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夜の青のなかで
コギト=エラムス/文


 優は、草原の上で寝転がって星を見上げていた。

 

 照明が多く、明るい比治山公園の中でもここは照明がなく、静かに星たちを見ることができる場所、

 ここは優と、彼だけが知るお気に入りの場所だった。

 

 思えば、この公園の展望台でペルセウス座流星群を見たのが彼との出会い始まりだった。

 

 だが、彼はもういない...。

 彼の旅が終わる直前、交通事故で彼はこの世を去ったのだ。

 

 今日...この場所で、一緒に星を見ようと約束していたのに。

 いつもはもっと近くにある星たちが、今日はなんだか遠くに見えた。

 

 「ふぅ...」

 ため息をつき、ゆっくりと瞼を閉じようとしたその時...。

 

 「...誰?」

 人の気配がし、上体を起こす優。

 

 「!?」

 優は、視線の先にいた人物を見て、目を疑った。

 

 そこには、うっすらと透けた体の ”彼” がいたからだ。

 

 「キミ...!?」

 驚きはしたが、怖くはなかった。

 

 優...、俺が、見えるのか、と彼は言った。

 驚いたのは、彼も同様だった。

 

 

 草原に座ったふたり。

 「...キミは、やっぱり優しいね」

 優は言いながら、顔をのぞきこむ。

 

 「ちゃんと...約束守ってくれたんだ」

 

 普段は人に干渉するのも、されるのも嫌う優がしてくれた約束だ。守らないわけないだろ。

 

 優は照れくさそうに言う彼を、微笑みながらじっと見つめていた。

 怖さよりも、驚きよりも、今は嬉しさでいっぱいだった。

 人を干渉するのも、されるのも嫌いなのに...この人だけは、別だった。

 

 彼を座ったまま木によりかからせ、優は身を預けた。

 「これなら...キミの鼓動、もっと、もっと感じられる...」

 寄りかかる身体の、確かなぬくもり。

 優の瞳からは、自然と涙があふれ、こぼれ落ちた。

 「あ...あれっ? なんで私...泣いてるんだろ...」

 頬を伝う涙を感じ、誤魔化すような表情でその涙を拭う。

 

 星たちの瞬きに優は顔をあげる。

 

 「あっ、ほ、ほらっ、見て、スイフト=タットル彗星だ...」

 瞬く星たちを指さしながら顔を見上げる、見上げた顔の、真剣な表情。

 

 「んっ...」

 そのまま、流れるような自然さで、ふたりは唇を重ねた。

 確かな、唇の感触。

 忘れないように、必死になって優は唇を求めた。

 「んんっ...」

 唾液を送り、そして、送りこまれた唾液をうれしそうにこくこくと飲み干す。

 

 舌を絡めあい、口の中を舐めまわした。

 舌の腹と腹をからめあい、ざらざらとした味蕾の感触を確かめる。

 ツルツルとよく磨かれた歯の感触を確かめる。

 

 長い、長い、甘美なディープキスだった。

 

 「ん...」

 キスの最中、優の胸の上には手があてがわれ、優しく揉みほぐされていた。

 「んふっ!」

 口が塞がれているため、時折鼻から気持ち良さそうな吐息を漏らす。

 

 身体を触れられているだけだというのに、何故こんなに身体がとろけるほどに気持ちいいのだろう。

 

 優は愛撫に身を任せた。

 

 やがて、服のボタンが外され、ひんやりとした感触が優の胸に触れる。

 冷たい手の感触も、心地よかった。

 

 豊かなふたつの胸をふたつの掌で全体をほぐすように揉む。

 「ん...あ...」

 胸が圧迫され、自然と声が漏れる。

 そして時折、指先でくりくりと乳首をいじる。

 「んっ...」

 それを繰り返していくうちに、優の乳首がぷく...と起立する。

 「あっ...」

 自分の身体の変化に、少し戸惑ったような声をあげる。

 立ってきた乳首をひとさし指と親指で、きゅっ、とやさしく摘みあげる。

 「ん...あ!」

 初めての乳首の愛撫に、ぴくん、と身体をのけぞらせる優。

 

 乳首を指の腹でくりくりといじり、時折、押して乳房の中にぷにっと押しこむ。

 

 やがて、片手が優のスカートの近くに伸びてきていることに気づく。

 優は見上げて、

 「キミだったら...いいよ」

 ゆっくりと足を開いた。

 

 する...

 優のスカートがめくり上げられ、スポーティなショーツが露わになる。

 乳首への愛撫は止めずに、指先で優の花弁のあたりをすっ...となぞった。

 「あ...!」

 優の身体がぞくっと震え、縮こまる。

 だが、足は閉じようとしない。

 

 すっ...すっ...

 

 ショーツの繊維をなぞるように、指が規則的に往復する。

 クリトリスにあたる部分には、指の腹でくりっ、と押した。

 「んくっ...あぁ...」

 優の身体がぴくん、ぴくんと小刻みに震え、泣きじゃくるような声をあげる。

 だんだんとショーツが湿り気を帯び、湿気を指先に伝える。

 

 すっ...

 

 両手でショーツをずらす、優はそれに従うように両足を投げ出すようにする。

 

 くぷ...っ

 

 指先が、いきなり花弁に触れる。

 「あうんっ!」

 背筋に走る電気のような感覚に、驚いて再び足を閉じてしまう。

 

 膝に手をかけられ、ゆっくりと足を開かせる。

 頬を真っ赤に染めながら、おずおずと足を開く。

 

 くぷ...っ

 

 「ん...くふっ!」

 手で口を押さえ、声が漏れないようにする。

 初めて触れられるのに、とろけるほどに気持ちいい。

 頭をこすりつけて、甘えるような仕草の優。

 

 ショーツをなぞった時と同じように、今度は直に指で花弁をなぞる。

 

 くちゅ...っ、くぷ...っ、ちゅく...っ

 

 指が往復するたびに、どんどん熱い蜜が溢れてくるのがわかる。

 花びらを指の腹でこするようになぞり、真珠の粒をくりん、と一回だけ焦らすように撫でる。

 そして、時折蜜のあふれる穴に、くぷっと指をわずかに挿入する。

 

 単調な指の動きなのに、優の官能はどんどん高まっていく。

 とくん、とくんと音をたてんばかりに、秘穴からは愛液を分泌する。

 指が僅かに挿入されると、愛液が押し出されるように溢れ出す。

 

 はぁはぁと息の荒くなってきた優を、ゆっくりと寝かせる。

 

 ...いくよ、優。

 優の潤んだ瞳を見つめ、言った。

 優はこくりと頷いた後、

 「は...初めてだけど...気にすることはないよ...キミの鼓動...全身で感じたいんだ...」

 それだけ言った。

 

 亀頭の先が秘穴の入り口に触れると、くちゅ...と水っぽい音がした。

 腰を突き出そうとすると、

 「...あっ!」

 言葉とは裏腹に、優は一瞬身体を強張らせる。

 

 そこで挿入をいったん止め、優を見つめながら、頬にやさしくふれた。

 頬を撫でると、優は身を預けるようにゆっくりと瞼を閉じた。

 だんだんと、手に伝わる震えが収まり、身体の強張りもなくなってきた。

 

 瞼を閉じたまま、こくりと頷く優。

 

 そして...優の閉じた秘穴をこじ開けるように、ペニスが入ってきた。

 く...ちゅっ。

 「んぅ!」

 背筋を弓なりに反らす優。

 

 ずずっ、ずずっ、と数度押しこまれた後、動きが止まる。

 

 「私...私、星たちとキミに抱かれてるんだ...」

 優の瞳には、優を抱く彼と、そして彼の身体ごしに見える星たち...。

 

 自らの身体の内に広がる初めてのペニスの存在感。

 キミは、死んでなんかいない。生きてるんだ。

 痛みよりも、快感よりも、生命の息吹を感じる瞬間。

 

 「キミとひとつになって...キミの鼓動を感じてる...」

 瞳を見つめながら、言う。

 

 ああ...僕も優の鼓動、優の中で感じてるよ...。

 その一言に、優の真っ赤な顔が、更に赤みを増す。

 

 もっと...もっと、奥深くで、優の鼓動、感じたい...

 

 「いいよ...キミなら...あんっ!」

 優の言葉が終わらないうちに、ペニスが更に優の奥深くに達する。

 

 そして優の身体はぎゅっ、と力いっぱい抱きしめられた。

 

 

 ふたりは草の上を何度も転がって、上になり、下になって、ふれあい、かさなりあい、むつみあいった。

 夜の青の中で、僅かな星明かりの下で、ふたりはもとめあった。

 

 とくん、とくんと鼓動を伝えながら、ペニスは優の中を動いた。

 愛液で滑らかになっているとはいえ、優の中は気を抜けば押し戻されるほどの窮屈さだった。

 張りついた肉壁をはがすようにして、ペニスは移動する。

 肉壁をこすりあげ、亀頭のヘリで蜜をこそぎ取るように動く。

 「んうっ...あっ...あっ...あっ...はぁん...」

 それに呼応するように優の肉壁はピクピクと動き、ペニスを迎え入れるように締めつける。

 まさに動くたびに、お互を高めあう行為。

 

 自然と延ばした手がどちらからともなくぎゅっ、と握りしめられる。

 見つめる瞳から、優は揺れながら、絶頂が近いことを知る。

 

 いくよ...優。

 

 「う...うんっ...キミの生きてきた証...頂戴...私の...なかにっ...あはあんっ! あっあっあっあっあっあっあっ!」

 優の中に入った鼓動の速度が、より速くなった。

 

 数回、激しく突き上げられた後、

 「あっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっ! は! ああん...んっ!」

 びゅくっ、びゅくっとペニスが脈動し、優の中に次々と注ぎこまれる。

 「あっ...あ...あったかいよ...キミの...」

 どくどくと入ってくる精液を感じながら、気持ち良さそうな表情で眉間にしわを寄せる顔を見上げた。

 

 その顔が、優の胸に倒れこんでくる。

 

 おなじ...鼓動だ...

 優の胸に耳をあてて、言った。

 

 「......ふふっ」

 優は微笑むと、両手で抱え込むようにして、頭をぎゅっ、と抱きしめた。

 

 「.....こうして...私とキミは生まれたんだね...」

 頭を撫でながら、そっとつぶやく。

 

 「私とキミは...恋から生まれた子供なんだ...」

 優は星空を見上げながら、ゆっくりと瞼を閉じた。

 

 . . . . .

 

 朝になって、私は目をさました。

 もう、あの人の姿はなかった。

 

 あれからしばらくして私の身体に、妊娠の兆候が現れた。

 医者は「処女懐妊だ」といって驚いていたが、私は少しも処女懐妊だとは思っていない。

 あの日、星たちとあの人に抱かれた夜は、決して夜の青が見せた幻などではないからだ。

 

 私は、私に宿ったこの生命を、ずっと大事に育てていきたいと思う。

 あの星たちと、あの人がくれた、この命を.....。

 

 終

 


解説

 椎名様のリクエスト「主人公と星空の下で」です。

 

 これは正確には『センチメンタルグラフティ』と『センチメンタルグラフティ2』の間のお話で、

 主人公が交通事故で死亡した後のお話になります。

 

 七瀬優の独特の性格が表現できず、ちょっと失敗したかなあと思ってます。

 


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