| 連日の残業に疲れていたボクを家族は心配してくれて、ゆっくり休むように云ってくれた。 そんな日曜日、サザエ達は隣のいささかさんの奥さんも誘っての芝居見物。お父さんもタラやカツオ君達も連れて動物園へと出かけていった。今この家にはボクとタマしか居ない。 部屋に一人で横になってどうやらうたた寝をしていたようだ。 鳴り響く電話の音に微睡みから引きずり出される。 「はい、磯野です……」 『あ、マスオさん?ノリスケです。今イササカ先生宅に居りまして……ちょっと退屈しているんですよ……こっちに来ませんか?』 一方的なまくし立てに押されながらも躰がまだ休みたいと云ってくる。 「ごめん、ちょっと残業続いちゃってさ……眠いんだよ。」 『残業?イヤだなぁ……マスオさん日本語間違えてますよ。アレは不倫って云うものでしょう?』 冷水を頭からかけられたようなショックだった。 『ふふふ……驚いているでしょう?ああ、どうしてボクが知っているかは……こちらに来たら教えますよ!!どうです?』 ボクに選択肢はない。 「判った……用意していくよ。」 『お茶とケーキ用意して待っていますよ?』 鉛のように重く感じる黒電話の受話器を元に戻して、顔を洗うべく洗面所に向かった。 ベルを鳴らしてもインターフォンからなんの返事もない、鍵がかかっていないのを確認してドアを開ける。 広い造りの玄関でボクは挨拶をする。 「あの……ごめんください……」 ドンと勢いよく応接間のドアが開く。 「こっちです……マスオさんっ!」 悪戯を思いついた子供のようにニコニコと手招きをする。 落ち着いた雰囲気応接でノリスケ君はまるでホテルのボーイのようにお茶を綺麗なカップに注いでくれる。 「待ちになっちゃってね……この通り動けないんですよ。」 と箱から女性が喜びそうなケーキを皿に置いていく。 「さっどうぞ!!結構人気の有るケーキなんですよ!!」 勧められるままにケーキを崩して口へと運ぶ……上品な甘さが疲れていた躰に心地よく染みていく。 「イササカ先生は?」 先程からこの屋敷にはノリスケと自分の気配しか感じない。 「云ったでしょ?ボクは『待ち』でココにいるんです。」 というコトは原稿を待っているのか、ではいつものサテンで先生は仕事をしているんだろうかとぼんやりと思っていた。 「もう一個いかがです?」 気が付くと食事もしていなかったボクの口はケーキをあっという間に平らげていたらしい。 「ああ……もらう。美味しいなこのケーキ……」 彼の顔を見た途端に気不味くなってしまって、ありきたりの社交辞令で誤魔化した。 「でしょう?」 今度はクリームとベリー系の実が散らされたケーキを皿に置いてお茶をつぎ足した。 「街ん中のホテルに入っているケーキ屋なんです。煉瓦ばりの重厚な面もちが受けている……ご存じですよね?」 「―――――――っ!」 カップに伸ばした手が躰ごと固まった。 「昨日、そこで見かけたんですよ………同僚と食事に行く店だとしたら随分と親しい間柄ですね、マスオさん?」 心臓がドキドキと早くなる。 必死に繕う言葉を探そうと頭の中が忙しなく動きだした。 「しばらく忙しかったから……ご褒美的な意味で行ったんだ。」 それは本当だ。 「で、食事の後に部屋ですか?」 彼の指が細い顎を捕らえる。 「静かに飲みたかっただけだよ……」 記者を生業としている彼の視線は、心の中を見透かされそうで怖くてとても重ねられない。 「そして終電ギリギリでシンデレラのように部屋を出てきましたね。ずーっと見ていたんですよ?」 ひくりと喉が鳴った。 「バスに置かれた石鹸……ホテルのノベルティだって知ってました?変わった香りがしたでしょ……ほら、こんな匂い。」 項に鼻を埋めて鼻を鳴らす。 「ボクだって誘ったのに……非道い人ですね、親しい者より同僚ですか?」 しっとりとしたモノが肌に落ちた。 「くっ!!」 落ちたフォークが涼しい音を立てた。 「それとも……コレが怖くなったんですか?」 ボクの手をノリスケは自分の中心へと当てる。布の上からでもハッキリと解る熱と歪な形。 逃げようとする手をものすごい力でソコへと押しつける。 「やっ、やめてくれよっ!!此処はイササカ先生の家だろう?」 アレに散々啼かされた記憶が蘇る。 彼も磯野側の人間だ。 「ええ、ですけど僕達しかいませんし―――――皆は夕方まで帰ってきませんよ?」 浅ましいほど自分の欲望に忠実で、禁忌に縛られない一族。 「やっ……やだっ……」 情けないことに涙が滲んでくる、記憶がより誇張して記憶を辿っていくからだ。もう躰は彼の腕の中、逃げることもできない。 「この前は……ボクも我を忘れてしまいましたからね、今日はまだ仕事中ですからそんなことは有りませんよ?」 必死の抵抗もあっけなく薙ぎ払われてソファの上に組み臥せられる。 「抵抗した跡……残していいんですか?」 破けた衣服、躰の痣………ひどい転び方をしたと前は何とか誤魔化したが、再び通じるとは思っていない。 シャツの前が開けられ、痕が付かない程度に肌が吸われていく。 「や……だっ……!」 蹂躙されているというのにコノ躰は悦び始めている。 「ホント……に、嫌われてますね……まっ初めてアレ見たんですから仕方ないんですが……ね?今日はやさしくしますよ……だから口開けて舌吸わせてください。」 クッと唇に力が籠もる。 「開けてくださいッて云っているんですよ?」 グイと顎を掴んでいる指がこじ開けるように蝶番を押してくる。 「んっ………」 痛みに負けて唇を解くと待っていたと云わんばかりに舌が入り込み舌根が痺れる程に嬲られる。 飲みきれない唾液が直ぐさま溢れ首を伝いシャツに染みる。 それに気付いたノリスケが肘まで一気にシャツを下げ、これでもかと腕を戒める。 「――――――やっ………ダメっ……もう、暴れないからっ!!」 後ろ手に腕をまとめられソファに俯せられる。 「ダメじゃないでしょう、じっとして……ああ、しゃぶって欲しかった?」 スラックスのベルトがガチャガチャと冷たい音をたてる。 「こうしないと脱がせずらいでしょ?安心して……イく声聞きたいからね、ちゃんと口でしてあげますよ……!」 両足から肌着まで抜き取ると言葉の通りノリスケはボクの中心に顔を埋めた。 「腕痛くないでしょ?ココのクッションいいからね……」 唇で触れるだけだというのに的確にポイントを付く愛撫はあっという間にボクを張りつめさせる。 「ふぁぁ―――――っ!」 触れるだけの焦れったさに中の熱が悲鳴を上げる。 「痕………付いてますよマスオさん?」 ぺろりと舌先が掠めたのは腿の付け根、しかも内側……こんな格好でもしなければ決して見えない場所だ。 「彼……ですか?というコトは彼にもこんな格好をして見せたというコトですね?」 閉じかけた腿を躰を割入れて封じると痕の付いた場所に冷たいモノが塗りつけられた。 「あっ―――つめった!」 「いい材料使っているんです……ココには用意してませんから、コレでね?」 クリームチーズにまみれた指が何の抵抗もなく根本まで差し込まれる。 「くんっ――――――――――っ!」 背がクッションから弧を描いて浮き上がる。 「さすが、ほぐれているからずっぽりだ………それにクリームが溶けてきているよ中は熱いようだね?」 己を入れるために満遍なく中に塗り付けている、クリームと粘膜が絡み合ってイヤラシイ音を鳴らして堪らない。 なにより中をまさぐる指が絡み付く内壁を滑り、時折堪らない部分を掠めていくのだ。 中心で震えているボクからツッと滴が垂れる。 「出そう?」 絶え間なく指を動かして、空いた指で滴をすくい取り己の口に持っていく。 出したモノを口にされるのが堪らなく恥ずかしくって……クッションに顔を埋める。 「濃いね……口に入れた途端にイくのは無しですよ?」 耳に熱く声を吹き付けて、ボクに指を沿えると途端に暖かく湿ったモノに飲み込まれた。 「はぁっ!!」 全身に走る甘いショック。 噛み締めていた唇から堪えきれずに声が出る、こうなってしまってはもう止められない。舌に歯に喉にと翻弄され、ただ啼いた。 半分飛んだ意識が白光する瞬間、自分の悲鳴を聞いた気がする。 どれだけか意識が無かったらしい、荒々しい心臓が耳の真下で鳴っているのにようやく気づいたころ冷めたお茶を口に含まされた。 「どれくらい……たった?」 ひりつく喉に茶が染みる。 「1分くらいでしょうか?」 気が付くと腕の戒めは無くなって躰も起こされている。 「今度は、ボクの番ですよ?」 躰を背もたれに押しつけられ、奥を開かされる。 「…あっ……」 後ろから冷たくファスナーの音がする。 一晩中嬲られた、あの躰とあの……ボクよりも熱いモノが奥にあてがわれる。躰が強張ったのが肌から伝わったんだろう、苦笑混じりの溜息が後ろから聞こえる。 「そんなに怖がらないでくださいよ、ヨすぎて……ああなったんですら、それは解っていますよね?」 グイと中に入ってくる、そして中の一部に引っ掛かる感触が強く残る。 「くんっ―――!!」 喉が反る。 「息吐いて、こんなんじゃきつすぎて全部はいるのに時間かかっちゃいますよ?」 そんなこと言われてもポイントを強く刺激されれば躰は感じてそれをもっとと欲しがってしまう。 「ほら……」 前を不意に扱かれ躰が緩んだ瞬間に一気に根本まで押し込んだ。 「―――――――――っ!!」 声にならない悲鳴が部屋に響き、ノリスケの手から熱が滴った。 「じわじわ入れたら余計怖がると思ったんで……クリームのおかげで一気に入りましたよ?」 躰が勝手に中のモノを締め付け愉悦をあげる。 「あっ……」 詰め込まれた突起のいくつかがマスオのいいトコに当たっている。 「イったばかりだって云うのに……このままでって云うことは感じているんですよね?」 嬉しそうに伺ってくる声に応える余裕はもう残っていない、ただ中からの刺激に唇を咬むことしかできなかった。 「声……聞かせてくださいよ……」 噛みしめた歯列に指が入れられる。 「う゛―――――っ!!」 指から逃れようと頭を振れば、それはいけないことだと云うように腰が揺さぶられる。 内壁のあらゆる場所を小さな突起が突き上げる。 「やっ、揺らさないで……ヘンになる〜」 涙で視界が歪んでくる。 「いくらでもヘンになっていいですよ。ここにはボク達しかいませんからね……ねぇイササカセンセ?」 『いま……なんて?』 ギイと重い音を立てて奥の仕事場のドアが開いた。 一瞬戻った視界の隅に着物の柄を見たカンジがしたが、ノリスケくんの突き上げに意識も躰も浚われてしまった。 |
酸っぱい人様から頂いたオマケSS…第2段
もったいないので上げちゃった♪
で、磯野の人間って??
次はカツオ×マスオなの??(←希望してるのか?)