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ママがサンタにキスをした
コギト=エラムス/文


 「ご、ごめん! どうしても研究が長引いちゃって.....で、でも必ず帰るから!」

 電話ごしに必死に言い訳する景太郎。

 

 「まったく...あのバカ」

 なるは電話を置くとイライラした様子で言った。

 

 成瀬川なるは東大を卒業してから浦島なるになった。

 

 「私だって塾の講師を無理矢理休んで時間作ったのに...」

 

 ふたりは共働き。なるは塾の講師、景太郎は大学で瀬田の助手をしていた。

 

 「今日ぐらい研究やめてちゃんと帰ってくればいいのに...」

 

 今日はクリスマスイブ。ふたりでお祝いする予定だったのに、景太郎は研究で遅くなるという。

 

 なるは食卓の椅子にどすんと腰を降ろす。

 食卓にはなるが一生懸命作った七面鳥や手作りのケーキが並んでいた。

 頬杖をついて、その料理たちを見る。

 

 「せっかく...がんばって作ったのに...」

 料理の腕では景太郎にはまだまだ及ばないが、それでも自分なりにがんばって作ったのだ。

 

 . . . . .

 

 それから、1時間が経過した。

 

 ぐぅ...

 ひとりの部屋に、なるの腹の虫が泣く音が響く。

 時を刻む壁かけ時計のカチカチという秒針の動く音がなるをさらにイライラさせる。

 

 「あーもうっ! なんで私があのバカの為におなか空かして待ってなきゃなんないのよっ!!」

 どんっ! と両手でテーブルを叩く。

 がちゃん! と音がして僅かに皿が跳ねあがる。

 

 「先に食べちゃおっ! いただきまーす!」

 食卓の中央にあった七面鳥を手でつかみ、大口をあけてかぶりつこうとするなる。

 

 「..........」

 だが、七面鳥に噛みつこうとした直前で、なるの動きがぴたりと止まる。

 そのまま無言で七面鳥を元の皿に戻し、乱れた飾り付けを戻す。

 

 「..........景太郎..........早く帰ってきてよ.....」

 それは、心細そうな声だった。

 

 . . . . .

 

 それから更に1時間後、なるは大学に電話をした。

 

 「えっ? 8時ごろに帰った?」

 壁に掛けてある時計を見る。もう11時30分をまわっている。

 

 景太郎の大学からこのマンションまでは電車で30分くらいだ。

 電話を置いたなるは、唇を噛んだ。

 「いくらバカでドジでスケベなあいつでも、遅すぎるわよ...」

 

 鳴らない電話をチラチラと何度も見る。

 

 遠くに救急車のサイレン音が聞こえるたび、どきりと顔を上げる。

 

 マンションの廊下に足音が響くたび、期待に胸を膨らませて玄関まで走る。

 

 だが、景太郎は帰ってこない。

 

 「もーうガマンできない! こっちから探し出してぶっ飛ばしてやるんだから!!」

 ガタンと椅子から立ちあがり、コートを着ようと寝室に入るなる。

 

 「えっ...」

 暗闇の寝室に、人影が。

 

 「えっ...? な、なによあんた...」

 その人影はなるの問いには答えず、ゆっくりとなるに近づいてきた。

 

 「ぎゃあああっ!! ドロボーっ!! チカーンっ!! ヘンターイっ!!」

 叫ぶが早いが、なるは手にした木製のハンガーで力まかせにその侵入者を打ち据える。

 

 「ぐわあああっ! ぼ、ぼくだよっ! なるっ! ぼくだよっ!!」

 がすがすと鈍い音をたてながら、その侵入者は命からがら叫んだ。

 

 「えっ...」

 なるは殴る手を止め、壁にある電灯のスイッチに手を伸ばす。

 

 ぱちっ...

 

 と音がして電灯がともり、部屋全体が明るく照らされた。

 

 「けっ、景太郎っ!?」

 そこにはサンタクロースの格好をした景太郎がいた。

 なるの攻撃を受けたせいで頭から血をどくどくと流している。

 

 「い...いや、ちょっとおどろかせて...」

 「ばかーっ!!」

 どがっ!

 「ぶべらっ!?」

 言い訳をしようとした景太郎の頬に、なるの拳が問答無用とばかりにクリーンヒットする。

 

 「ここ8階よ!? どうやって入ったのよ!?」

 「い、いや、屋上からロープを垂らしてそれを伝って...」

 窓を見ると一本のロープが上から垂れ下がり、風にぷらぷらと揺れていた。

 

 「ううううう...」

 なるはうつむいたまま、カタカタと震えている。

 やがて、左手が拳を固めてさっと振り上げられる。

 

 「ご、ごめんよなるっ! ちょっとびっくりさせようと思って...」

 その拳に、殴られると思った景太郎はさっと両手で顔を被って言い訳する。

 

 振り上げた拳が、小刻みに震えている。

 うつむいているなるの表情はわからない。

 

 「な...なる?」

 心配そうになるの顔をのぞきこむと、瞳からは大粒の涙がぽろぽろとこぼれていた。

 

 「ばか...ばか...こんな危ないマネして...

  ビルから落ちて死んじゃったりしたらどうするつもりなのよぅ...」

 顔を上げたなるは、こぼれる涙をぬぐいもせず言った。

 

 「...ごめん、なる」

 小さく震えるなるの肩を抱き寄せ、胸に抱きしめる景太郎。

 

 その胸に、顔をうずめるなる。

 「ばか...ばか...私にこんなに心配かけて...

  あんたなんかビルから落ちて死んじゃえばよかったのよぅ...」

 両手でぽかぽかと景太郎を打つ。さっきと言っている事が逆だ。

 

 いつもは気丈ななるなのに、こうして抱きしめてみると驚くほど華奢だ。

 泣きじゃくるなるをやさしく包み込むように抱きしめて、景太郎はそのままベッドに押し倒した。

 

 . . . . .

 

 ベッドに押し倒したなるの服をやさしく脱がせ、全裸にする景太郎。

 不安そうな表情のなるをうつぶせに寝かせる。

 

 つつ〜っとなるの白い背中に舌を這わせる景太郎。

 「はっ! あ...」

 舌が移動するのにあわせて、なるの背筋が反りかえり、シミひとつない背中になめくじが這ったような筋が残っていく。

 そして舌が臀部に達すると、その小さなお尻をぷにぷにと舌で突つき、

 また背中へと戻っていき、うなじまで舌を這わせる。

 

 それをなるの背中が唾液によってべたべたになるまで続ける。

 やがて、景太郎の唾液によってなるの白い背中はテカテカと光りだす。

 

 「じゃ...次はこっちね」

 景太郎はなるの身体をころんと転がしてあお向けにする。それに黙って従うなる。

 

 また首筋に舌をあてがい、鎖骨、乳房、腹部を通って太もも、すね、足の裏まで舌を這わせる。

 景太郎はこうして、身体のラインの縦に舌を這わせて愛撫するのが好きだった。

 時折、ポイントに達するとそこを舌で重点的に舐めあげる。

 

 まず、乳首。

 乳輪を焦らすようにくるくると円を描くように舐めて、一瞬だけ乳首に舌を通過させる。

 乳首に舌が通過するたびに、

 「あんっ」

 となるは甘い声をあげる。

 焦らすだけ焦らした後、いきなり乳首を責められるので、なるは予想のつかない快感に声を上げざるをえないのだ。

 そしてまた乳輪を円を描くように責め、なるが忘れたころにまた一瞬だけ乳首を舐めるのだ。

 

 次に、わきの下。

 「く、くすぐったいよ、景太郎」

 と初めはなるは言うのだが、それもお構いなしに腕を開かせ、

 わきのくぼんだ所を音が立つくらい強くベロベロと舐めまわすと、

 「んくっ、あ」

 と時折気持ちよさそうな声を出すようになる。

 なるはいつも景太郎がわきの下を舐めるので、いつもわきの下の処理には気を使っていた。

 景太郎はわきの下に溜まった汗をすべて舐め取るように、舌を動かした。

 

 そして、ヘソ。

 ほっそりとしているが、奥までよく見えるなるのヘソを指でぐいっと広げ、更によく見えるようにして舌を挿入する。

 しわのひとつひとつに舌をこじ入れるようにして舐める。

 ゆっくり、ゆっくり舐めていると、

 「んん...んう...」

 とがまんできないような声で、なるは腰をくねらせはじめる。

 

 順序でいえば次はなるの陰部なのだが、景太郎はわざとそれを通過して足にいく。

 足の指を、まるでフェラチオするかのように1本1本、口の中に含んで舌で舐めあげる。

 景太郎が顔を上下するたびにちゅぷちゅぷと唾液がからみつく音が響く。

 初めはなるも足を舐められるのは嫌がっていたのだが、景太郎の舌技で足への性感帯を開発されてしまったので、

 「ん...あ...」

 今は気持ちよさそうに身を任せている。

 

 景太郎はなるの全身をくまなく舌で舐めあげる。汚れていようがお構いなしに。

 それはまるでなるの身体の汚れまでを綺麗にするかのようであった。

 この愛撫は景太郎のなるに対する気持ちの現れなのかもしれない。

 

 愛し合うたびに、景太郎の舌はなるの全身をすみずみまで這い回った。

 

 そして、最後は陰部。

 なるの腰を抱え上げ、顔のそばに持ってきてからゆっくりと舐めはじめる。

 花びらの間、クリトリスの包皮の間の恥垢までもきれいに舐めとっていく。

 

 もちろんその舌は、菊座にも及ぶ。

 まず菊座の皺を丹念に舌の先で何度も何度もなぞる。

 そして、乳首を愛撫している時と同様、

 つぷっ...

 「うんっ!」

 なるの心の準備をかわして舌を挿入する。

 器用に舌をまげて、菊座を広げるようにする。

 そうしていくうちに、なるの花弁から潤滑油がとろりとあふれ、菊座にもたれてくる。

 それを、べろんと舌を動かして、一気に舐めとる。

 「あ...あん」

 舐めとった後、ふたたび菊座を責める。

 あふれてきた愛液を、何度も、何度も舐めあげるまで、この責めは続く。

 

 何度目かの舐めあげで、なるの肩がぜいぜいと上下しはじめた。

 もう、舐めあげるそばからこんこんと愛液があふれてきている。

 準備は整ったようだ。

 

 「...いくよ、なる」

 いつにない真剣な表情で、なるの瞳をまっすぐに見つめる景太郎。

 

 「(いつもは情けないのに...こんな時はしっかりしてて...ちょっとカッコイイ...)」

 なるは黙ってこくりと頷いた。

 

 く...ちゅっ...

 もう十分に濡れそぼった秘穴は、愛する人のペニスを僅かな抵抗で受け入れた。

 「あんっ...は...ああん」

 挿入の瞬間背筋を反らし、色っぽいため息をつく。

 

 景太郎はひと息つくと、ゆっくりと腰を動かしはじめた。

 

 くちゅ...くちゅ...くちゅ...くちゅ...

 

 「なる...」

 景太郎は突きながらなるの瞳をじっと見つめる。

 自らの腰づかいにあわせ、なるの身体が小刻みに揺れる。

 

 「景太郎...」

 突かれながら、なるは景太郎を見上げる。

 その頬は真っ赤に上気し、瞳は景太郎が映りこむほど潤んでいた。

 はぁ、はぁと呼吸が乱れ、それにあわせて胸が上下する。

 

 普段は強気のなるも、この時ばかりは女らしい表情を見せる。

 自分しか知らない、自分しか引き出せない、なるの表情。

 「んっ...」

 

 ふたりは自然と唇を重ねた。

 

 舌をからめあいながら、景太郎は器用に腰だけを動かした。

 腰が振られるたびに、くちゅくちゅという音が響く。

 

 ふたりはお互いの口の中に舌を絡め、ひたすら唾液を交換し、こくこくと飲みあう。

 

 やがてふたりがぷはっと口を離すと、唾液が糸になってぷつんと切れた。

 景太郎はなるの肩に手をつくと、本格的な送出を開始した。

 

 ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ

 

 くちゅくちゅと愛液のからみつく音は、肉がぶつかりあう音にかき消された。

 「ん...あっ...ん...ああっ」

 なるが顔を下げると、景太郎のペニスが自分の蜜壷の中にズボズボと出入りしているのが見えた。

 自分の愛液に濡れ光る景太郎のペニスはグロテスクだったが、とても愛とおしく感じられた。

 「あっ、ん...あ...ね、景太郎...あっ...私のここ...気持ちいい?」

 景太郎の突き上げに揺さぶられながら、なるは言った。

 「ああ、最高だよ、なる。あったかくて...ねっとり絡みついてくるよ」

 突き上げの手は緩めず、景太郎は答えた。

 「わっ...私のことは気にしなくていいから...あんっ!...景太郎、私のあそこでもっと気持ちよくなって...」

 うるうると潤んだ瞳のなる。

 「そんなこと言わずに...いっしょに気持ちよくなろっ」

 あまりの愛とおしさ。あまりの健気さ。景太郎は興奮のあまり突き上げの速度を更に上げる。

 

 ぱんっぱんっぱんっぱんっぱんっぱんっぱんっぱんっ

 

 「あっ! あっあっあっあっあっあっ!」

 もう口がきけないほどの激しい突き上げ。

 シーツをぎゅっと掴んで、どこかに飛んでいきそうな身体を必死に繋ぎとめる。

 

 景太郎の送り込む間隔がだんだん短くなってくる。

 

 ぱんぱんぱんぱんぱんぱんっ

 

 まるで痙攣したかのような景太郎の腰づかい。

 景太郎はなるを気持ちよくしようと、なるの膣内にある性感帯をペニスでこすりあげる。

 なるは景太郎を気持ちよくしようと、きゅっ、きゅっと膣でペニスをやさしく締めあげる。

 ふたりは夢中になって相手を求め、また相手に愛撫を送りこんだ。

 ふたりの気持ちがひとつになって、まるでひとつの身体になったかのようにふたりの官能は同時に高まっていく。

 

 「いっ、いくよっ! なるっ! なるっ! なるうっ!!」

 景太郎はなるの腰に回した手に力を入れ、折れんばかりに抱きしめた。

 

 「あっあっ! きてっ! きてっ! 景太郎っ! けーたろうっ!!」

 なるは景太郎の腰にからめた足で、景太郎の腰をぐいっと引き寄せ、より密着しようとする。

 

 「うくううっ!」

 ふたりは同時に叫ぶ。

 ふたりはお互いを抱きしめ合いながら、同時に絶頂に達した。

 ふたりはまさにひとつの身体になるかのように、きつくきつく抱きしめあう。

 

 どくんっ!

 

 膣を通して、景太郎のペニスがどくどくと脈うっているのがわかる。

 そして自分の子宮に、景太郎の精液が注ぎこまれているのも。

 「あっ...あ...あったかい...」

 下腹部から全身に広がるほんわかとした温度に、なるはつぶやいた。

 

 . . . . .

 

 なるは景太郎の胸に抱かれ、夢心地でうとうととしていた。

 景太郎のとくん...とくん...という心音が、まるで子守唄のようだった。

 

 「あっ、そーだ! なるにプレゼントがあったんだ!」

 景太郎は思い出したように起き上がる、背負ってきた大きな白い袋をごそごそとやりはじめる。

 せっかくいい雰囲気だったのに...とちょっと不服そうななる。

 

 「あっ、あれっ、ないっ? ないっ!?」

 袋の中に頭を突っ込っこむ景太郎。

 なるは突き出された景太郎の揺れるお尻を見て、クスッと笑った。

 

 「おっかしいな〜...確かにこの袋に入れたはずなのに...」

 その背後に、そっと近づくなる。

 「ご、ごめん、なる。落としちゃったみたいだ...」

 顔に袋を突っ込んだまま、景太郎はすまなさそうに言う。

 

 なるは無言のまま両手に力を込め、景太郎の尻を押した。

 

 どんっ

 

 「わあっ!?」

 景太郎の全身が袋の中に吸い込まれる。

 

 「ちょちょちょっとなるっ!? 何するんだっ!?」

 なんとか袋から顔だけ出して抗議する景太郎。

 なるは無言でその袋の口をリボンで縛る。

 

 「まったくドジなんだから...」

 袋の口を縛られ頭だけ出している景太郎を見ながら、なるはため息をついた。

 

 「ご、ごめんよなるっ! また買ってくるから!」

 袋の中で手足をもこもこと動かしながら、景太郎は必死に言い訳する。

 

 「ううん...」

 顔を左右に振るなる。

 「私へのプレゼントなら、これで十分よ...」

 

 ちゅっ...

 

 袋づめにされた景太郎に、なるはやさしくキスをした。

 

 . . . . .

 

 「な、なぁ〜、なる、まだ買うつもりなのか〜」

 両手いっぱいに荷物を抱えた景太郎がもうヘトヘトといった感じで悲鳴をあげる。

 

 「うっさいわね! 昨日の夜わたしのプレゼントになったんでしょ! 今日一日は黙ってついてきてもらうわよ!」

 身軽ななるはすたすたと歩きながら、顔も向けずに言う。

 

 「まさかあの行為にこんな意味があるなんて...まったく」

 「ブツブツ行ってないでさっさと行くわよっ!」

 「わあっ! ちょっと待てよぉっ!」

 

 あわててなるの背中を追いかける景太郎。

 だがその背中越しのなるの顔は、笑顔でいっぱいになっていた。

 

 終

 


解説

 ぶーりん様のリクエスト「景太郎との結婚後のエッチな話」です。

 今日(12月24日)はクリスマス・イブということでそれにちなんだお話しを書こうと思いまして、

 ちょうどリクエスト内にいいネタがありましたのでそれに合わせました。

 

 っていうかこんな日にまで更新するなんて「さびしんぼう」と間違われそうですね。

 そういえばこれで70作品目になります。

 


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