キンもこれをカズマの中に入れてみよ、とてもたまらぬ気持ちになるぞ……特に食い千切ぎられそうな締まりがたまらぬ。」
 おじゃるくんはひとしきりカズマくんの良さを話しては、カズマくんには内緒と口止めをして帰っていった。

 ボクは『まぐあい』の意味を調べてそれがSEXだと解ったときは顔から火が出そうだった。
それから、まるで見せつけるようにおじゃるくんは何度もカズマくんを泣かせた。

 ある日カズマくんは3時間目の体育中に倒れた。
 貧血だろうと言うことでボクが付き添って保健室に向かう。
「ゴメンね……キンちゃん。」
 とてもいいとは言えない顔色でカズマくんは笑った。
「少し眠った方がいいです。後でちゃんとカズマくんの給食はボクが運んで上げますから。」
「サンキュ……」
 枕に頭を降ろすともう寝息が聞こえていた。
 保健日誌にクラスを書いて教室に戻る。4時間目の授業が始まってもボクの気分は晴れてこない。
 倒れた原因は分かっている『おじゃるくん』だ。彼との関係が過ぎてああなってしまったことはボクでも容易に想像がつく。
 給食の時間をすっかり忘れてぼうっとしていたボクにトレイが差し出された。
「キンタロウくんほらっ、カズマくんの給食だ早く持っていきたまえ。」
 岩清水くんがトレイに二人分の給食を乗せてボクに差し出している。
「急ぎたまえ、給食も忘れて悩んでいる君はらしくありませんよっ!!」
「あっ、ありがとう、岩清水くん。」
 トレイを抱えて保健室に入ると保健の先生があわただしくファイルを抱えておたついている。
「あっ、寝てる子のクラスメート?先生ちょっと出かけなくっちゃいけないんで……5時間目みててくれるかな?先生にはこっちから言っておくから何かあったら担任の先生に言ってね。」
 そう言ってあわただしく走って部屋を出ていった。
「あわただしい人ですね……」
 机にトレイを置いてカーテンを開けるとカズマくんはまだ眠っていた。椅子とベットテーブルを出して用意する。
「カズマくん……ごはんです。起きて下さい。」
 シーツの上から揺すっても眠りが深いのか一向に目覚める気配がない。
「んっ―――」
 寝返りを打ったカズマくんからシーツが落ちた。
 体操着のままで眠っているというのにボクの心臓はドクドクと激しく活動し始める。ぐっすりと寝込む顔にあの時の泣き顔がダブる。
 あれ以来、夢で起こされるようになった。
 その度にたまった熱をトイレで処理してやりきれない罪悪感に嘖まれている。
「カズマくん知ってますか?最近ボクの夢にカズマくんが出て大変なんです。朝はトイレからしばらくは出られないし、パンツを自分で洗濯して……ママにどうしたの?なんて聞かれるんですよ……」
 すいと唇に指を走らせる。
「んっ……」
 微かに身じろぎする姿に夢のカズマを思い出す。
 あの声で腕を巻き付け泣くカズマ―――プルプルと頭を振って払おうとするがどんどん夢のカズマが目の前のカズマに重なって自分を誘っている錯覚に陥ってしまう。
 落ちたシーツを拾って掛けようとすれば、服とのギリギリのラインに着けられたおじゃるの痕が目に突き刺さってくる。
『カズマくん……』
 唇が声を立てず動き、カズマに重なった。
 柔らかい感触に体は一気に熱くなる。
 すぐに触れているだけでは足りなくて、下で歯列を割りカズマの舌を絡める。
すると相手から逃れようとカズマくんは頭を振る、がまだ半分眠っているためか動きがぎこちない。
 体を支えていた手が短パンのゴムをくぐってカズマくんに触れる。肌に触れる。
 
 手の中でゆっくりと形を変えていくそれにボクは明らかな悦びを感じていた。

「……あっ……」
 肌にさざめきが走る。
 すっかり仕込まれた体は眠っていても反応だけは返すようだ。更に奥を探るとしっとりと濡れた感触がある。
『えっ?』
 驚いて引き出すと自分にも覚えのあるもので指は濡れていた。
 今朝方に注がれたおじゃるのモノが溢れてきているのだ。
 ぐびりと喉が鳴る。
 今触れたところにカズマはおじゃるを……と想像してしまったらもう歯止めが利かなくなった。
 短パンを下着ごと降ろし奥を開いた。
 まだ何もないまんまの生殖器の下でヒク付いている窄まり。
『とても気持ちの良いものじゃ、キンもこれをカズマの中に入れてみよ、とてもたまらぬ気持ちになるぞ……特に食いちぎられそうな締まりがたまらぬ。』
 おじゃるの声が囁くように聞こえてくる。
 指をソコに当てるだけで窄まりは吸い付くように蠢いて中へと誘う。
「っ……」
 そのまま誘われるように指を含ませるとカズマの中は信じられない動きでキンの指に絡み付いた。
「うわっ!」
 思わす驚いて指を退く。
『ソコを己で感じてみよ……たまらん気分にさせてくれるぞ?』
 幻聴のようにおじゃるの声がキンの耳に響く。
「ほんとに……気持ちよいのでしょうか……?」
 浮かされるように体が欲して感情をねじ伏せる。
 体を割り入れ、自分を外に引き出すと濡れそぼっているソコに押し当てた。
「うわぁ――――!」
 たまらない感覚が体を締め付ける。
 それが快感であると解ったのは全てをカズマの中に納めてからだ。
 勝手に腰が動く。
 もとが濡れていたソコは最高の感触を伝えてくれる。
 それはキンだけでなくカズマにも同等にそれは伝えられた。
「……んっ、んんっ、あっ―!!!」
 目覚めたカズマの悲鳴がキンの手によって封じられる。
「んっ、んんっ、ん――――!」
 涙で溢れた眼は信じられないと見開かれてキンを見ている。
「カッ、カズマくん、ゴメンですっ、ダメなんです止まらないっ!!」
 一気に極みへと駆け出す体にキンは悲鳴を上げる。
「あっ、ああっ……ねっ、がい……中にはダメっ!」
 中のキンが限界近いのを感じ取ったのか、カズマが手から逃れて哀願した。
 体を離そうとした手を握られて更に深く体を重ねる。
「ダメですっ、くっ!」
 キンが呻いた瞬間、カズマの中で熱が弾けた。
「あ――――――っ!!」
 初めての人肌は目眩がしそうなほどの甘美な刺激をキンの体に焼き付けた。
「ふっ、ふぅ〜……」
 体を震わせて熱を注ぎ込む快感に囚われていたキンはカズマのすすり泣きに正気を戻す。
「ひどいよ……ひどい……よっ、中に出さないでって……」
 体を離すとそこからコポリとキンのモノが溢れ出す。
「ゴメンです、どうしても止まらなくて……カズマくんの中ものすごく気持ちよすぎて……」
 自分のしたことに改めて気付くと急いでタオルを取って自分の汚れを拭き取った。
「本当にゴメンです……」
 一通り体を拭うとぐったりしたカズマに服を着せる。
「言っても、もうしてしまったことです……ボクをどうするかはカズマくんに任せますよ。」
 横になっているカズマにシーツを掛ける。
「自分に負けてしまったボクですから……」

 気不味い沈黙が保健室にあふれる。
「出てって……よ……」
 たった一言の言葉に押し出されるように、ボクはその場を立ち去った。




酸っぱい人様から頂いたSS
遂におじゃる丸まで…(汗)
さすがエロに関しては…師匠と呼ばせてください。


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