卑俗



「フグタさん、内線2番に電話でーす。」
 女の子の声に弾かれて電話を取ると、聞き慣れない声がこぼれてきた。
【私ですが、今夜空いていますかね?】
 ビクリと躰が震えるのが判る。
「今夜ですか?いきなり云われましても……誠に申し訳ありませんが事前にアポを取っていただかないと……」
【私もね、随分と待ったつもりなんだがね?ノリスケ君に原稿が上がるまでと云われてようやく出来上がったんだよ……】
「判りました、ではそちらの時間で……はい、お伺いいたします。」
 諦めたように電話を置くとアナゴ君が驚いた顔で聞いてくる。
「おいおい、いつ新規で契約取ったんだ?」
「勘弁してくれよ、お馴染みさんなんだが担当者が代わってごたついているのさ……」
「まぁ、お客様は神様だから……っていってもセクハラされていないだろうな?」
「ははは、ならそれ逆手にとって倍入荷させてもらうさ。」

 指定の場所は都内のホテルでも三つ星クラスのダブル。
 気後れしがちにドアフォンを鳴らすとすぐさまドアが開いた。
「よく来てくれたね……さ、入って……」
 促されるままに中に入ると、まだ床に書き損じの原稿用紙が散っていた。
「すまないね、終わって直ぐに電話を入れた後眠ってしまってね……」
 そう微笑む姿はいつものイササカと何ら変わりはない。
「シャワー浴びていいですか?」
「ああ、構わないよ……」
 舐めるような視線から逃げるように浴室に逃げ込むと熱いシャワーを浴びる。
 ノリスケ君との一件以来、イササカ先生は熱心にボクに迫ってきたがノリスケ君を間に挟んでいる関係上彼がイニシチアブを取っているらしく、ボクは先生にとって御褒美のように与えられていた。
「今夜は泊まっていけるよ?替えのスーツは用意しておいたからね、後でお宅に電話するといい。」
「はい……」
 彼と肌を合わせるのは二度目だ。
 午前様までたっぷりといたぶられ帰りのタクシーの中で情事の匂いを消そうと煙草を噴かしたのは記憶に新しい。
 部屋の電話で家へ残業で帰れないことを告げると義母はなんの疑いもなく頷いた。
 ポタポタと落ちる水滴をタオルで拭うと目の前に氷の入ったグラスが差し出される。
「さ、時間が惜しい……」
 裾から差し込まれた手がやさしく双丘を揉みしだく。
 ベッドの前まで来ると、イササカは、後ろからマスオを抱きしめバスローブの胸元から右手を下へと滑り込ませる。
 わずかに汗ばんだ肌に指腹が沈み込み、肌の弾力を味わうとマスオは逃れようと腕に手をかけて躰をよじる。
中では、すでに実が僅かに顔を出している。
 指は更に深く忍び込み固くなった実をとらえた。
 小さな実を指先でいじると、たちまち硬さを増し、せり出してきた。
「い、いやっ。」
 弱々しく首を振るマスオの躰から力が抜けてくる。
 何度抱かれてもアナゴ以外に抱かれることに躰は慣れてくれない。
「今更、いやもないだろう?」
 耳元に息を吹きかけ、ピンク色に染まった耳たぶを軽く噛む。
 しこった実を人差し指と中指の腹で転がすとマスオの腰が落ちかかった。
 イササカはほくそ笑み、マスオをベットに突き転がした。
「あっ……」
 バスローブ一枚の股間が露になるほど強い突きだ、脚が高く上がりあられもない部分がイササカの目の前に晒される。
 たった一枚のローブすら剥ぎ取り、細身な太腿を力ずくでこじ開けた。
 強引に膝を押し開き、淡い繊毛の上品な生えぶりを楽しむ。
「見ないで……下さい……」
「おや、ここは見られるのが好きだと云っている。」
「そ、そんな……こと……」
「ヌルヌルだぞ!」
 イササカはマスオに覆いかぶさり、程良く焼けた首筋に舌を這わす。
 右の実を揉みながら、同時にやんわりと勃ち上がりかけたマスオの先に指を滑らせ滲んだぬめりをすくい取る。
「いやっ、いやです。」
 マスオは何度も首を左右に振るが、太腿の奥は、指の動きに敏感に反応する。
 ねっとりとした蜜液が、指に絡み付く。
 イササカは人差し指を立てて、熱い窄まりの中に押し込んだ。バイブレーションさせながら、抜き差しをはじめる。
「あうぅぅ、やっ……」
「ここに入れて欲しいのだろ?どうなんだ?」
「いっ、そんな……」
 イササカは絡み付く肉襞を押し広げ、中のザラザラした内部をかきまわす。
 さんざんもてあそんでから、おもむろに指を引き抜いた。
 そうするうちにマスオの身体から力が抜けて、しんなりとなる。
 自分の躰に起こった変化に、マスオは顔を伏せていた。
 何かに耐えるように唇を噛み締めている。

「ほら、顔を上げて!」
 一変してイササカの態度が高圧になっていった。
 一度手にしてから何度も夢見てしまった、それだけマスオの躰は格別だったのだ。
 だがこういう関係になってしまうと「ご近所」というモノが妙な枷になり、あまつさえノリスケを仲介としてしまった分、滅多に食べられない御馳走になってしまった。
 だからこそ、目の前であられもない姿でいるマスオに自分が抑えられない。
 金で買った女より遙かに魅力的に見えるのだ。
 ノリスケが云っても、実際見るまで同性相手に高ぶるという感覚が理解できなかったが、あの日ノリスケの下で噎び泣いているマスオに自分の躰は……それこそ久しぶりに高ぶったのだ。
 堪らなくなって、イササカは髪を掴んで仰向かせ、唇を奪った。唇をこじあげて、舌を忍び込ませる。
 ねっとりとした舌を絡み付けて、吸いあげた。
 張りつめたマスオ自身を揉みしだき、胸のしこった実を転がすとマスオは喘ぎ始めた。
「まだまだ、時間はたっぷりあるからお楽しみはこれからだぞ」

 組み伏せたマスオ胸の実をたっぷりと舌で弄んでから、片足を持ち上げた。
「あっ、いやっ……」
 マスオは羞恥の奥を見せまいとして、足に力をこめる。
 イササカはなおも強引に持ち上げると奥の口がひくついている様が見えた。そこは前で張りつめているマスオから溢れ出たモノでしとどに濡れている。
「フフッ、さっきよりビショビショになっているな。見られてなお、濡らす。そういう奴をマゾと云うのだ。」
「うっ、違いますっ……」
 濡れそぼった窄まりをいたぶると、マスオの腰が微妙にうねりだした。
「男に嬲られて、淫らに腰を振る。これをマゾと云わずになんて云うのだ?」
「ああ、いや………」
「こうやって言葉でのいたぶりでも先から滴がいっぱい出てくるぞ!」
 イササカはマスオに舌をのばす。
 敏感な先への刺激がいっそうマスオを狂わす。
「いやらしい後ろが欲しいとおねだりしているね。」
 イササカは立ち上がり、片足を持ったまま、いきり立つ己をそこに押しつけた。
「ああぁっ、いや、いやです……」
 気が違ったように髪を振り乱し、よがり声をあげる。
 イササカはゆっくりとめりこませていった。
「あぃ―――――――――っ!」
 マスオは顔を枕に押しつけ、唇を噛み締めている。
 イササカはゆっくりとしたストロークで突き上げていく。
「あ、あぅ、動かないで……」
「淫乱の君が待ち望んでいたものだ。どうだい?」
 イササカは激しくえぐりたてた。
「はぅ、あっ……あはっ……」
 反動をつけて、打ち込まれて、マスオは切なげな喘ぎをもらす。
「あぁぁ、もうダメ……」
 いくら耐えようとしても、イササカの責めに悩ましい声で応えてしまう。
「どうだ、ノリスケくんと比べてどっちが感じる?」
 マスオはイササカの問いが耳に入らぬかのように首を横に振る。
「もう私のことが忘れられない躰にしてやりたいね……」
 イササカのストロークは浅く浅く責めて、いきなり奥底まで突く。
「あっ、あっ、あぁぁぁ……」
 マスオの官能味をおびた悩ましい喘ぎが部屋中に響き渡る。
 ノリスケのような圧倒される勢いこそ無いものの、熟練した指先が確実にマスオを追いつめ昇りつめさせていく。
 練り上げた愛撫がマスオに新たな感覚を植え付けてようとしている。
 きつく握られた脚から痛みとともに疼くような電流が走る。
「い、いたっ。」
 実をもんでいた指が爪を立て、下からは激しい突きを繰り返す。
 鋭い痛みが全身を駆け抜け、堪らない熱を帯びた痺れが勢いよくせり上がってくる。
 マスオは、堪えきれないほど大きい波が襲ってきた。
 頭の中が真っ白になり、意識がとびそうになる。
「あっ、あ、あぃ、あぅ……」
 突き上げられる度に、切羽詰まった喘ぎがもれる。
 次の深々とえぐられた突きで、マスオの躰の中で爆発が起こった。
「あぁ――――――――――――――っ!」
 マスオは身体が砕け散ってしまうような極みへと放り上げられた。
 しかし、イササカの責めはまだ終わりはしなかった。
「まだだよ、朝まで時間はあるからね何度も私が満足するまでたっぷりと啼いてもらうよ?」
 イササカは、さらに激しいストロークで強烈に突き上げる。
「いやっ、あっ、やめてぇぇ、あっ・・・」
 敏感にとぎすまされた快感がマスオをさらに高いところへと運ぶ。
 マスオは眉間にしわをよせ、大きな口を開けて息をする。
「あぅぅぅ―――――――――――っ!」
 もうこれ以上は無理というところまで顔をのけぞらせてよがった。
 マスオはわけがわからなくなり、涙を流し泣き声をあげていた。
「いっ、もうダメです……もっ、許して……」
 それでも硬いイササカに深々と突き上げられる。
 号泣しながら、これまで体験したことのない世界を彷徨い始め、またも、マスオは気を失ってしまった。




酸っぱい人様から頂きましたSS…第3段!!!
カツオ×マスオでは有りませんでした
残念…←期待なのか??


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