今日、俺の妹の『鞠絵』が療養所から2週間戻ってこれる事になった。
なぜなら…今日は12月24日…クリスマスイブで、20日に鞠絵を担当する療養所の看護婦さんから電話が来て…
「クリスマスイブの日に鞠絵ちゃんがそっちに戻る許可が出たんでお知らせする事になりました…実はね、鞠絵ちゃん…『クリスマスはどうしても兄上様と過ごしたい』って今月の初めからずっと言ってるの…ウフフ、愛されてていいわね」
俺は看護婦さんになんて言えばいいか言葉をさがしたが、何も思いつかなかった。
俺は家の掃除をし終わって、家を早く出て行った。
鞠絵は少々重そうな荷物を持ちながら電車から降り、俺を待つように改札口でキョロキョロとまわりを見ていた。
「おかえり!鞠絵!」
俺は鞠絵の背後から彼女の両目を隠し、ふざけ半分でやっていたのだが、ビックリした鞠絵は2歩くらい前に進み俺のほうを向いた。
最初不安な顔をしていたが、俺のふざけだと分かった瞬間ほっとした様子でいた。
「兄上様…久しぶりにお会いできて…嬉しいです」
やっぱり鞠絵はいつもと変わらず…俺に敬語を使ってくる…いや、小学生などには敬語を使わず話すのだが、俺や友達となると微妙に敬語を使ってくる。
まぁ…そこが鞠絵のいいところなんだけどな…
俺は鞠絵の荷物を持ち、一緒に家に帰った。
俺の家は駅から徒歩3分ほどでかなり近いところにある。
鞠絵の療養所へはその駅から約1時間ほどで着くのだが、部活などで時間が取れず、いつも鞠絵に寂しい思いをさせている…だが、担当医の許可が出れば外出は可能になり、こんな風に遊びに来たりする。
「鞠絵は『療養所で新しい友達が出来た』って言ってたけど、どんな子なの?」…俺は鞠絵と週に10通ほどEメールをやり取りしている。
「実は…私とちょっと似ているところがあって…その子にはとても可愛らしい弟さんがいらっしゃるんです…その子は佳奈ちゃんがとても大好きで週一回は必ず来るんです」
……その子は『佳奈』ちゃんと言うらしく、可愛い弟がいる…もしかして…鞠絵は俺ともっと会いたいのかな…俺は心配でつい、聞いてしまった。
「え、とっ…とんでもないです!兄上様はいつもいつも…お忙しい中…月に一度でも遊びに来てくださって…私はそんなワガママ言えません…」
やっぱり…鞠絵はそんな弟を見てちょっと心苦しくなっているのだろう…「よし、それじゃぁ…週1回行けるよう頑張るね!」
鞠絵はちょっと顔を赤らめていた…そんな事を話している途中にもう家には着いていた。
鞠絵と家に着くころには既に7時となっていた。
今日は両親とも鞠絵が帰ってくると知って、珍しくかなり大きなケーキを買ってきたのだ…。
夕飯も食い終わり、ケーキも食い…鞠絵は俺の部屋に行きたいと言ってきた…掃除もしたのだが、やっぱり鞠絵の頼みは断れない…俺は鞠絵を俺の部屋に入れた。
鞠絵と俺のベッドに座りながら、色々話し込んだら俺はちょっと眠くなってきて、気付かぬうちに鞠絵によっかかり寝てしまった。
『寝てた』…と、言うより『気を失っていた』などといったほうが正しいのだろうか…
俺は37度強の熱を出していた。
鞠絵はすぐにベッドの中に俺を寝かせ、母親に伝えて氷枕を作って体温計といっしょに持ってきた。
やはり療養所で看護婦さんを見ているためなんだろうかな…
「鞠絵…もしかしてさ…看護婦になれるんじゃない?」
息が切れながらも鞠絵に話し掛けたが、鞠絵は…
「そ、そんな…でも、看護婦になったらいつでも兄上様の体調の管理など出来ますし…」
「それじゃぁ、まず最初に鞠絵の病弱さを治さないとね…ちゃんと俺や親父、母さんがいるし、時間はあるから…ゆっくりやろうや…」
俺は鞠絵に話し掛けている途中で寝てしまったので、記憶にはなく、話で聞いただけなんだが、俺が起きる前まで鞠絵は毛布をかぶさりながら俺の熱の引き具合を見てくれたいた。
12月25日…俺は微妙に風邪を引きながらも普通に歩けるので鞠絵といっしょに薬局に行き、風邪薬を買って、デートをした。
それから…26日、27日、28日、29日…30日…31日と2人で町を歩きまわった…歳はかわり、1月1日…元旦となってしまった。
俺と鞠絵神社に行き、はこんな頼みごとをした…。
鞠絵の体調は早くよくなり、家族で生活を過ごしたいと俺は願い…
鞠絵は…どんなことを願ったのだろう…?
2日、3日、4日、5日、6日…5間あり、家にいたり…いろいろなところに出かけたりして俺は精一杯鞠絵を楽しませた。
1月7日…俺は始業式を終え、2人で少し町を歩き回り、鞠絵を電車に載せて俺は孤独感を強く感じ帰った。
その日、鞠絵のメールが一通受信トレイに入った。
親愛なる兄上様へ… この2週間ありがとうございました。 ところで…兄上様は……私の事をどんなふうに思ってらしゃいますか…? 今まで兄上様と接してきて…私は……兄上様を一人の男性として…見ているようになっていました。 鞠絵
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その日…俺は鞠絵に『俺は鞠絵と血と繋がっていない』と言うことを正直に伝え、最近鞠絵を女の子としてしか見られなくなってきていることを書き、メールを送信した。
次の日…鞠絵は少々ショックを受けていたようで看護婦に全てを告げ、何もかもを受け入れたそうだ…。
これからは妹として見れなくなってしまう…そう考えるとやりきれなく、少し不安になってきた。
鞠絵も…こんな気持ちに押し潰されてしまうのでは………ないかと…
深夜に執筆した作品なのですが…意外と上手くかけました。
微妙にバッドエンド風なんですが、ハッピーエンドなんです。
短編小説ですから…(笑)
「この作品をバッドエンドで終わらせて欲しくない」や「こんなのがハッピーエンドでいいんですか?」と言う方は管理人に言って下さい。
僕も微妙にこれで言いのかなぁ…と思ってるので…(爆)
そんな時はdream_child24@hotmail.comまで…
ところで…アナタは彼女がメガネッコだったらどうします?